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五等分の花嫁

【五等分の花嫁∬】はかなり凄い!?傑作「魔女の宅急便」とのテーマの一致性を解説!!

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五等分の花嫁14巻

2021年1月から始まる「五等分の花嫁∬」を楽しむには、キャラクターや作品の背景、どの様な制作陣でどのような表現技法を使ってどのようなテーマを伝えようとしているのか?といったことを事前に調べていた方がいいと思います。事前知識なしでそのまま初めて触れる作品の内容をありのまま受け取るのも面白いと思いますが、より深く本作を楽しむには、やはり事前にある程度の要素を把握してから、さらに深い作品理解を目指していくべきでしょう。今回は、「五等分の花嫁」のテーマを土台に類似している作品テーマとして掲げた作品「魔女の宅急便」についてと、どこが類似していて、どこが異なっているのかを簡潔にまとめて紹介していきたいと思います。単純な作品理解に留まらず、多くの作品の中の一つとして「五等分の花嫁」のテーマや工夫を掘り下げる、やや高度な内容になっているので、普通のアニメ紹介、考察記事では物足りないというアニメオタク上級者でも満足できる内容になっていると思います。尚、似たテーマの作品を紹介する上で、まず「五等分の花嫁」のテーマと、伝えたい事について紹介しますが、アニメミルの別記事「【五等分の花嫁∬】本作に隠された本当のテーマを徹底解説!!オタクを名乗るなら絶対に見ておけ!!」で詳しく本作のテーマについて解説しているので、まずそちらから目を通して頂けると幸いです。

「五等分の花嫁」のテーマとは?

五等分の花嫁ポスター

まず、「五等分の花嫁」の作品テーマについて簡単に説明します。これから紹介する作品はテーマとして本作に近いといったものですので事前に「五等分の花嫁」って結局何を言いたい作品なの?といったことを理解して貰ってから似たテーマの作品を紹介したいと思います。

個性の獲得

同時に明かりをつける五つ子

一見、五つ子という設定はただ可愛い女の子が五つ子だったらウケるだろうなという安易な気持ちで作られたものだと思ってしまいがちですが、決してそんな事はありません。「五等分の花嫁」には「個性の獲得」という重要なテーマがあり、そのテーマを作中を通して我々に最も気づきやすくする最大の仕掛けがこの「五つ子」という設定なのです。

個性の獲得と成長論

四葉の話をする五つ子達

そもそも人間の個性というのは、幼い頃は基本的には存在しません。個性というのは人間が誰かに自分が見られた姿を想像し、こういう風に見られたい、こういう人間になりたいと思うことで徐々に獲得されていくものなのです。この個性、強いて言えばアイデンティティーを獲得する過程が思春期なのです。ですので、多くの思春期の男の子や女の子を扱う作品は個性の獲得をテーマとして扱っていることが多いのです。

「五等分の花嫁」の五つ子の意味

幼い時は本当に瓜二つだった五つ子

このように、今まで個性がなくても無条件で両親に扶養してもらえた子供達が、今度は結婚して家族を持たなくてはならないとなった時に真っ先に始める行動が個性の獲得なのです。女の子でいえばお化粧を始めたり、男の子で言えば誰かに必要とされるために自分を強く見せようとしたりします。誰かと一緒になるためには誰かの特別にならないといけない。そういった個性の獲得をしなければ誰にも振り向いてもらえないという現状の中で子供達がもがき苦しむ作品というのが成長ものと呼ばれる作品群であるわけです。そんな成長ものと呼ばれる作品群の中でも「五等分の花嫁」が優れている点は「アイデンティティーを持っていないヒロイン同士を登場させるんだったら、その子達を五つ子という設定にしてしまえば良いじゃないか」とヒロインすべてを五つ子にしてしまったことです。一見平凡なようですが、この五つ子という設定は成長ものといわれる作品たちの中での「大発見」であったと言っても過言ではない設定だと思います。

なぜ「五つ子」は凄いのか?

母親の死後の四葉

ヒロインを五つ子にすることによって、それぞれが全く同じ体であるなど、「全く同じ」というコンプレックスを持っているという設定を作ることができます。つまり、作品テーマとしての無個性からの脱却、というのがよりわかりやすく読者に説明できる様になっているのです。だからこそ、風太郎に選ばれたヒロインは五つ子達の中で最も強く自身の個性を望んでいた四葉なのですね。

似たテーマの作品を観る事で更に「五等分の花嫁」が面白くなる理由

五等分の花嫁二期ポスター

「五等分の花嫁」のテーマである「個性の獲得」というのは決して本作品だけのものではありません。むしろ昔から多くの小説や漫画、アニメに使われてきた、いわば成長ものの鉄板テーマであると言っても過言ではないものです。しかし、だからこそ「五等分の花嫁」のテーマを完璧に理解するには、それ以前の関連する作品を事前に調べてそれらの作品とはどのようにアプローチを変えているのか?それらの作品からどのような影響受けているのか?どう違ってどのような工夫をしているのか?といったことを更に考察してみる必要があるのです。

「魔女の宅急便」

魔女の宅急便ポスター

さて、前置きが長くなってしまいましたが、早速紹介をしたいと思います。宮崎駿監督作品の「魔女の宅急便」です。魔女の宅急便の内容を簡単に説明すると、魔女の少女キキが両親の元を離れて一人で街に出て暮らすという話です。この作品の背景には、当時の日本でよくあった地方の女性が単身東京に出て、慣れない土地で葛藤と苦悩を繰り返しながら成長していったという事実があります。つまり、「魔女の宅急便」も一つの少女の成長ものの作品なのです。日本アニメ映画界の巨匠宮崎駿が手がけているということもあり、少女の成長ものとしてはこれ以上のものはないというほど素晴らしい作品となっていますので、「五等分の花嫁」を理解する上でも非常に重要な資料となる作品です。

「魔女の宅急便」の「個性の獲得」

ボーッと空を見るキキ

そんな魔女の宅急便にもしっかりと「個性の獲得」というテーマが掲げられています。主人公キキといえば特徴的な赤いリボンですが、これも四葉と同じ様に大人になりかけの少女の「個性の獲得」のあがきをしている証拠なのです。

大人の女性との違い

母親と話すキキ

キキの母親を見ればわかると思いますが、キキの母親は黒色のバンダナをしてるだけで、赤や金などの目立つアクセサリーを一切つけていません。これはパイをくれたおばあちゃんやパン屋のおばさんにも言えることです。つまり、既に結婚していて、誰かと一緒にいる女性はもう自分を大切にしてくれる人がそばにいるので、必要以上にアイデンティティーを獲得したり強調したりする必要がないのです。まだ大切な人がいない女の子は、冒頭に登場するハート型のイヤリングをしている先輩魔女や赤いタンクトップに赤い髪留めをしているウルスラなどを見てもわかるように、大切な誰かをまだ持っていない女性たちは特徴的なアクセサリーをつけているのがわかるでしょうか?これが宮崎駿が巧みにキャラクター設定の中に仕込んだ女性たちの「個性の獲得」というあがきなのです。

「五等分の花嫁」と「魔女の宅急便」の「個性の獲得」の違い

大人になった四葉

では「五等分の花嫁」と「魔女の宅急便」の「個性の獲得」にはどのような違いがあるのでしょうか?一つの大きな違いとして、最後まで描かれているかいないかという違いがあると思います。「魔女の宅急便」ではキキはまだ大切な人に出会っていないので、赤いリボンはつけたままです。つまり内容としてはまだ完結はしていなく、最後の手紙を見てもわかるように、一人街に出てきた少女が自分の両親に対して「私はもう大丈夫」と強がりを言える程度にまでなら成長できたと言う話なのです。一方で「五等分の花嫁」の場合、個性を獲得しようと五つ子達の中で誰よりも早く、リボンをつけたりし努力していた四葉が最終的に風太郎という大切な人を手に入れ、個性を強調する必要がなくなり、なんだかぱっとしない普通の女性に戻ってしまうところまでしっかりと描かれています。花嫁が誰なのか誰にもわからないというのは、裏に隠された「個性の獲得」というテーマをよく理解した上でなら、かなり納得のいく設定ですよね。

「五等分の花嫁」の優れている点は「圧倒的なわかりやすさ」

五等分の花嫁ポスター

このようなことから「五等分の花嫁」の優れている点は「圧倒的なわかりやすさ」であることがわかります。少女の成長ものの教科書というのは、やはり宮崎駿の「魔女の宅急便」を置いて他にないですが、いかんせん宮崎駿作品というのは非常に理解難易度が高く、「個性の獲得」というテーマもキャラ一人一人の服装にまで注意をして見てみないとわからないというものになっています。しかし、「五等分の花嫁」ではヒロインを全員が瓜二つの五つ子と言う設定にすることによって、全員の個性を無理矢理合わせることに成功し、「魔女の宅急便」のようなややこしさを出すことなく「個性の獲得」というテーマを読者に伝えることに成功しました。ラストも最後まで描き切るなど、とことん読み手側にテーマを理解させやすいように配慮されて制作されており、理解するのに、一ページ一ページ付箋を貼って、いちいち確認しないといけないなどという鬼のような作業を要さなくても良い作品となっています。よく、良い作品というのは内容が深く一回や二回では理解できないものであるといったことが言われますが、全員に理解されない深いテーマを追求するのではなくわかりやすいテーマを持ってきて、それをいかに伝えるのかというところにだけ焦点を絞り、後はキャラクターをひたすら可愛く描くというこの「思い切りの良さ」がこの「五等分の花嫁」の面白い所となっています。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回はかなり専門的な話をしたので、他の記事での簡単なあらすじや設定を紹介する記事だけでは物足りないと思っていた方でも充分楽しんでいただけるような記事となっていたのではないでしょうか?どのような作品にも言えることですが、作者が物語を作るとき、必ずテーマや表現技法等を様々な作品を参考に模索します。どのような画期的な作品であっても必ずアイディアの元となった作品やテーマがどこかに存在するので、テーマが関連するであろう古典作品や有名作品を事前に調べておく事はその作品を理解する上での非常に重要な要素となります。今回はその中でも「五等分の花嫁」と「魔女の宅急便」のテーマの一致性について解説させていただきました。また別の作品でも、これらの様に考察を行っていますので、ぜひそちらも目を通していただけると幸いです。

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  • この記事を書いた人

nissy

どうも、アニメや歴史、都市伝説系の記事を書かせていただいてます。ニッシーです。YouTubeのシナリオライターとかもやっているのでよかったらそちらの方も見てください。

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