本作「キングダム」で最初に起こった事件と言えば、成蟜が秦王嬴政の暗殺を企てた、王都反乱が印象深いのではないでしょうか。王の弟という立場にありながら、自ら王になるべく反乱を起こした成蟜が、政の初めての敵ともいえるでしょう。また、2022年4月から放送開始されるアニメ第4シリーズでは、その成蟜に関するお話が描かれることが予想されます。そこで今回は、嬴政の弟、成蟜について解説していきたいと思います。
王都反乱、成蟜
漫画第1巻で信と漂を巻き込んだ大きな反乱、大王暗殺計画の首謀者は嬴政の弟、成蟜でした。成蟜は王族の母を持つ正統な王位継承権を持っていましたが、突然現れた舞妓(まいこ)の母を持つ嬴政に王位を奪い取られ、その恨みがこの反乱の主な理由でした。成蟜は、貴族や王族が誰よりも偉く、貧民や一般人が王宮にいるだけでも吐き気がするというかなりねじ曲がった性格の持ち主でした。
竭氏・肆氏
成蟜は、この反乱を起こすために左丞相・竭氏(けつし)を味方につけます。対抗勢力の右丞相・呂氏が魏へ遠征に行ったタイミングを見計らいこの計画を実行しました。王都での暗殺が失敗した後も、竭氏の部下、参謀の肆氏(しし)に、逃げだした政とその部下を殺すように命じていましたね。他にも成蟜には、幼い頃、闇商人から買ったランカイという巨大な体躯の化け物も部下にしていました。
王都反乱の最後
この王都反乱は、信や山の民たちの活躍により失敗するわけですが、利害関係のみで作られた部下たちだったため、そこに忠はなく、最後の場面で部下たちは誰も成蟜の側に駆け寄らず、政によりボコボコにされます。成蟜が行き過ぎた純血主義を持っていた理由は、民衆は性悪説とし、王族は彼らを絶対支配するための存在だという曲がった教育からくるものであり、成蟜は死罪にこそなりませんでしたが、牢へ幽閉という重い罰を受けることになりました。
アニメ第2、第3シリーズの成蟜について
この事件から長期間、出番の無かった成蟜でしたが、漫画では24巻、アニメは第2シーズンで、今度は政の味方として登場します。呂不韋が後宮勢力を次々と味方につけ、このままでは勢力が圧倒的に不利になると考えた秦王・嬴政は牢屋に閉じ込めていた成蟜に会いに行きます。あの反乱から3年、打倒呂不韋に協力することを条件に、成蟜派一派を開放するという取引をし、成蟜が味方となりました。一度は呂氏側に傾きかけた勢力図も、成蟜とその一派の貴族たちにより回復し、その差はわずかなところまで持ち直すことに成功しました。
実写劇場版、アニメのキャストについて
そんな成蟜について、実写劇場版では本郷奏多(ほんごうかなた)さんが演じています。本編では、成蟜特有の嫌なヤツな雰囲気と彼の傲慢さが見事に表現されていましたね。アニメでは、宮田幸季(みやたこうき)さんが声優をされています。宮田幸季さんは、「Free!」の似鳥愛一郎(にとりあいいちろう)役や「鬼滅の刃」の村田役、「今日からマ王!」の村田健役などが有名ですね。
史実の成蟜とは?
史実における成蟜は、漫画と同じ嬴政とは腹違いの弟であり、実在した人物のようです。しかし、彼について明らかな部分が少なく、謎多き人物のようで、「盛橋(せいきょう)」という表記で書かれている書物では、彼が韓の国の宰相になり、土地を秦に譲ったなどという文言なども残っています。また、最初の大王暗殺のお話は、「キングダム」がオリジナルなようで、史実ではそういった事件は起きていないそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、政の弟、成蟜について解説しました。最初の敵として、登場する彼ですが、その思想や考え方には一貫性があり、むしろ貴族や権力者の考え方の典型例だったのでは?と思えるくらいですよね。アニメ第4シリーズで、彼がどう活躍するのか、今から楽しみにしておきましょう。