『週刊少年ジャンプ』で2016年11号～2020年24号まで連載されたバトル漫画で、作者は吾峠呼世晴です。名前から一見男性のように感じますが、吾峠さんは女性とのことです。
テレビアニメが2019年4月～9月まで放送されており、2020年10月16日にはその続きの話にあたる「無限列車編」が劇場版として公開予定になっています。
主人公の竈門 炭治郎は山奥で家族と平穏に暮らしていましたが、町から家に帰るとそこには見るも無残な光景が広がっていました。家族は鬼に惨殺されており、炭治郎はかろうじて生きていた妹の禰?豆子を連れて山を下ります。
しかし、その途中で禰?豆子は鬼に変貌してしまいます。鬼殺隊である冨岡 義勇に助けられた炭治郎は禰?豆子を人間に戻すための旅に出るのでした。
アニメ第一期は単行本の7巻途中から8巻までの内容となっています。今回は、初めての登場となった上弦の鬼・猗窩座についてご紹介していきたいと思います。
初登場となった上弦の鬼
魘夢との死闘の末、なんとか勝利した炭治郎たち。しかし、炭治郎は腹を刺され呼吸もままならない状態でした。煉獄は呼吸とは何たるかを炭治郎に教え、呼吸の精度を上げることで止血に成功した炭治郎。これで一件落着かと思ったとき、更なる脅威が炭治郎たちに襲い掛かるのでした。現れるや否や炭治郎の命を狙う猗窩座。煉獄が炎の呼吸・弐ノ型「昇り炎天」で攻撃を防ぎ炭治郎は助かります。対峙してすぐに上弦の鬼だと気付く煉獄。百年近く殺されていない上弦の鬼は、他の鬼とは気配がまるで違うのでしょうね。
強者を好む猗窩座
怪我をし、弱っている者から狙っていく猗窩座の行動が理解できない煉獄は、なぜそのような行動を取るのか尋ねます。弱者を嫌い、強者を好む猗窩座は自分より弱い存在を疎ましく思っているので、弱いが故に死にかけている炭治郎を狙ったのでした。逆に闘気が練り上げられている柱の煉獄のことは気に入っています。たとえ敵であろうと強い者は認める。非常にシンプルでわかりやすい考え方ですね。
鬼になることを勧める猗窩座
猗窩座は煉獄の強さを闘気は練り上げられており、至高の領域に近いと表現します。しかし、近いのであって到達はしていません。それはなぜか？煉獄が人間だからです。人間はやがて老いて死んでいきます。どんなに鍛練した強き者でも寿命には敵いません。それに対し、鬼は傷を負っても回復し、老いて死ぬこともありません。そのため、何百年と鍛練を重ね、至高の領域に到達出来ると猗窩座は考えているのです。強き者が老いて死ぬことが耐えられない猗窩座は、煉獄に鬼になるように説得します。ある意味とても純粋ですね！
柱をも凌ぐ強さ
考え方が真っ向から対立する猗窩座と煉獄は一騎打ちとなります。考え方が対立しなくても鬼殺隊と鬼の時点で対立していますが・・・。今まで何人もの柱を殺してきた猗窩座の実力は本物でした。遠距離での攻防では頸を斬れない煉獄は、一瞬の隙を突いて近距離戦に持ち込みます。しかし、近距離でも煉獄の動きに付いてくる猗窩座。あまりにハイレベルな攻防に炭治郎と伊之助はただ見ていることしかできませんでした。実力は互角で勝負は均衡しているかに思われましたが、徐々にその差は広がっていきます。目、骨、内臓と傷が増えていく煉獄に対し、猗窩座の受けた傷はすぐに完治してしまいます。人間と鬼では圧倒的に鬼が有利なのです。実力が同じならばまず人間は勝てません。ズルいような気がしますが、そういった点も含めての鬼の強さなのです。
破壊殺を使う猗窩座
猗窩座の戦闘スタイルは破壊殺を使った素手での格闘をメインとしています。破壊殺「羅針」という術式を展開し、ここから相手の攻撃や動きに合わせて破壊殺を繰り出して戦うのです。煉獄との戦いでは、破壊殺「空式」、「乱式」、「滅式」を使用しています。実は猗窩座の技の名前は花火に由来します。その理由については、後述の猗窩座の過去で触れたいと思います。
どんなに強くても鬼は鬼
煉獄の胸を貫き、圧倒的な力を見せた猗窩座でしたが、夜明けが近づいたことに気付くと、慌てて逃げ帰ろうとします。どこまで強くなろうとも鬼は太陽の光には勝てないようです。煉獄が腕を抜かせないようにしたため、焦りを見せ始める猗窩座。さっきまでの余裕は完全になくなっていましたね。この好機を逃さなかった炭治郎と伊之助は煉獄の援護をし、猗窩座は急いで逃げていきました。
炭治郎、お前のことは忘れない！
太陽の光を恐れ逃げ帰った猗窩座でしたが、去り際に炭治郎から「卑怯者！！」と言われたことが忘れられませんでした。鬼殺隊から逃げたわけではなく、太陽の光から逃げたという猗窩座ですが、力を求める者からすれば、「卑怯者」という言葉は聞き捨てならなかったのでしょう。さらに、柱でない者から一撃を受け、一人しか殺せなかったことを無惨に指摘され、失望したと罵声を浴びせられます。プライドをズタズタにされた猗窩座は、炭治郎への復讐を誓うのでした。
猗窩座の過去
猗窩座とは鬼になってからの名前で、人間の時は狛治という名前でした。病弱な父親と二人で暮らす狛治は、父親に薬を買うために、スリなどを繰り返して生活していました。十一歳で何度も犯罪を繰り返し奉行所に送られ、百敲きの刑を受けても威勢の良い狛治は鬼子として煙たがられます。自分のせいで狛治が誤った道を進んでいると感じた父親は、狛治に真っ当に生きるようにと手紙を残し自殺してしまいました。
貧乏が故に薬を買えず、買うために盗みを行えば刑罰を受ける。糞みたいな奴らがのうのうと生活し、まともな人間が死んでいく。貧乏人が生きることを許されない世の中に不満を抱く狛治は、荒れ狂い喧嘩に明け暮れていました。そんな狛治の前に素流道場の師範代である慶蔵が現れます。狛治の腕前を見た慶蔵は門下生になるように勧めるのでした。
小雪との出会い
慶蔵には小雪という病弱な娘がいました。門下生となった狛治は小雪の面倒を見るように言われます。付きっ切りで看病する狛治は、看病は慣れているから辛くないと言っていますが、病気に苦しんだ父親と小雪の姿を重ね、放っておけなかったのでしょう。三年間、小雪の面倒を見ながら門下生として生活した狛治は十八歳になり、慶蔵から道場を継ぐように言われます。小雪は自分のことを付きっ切りで面倒見てくれた優しい狛治を好きになり、それを慶蔵も認めていました。小雪と夫婦の関係になる約束をした狛治。罪人だった自分が人から好かれる未来があるなんて思っていなかった狛治は、慶蔵と小雪を命に代えても守りたいと思うのでした。
花火の約束
気分転換に花火でも見てきてという小雪に対し、狛治はいつでも行けるのだから一緒に行こうと言います。自分がいつ死ぬのかもわからない、周りも自分のことは諦めていると思っている小雪にとって、未来の話を当たり前にする狛治の存在は大きく、その言葉はとても嬉しいものだったのです。この花火の思い出が狛治の中でも大切なものであり、技の名前になっています。また、術式展開の模様は小雪の髪飾りの模様を連想させています。
大切なものをすべて失った狛治
狛治が父親の墓に祝言の報告に行っている間に、道場では慶蔵と小雪が毒殺されていました。前から素流道場に嫌がらせをしていた剣術道場は、慶蔵や狛治と直接やり合っても勝てないからといって、素流道場の井戸に毒を入れたのです。どん底の人生から自分を救ってくれた恵三と小雪、大切な人を一度に失った狛治は昔のように暴力に身を任せ、剣術道場を襲います。この事件は奉行所で記録が残っており、狛治一人で剣術道場の六十七名を素手で惨殺し、頭部や内臓などは破壊され、その光景は地獄絵図だったとされています。剣術道場の襲撃は鬼が出たとの騒ぎになり、無惨が現場に出向きましたが、その犯人は人間の狛治でした。十二鬼月を作ろうとしていた無惨は、狛治を鬼として十二鬼月に迎えるのでした。
ついに現れた上弦の鬼・猗窩座まとめ
いかがだったでしょうか？
上弦の参としてとてつもない力を見せつける猗窩座ですが、本来はとても優しい人物でした。力を求めたのも父を想ってのこと。
最初に出てきたときは、力こそ全てという考えしかわかりませんでしたが、過去を知るとなんだか切なくなりますね。
十二鬼月の中で唯一女を食べなかったという猗窩座は、鬼になっても小雪のことを忘れていなかったからなのでしょう。
