全集中の呼吸は鬼滅の刃に登場する鬼殺隊の隊士が扱う特殊な呼吸法です。鬼滅の刃の魅力を大きく占める存在で、作中でも鬼と戦う為に作り出された呼吸法であり、身体能力の大幅な強化とそこから編み出される型によって様々な剣術を繰り出す事が出来ます。"炎、風、水、岩、雷"と呼ばれる五大流派が基本となっており、そこから派生の呼吸が幾つも存在します。因みに、作中で呼吸を使った時に出るエフェクトは実際に出ている訳では無くて使用者の精神力などによって左右され、その力が強ければ強いほどエフェクトが出ているように見える仕組みになっています。この設定も鬼滅の刃の特殊で魅力的な設定と言えるのではないでしょうか。今回は無限列車編までに登場した呼吸法の紹介・解説をして行こうと思います。
「炎の呼吸」
「炎の呼吸 其の壱」
炎柱・煉獄杏寿郎が扱う呼吸です。初出は無限列車編で劇場版の大画面で圧倒された人も多いのでは無いでしょうか。炎の呼吸は水ノ呼吸と並ぶ最も古い呼吸法で、何時の時代にも炎柱が存在していました。煉獄家が代々炎柱を輩出して来ましたが、無限列車編で杏寿郎が戦死してからは継承が途絶えてしまいます。 炎の呼吸は情熱を胸に燃やして、些細な事を顧みずに目標に向かって進む者に適性があります。対応する日輪刀の色は赤色です。
「壱ノ型 不知火」
力強い踏み込みによって生み出される炎を発する様な勢いで突撃し、距離を一気に詰めてからの袈裟斬り。劇中で一番最初に使用された・一番多く使用された技になります。BGMと明滅する篝火が一直線になる描写で惹き込まれた人も多いのではないのでしょうか。
「弐ノ型 昇り炎天」
刀を下から上に弧を描く様に向けて振るい、猛炎如き刃で相手を斬り付ける。素早く放つ事が出来る為、咄嗟の迎撃や防御様に向いています。
「参ノ型 気炎万丈」
昇り炎天とは逆に、上から下に弧を描く様に刀を振るう斬撃。実はこの技は劇場版で初登場した型になります。原作を読んでいたファンはビックリしたのでは無いでしょうか。
「肆ノ型 盛炎のうねり」
自身を中心に渦巻く炎の様な剣技で攻撃する斬撃。前方の広範囲を薙ぎ払う為、攻撃だけでは無く広範囲の技で攻められた際の防御としても有効です。
「伍ノ型 炎虎」
烈火の虎を生み出すが如く刀を大きく振るい、噛み付く様に斬り掛かる。猗窩座の破壊殺・乱式と真正面からぶつかり合いました。
「玖ノ型 煉獄」
煉獄の名前を冠した炎の呼吸の奥義。全身を捻って構えを取り、脚を止めて気を最大限に練る必要がある。しかしその威力は絶大で灼熱の業火の如き威力で突進し、相手の身体の面積を一瞬で根こそぎ抉り斬る技。猗窩座の破壊殺・滅式と激しくぶつかり合い、爆発が起こる中で猗窩座を後一歩まで追い詰めました。
「水の呼吸」
「水の呼吸 其ノ壱」
竈門炭治郎、鱗滝左近次、冨岡義勇などが扱う呼吸です。水の様に変幻自在な歩法が特徴の型で柔軟に対応出来る受けの型です。また、各流派の中で唯一鬼に苦痛を与えずに死なせる技も存在しています。炎の呼吸と同じく最も歴史の古い呼吸法であり、どの時代にも水柱が存在していました。現在の水柱は冨岡義勇です。
「水の呼吸 其ノ二」
無風の水面の様な穏やかさと流れに棹さす柔軟な思考を持つ者が水の呼吸に向くとされていますが、技が剣術の基礎に沿った物なので初心者にも容易く扱える為、最も多くの鬼殺隊隊士に使用されています。様々な使い手がいますが、現水柱の冨岡義勇は抜きん出た実力を持っており、独自に編み出した拾壱ノ型が存在します。対応する日輪刀の色は青色です。
「壱ノ型 水面切り」
水面が広がるように水平に刃を入れて攻撃する技。最終選別にて手鬼と対峙した際に、強固に手で守られた頸を一撃で斬り落としました。
「弐ノ型 水車」
全身を水車の如く回転させて斬撃を与える技。また、水車の応用として繰り出した弐ノ型・改「横水車」は身体を横に倒して回転斬りを行う技です。
「参ノ型 流流舞い」
水流に身を乗せて流れる様に移動し刃を振るう技。それにより多方向への攻撃が可能となり、複数の相手に有効な技です。
「肆ノ型 打ち潮」
大きな波を打ち付けるがごとく一撃を放つ技。応用技として「打ち潮・乱」があり、空中戦で活用できます。宙を舞いながら技を連続で繰り出す技です。
「伍ノ型 干天の慈雨」
これは他の型とは違い、鬼が自ら頸を差し出した時に放つ慈悲の技になります。斬られた鬼は痛みを感じず優しい雨に打たれている様な感覚になると言われています。
「陸ノ型 捻れ渦」
身体を大きくねじり強力な渦のように回転して斬る技。参ノ型の「流流舞い」と応用した「ねじれ渦・流流」という技もあります。
「漆ノ型 雫波紋突き」
型の中で最速を誇る突き技で波紋の中心を狙う様に突き刺します。応用技の「雫波紋突き・曲」は曲線を描きながら一撃を放ちます。
「捌ノ型 滝壷」
上から下に刃を振り下ろし、飛瀑の如き威力の斬撃を与える技です。自身の足元へ接近する敵に対して有効な技です。
「玖ノ型 水流飛沫・乱」
着地時間・面積を最小限にして縦横無尽に切り込む技です。足場の悪い場所での戦闘に適しており、響凱との戦いで使用した際は回転する壁や天井を駆け回りながら斬撃を避けて見事響凱の頸を跳ねる事に成功しました。
「拾ノ型 生生流転」
水の呼吸の奥義とも言える技で、うねる龍の様に回転しながら複数回斬撃を入れる連撃技です。回転を重ねる毎に威力は増していきより強力な技となります。迫り来る障害を斬りながら敵との距離を詰める時に有効的に活用でき、那田蜘蛛山編では累の扱う糸を斬り裂きながら接近しました。
「拾壱ノ型 凪」
この型は義勇が編み出した独自の型で扱えるのは義勇しかいません。凪とは無風状態の海の事を指しており、自身の間合いに入った鬼の術を全て凪ぎ無効化する技です。累の迫り来る鋼鉄並みの糸を一瞬の内に全て切断しました。
「雷の呼吸」
「雷の呼吸 其の壱」
我妻善逸が扱う呼吸です。対応する日輪刀の色は黄色です。呼吸による力を脚に集中させて踏み込みから電光石火の如き斬撃を繰り出す神速の型です。他の呼吸よりも速度を重視した呼吸で扱うには脚の筋肉組織や血管の一本一本まで意識する必要があります。基本型は六つですが善逸が扱えるのは壱ノ型だけです。善逸は壱ノ型を極めていて絶大な威力を持っていますが、扱えるのは意識を失っている時や寝ている時だけになります。
「壱ノ型 霹靂一閃」
神速の踏み込みで電光石火の如く接近し一太刀で頸を斬る技です。その速さは人間は勿論、鬼の目でも捉えきる事ができず、瞬間移動した様にしか見えません。善逸はこの壱ノ型を極限まで鍛え上げています。鼓屋敷で鬼に追い詰められて気絶した後、一瞬の内に襲い掛かって来た鬼を倒しました。
「霹靂一閃・六連」
霹靂一閃から善逸が独自に派生させた技で、直線でしか攻撃できない弱点を改良した技になります。霹靂一閃を六連続で放つ事で認識外からの攻撃や複数の鬼への攻撃を可能とする技です。あまりの速さに雷鳴の様な音が轟きます。那田蜘蛛山の兄鬼の毒が回っている危機的な状態を打破する為に使用し、兄鬼の攻撃を回避しながら跳躍して頸を斬り飛ばしました。
「獣の呼吸」
「獣ノ呼吸 其ノ壱」
伊之助が扱う呼吸で対応する日輪刀の色は藍鼠色です。獣の呼吸は他の呼吸とは違い伊之助が独自に自然の環境下で編み出した呼吸になります。その為後述する蟲の呼吸と同じく○○ノ型ではなく、○○ノ牙という名称になります。二刀流で扱う他、伊之助にしかできない特殊な技もある為に他の隊士が扱う事は不可能になっています。
「獣ノ呼吸 其の弐」
獣の呼吸は我流ですが完全に他の呼吸と別なのではなく、風の呼吸に性質が似ています。荒々しいイメージですが、剣術の型に当て嵌まらないが為に応用が柔軟に効き、サポートに転用する事も出来る呼吸です。
「壱ノ牙 穿ち抜き」
刀を二本揃えて一息に突き刺し、ガタガタの刃で傷口をズタズタにする技です。那田蜘蛛山で蜘蛛の父鬼に放とうとしましたが相手の頸が硬く放つ事が出来ませんでした。
「弐ノ牙 切り裂き」
腕を交差させるように刀を振るい広範囲を切り裂く技です。この技で下弦の壱の魘夢の頸を出現させました。
「参ノ牙 喰い裂き」
交差させた刀で相手の頸を両側を挟み、外側へ向かい獣が噛み付く様に斬り落とす技です。鼓屋敷で現れた恰幅の良い鬼の頸をいとも容易く切断しました。
「肆ノ牙 切細裂き」
細かい斬撃を繰り出して切り裂く技です。汽車と同化した鬼の頸を斬る際に炭治郎と共に連撃として用いりました。
「伍ノ牙 狂い裂き」
宙に舞い周囲を四方八方に斬り付ける技です。敵に囲まれた時や多方面から攻撃を受けた時に有効的に扱える技になります。無限列車で四方八方から迫り来る触手にを斬り付けました。
「漆ノ型 空間識覚」
この技は剣技ではなく呼吸を応用した物になります。その為、表記が牙から型に変わっているのが特徴です。獄時の呼吸法で得た触覚を扱い集中。周囲の直接触れていない物の姿までも捉えられる事が出来ます。
「蟲の呼吸」
「蟲の呼吸 其の壱」
蟲の呼吸は水の呼吸の派生の花の呼吸から派生した呼吸で、蟲柱の胡蝶しのぶが編み出した独自の呼吸になります。最大の特徴として日輪刀に仕込んだ毒を用いて鬼を殺す事が挙げられます。神速の踏み込みと突き技に特化した型です。
「蝶の舞い 戯れ」
高く跳躍して滑空めいた動きで相手を翻弄した後視認できない速度で複数回突き刺す技です。アニメでは那田蜘蛛山の姉鬼に使用し、華麗な身のこなしで夜空を背に跳躍した後、一瞬で距離を詰めて複数個所を突き刺しました。平然としていた姉鬼でしたが、刀に仕掛けられたしのぶが独自に調合した毒がすぐに回り悶え苦しみながら死亡しました。
「ヒノカミ神楽」
「ヒノカミ神楽 其の壱」
ヒノカミ神楽は炭治郎が父親の炭十郎から耳飾りと共に受け継いだ竈門家に伝わる厄払いの神楽と踊る為の呼吸法で既存の呼吸法のどれにも属していない物です。病弱だった炭十郎ですが、神楽を踊る際だけは息を切らす事なく踊り続ける事が出来ました。踊る為には呼吸が重要らしく、全集中の呼吸と何らかの関連があるのではないのかと作中で示唆されました。しかし、柱である胡蝶しのぶや形質が似ている炎柱の煉獄杏寿郎でも知らない物となっています。
「ヒノカミ神楽 其の弐」
那田蜘蛛山で炭治郎が累の繰り出した糸で絶体絶命の窮地に陥った際に走馬灯の中神楽を踊る炭十郎の姿が想起されました。炭治郎は咄嗟にヒノカミ神楽を日輪刀で振るい、強化された累の糸を切断しました。那田蜘蛛山以降は戦闘に取り入れて行く事になります。強力な技ですが反動が凄まじく、今の炭治郎では技を一度放っただけで動けなくなってしまいます。
「ヒノカミ神楽 円舞」
走馬灯を見てから初めて使った技になります。美しい弧を描く強烈な斬撃を放ち、鋼以上の強度を持つ硬い糸を容易く切断しました。また、倒す事こそ出来なかった物の下弦の伍の累の頸を切断しました。
「ヒノカミ神楽 碧羅の天 」
日輪の輪郭の様に円を描き刃を振るう技です。無限列車編で使用し、列車と一体化した魘夢の頸の骨を一撃で断つ程の威力を持ち合わせています。しかしながらヒノカミ神楽の反動と腹部に負った刺し傷が仇となり炭治郎は動く事もままならなくなってしまいました。
まとめ
如何でしたでしょうか。以上が無限列車編までに登場している全集中の呼吸一覧になります。多種多様な呼吸と型が登場していますがこれらは一部に過ぎません。物語が進むに連れて新しい呼吸や型が沢山登場して行きます。無限列車編の続編である遊郭編でも新たな呼吸や技が登場します。これを機に今まで登場した呼吸や型を振り返っても良いのではないのでしょうか!ここまで読んで頂きありがとうございました!!