私たちオタクは、これまで、自分の好きなアニメ作品などが出てきたら、そのアニメ作品の放送時間を全て把握してきっちりと録画予約を取ったり、いつでも気軽に楽しめるような漫画作品を発売日に買うために、朝早く書店を訪れたり、とにかく自分の好きな作品をいつでも楽しめるように苦心してきました。そこから数十年経ち、スマートフォンが普及してからというもの、ありとあらゆるアニメ・漫画コンテンツは、スマートフォンで気軽にどこからでも楽しむことができるようになりました。胸踊らせて録画していたのにもかかわらず、放送枠が突如としてニュース速報に変わってしまっていたり、せっかく読みたいと思っていた漫画のために書店を訪れたのにもかかわらず、在庫切れで読むことができなかったりといった悲しい思いをしなくていい ようになったのは、私たちオタクからしても嬉しい時代の変化ですよね。特に少年漫画の王道ジャンプが「ジャンプ+」というアプリを配信し、ジャンプ作品を誰もが無料で楽しめるようになったというのは大きな変化だと思います。そんな近年のデジタル化するオタク社会の中でも特に注目されているのが、大ヒットジャンプ+作品『SPY×FAMILY』です。本作はアニメ版の大ヒットを受けて劇場版の公開が決定されるなど、誰もが無料で楽しむことができるジャンプ作品でありながら、劇場版作品などの収益性の高いコンテンツにつなげることに成功しています。この『SPY×FAMILY』は、デジタル化するアニメコンテンツにとって大きな追い風となったといえるのではないでしょうか? 今回はそんな本作『SPY×FAMILY』から日本のデジタル化するアニメコンテンツについて考えていきたいと思います。デジタル化されていくことによって、それぞれメリットとデメリットがありますので、ぜひとも気になるアニメファンの方はチェックしてみてくださいね!
目次
アニメ・漫画コンテンツのデジタル化
まずは大前提として、デジタル化のオススメアニメ・漫画コンテンツについて紹介をしていきたいと思います。スマートフォンの普及によって、どこでも気軽に楽しむことができるようになったアニメ漫画作品ですが具体的にはどのような形でデジタル化に適応しているのでしょうか?
ジャンプ+を筆頭とする漫画アプリが登場
主に漫画作品はジャンプ+頭を筆頭とする漫画アプリが多数展開されており、それらのアプリを通して気軽に楽しむことができるようになっています。これまで出版社が雑誌を運営して作品を掲載する形だったのが、雑誌ではなくアプリに変わっただけですね。
影響力を増すデジタルコンテンツ
特にこのデジタル化の流れによって、これまでは漫画作品とは一切関係のなかったIT企業が漫画コンテンツを扱うようになったりと業界的にも多少の変動が見られるようです。出版社が漫画を独占していた時代は終わりを告げたと言っても良いでしょう。
集英社・講談社のビジネスを支える
特に最近は若者の読書離れが進み業績が厳しくなることが多い出版業社の中でも、デジタル化に強い漫画コンテンツを持っている集英社や講談社は引き続き好調な売り上げを見せています。週刊少年ジャンプの発行部数等を見てみても、著しく低下をしているのですが、その分デジタルコンテンツが収益を穴埋めしているといえるでしょう。
海外人気が背景に
このように、アニメ・漫画作品のデジタル化が急速に進んだ背景として挙げられるのが、日本のアニメ・漫画文化が海外で広く受け入れられているという点でしょう。
長い年月をかけて浸透してきた成果
これまで、日本のアニメ・漫画業界は長い年月をかけて、漫画やテレビアニメシリーズを輸出し、海外ファンを増やしてきました。これまで開拓してきた膨大な数の日本のポップカルチャーのファン層に対して、デジタル化で時差なくリーチすることができるようになるという利点があったのです。
サブスクとの相性の良さ
特にNetflixなどのサブスクリプションサービスは作品を見るための面倒な工程を全て省いてくれます。元々はその国のドラマ等を楽しむためにNetflixに加入していた海外ユーザが、かつて子供の頃に観た日本のアニメーションがNetflixで配信されていることに気づき、新たに視聴を始めるようになったという流れもあるようです。
海賊版対策という壁
一方で、海外では海賊版対策の法整備が進んでいない国もあり、日本のクリエイターたちが作った作品が違法な手段で視聴され一切利益にならないという問題も存在します。アニメ・漫画作品が海外にオープンになったことによる弊害とも言える点ですので、この辺の海賊版対策についても注目しておきたいですね。
デジタルコンテンツから紙コンテンツへの先祖返り現象
このように、デジタル化の進行によってさらに活躍の場を広げているアニメ・漫画コンテンツですが、実は書籍の漫画作品が消えてしまっているわけではなく、むしろデジタルコンテンツで成功した作品が、書籍の雑誌に回帰するという流れもあるようです。
実体のあるものを集めたい!
既にデジタル化によって多くの人の手元に渡っている作品ですが、やはりコアなファンからしてみれば、実体のあるものを集めたいという思いがあるようです。一度読んでみて「面白いな」と思ったデジタルコンテンツはその場で読むのをやめて、後日ゆっくり楽しむために、書籍版をAmazonなどで取り寄せるというアニメファンも多くいるのです。
レコードとしての書籍
このように、書籍版はデジタルコンテンツの普及によって、純粋に楽しむものという側面だけでなく、自分が面白いと思ったものを記録、保管しておく媒体としても注目されているようです。
アナログへ注目が集まっている
これらの現象は漫画コンテンツだけではありません。近年では同じようにサブスクリプションサービスによってどこでも聞くことができるようになった音楽ですが、逆にレコードの売り上げが増えたというデータもあります。いつでも手元に置かなくても楽しむことができるのが当たり前になったからこそ、自分が好きだと思った作品を実際に手に取って保管しておきたいと思う気持ちは、アニメファン以外のオタクであってもあるようです。
アニメ・漫画コンテンツはデジタルに移行するのか?
このように考えると、一概にアニメ・漫画コンテンツが100%デジタルに移行するかは怪しいですよね。従来あった書籍の利点のみならず、デジタル化の普及によって新たに生まれた書籍の利点もあるので、デジタル作品と書籍作品というのは、ある種の共生関係にあると考えることもできるのではないでしょうか。
二極化が進む
ともあれ、これらのデジタル版コンテンツと書籍版コンテンツの棲み分けがさらに進んでいくというのは間違いないと思います。これまでのように、みんなが漫画作品を書籍として楽しんでいるという状態ではなく、ある人は、通勤中スマートフォンでその作品を楽しんでいるし、ある人は一から書籍を取り寄せて落ち着いた静かな部屋でじっくりと楽しんでいる、という様にそれぞれの楽しみ方が大きく乖離していく可能性はあると思います。
楽しむためのデジタル・所有欲のためのアナログ
少なくとも、そのコンテンツを楽しみやすいという点ではデジタル作品に軍配が上がりますね。しかし、一方でオタクとしてグッズを揃えたいという欲を最もを満たしてくれるのはアナログ作品なわけです。
電車通勤に最適すぎるデジタルコミック
特に近年のデジタルコミックはスマートフォンを片手に持つだけで楽しむことができるようになっています。満員電車で通勤することが多い社会人からしてみれば、地獄のような通勤時間を彩ってくれる貴重なアイテムであるというところは間違いないと思います。
現代社会にマッチ
このように、デジタルコンテンツが現代社会にマッチしているというのは間違いないでしょう。数百年間形を変えることがなかった書籍は、21世紀に入ってデジタルコンテンツとして新たな形を手にいれたのです。このような「大きな時代の変革期を今まさに体験することができている!」というのはある意味感慨深いですよね。
デジタルでアニメ・漫画はさらにおもしろくなる??
それに、デジタルコンテンツが影響与えるのは私たち読者だけではありません。デジタルコンテンツの存在は漫画作品を制作している制作陣からしてみても、大きな影響を与える可能性があるのです。
読者の評価がリアルタイムで反映
デジタルコンテンツはこれまでの漫画作品とは異なり、読者の反応をすぐに収集することができます。例えば、これまでジャンプ作品が圧倒的な支持を集めていたのも、毎週開催される読者の人気投票による順位づけがしっかりとされていたからです。一方で、デジタルコンテンツでは毎週とは言わず毎日、下手したら毎秒集計がされていることとなります。このような評価の迅速性は紙媒体では成し得ない所業でしょう。
さらに激化する人気競争
このように、制作陣からしてみても、よりダイレクトに消費者の反応を受け取ることができますし、よりわかりやすく他の作品と人気を比べることが出来るようになりました。これらのテクノロジーの進歩によって、さらに漫画コンテンツの競争が激化し、より良い作品が生き残っていくようになる可能性もあるのではないでしょうか?
まとめ
いかがでしたか?今回は本作スパイファミリーを題材にデジタル化するアニメ、漫画コンテンツの利点と欠点について分析をしていきました。デジタルコンテンツは、これからの社会の形にフィットした楽しみ方である事は間違いありませんが、紙ならではの漫画の魅力も忘れずにいたいですよね。デジタルコンテンツの台頭によって、さらに書籍版の利点が際立つこともあると思いますので、ぜひともこの2つのコンテンツをうまく使い分けていきましょう。