ポスト鬼滅の刃として鬼滅の刃の後のジャンプを牽引している本作『呪術廻戦』、12月には『呪術廻戦0』として劇場版が公開されることが決定した本作ですが、本作『呪術廻戦』をまだ読んだことがないという方は非常に多いですよね。「鬼滅の刃は知り合いもハマってたし、なんとなく読んで面白かったけど呪術廻戦までは読む気がわかないなあ」という声もちょくちょく耳にします。しかし、本作の最大の魅力は「ジャンプ漫画としての面白さを引き継ぎつつ、その魅力をさらにアップグレードした点」です。『鬼滅の刃』を読んでハマったというファンの方ならば絶対に楽しめる内容になっています。せっかく『鬼滅の刃』を読んだのに本作『呪術廻戦』を読まないという方は本当に損をしています!「そんなこと言ったって、、新しい作品に手を出すのはかったるいな、、」と思っている方も多いでしょう、そこで今回はそんな『鬼滅の刃』で漫画を読むのを終えてしまった、普段忙しい人のために本作の魅力を0巻の描写を丁寧に取り上げることで紹介していきたいと思います。この記事一つ見れば、次の作品にいくのがかったるいというそこのあなたも、必ず『呪術廻戦』を読みたいという気持ちになると思います!
冒頭のおもしろさ!
まず、本作のおもしろさがギュッと詰まっているのが0巻の冒頭です。大抵の漫画は面白いのかどうかは冒頭を見ればすぐにわかるのですが、呪術廻戦は特に冒頭の引き込みが上手いですね。読み始めたらぐっと引き寄せられるほど冒頭が上手い作品となっています。
1ページ目から面白い
まず1ページ目なのですが、こちらはいきなり主人公の乙骨がバーンと描かれています。この際の乙骨はバックに無数の札が描かれており、おまけに目もクマだらけで、どこか不気味な感じです。この辺りの主人公をあえて不気味に絵を描くという表現は非常に思い切っている表現であると言えますね。
こちら(読み手)を見つめる乙骨
この全体の絵としての不気味さももちろん面白いのですが、一番注目して欲しいのは、吹き出しのセリフの主が描かれていないこと、そして怪しい表情でじっと読者を睨む乙骨の表現です。冒頭でこのような場面を描くことで乙骨自身に対する恐怖心を煽り、彼がどのような人物なのか読者に考えさせるように仕掛けられているんですね。
呪術廻戦は人物の描き方が上手い!
このように呪術廻戦は人物の描き方、とりわけ初登場の描き方がとにかく上手いんです。新しいキャラが出てきたらまず第一に読者に「このキャラはどういうキャラなんだろう?(パンダが顕著な例ですね!)」と疑問も持たせるようなカラクリが必ず仕込んであります。ここら辺の描き方が本作の冒頭を少し読んだだけで、次も読んでみたいと思わず思ってしまう本作の魅力の源なのではないでしょうか?にしても、なぜパンダなのかは気になりますけどね。
初任務の描写でのメッセージ
さて、冒頭での大まかなキャラクター紹介が終わった後は、いよいよ初めての戦闘描写です。このシーンは「本作がどのようなルールに従って展開するのか読者に説明する」という、いわば本作のトリセツのような役割を担っている描写です。この初任務の回は特に注意してみていきましょう。
「弱い奴ほどよく群れる」
特に注目して欲しいのは禪院の呪いについての紹介です。「呪いってのはな、弱い奴ほどよく群れる。まあそりゃ、人間と同じか」というセリフですが、この説明は初頭でポロっと出てきただけですので、気がつかなかった人もいると思いますが、本作では呪いは人間の感情と表裏一体のものであり、怪物として登場する呪いは全て人間界の問題に直結しています。この「呪いとは何なのか?」という複雑な設定を後々気づかせるために、呪いと人間の性質がリンクしているということをサラッとセリフで暗示しているんですね。
本作のテンポの良さの正体はこれだ!
この辺りの設定開示の手際の良さが全体として本作のテンポの良い物語進行につながっているのです。
乙骨のゴールを設定
この物語の主人公は乙骨ですので、乙骨の目指しているものを読者にわかりやすく伝えなければ、ストーリーになりません。そこで本作では初任務のラストに乙骨が何を求めているのか、気づくというシーンが描かれています。
自らのゴールとその手段をわかりやすく開示する
全員に諭され土壇場で「誰かに必要とされた上で生きていたい」という自らの目指すスタンスを宣言した乙骨はその後、自らに取り憑いていた呪霊であるに「力を貸して」とお願いをし、見事に敵を撃破します。初任務の最後のシーンでこのストーリーで乙骨は何を目指すのか?それをどのような手段で得るのかを非常にわかりやすく読者に提示しているのです。
初任務の回だけでも工夫が多くておもろい!
このように、冒頭だけでなく初任務のシーンでも作者が本作をテンポよく、かつわかりやすく描いていることがわかりましたね。このように本作では非常にわかりやすい伏線と綿密に張り巡らされた設定説明がうまく噛み合って、読みやすさと作品としての奥深さを両立しているのです。
生粋の漫画好きの作者と様々な作品のオマージュ
そして、本作の魅力を抑える上で決して外すことができないのが作者の芥見先生についてですね。芥見先生について一点だけ押さえておきたいポイントは生粋の漫画好きであるということです。
意外と生粋の漫画好きの漫画家は少ない
漫画家だから当然じゃんという声もあるのですが、実は漫画家になると他の作品は読まないという方も多いんです。そんな中、幼少期から今まで漫画好きを貫いているというのは芥見先生の特徴であると言ってもいいのではないでしょうか?
五条に隠された様々な作品の先生像
特に、他のジャンプ作品から多くのDNAを受け継いでいるのが本作人気No.1キャラクターである五条悟です。五条は「遅刻癖がある」という設定があるのですが、これ同じくジャンプ漫画のナルトに登場するカカシから受け継いでいますので、本作はなるとを早期させる要素が多くあるのですが、その中でも「先生としてかっこよく描くコツ」として芥見先生はナルトに登場するカカシ先生を参考にしたのではないかと思われます。
五条に注目
さらに注目して欲しいのが五条の目を全て隠しているという設定ですね。この設定は様々な漫画を観てきた目のこえたファンの方ならピンと来たのではないでしょうか?
五条にみる「教育キャラのルール」
そうです、あの有名な「教育キャラのルール」ですね。このルールは主人公を教育するキャラクターというのは必ず、顔などに傷があったり、それを隠すような見た目をしているというものなのですが、古きは『明日のジョー』の丹下段平や『ガラスの仮面』の月影先生、現在では『ナルト』のカカシ先生、『鬼滅の刃』鱗滝左近次などもこのルールに見事に即しています。
「教育キャラのルール」の役割
この「教育キャラのルール」なのですが、教育キャラクターというのは総じて皆「過去に何かがあって、その傷を今でも背負っているキャラクター」であることが多いんですね。
どの時代でも定番の設定
いつの時代のジャンプであっても、主人公を導く先生や、先輩キャラクターは主人公よりも先に困難に直面し、それを背負い続けているという設定が定番なのです。
五条に受け継がれる「教育キャラのルール」
その点、五条が目を隠しているというのは直接彼の背負っている過去につながっているわけではありません。が、主人公を導く教師という役割の五条があえて目を隠しているという見た目をしていることで、教育キャラのルールを見た目上継承した上で、その下に隠されている設定ではこれまでのルールに縛られることなく、独自の掘り下げができているという利点があるのではないでしょうか?
五条と夏油
さらに本作『呪術廻戦0』では主人公の乙骨だけではなくその教師の五条とその旧友であり、最大の敵である夏油の戦いにもフューチャーされています。この二人が存在することで作中でも、乙骨と夏油という単純な対決の描写になることがなく、夏油と乙骨、五条と夏油という複雑な対決の二重構造を作り出していつというのも、本作の特徴であると言えるのでは無いでしょうか?
おしゃれな決着
特に最大の敵である夏油を最後は五条が倒すというもの非常に面白いですね。通常では主人公の乙骨に花を持たせたくなるところですが、そこであえて旧友である五条に最期のとどめをささせるというのはなんともいきな演出です。
守る乙骨と旧友を殺すという行為を背負う五条
この、乙骨と五条の対比というのも非常に面白く描かれています。乙骨の作中を通しての目標はあくまでも仲間を守ることです。そのため、夏油を殺す必要はまだ無いのです。しかし、一方で夏油という自分の最大の理解者を、本当の自信の親友として心の中に守る必要があったのが五条です。自分の心の中にある仲間を守るために、今の夏油を殺さなくてはならなかったというのが、本作の最も重要な五条と乙骨の対比であると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は『呪術廻戦0』の面白さについて一つ一つ丁寧に解説していきました。もちろん本作の面白さは上記で紹介した内容だけではありません。その他にも様々な魅力的な要素をゆうしている作品ですので、もしよろしければ、その他の本作の魅力についても注目しながら本作の劇場版を楽しんでいただければと思います。もちろん、映画が公開されるまではアニメミルでの本作について紹介しているその他の記事も目を通してみてくださいね。