【憂国のモリアーティ】ストーリーネタバレ！犯罪卿ことジェームズ・ウィリアム・モリアーティの暗躍

憂国のモリアーティは世界的に有名なコナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズ』に登場するホームズの最大のライバル、モリアーティ教授にスポットを当て卓越した頭脳を駆使して犯罪計画を立て、それらの計画を然るべき人間に与えることで民衆を苦しめる貴族たちの不正を暴き、腐敗しきった階級制度を変えるべく暗躍するジェームズ・ウィリアム・モリアーティの物語です。そんな彼の暗躍の数々を紹介していきたいと思います。ネタバレありなので注意です！

事件その①　モリアーティ伯爵家の火災事故

ある日の深夜、モリアーティ家の屋敷で火災が発生し、当主とその妻および9人の使用人全員が焼死するという事件が発生。出火の原因は灯りの蝋燭の火に着火物が燃え移ってしまったことによる事故。掃除を怠った使用人の不手際により屋敷は大火事になります。生存者は何とか自力で脱出し難を逃れた長男のジェームズ・アルバート・モリアーティ及び、次男のウィリアム、三男のルイスの三名のみでした。

モリアーティ伯爵家の火災事故　真相

出火は事故ではなく、長男のアルバート及び、養子二人の犯行でした。深夜帯に事故を装い火を放ちますが、その前に養子二人を無実の罪を着せて家から追い出そうとしていた伯爵夫人と次男のウィリアムを殺害。ただし、その証拠は残らず燃えてしまったと考えられます。貴族特有の差別主義に嫌悪感を持ち、社会を変えたいと思っていたアルバートは、幼少時から卓越した頭脳を持っていた孤児に目を付け養子とし、孤児の兄を次男のウィリアムに成り代わらせることに成功します。

事件その②　ダブリン男爵急死

ダラム市を治める二大貴族の一人・ダブリン男爵が急死。彼は以前より心臓病を患っており、今回もその発作により急死したと考えられる。ダブリン男爵は、領地の労働者たちに重税を課し、自身は贅沢の限りを尽くしていたため領地からの評判は最悪。しかも、ダラム市を二分するもう一人の貴族、モリアーティ家の当主が善政を敷いていたためその不満はより大きくなっていました。しかし、彼は土地を無償で小作人たちに渡すという遺言を残していました。圧政を続けていた彼が何故こんな遺言を残したのかは謎。

ダブリン伯爵急死　真相

自分の領地の善政により、ダブリン伯爵の領地で人々の不満を煽ります。ダブリン伯爵はアルバートやウィリアムらと話し合いの機会を設けることになりますが、その席にかつてダブリン伯爵に子供を見殺しにされた夫婦を同席させます。ダブリン伯爵に心理的圧力を与え心臓病の発作を起こさせ、助ける代わりに遺言状を作成させます。ダブリン伯爵は一命を取り留めたかに思われたものの、心臓病の薬と食事で出されたグレープフルーツとの飲み合わせが死に至るものであったため死亡。これが事件だと疑うものはいたかもしれないが、既に民の人心掌握を終えていた彼らを疑おうと思う者は存在しませんでした。

事件その③　酒場の娘フリーダの殺人と大地主ダドリー・ベイルの自殺

ダラム市の大衆酒場の看板娘フリーダが橋の上から増水した川に身を投げて自殺。フリーダはスコットランドの名家の長男、ルシアンと恋仲になり彼の子を妊娠していましたが、その後ルシアンに捨てられて自暴自棄になったフリーダが川に身を投げたと言われていました。しかし、その後フリーダを殺害した真犯人の大地主ダドリー・ベイルが彼女と同様の方法で自殺します。彼はそれ以前にも横領などの余罪があり、それが暴露されたことが自殺の原因とされていますが、詳細は不明。

酒場の娘フリーダの殺人と大地主ダドリー・ベイルの自殺　真相

ルシアンは彼女を愛し、結婚までしようと考えていましたが、それらが大きなスキャンダルになると懸念したダドリーが忖度し、ルシアンを監禁し大量のアヘンを投与して前後不覚にしていました。その後、フリーダに嘘を伝え彼に捨てられたと思い込ませた後、ルシアンと同様にアヘンで前後不覚にして橋から落としたというのが真相でした。ウィリアムは横領の証拠を掴み、ルシアンの前で犯行の全てを自白させたあと消音銃でダドリーを追い込み、橋から落として殺害しました。

事件その④　ノアティック号での事件

豪華客船ノアティック号にて、乗客の一人が殺害される事件が発生。犯人はロンドンの貴族、ブリッツ・エンダース伯爵。演劇の舞台の床下で殺人を犯している場面を大量の観客に目撃させます。もとより彼が快楽殺人者という噂もあって、その場は騒然とし半狂乱になったエンダースは逃走し、海へと身を投げて自殺します。貴族院の議員でもあったエンダースのとんでもないスキャンダルは世論に大きな波紋を広げます。しかし、この猟奇殺人の裏に黒幕がいることに気が付いた人物がただ一人存在しました。

ノアティック号での事件　真相

ブリッツ・エンダースの大スキャンダルはウィリアムらMI6のメンバーたちが計画し実行したものでした。快楽殺人を我慢できずに実行した場面に居合わせ、彼の味方をするフリをして死体を海に投げ入れるように提案し、エンダースも実行しますが死体は寸前で部下たちが回収していました。その後、劇場の中に殺した被害者が生きていると嘘をつきます。エンダースは急いで死体のもとに現れ、死体に止めを刺している場面を衆人観衆の元に晒したのが計画の全容でした。

唯一黒幕の存在に気付いた男

なお、今回の事件はエンダースの乱心が引き起した事件だと認識されていますが、この事件が仕組まれたものであり、事件の背後に黒幕がいることに気付いた人物が本作のもう一人の主人公であり世界で最も有名な名探偵であるシャーロック・ホームズでした。なお、そのホームズでさえ黒幕を示唆する証拠を掴むことはできませんでしたが、ウィリアムは自分と同等の頭脳を持つホームズに興味を持ちます。

事件その⑤　容疑者シャーロック・ホームズ【緋色の研究】

ある日、シャーロック・ホームズがイーノック・J・ドレッパー伯爵を殺害した容疑で逮捕されます。現場にはホームズが犯行を行ったとされる痕跡や、ホームズ本人を名指しするダイイングメッセージがあったから。ホームズは容疑者でありながら殺害現場に赴き、素人の実行犯と殺害計画を立てた天才的な黒幕が存在することをすぐに感じ取ります。ホームズは現場で見つけた指輪を新聞の広告欄に載せ、黒幕に接触しようとするもやってきたのはプロファイリングで導いた犯人像ではなく老婆でした。指輪は老婆の姿をした工作員に奪い取られしまいます。

事件解決

しかし、ホームズはその段階ですでに犯人の目星をつけていました。ストリートチルドレンたちを利用して、太い指を持つ大男、当日三番地へ行った者、ウェールズ訛りの言葉使いという三つの条件で探させていました。そして、イーノック・J・ドレッパー伯爵の生前の悪行の被害者の中に、指輪に刻まれていたルーシーという女性が存在していました。そこからホームズは馬車の御者であるジェファーソン・ホープが犯人であると断定します。病気により長くないホープはホームズにある提案をします。それは黒幕の情報を渡す代わりに自分を殺害しろという提案でしたが、ホームズはその提案を断ります。

容疑者シャーロック・ホームズ【緋色の研究】　真相

ジェファーソン・ホープの復讐劇の黒幕はウィリアムであり、ウィリアムが彼に殺害計画を与えました。ただし、ホープの目的は復讐殺人そのもので、病気による余命から半ばわざと痕跡を残すような犯行をしていました。ウィリアムの目的はホープの復讐により、悪徳貴族のスキャンダルを世間に流布することと、ホームズが目的のために殺人を冒す人物であるかを推し量ることでした。ホームズはホープを殺害しなかったことから、ウィリアムはホームズを貴族の腐敗を暴くヒーローとして担ぎ出すことを決めます。

【憂国のモリアーティ】ストーリーネタバレまとめ

憂国のモリアーティのストーリーのネタバレと共に、事件を裏で操る黒幕としてのウィリアム・ジェームズ・モリアーティの暗躍の一部を紹介しました。一言で言うなればこの作品は『ラスボス視点のクライム・サスペンス』です。サイコパスの槇島や金田一少年の高遠を主人公にしてその暗躍がメインに描かれるスピンオフ的な作品、というと分かる人には分かるかもしれません。そんな魅力的な悪役が主人公の『憂国のモリアーティ』は2020年10月から放送予定です。