アニメ第2部ではトロンべ討伐、そして神官長フェルディナントに、本須麗乃の時にいた世界を見られてしまったところで終わりました。そのあとの神官長とカルステッドの意味深な会話もアニメ第3部で全貌が明らかになります。第3部について、小説では第8巻にあたる部分ですが、アニメでは第2部の最後の方はまだ描かれていないので、今回はその部分のお話から、第3部の導入部分までを解説していきたいと思います。
目次
マインの冬籠り①
元々、冬の間は巫女としての仕事をするため、神殿で暮らすことが決まっていたマインですがその予定が少し早まります。その理由はマインが作った植物紙のインクにありました。すでに販売を開始していた絵本は、ベンノの予想通り、貴族には高評価だったようで順調に売り上げを伸ばします。しかしその絵本に使われているのは、一般的な没食子(ちっしょくし)インクではなく、マインが作った煤(すす)と膠(にかわ)を元にした油性絵具でした。これにいち早く気がついたインク協会の会長ヴォルフが商会へ訪ねてきたのです。
マインの冬籠り②
ベンノが言うには、ヴォルフには良くない噂が多く、貴族相手の商売のためなら汚い手段もいとわない男という評判でした。加え、商業ギルドにいたルッツがインク協会員に襲われるという事件が起きました。マインの性格上、自分のことよりも周囲の人たちが巻き込まれて被害を受けることを何よりも嫌うため、周囲にこれ以上危害が及ぶ前に、予定よりも早くマインの冬籠りが始まったのでした。
マインの新たな護衛
冬の間の神殿での生活が始まったマインですが、さっそく神官長に呼び出されます。いつものお説教ではなく、先のトロンべ討伐の際の処分についてでした。マインを平民だと罵り、危害を加えたシキコーザは死刑に、もう一人のマインを庇おうとしたダームエルはマインの弁護もあり、罰金と1年間マインの護衛という軽い処罰で済みました。これでマインの魔力量の多さと神官長の庇護下にあることが貴族の間にも広まりはじめ、直前のインク協会の件も重なり、さらなる危険を予見しての騎士ダームエルの護衛という運びになりました。
金属活字とヨハン①
神殿で暮らしてもマインの行動力は衰えず、トランプやリバーシ、カルタなどの玩具やパルゥを使ったレシピなど、新たな商品を生み出し続けていました。一方、印刷業の方については、植物紙協会と印刷協会の設立と、着々と本の流通の基盤を作っていました。そんなマインの次なるステップは活版印刷でした。一文字一文字を削って刷るのではなく、金属の型に文字を彫り、それらを並べて文章にしたものを上から紙に押し当てる活版印刷は、印刷のスピードや正確性が高く、歴史的にみても本を広めるには必要不可欠なものでした。
金属活字とヨハン②
そんなマインの下に鍛冶協会の見習いのダプラ、ヨハンが訪れます。ヨハンは第2部で少しだけ登場しましたね。鍛冶協会では成人するまでに、パトロンとなる出資者を見つけ、パトロンが提示したものを1年以内に作るという課題があります。仕事が細かく、こだわりが強い性格のせいで、なかなかパトロンが見つからなかったヨハンに、マインはパトロンの課題として金属活字を依頼します。金属活字という繊細で、量の多い依頼を任せられる鍛冶職人ヨハンの獲得に成功しました。
滞在期間延長
順調に印刷業も進み、神殿での冬の儀式もこなしていたマインですが、冬籠りの期間が延長されてしまいます。理由はインク協会会長ヴォルフの突然死でした。裏で探りを入れていた神官長や騎士団長カルステッドによると、どうやら貴族が口封じのために殺したようで、マインが神殿にいることも、マインの膨大な魔力量も知られている可能性が高いため、街から貴族が減る祈念式までは安全な神殿で匿うことが決まります。
祈念式と青色神官ジルヴェスター
祈念式では毎年、巫女と神官が各村へと赴き、聖杯へ魔力を奉納します。マインは神官長とカルステッド、護衛のダームエル、そして急遽追加された、青色神官のジルヴェスターという人物の、計5人で騎獣に乗って村へ向かうことになります。ジルヴェスターは、見た目こそキリっとした目に、青味がかった紫の髪、がっしりとした体格をしていますが、性格が悪く道中でもマインに意地悪ばかりしてくる変な人物でした。この記念式を通じて、マインの側仕えの作るおいしそうな料理、きれいな簪(かんざし)などを物珍しそうにしていたジルヴェスターは、徐々にマインに興味を持っていきます。
やりたい放題のジルヴェスター①
祈念式を終え、やっと家に帰れると思ったマインでしたが、神官長からジルヴェスターに神殿の案内をするように言われます。孤児院と工房、そして下町の森で狩りをしたいというジルヴェスターの要望により、マインは急遽その準備をしなければならなくなりました。孤児院を見たいと言う神官も、森で狩りをしたいなどと言う貴族もいなかったため、驚くマインでしたが、ひとまず孤児院はヴィルマ、工房はギルとベンノ、森はルッツと役割分担し案内することにします。
やりたい放題のジルヴェスター②
掃除の行き届いた孤児院のきれいさを見たジルヴェスターは、子供用の聖典の絵本と文字を覚えるための玩具に気がつきます。子供たちは、普段から遊んでいるカルタのおかげで、文字が読めることや書字板で簡単な計算ならできることを聞いたジルヴェスターはその教養の高さに驚きます。次に、マイン工房では植物紙の作り方や試作段階の印刷機、この前依頼していた金属活字の試作品を紹介します。実際に金属活字を並べ上からプレスすることで印刷できることも披露し、見学は無事に終わります。
やりたい放題のジルヴェスター③
翌日はジルヴェスターが楽しみにしていた森で狩りをすることになります。一見、勝手そうなジルヴェスターでしたが、下町の森での狩りの仕方や他の狩場を荒らさないようにするといったルッツの教えをちゃんと守り、狩りが終わる頃には子供たちから弓の腕を褒められ、仕留めた大量の獲物と共に帰ってきました。孤児院でめったに食べられない肉をもらった子供たちは、ジル様と口々に言い、まんざらでもないジルヴェスターなのでした。
やりたい放題のジルヴェスター④
全ての見学が終わり、マインはジルヴェスターから真っ黒な石のはまったネックレスを貰います。いざという時、血判を押せば助けてやるという言葉とともに、めずらしく真剣な目でジルヴェスターはそう言いました。ちょっと変わった謎の人物、青色神官ジルヴェスターでしたが、根は良い人なようでマインにも協力的な雰囲気のまま貴族街へと帰っていきました。
誘拐未遂
やっと長い長い神殿生活を終え、マインは家族の待つ家へ帰ることができました。たっぷりと家族に甘えるマインでしたが、またまた事件が起こります。いつものように神殿での仕事を終え、トゥーリとルッツの迎えで帰路に就く途中、後ろから何者かが麻袋を被せ、トゥーリとマインを連れ去ろうとします。護衛のダームエルと駆けつけた父ギュンターとオットーにより、賊は捕らえられますが、マインたちは重傷を負ってしまいます。
神殿にて
突然の襲撃に、神殿へ神官長フェルディナントに助けを求めるため、父はマインを抱え神殿へと向かいます。父に抱えられているマインは、首につけていたネックレスに血判を押し、ジルヴェスターに助けを求めます。神殿に着いてフランと合流し、神官長の部屋へ行くと、部屋の前で待ち構えていたのは、神殿長と下卑た笑いを浮かべる謎のデブ貴族の2人でした。「マイン、お前と契約してやろう」そうしゃがれた声で言うその貴族に対し、毅然とした態度で断るマインでしたが、貴族は続けて「…子供以外は殺してよい。捕まえろ」と嘲笑しながら護衛に命じました。
貴族との戦闘①
飛びかかってきた2人をダームエルが相手し、残る1人を父とフランが相手をします。また、貴族の男が後ろから放つ魔力の塊をマインが跳ね返し防御します。マインをただの平民出身の身食いだと小動物をいたぶるように笑いながら攻撃を続ける貴族に応戦するマインでしたが、少しひるんだ隙に、横から近付いてきた神殿長の灰色巫女に捕まってしまいます。貴族は薄ら笑いを浮かべながら、羽交い絞めにされているマインの手をナイフで切り、契約書を持って迫ってきます。
貴族との戦闘②
「マインを離せ!」という怒号と共に、後ろから父ギュンターが灰色巫女に蹴りを入れて、貴族から間一髪、マインを守ります。巫女と一緒に蹴り飛ばされた貴族は、それまでの余裕そうな顔から一変、怒りの表情でこれまでで最大の魔力の塊を放ちました。とっさに前に倒れていたマインを庇ったギュンターは、左肩から肘にかけて火傷したように赤く腫れ上がり、痛みでうずくまってしまいます。父の倒れる姿を見て、マインは怒髪天を衝きます。「許さない!!」
貴族との戦闘③
父の前に飛び出したマインは、ありったけの魔力を放ちます。信じられないほどの魔力量が貴族へ威圧となって襲いかかり、転倒した貴族は立ち上がれないほど震えて身動きが取れません。「ビンデバルト伯爵!?」そう焦った声で神殿長が、マインへ黒い魔石を向けます。魔石にどんどんマインの魔力が吸い込まれていき、「無駄だ」と神殿長は得意げに笑います。それでも溢れる怒りで魔力を注ぎ続けるマイン。そのとてつもない威力に辺りは黄色い光に包まれていきます。「…な、何だと!?」許容量を超える規格外の魔力によって、黒い魔石に亀裂が走り、色が黒から黄に変化し、カッと光った後、砂のように崩れ去りました。
貴族との戦闘④
魔石が砕けた後もマインは神殿長に向けて、容赦ない魔力を浴びせ続け、神殿長は吐血し、このまま止めを刺そうとした瞬間。マインの後ろで魔力を使い果たしたダームエルがその場で倒れてしまいます。これを形勢逆転と見たのか、今度は倒れていた貴族がもう一度魔力を放とうと構えます。「一体何事だ!?」彼が魔力を放つ寸前、正面のドアが開き、神官長が現れました。例の説教部屋にいたため、外の音が聞こえなかった神官長は目の前の惨状に驚いていましたが、すぐさま神殿長に説明を求めます。
神殿長と神官長
神殿長は、この貴族は他領の人間であるから治外法権だと言い、あろうことかマインが攻撃をしてきたとして反逆罪で処罰すべきだと主張しました。神殿長の話を聞いたフェルディナントはマインに近づき、神殿長と他領の貴族に危害を加えた罪で家族や側仕えも処刑されるだろうと言います。「はぁ…ジルヴェスター様のお守り、効果ありませんでしたね」悲しくつぶやくマインの首にかかっているネックレスを見たフェルディナントは、一言、養女になる覚悟はあるかと尋ねます。
養女マイン
「カルステッドではなく、ジルヴェスターの養女だ。」カルステッドではなく、なぜここでジルヴェスターの名前がでてくるのか、と疑問に思うマインでしたが、父や母、トゥーリ、側仕えを守るためマインは「…それで、みんなを助けてくれるなら進んでなります」と真っすぐな目で言いました。それを聞いた神官長は、ニヤリと笑い、反転して神殿長へタクトを振りました。光の帯が神殿長に巻きつき拘束し、貴族へは廊下全体を覆いつくすような超巨大な魔力を放ち、いまだどういうことか把握できていない2人を瀕死に追いやります。
アウブ・エーレンフェスト
「フェルディナント、もういいだろう。」外へ通じるドアから、ジルヴェスターとカルステッドが現れました。神殿長と貴族の前に立ったカルステッドは「こちらは、アウブ・エーレンフェストである」と言いました。見慣れた2人の助けに安堵するマインと、驚きを隠せない父、それもそのはず、街の名前を名に冠する人物など領主以外にありえないからです。つまり、変な青色神官ジルヴェスターは、実はこの街エーレンフェストの領主様だったのです。
これからのマイン
神殿長と他領の貴族をその場で捕縛し連行した後、マインは神官長の部屋に呼ばれます。すでにネックレスに血判を押した段階で領主との養子縁組は成立しており、平民からよりも、マインを一度カルステッドの子として、貴族をジルヴェスターの養子にする方が諍いが起こらないという判断が下されます。これまでの家族との痕跡を消すため、一度マインは死んだことにし、今後家族としてトゥーリや両親と会うことは禁じられます。そしてマインは新たな名、ローゼマインとして領主アウブ・エーレンフェストの養女になったのでした。
まとめ
さて、このような流れでマイン、あらためローゼマインは貴族街へ、領主アウブ・エーレンフェストの養女として向かうことになります。いきなりの急展開と、マインの死、家族との別れでした。これにて第2部は完結するわけですが、第3部では貴族となったマインが、どのような活躍をするのか、気になりますね。コミックの進行の関係上、コミック第2部ではこちらの内容がまだ最後まで描かれていないため、小説かWebサイト「小説家になろう」で読むことをおすすめします。細かい設定やアニメではカットされてしまったキャラクターなど、より深くこの作品を知ることができるので、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。