憂国のモリアーティはジャンプスクエアで連載中の作品で、有名な推理小説『シャーロック・ホームズ』に登場するホームズの最大のライバル、モリアーティ教授を主人公とした作品です。ただ、この作品は遊び心満載の大胆な解釈を踏まえたアレンジがなされているようです。原作を元にどのような要素が付け加えているのかを調べてまとめてみました!
目次
要素その① モリアーティ教授は3人の兄弟!?
本作には主人公のウィリアム・ジェームズ・モリアーティに加え、兄のアルバート・ジェームズ・モリアーティと弟のルイス・ジェームズ・モリアーティが登場します。その3人がまとめてジェームズ・モリアーティなのですが、原作でもモリアーティ教授には軍属の兄弟と駅長の弟が存在します。そして、その軍属の兄の名前もジェームズ・モリアーティであったことから複合性であるという説があるそうです。本作もその説を踏襲し、兄のアルバートは陸軍に所属しています。
要素その② モリアーティ教授が犯罪と組織力で世界を変える義賊
原作『シャーロック・ホームズ』でのモリアーティ教授は完全なる悪役キャラ、権力を持って犯罪を重ね、自らは手を汚さずに部下や依頼人を裏で操る黒幕という扱いですが、本作では犯罪によって歪な貴族社会を変える義賊として描かれています。そして、当のホームズもモリアーティを義賊だと表現しているところは大きく原作と異なります。と言うより本作のテーマが『もしモリアーティ教授が義賊だったら?』みたいなところがあるので原作と異なるのもやむなしでしょう。ついでに本作のモリアーティ教授はイケメンですが、原作『最後の事件』で表現されるモリアーティ教授はそうでもありません。これは大人の都合でしょう。
要素その③ モリアーティ教授の犯罪ネットワーク
憂国のモリアーティに登場するモリアーティ教授も原作のモリアーティ教授も裏の組織力を持っています。そして、本作におけるその裏の組織力とはかの有名なMI6(秘密情報部)です。モリアーティ教授の兄が軍人であり、MI6によるコネを持っていたこと、そして原作ホームズから『政府そのもの』と言われていたマイクロフト・ホームズとも関わりを持っていました。ただ、人を操っていとも簡単に殺せるような組織力を持つ犯罪組織なんて多くはありません。本作はそれをMI6に繋げています。
要素その④ アイリーン・アドラーがまさかの…
シャーロック・ホームズにはアイリーン・アドラーという女性が登場します。アイリーン・アドラーは『ボヘミアの醜聞』にて登場し、女性でありながらホームズを出し抜いた稀有な存在です。ボヘミアの醜聞ではボヘミア国王がアイリーンとのスキャンダルを隠すために尋ねてきますが、本作のボヘミア国王はアイリーン・アドラーの変装であり、アイリーンには他のマジヤバなとんでもないスキャンダルを抱えていました。つまりボヘミア王とのスキャンダルはブラフでした。
ジェームズ・ボンド爆誕
アイリーン・アドラーは本当にヤバいスキャンダルを掴み、政府から消されようとしていました。彼女自身の身を守るためにホームズに近づいたのですが、その真のスキャンダルもホームズに突き止められますがそれはとんでもなさすぎのスキャンダルでした。そして、アイリーン・アドラーは“犯罪卿”との取引によってその身を保証される代わりに自らの死を偽装し、MI6の新たなスパイとして生まれ変わります。新しく付けられたスパイの名前が『ジェームズ・ボンド』。かの有名なスパイ映画のあれです。『MI6出るしジェームズ・ボンド出しとけww。お、都合よくジェームズやんけww繋げたろww』というノリだったのかもしれません。
ワトソンくんも黙るしかなかった?
今作のボヘミアの醜聞にはそんな裏がありました。ホームズは真実や事の顛末を掴みながらもアイリーンを守るために犯罪卿の取引を見逃すほかありませんでした。そして、重要なのが『シャーロック・ホームズ』の作者がワトソン君であり、ワトソン君が知らなかったことやホームズがいぢわるして教えてくれなかったら、真実を本にすることは出来ないと言う事です。そして今回はスキャンダルの内容があまりにもヤバ過ぎたせいでさすがのワトソン君も事実そのままを本に出来なかった、だから原作と違うんだという解釈が出来るかもしれません。
要素その⑤ ジャック・ザ・リッパー事件とホームズ
この時代のロンドンにはジャック・ザ・リッパーという実在の連続殺人鬼がいました。ジャック・ザ・リッパーとシャーロック・ホームズは時代が一緒ということもあって、しばしば話のネタになっています。本作でもジャック・ザ・リッパーは登場しますが、その正体は3兄弟に殺人術を仕込んだ元軍人の執事のジャック・レンフィールドで、戦争にて付けられた異名がジャック・ザ・リッパーでした。しかし、巷を賑わせている殺人鬼は彼ではなく、別人でした。
ジャック・ザ・リッパーの正体
ジャック・ザ・リッパーの正体は市民と警察の対立を煽り、労働者革命を起こそうとしている組織そのものでした。しかし、ウィリアムが用意した偽物の殺人鬼が警察と市民の間に姿を現したことでその組織は軌道修正せねばならず、ほぼ全員が集まったところを一網打尽にして暗殺。結果としてジャック・ザ・リッパーは捕まらず事件は迷宮入り。ホームズは今回の事の顛末を全て分かっていましたが、事実を公表すれば市民と警察の対立を煽ることになるので公表することもできず、迷宮入りとするしかありませんでした。本作ではホームズとジャック・ザ・リッパーの対決の図式がないのはそう言う理由です。
要素その⑥ グッド・ウィル・ハンティング?
ウィリアムは大学で教授をしていますが、ある日試験問題で学生には到底解けないような難問を出題するいぢわるをします。しかし、そのテストで満点をとってしまった生徒がいました。ただその答案には名前が書いておらずどこのだれが解答した答案なのかは分かりませんでした。その答案の主を居合わせたホームズがすぐに突き止めますが、その正体はダラム印刷の青年、ビル・ハンティングでした。これは、アメリカの映画『グッド・ウィル・ハンティング』が元ネタでしょう。
グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
1997年公開のアメリカ映画、マサチューセッツ工科大学教授のジェラルド・ランボーは数学科の生徒たちに到底解けないいぢわるな難問を出題します。しかし、そんな難問をいとも簡単に解いてしまう人物がいました。それがウィル・ハンティング。でも、彼は生徒ではなく清掃員のアルバイトでした。彼の実力に目を付けるランボーでしたが、彼はとんでもないワルで素直に言うことを聞くような人物ではありませんでした。ランボーは最後の苦肉の策として同級生、心理学の講師ショーン・マグワイアに相談します。その出会いが二人の運命を変えることに。
【憂国のモリアーティ】本作独自の要素まとめ
本作独自の要素をまとめてみました。最も、軽く調べただけなので実際はもっとあるのかもしれませんが、分かりやすい部分をまとめてみました。登場人物や設定などが様々な作品から踏襲されているので、その都度調べていくと面白いです!そんな憂国のモリアーティは10月からアニメ化、また舞台化もされるようです!