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となりの妖怪さん

【となりの妖怪さん】コアに見れば見るほど面白い!!本作の設定に隠された日本の神様や妖怪に対する思想を紐解いてゆく!!

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今年2024年にアニメ放送がされることとなった本作『となりの妖怪さん』ですが、皆さんは本作に登場する神様や妖怪などの設定について気になった事はありませんか?本作は可愛らしい妖怪たちが多くのキャラクターたちと関わるという、ほのぼのとした日常系作品でありながら、妖怪や神様に対する設定が細かく描かれており、日本文化や神道思想などに詳しいファンから「設定が細かすぎる!!」と大絶賛をされている作品でもあるのです。神様だとか妖怪だとか細かい違いはわからないけど、なんだか興味があるという方もいらっしゃると思いますが、いかんせん、日本の複雑な文化や思想等の知識が必要となるので、本作のこれらの要素について深く勉強してみようと思ったファンの方は少ないと思います。しかし、本作はこれらの日本ならではの信仰や妖怪や神様に対する考え方を深く知ることで、さらに楽しむことができる作品となっていますので、ぜひともこれらの情報についても皆さんに知っていただきたいと思います。そこで今回は本作『となりの妖怪さん』で描かれる、日本の信仰としての妖怪や神様たちについて紹介をしていきたいと思います。この記事を詳しく把握すれば、本作をさらに楽しむことができるになりますので、ぜひともチェックをしてみてくださいね。

日本ならではの神様の捉え方

まずは本作にも登場する日本の神様に対する考え方を紹介していきます。神様というと、キリスト教的な全知全能の偉い神様のことをイメージしがちですが、日本の神様はこれらのヨーロッパの神様とは異なり、人間と同じような姿格好をして人間と同じような感情のある存在として描かれています。

日常に潜む神様

日本人にとって神様というのは、日常の中の様々なところに存在しているものであり、非常に馴染み深いものなのです。本作でも白蛇が神様として登場していたりと、意外と身近なところに神様が存在するのですが、日本ではこのような超自然的な現象や不思議な生き物などを、神様として考える文化があります。

日本人の祖であり、生活の一部

また、日本の神話上の神様というのは日本人の祖となった存在でもあると考えられており、大昔に日本に存在していた神様の血を引くのが日本民族であるとされています。そのため、神様は日常に存在をするものでもあるし、大昔にいた神様は、我々日本人のご先祖様とも言えるような存在であったというのが、日本の神様の思想なのです。

唯一神との違い

このように、日本の神様というのは、西洋での唯一神と呼ばれる神様たちとは大きく異なるものとなっています。絶対的な力があるわけではないけれど、いろんなところにいて、どこか親しみやすいそんなキャラクター性を帯びているのが日本の神様なのです。

失われつつある日本の神様像

残念ながら、最近ではこのような日本ならではの信仰について、その認識はかなり浅くなっており、ヨーロッパ風の神様のイメージを持ちがちですので、ぜひともこの辺は日本ならではの信仰形態として覚えておきましょう。

妖怪と悪魔は違う

また本作で描かれるような妖怪は、ヨーロッパで言えば悪魔などに当てはまりますが、日本の妖怪とヨーロッパの悪魔にも大きな違いがあります。ここからはそんな日本の妖怪と西洋の悪魔の違いについて簡単に紹介をしていきたいと思います。近年では、妖怪に対しても、どちらかと言うと、お化けのような恐ろしい存在として考える風潮が多くありますが、本来の妖怪達というのは意外とそのような存在でなかったりするので、ぜひともチェックをするようにしましょう。

西洋の悪魔は完全な敵

西洋で言うところの悪魔と言うのは、キリスト教における、神に対して明確に敵対している勢力であり、人間に対しても悪さしかしない存在として描かれています。そのため、基本的に悪魔というと、西洋では討伐対象ですし、人間の中に混じった悪魔や魔女を明らかにし、処罰するための魔女裁判や悪魔裁判というものが文化として存在するのです。

妖怪は共存することもできる存在

それに対して、妖怪と言うのは人間に対して危害を加えることもあるものの、 人間に対して利益のあることをしてくれることもある存在として捉えられています。そもそも妖というのは、神様と区別が曖昧な存在でもあり、この曖昧さはある一方では、神様として信仰されながらも、もう一方では妖怪としての扱いを受けているという妖怪がいるほどなのです。

本作の妖怪たち

本作でもこのような日本ならではの妖怪に対する信仰が大いに反映されているといえます。本作の妖怪たちは、人間たちと互いに共存をする道を選んでいるのですが、これはまさに日本ならではの妖怪に対する考え方であると言えますよね。妖怪と互いに尊重しあいながら生活をするというのは、キリスト教の考え方が強いヨーロッパなどではまず思いつかない設定でしょう。

なんで西洋の悪魔と日本の妖怪は異なるの?

このように、日本の妖怪と西洋の悪魔というのは大きく異なるのですが、なぜヨーロッパと日本でここまで妖怪や悪魔の考え方の違いが生まれたのでしょうか。ここからは日本とヨーロッパの妖怪と悪魔に対する考え方の違いを紹介していきたいと思います。現在の日本のキャラクタービジネスなどにも通じる話となっていますので、ぜひとも興味がある方はチェックをしてみてくださいね。

妖怪の背後にあるアニミズム信仰

日本の妖怪に対する考え方の特殊性は、アニミズム思考から生きているものであると考えられています。アニミズム思想というのは、自然のあらゆる現象や物に対して神様が宿るという考え方であり、精霊信仰とも呼ばれています。農耕民族として自然と関わることの多い民族に多く見られる信仰形態であり、日本を始め東南アジアなどでも広く見られる信仰形態となっています。

自然そのものの妖怪

日本人は農業に従事しているため、自然の変化に対して敏感でした。そのため雨や雷に対して超人的な力があると考え、それらを擬人化して捉えるようになっていたのです。これが現在で言うところの妖怪等の元となった考え方であると言われています。本作でも妖怪であるデイダラボッチが雨を連れてきたという表現をされていますが、これもまさにアニミズム的なものの考え方であるといえますね。

自然という理不尽とどう向き合うのか

農耕民族にとって、自然現象というのはある意味で無慈悲な存在でもあります。どんなに頑張って農作業をしても日照が続いて米がダメになってしまうこともありますし、台風が来て家が潰れてしまい、住む場所を失ってしまうことだってあるわけです。そのため、人々は自然現象に対して人知を超えた存在として恐れながらも、彼らと共存する道を模索するという形で、それらの存在を受け入れるようになっていったのです。

本作の妖怪たちの元ネタは『陰陽師』かも??

このような文化背景が要因としても挙げられる本作の妖怪に対する描写ですが、本作の妖怪に対する設定に大きな影響を与えたのではないかと考えられる作品が存在します。それが日本の妖怪などの思想をもとに描かれた小説であり、現代日本の呪詛や妖怪などの考え方に大きな影響を与えた小説作品『陰陽師』です。本作に登場する妖怪達の設定には、『陰陽師』で説明されている複雑な妖怪達の設定が多く採用されています。

役割がないと存在できない妖怪たち

例えば、本作では妖怪達というのは、何かしら人間側から見て役割がないと存在できないものと言われています。あくまで妖怪たちは自らが主体となって具現化できるわけではなく、彼らが具現化するためには、人間に対して何かの意味がなければならないのです。そのため、妖怪たちにとって自らの役割は何なのかというのは、自らの存在意義そのものを通し重要なキーワードとなっていたりします。

人間の認識が妖を生み出すという設定

このように、妖怪達にとって重要なのは人間の主観であるという考え方は、実は『陰陽師』でも描かれている設定となっています。『陰陽師』は設定上、人間の認識を主として、人間のあらゆる感情が人間に幻を見せるような形で妖怪を生み出すと説明しているのです。

主体として具現化できない設定

『陰陽師』ではあくまでも妖怪達は自らが主体として存在することができず、人間が認識をしなければ存在できないという設定であり、この設定こそが、妖怪達が実在するためには、人間から見て意味が必要であるという本作の設定に結びついているのではないでしょうか。

唯識思想などがその根源か

もちろん、陰陽師での妖怪の設定も、原作者である夢枕獏さんが一から作り出した設定ではありません。日本に大きな影響与えた仏教では「唯識」という考え方があり、この唯識の思想というのが、まさに人間の認識が世界の主体であり、人間の感情などによって世界は大きく変わるという『陰陽師』で説明されている設定のような思想なのです。

唯識の応用としての設定

この考え方は、仏教の基本の考え方でもあるのですが、この設定をうまく流用して、 人間の考え方次第で世界が変わってしまうのだから、人間の心に変化があれば、妖怪だって実在できるはずという設定に変換したのが『陰陽師』の面白いところなのです。

本作で神様と妖怪が異なるわけ

このように、日本の信仰的には、神様と妖怪というのは意外と区別のないものなのですが、本作では妖怪と神様がある程度明確に分けられています。ここからはそんな本作ならではの妖怪と神様の明確な区別について考えていきたいと思います。本作ならではのオリジナリティーある設定につながっている要素となっていますので、ぜひともチェックをするようにしましょう。

人間からも生まれる妖怪

本作では明確に、妖怪たちは人間の心からも生まれることのある存在と説明をされています。この辺の人間の心から生まれることもある存在というのは、先ほど紹介した『陰陽師』からとっていると考えられるのですが、逆に神様は人間の心から生まれるのではなく、そもそも人間と同じ時期か、もしくはそれ以前に存在していたものとして描かれているようです。

異なる民族を妖怪のように捉えた日本人

また、日本人は妖怪を日本人とは異なる民族に対してもあてはめていたと言われています。例えば、秋田でお馴染みのなまはげは、一説ではロシアなどからやってきた漂流者などを表しているとも言われており、現に秋田県の人たちにロシア人のDNAが混ざっているのが見つかっているようです。このように、日本人は、超人的な自然現象などを妖怪や神様として考えていた反面、外からやってきた外国人などを大妖怪のように抽象化して捉えていた節もあるようです。

外国人を表す概念でもあった「妖怪」

一説には、天狗等の鼻が高い妖怪も、ヨーロッパ人の特徴として捉えられていることからも、妖怪の一部は 日本人のコミュニティーの外から来た者に対する認識を表したものであるという説もあるのです。このように考えると、本作にいる妖怪たちというのは、現代社会で言うところの外国人のような存在である、もしくはそれを表しているとも捉える事ができるのではないでしょうか。

多様性の物語としての本作

本作は異なる価値観のキャラクター同士が互いに交流する様を描いている作品となっていますが、そのように考えると、外国人との共生等の多様性を描いている作品であるともとらえることができると思います。

まとめ

いかがでしたか?今回は本作『となりの妖怪さん』にて描かれる神様や妖怪について日本の信仰という観点から紹介をしてきました。日本の信仰形態に関しては様々な説があり、一概に説明をできるものではありませんが、ある程度どのような特徴があるのかという点等、日本文化を紐解くことで明らかにすることができるものとなっていますので、ぜひとも今回の記事を読んで、日本ならではの妖怪に対する考え方や神様に対する考え方に興味を持ったというファンの方は、ご自身でも調べられてみてくださいね。日本人の妖怪や神様等の存在に対する親しみやすさは、現在でも『ポケットモンスター』や『妖怪ウォッチ』などのような日本のキャラクタービジネスの礎となっています。日本人ならではの人間以外の存在に対する考え方も、このように様々な業界や作品に影響を与えているものとなっていますので、ぜひとも本作以外の作品でも、日本人ならではの思想がどのように影響与えているのかという点を調べてみてくださいね。

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  • この記事を書いた人

nissy

どうも、アニメや歴史、都市伝説系の記事を書かせていただいてます。ニッシーです。YouTubeのシナリオライターとかもやっているのでよかったらそちらの方も見てください。

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