今年2024年にアニメ放送がされることとなった本作『となりの妖怪』さんですが、皆さんは本作の魅力は何だと思いますか?本作はSNSを中心に連載が開始され、瞬く間に数多くの漫画ファンに受け入れられ、アニメ化までたどり着いた作品となっており、数多くある漫画作品の中から一気にアニメ化までたどり着いた実力を有する作品となっています。それゆえに、他の作品と比べても非常に魅力の多い作品であることは間違いなく、今年2024年に連載されている漫画作品の中でも特に注目に値する漫画作品であることは間違いありません。しかし、多くの人に本作の魅力を伝えたいと思っているにも関わらず、本作の魅力を簡潔に言い表すことができないというファンの方も多いのではないでしょうか?魅力的な作品ではあるのですが、意外と設定が複雑だったりと布教がしづらい作品になっており、このような本作の布教のしづらさは大きな問題ですよね。そこで今回は本作の魅力について記事を通して簡単に紹介をしていきたいと思います。本作がなぜ他の漫画作品に比べてオススメなのかという点に焦点を絞って紹介をしていきますので、ぜひとも本作の魅力を他の漫画版ファンに伝えたいという方はチェックしてみてください。
日本の伝承などがちょろっと登場
本作の面白さの1つとしてあげることができるのが、日本の伝承などがあらゆる描写の中で出てくるという点でしょう。これらの伝承がメインで描かれることももちろんあるのですが、メインで描かれることのないちょっとした描写の中にも、様々な日本の伝承や神話が隠されており、これらの描写は日本の伝承に詳しい日本文化オタクの方からすると非常に嬉しい要素となっています。
蛇との結婚など
例えば、本作には白蛇が登場するのですが、その白蛇が人間と過去に結婚をしていたかのような描写が描かれています。このシーンはなんとなく読み飛ばしてしまうと、そこまで気にならないシーンとなっていますが、実は蛇との結婚伝承というのは、日本の各地にある有名な伝承なのです。蛇というのは神聖な存在で、ある種の神様として考えられていましたので、神様と人間が結婚してしまうという伝承としてが各地に数多く残っているのです。
ネット上の都市伝説も??
また、本作で描かれているのは、蛇との結婚のような古来からの伝承だけでなく、きさらぎ駅のようにインターネットを中心として多くの人に知られた、最近の都市伝説なども多く描かれることとなっています。作中での細かい説明がないため、気づかないでそのまま通り過ぎてしまう人もいると思いますが、本作ではこのように時代を問わず、様々な都市伝説や階段がモチーフとなってストーリーが進行しているのです。
幅広い怪談や都市伝説を網羅
幅広い年代の言い伝えや都市伝説を楽しむことができるというのも、本作の1つの魅力であると言えるでしょう。本作を通して様々な時代の都市伝説や怪談に触れることができますので、ぜひともこれらの話にも興味があるというファンの方は、本作をチェックしてみてくださいね。
妖怪に関する細かい設定
また、本作では、都市伝説などの細かい描写の他にも本作のキャラクターとして登場する妖怪たちについても非常に細かく描写がされている作品となっています。最近の妖怪を扱った漫画作品ではオリジナル要素を持っているキャラクターも数多く登場する傾向にありますが、本作では基本的に妖怪たちは実際の伝承をもとに忠実に再現をされています。
伝承に沿った妖怪の再現
例えば、デイダラボッチに関しては、各地に天候を左右する能力を持つという伝承が伝わっており、デイダラボッチを見たら雨が降るという話が残っている地域も少なくありません。このような描写は本作でもしっかりと描かれており、「山道で不思議な巨人を見つけた」というだけのデイダラボッチのありがちな設定だけでなく、「天候を変える」という本来の伝承に即した形で描かれていることがわかります。
人間らしい妖怪たち
このように本作に登場する妖怪たちは、その伝承などに即して非常に忠実に再現をされています。しかし、その一方で、本作のキャラクターたちは本作に登場する魅力的なキャラクターたちの一部として非常に人間味のある性格で描かれています。このような忠実さの中にも、漫画ならではのキャラクター性を反映しているというのが、本作の妖怪たちの魅力なのです。
妖怪ゆえの悩み
本作に登場する妖怪たちも皆、人間と同じような感情を持っているキャラクターたちであるため、人間では感じることのない妖怪ならではの悩みを持っていることも多いです。様々な伝承に即したちょっぴり怖い存在である妖怪達ですが、本作では、そのような怖さよりも、人間に対する親しみやすさが強調されているのです。
神と妖怪を分ける設定の奥深さ
さらに本作において注目をしてほしい設定の1つなのが、妖怪と神様が明確に分けられていることです。日本の思想上、妖怪と神様は全く別の存在であり、正しい日本文化をベースにして漫画作品を書くならば、これらの設定を反映させる事は必須です。ただ多くの人が楽しむ漫画作品において、そこまで緻密に日本文化上の思想を反映させる必要があるのかという問題があるのですが、本作はこれらの表現から逃げることなくしっかりと日本文化を反映させて、神様と妖怪を分けて描いているのです。
神道思想に則った設定
日本人は農耕をメインに行う農耕社会で生きている民族であり、妖怪や神というのは様々な自然現象の擬人化であると考えられています。神様というのは、人間に対して利益のある存在で、明確に信仰の対象となっていますが、妖怪はそれらの利益という側面での認識が薄く、人間を超越している存在である事は間違いないものの、かなり関係性が不透明な存在として理解をされてきました。
神に対する考え方
日本の神様の面白いところは、人間に対して100%良い影響与えてくれるのかわからない存在であるという点です。先ほどご紹介したように神様というのは自然現象の擬人化ですので、自然現象が人間にとって良い影響を与えるのか悪い影響を与えるのかというのはわからないですよね。そのため、日本の神様はキャラクターとして結構適当な性格として描かれることも数多くあるのです。
人が生み出す妖怪
一方で、妖怪というのは、自然現象の擬人化という側面もありますが、人間の感情などを映し出す存在でもあります。例えば、古来から強い負の感情を持ってしまった人間は生霊となってしまうという信仰があったりとしますが、それもまさに妖怪の一種であると言えます。 自然現象の擬人化がメインである神様に対して、妖怪にはこのような人間自身の心の擬人化という側面もあるのです。
当たり前な日常生活の見方を変えてくれる
このように様々な緻密な設定があり、物語を深く楽しむことができるようになっている本作ですが、本作にはさらに日常系漫画作品としての魅力もあります。ここからは本作の日常系漫画作品としての魅力を簡単に紹介していきたいと思います。
日常を描いた作品
本作は、妖怪達をメインキャラとして活躍させている作品となっていますが、人間と妖怪の日常作品に注力をして描いている作品となっています。そのため、妖怪たちが出るからといって、特別な戦闘描写などがあるわけでなく、あくまでも普段私たちが行っているような生活に、妖怪という不思議な存在がつけたされただけの世界観となっているのです。
目に見えないものを描くことで、日常をより豊かに
妖怪が存在するからといって、人間の生活が大きく変わるわけではありません。作中でも変わらず、お盆などの伝統行事が行われていましたし、子供たちも学校に通って和気あいあいと生活をしています。このような当たり前の日常の中でも妖怪という不思議な存在がいることによって、普段の日常で感じることができないような小さな気づきなどを与えてくれるのです。これは、このような気づきを得ることで、私たちも日常生活の見え方が少しずつ変わってくるという事でもあります。
読む意義のある作品
そのため、本作は読み続けることで、普段何とも思っていなかった自分の日常に妖怪という新たな視点を加えてくれる作品となっています。感動を与えてくれる作品や勇気を与えてくれる作品というのは数多くありますが、普段から触れている日常生活に対して、新たな気づきを与えてくれる作品というのは結構少ないので、貴重な存在であるといえますね。
魅力的なキャラクターたち
また、 妖怪たちのキャラクター性も本作の魅力であるといえます。本作では先ほどご紹介したように、実際に日本の伝承として残っている妖怪たちが数多く登場することとなりますので、どちらかと言うと業界に対して怖いと言うイメージを持つ方も多いと思いますが、本作で実際に活躍をする妖怪たちは、非常に人間に対して友好的なキャラクターとなっています。
キャラクターとしての妖怪
本作に登場する妖怪たちは、その性格やキャラクター性が非常にわかりやすいキャラクターが多いのも特徴です。控えめな性格でいつも悩んでばかりいるぶちおや村を守るという使命感を持っている優しいジローなど、非常にわかりやすいキャラクター性を持っている妖怪が数多く登場します。
対比がフル活用されている
そのようなわかりやすい性格のキャラクターたちが数多く交流するからこそ、本作ではキャラクター同士の考え方の違いや対比がうまく描かれているのです。例えば、家族に対する考え方の違いだとか、自らの使命に対する向き合い方の違いなどキャラクター性がわかりやすく、はっきりと描かれている本作だからこそ、わかりやすい対比軸で描くことができていると言えるでしょう。
妖怪の「存在意義」という設定
そして、妖怪たちには、存在理由が必要であるという本作ならではの設定も、妖怪たちのキャラクター性に深みを与えてくれている要素となっています。本作では妖怪たちに存在意義や役割が必要となっており、それらの役割がまさに妖怪たちの性格にも表れていることとなっています。このような仕掛けがあるからこそ、ヒューマンドラマに慣れていない読者であっても、登場するキャラクターがそれぞれ物語でどのような役割を帯びているのか、わかりやすくなっているのです。
誰でも楽しめる奥深さ
このように本作は非常に細かい描写もありますし、設定も掘れば掘るほど面白いものとなっているのですが、そのような難しさに固執することなく、数多くのアニメファンでも楽しめるように、誰でも楽しめるような設定やストーリーを中心に描いた作品となっています。それゆえに、本作は受け皿として非常に広く、どのようなアニメファンであっても受け入れることができる作品となっていると言えるでしょう。
オタクも楽しめる
例えば、本作では、妖怪や日本の文化に詳しいオタクも楽しむことができます。冒頭でも紹介したように本作に描かれる都市伝説などの描写や妖怪たちについての設定は非常に細かいものとなっていますので、本格的に日本の文化を勉強しているという方であっても、充分楽しめる作品となっているのです。
基本のテーマは家族について
その一方で、本作にてメインで描かれている基本のテーマは家族についてのものとなっており、どのような視聴者であってもその内容に共感し、感動のできるものとなっています。一つ一つの設定は細かいのですが、テーマ自体は多くの人に受け入れられるものとなっているのです。
日常作品だからこその奥深さ
妖怪や日本の神話などを非常にマニアックなテーマをメインに描きながらも、家族などを題材とする日常系作品として描くことで、幅広いアニメファンに受け入れられる作品となっています。まさに日常系作品だからこその利点をフルで活用している作品ですので、ぜひともこの辺の本作の設定のうまさにも注目してみてください。
まとめ
いかがでしたか?今回は本作『となりの妖怪さん』の魅力や設定の面白さについて紹介をしてきました。本作の魅力はとても1記事では語りきれるものでは無いのですが、その漫画作品としての着眼点の面白さや、日本文化を取り扱った作品としての作者の設定構築の秀逸さには目を見張るばかりの作品となっています。今年2024年にアニメ化される漫画作品の中でも特に設定に凝っている作品であるといえますので、ぜひとも今回の記事を見て本作に興味を持ったという方は、他のアニメファンにもこの作品の魅力を伝えてみてくださいね。