今年2022年に放送されたアニメーション作品の中でも、特に注目を集めているのが本作『SPY×FAMILY』なのではないでしょうか?東西冷戦期を舞台とした本作では、現代社会でなかなか目にすることのないスパイの活躍や、東西で対立をする不安定な国家のもと、様々な思惑を持って暗躍をするスリリングなキャラクターたちを楽しむことができます。現代日本とは大きく異なる舞台で描かれるストーリーに多くのファンが魅了され、アニメ1期の放送時にはSNSを中心に大きな話題を集めましたね。アニメ1期からすぐにアニメ2期も放送されるようですので、間違いなく今後のトレンドとなる作品であるといえるでしょう。そこで今回は本作『SPY×FAMILY』について、「どうしてここまで多くの視聴者層に受け入れられたのか?」そして「本作の本当の魅力とは何なのか?」ということについて紹介していきたいと思います!
「スパイ」が主役は時代おくれ??
1980~1990年代では様々なドラマやアニメ作品で目にすることができたスパイの存在ですが、21世紀に入ると徐々にその活躍の機会を減らしていきました。ソビエト連邦の崩壊により緊張の解けた社会情勢の中でスパイに対するリアリティーが薄れてしまったことが原因です。そのため、現在ではスパイというとやや古めかしいイメージを持たれてしまう風潮にありますね。
現代の若者からすると新鮮な設定
そのようなこともあり一時期人々の注目から遠ざかっていたスパイですか近年に入ってその古典的な設定が逆に現代の若者からすると新鮮に感じるようです。確かに近年スパイを主役とした作品はあまりありませんでした。このように、ちょうど視聴者がスパイという設定を忘れかけた頃に本作が登場したのです。
超能力者・殺し屋・スパイ
スパイと同様に超能力者も一時期超能力者ブームと呼ばれるブームが存在したほど、注目を集めていました。しかし、現在ではめっきり見かけることもなくなってしまいましたね。殺し屋も同様、冷戦期のように長暦や暗殺を描く作品が少なくなってしまったので、注目を浴びなくなったら職業であるといえます。このように本作に登場する主要キャラクターたちの設定は、少し前までは人気だったけれど現在では捨てられてしまったものが、ちょうど1つに集まったものであるのです。
異世界転生に飽きたアニメファンを魅了!
このようにスパイ超能力者殺し屋という、一見古典的な設定のキャラクターたちが活躍する本作ですが、逆にその古典的な設定が異世界転生ものばかりで飽きてしまった現代のアニメファンを魅了したのです。
本作のストーリ展開を解剖
このようにキャラクターの設定を掘り下げてみるだけでも充分面白い本冊ですが、それと同時に、本作のストーリー展開についても解剖してみると、なかなか面白いテーマが隠れていたりするので、そのあたりについても紹介していきたいと思います。
孤独な三人
冒頭で注目してもらいたいのは、本作に登場する主要キャラクターは全員孤独な存在として描かれていることです。様々な理由があって自分の本心をさらけ出すことができないキャラクターたちが偽りの場所としての家庭を築き、互いに交流していくところに本作のドラマがあり、ストーリ展開の面白さがあるのです。
人間性を取り戻すロイド
特にロイドは戦争によって家族を失ってしまったという悲しい過去を背負っているキャラクターです。誰かのために頑張るのではなく、そうしなければならないから頑張ってきたロイドにとって、誰かを大切に思う気持ちは邪魔でしかありませんでした。そんなロイドが自分と似た境遇を持つアーニャやヨルと家庭を築くことによって、次第に人間性を取り戻していくという進行が本作のストーリーの軸となっています。
意外と古典的な展開
「全てを失った人間が、ひょんなことから大切なものを取り戻していく」というストーリー展開は意外と古典的な展開で、これまで様々な作品で描かれていきました。そんな王道の展開描いた作品でありながらも、現在では廃れていたスパイという古典的な設定を引っ張ってきたりと、逆に過去のトレンドとなった設定を組み合わせることによって、斬新な作品として現代で受け入れられることに成功したのです。
意外と辻褄があっているとんでも設定
また本作の魅力は過去にあった設定を現代に甦らせた点だけではありません。超能力者やスパイといった、現代ではその存在すら怪しまれているような設定のキャラクターたちに対して、しっかりと辻褄が合う説明を作中でしている点も、本作の魅力の一つであると言えます。
ありえなそうであり得る超能力者の実験
スパイはともかく、超能力者というとそれだけでファンタジー臭が漂ってくるわけですが、実は冷戦期においては、じきに第三次世界大戦が来ると言われていたこともあり、とにかく多種多様な軍事実験が行われていたのです。そのため超能力者とまではいかないものの、それに似たような実験はどちらの陣営でも行われており、現代社会よりも実は冷戦期の方が超能力者が存在する時期としてはしっくりきたりもするのです。
東西の融和期というキーワード
それだけではなく特に注目して欲しいのは、本作の舞台となっている時代が東西が融和を始めたころである点です。冷戦期の中でも終盤に差し掛かってくると互いに軍拡実験を続けた結果、財政が圧迫されるという悪循環に陥った両陣営は、次第に強硬姿勢ではなく融和姿勢をとるようになってきたのです。
ちょうど様々な実験が頓挫した時期
そのような時代的な背景もあり、ちょうど本作で描かれている時代は様々な実験が頓挫した時期であると言えるのです。
アーニャが街にいてもおかしくない理由
そのため実際にアーニャのように軍事実験を受けていた実験対象が、実験の頓挫によって行方をくらましたりする事は稀にあったようです。「重大な実験対象 を研究機関がみすみす逃す事はないだろう」と考えるファンの方も多いと思いますが、実際にこの時期の軍事研究の歴史を調べてみるとアーニャが街に出ていたことは、結構辻褄があっていたりするのです。
あらゆる設定がしっくりくるように設計されている
このようなアーニャの設定だけでなく本作では様々なとんでも設定とも呼べる設定は、細かく分析をしてみると意外と辻褄が合ってたりするのです。もちろんフィクションの世界ですから、多少の無理はあるにせよ、考えたときに納得のいく説明が作中でされている点は本作の魅力の一つであると言えるでしょう。
『LEON』との共通点
さらに本作を分析していく上で特に意識して欲しいのは、本作が数多くの海外ドラマや映画から影響を受けているという点です。特に現在でも根強い人気を誇る洋画『LEON』からは様々な共通点を見出すことができます。
テーマの合致
『LEON』は一人で活動をしていた孤独の殺し屋がひょんなことをきっかけに、身寄りのいない少女と生活することになるというストーリーの作品です。殺し屋ということもあり、誰にも心を通わせることのできなかった主人公が少女との交流をきっかけに、次第に人間性を取り戻していくというストーリー展開はどこか本作と近しい感じがしますね。
様々な洋画に影響を受けている
このように本作ではレオンのみならず様々な海外ドラマや洋画を参考にして作られていると考えられます。特に殺し屋やスパイが登場する一昔前の洋画作品をうまく日本のアニメーションに落とし込んで描いているということもあり、普段はアニメを視聴しない層の視聴者でも十分に楽しむことができる作品であるといえるでしょう。
漫画の新しい形?ジャンプ+発作品としての魅力
さらにさらに、本作の魅力はストーリーやキャラクターの設定だけではありません。本作がこれまでの漫画作品のように雑誌で展開されていた作品ではなくジャンプ+と呼ばれるアプリを通して配信される形で、展開されてきた作品であるという点にもぜひ注目していただきたいです!
漫画の発行形式が変わるかも!
いまだに雑誌で展開されることの多い漫画業界にとって、アプリで配信されていた本作が、ここまでヒットを飛ばすのは異例のことであるといえるでしょう。 様々な業種がデジタルに切り替わっていく現代で、アプリ配信の漫画作品というのも本作をきっかけとして、さらに増えていくのではないでしょうか?
日本の漫画文化がより世界に発信しやすくなる!
漫画作品の展開がデジタルに切り替えれば日本の漫画文化は社会に発信しやすくなると考えることもできます。現に本作は海外で根強い人気を誇っており、 デジタルを通して作品展開をした方がより幅広い読者を獲得できるといえるのではないでしょうか?
本作の設定が生きる??
特に本作は海外のファンからしてみても、なじみやすい西洋が舞台となっている作品です。そういった意味で、海外での展開が容易なデジタル配信形式の作品としてもピッタリの作品であると言えるでしょう。アニメ2期を通してさらに海外で人気が伸びることにも期待できますね!
まとめ
いかがでしたか?今回は本作『SPY×FAMILY』の魅力について、様々な角度から分析し解説をしていきました。古典的な設定でありながら、新しい作品展開方式であるジャンプ+での発行で、大成功を収めた作品です。これからもしばらくはアニメ・漫画業界の台風の目となる事は間違いないので、ぜひとも本作について皆さんも様々な観点から考察をしてみてくださいね。