8月22日には2019年冬アニメとして『賭ケグルイ××』のタイトルで放送される事が発表されました。そこで今回は賭ケグイルのスピンオフ作品をまとめてみました。
賭ケグイル奴
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
狂気の学園の中、頭はいいのに周りが奇人変人なので、相対的に凡人と化したツンツンツインテール少女早乙女芽亜里(さおとめ・めあり)。スピンオフ作品『賭ケグルイ双(ツイン)』からご紹介します。
主人公 早乙女芽亜里
特待生で入学した才女です。学校の食事には水筒を持ってくるあたり、等身大な幼さもあってキュンときます。ところが彼女が通う私立百花王学園は、超上流階級のお嬢様お坊ちゃま、政財界の跡継ぎレベルな人間が集う学校。この学園で大事なのは学力でも運動でもなく、ギャンブルの強さのみ。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
彼女は自分が善人だとはみじんも思っていません。勝つためにはなんだって踏みにじるぜ、くらいの気持ちです。しかし実際は「彼女相当義に厚い人物なのが見えてきます。人の道に外れたこと、他人を傷つけること、傲慢なことに対しては鋭く反応。自分がバカにされてもそこまで怒らないけど、理に反した言動に対しては、自らが不利になろうと声をあげます。
早乙女芽亜里の試合
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
芽亜里はギャンブルなんて知らないし、やったことがない。金銭的にはごくごく普通の平民家庭に育った子です。水筒を持参した特待生となると「お金がないので頑張って勉強して入りました」と公言しているようなもの、と周りは見る。ギャンブルはド初心者の彼女。イカサマが横行する学園、カモがネギを背負ってくるとはこのこと。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
最初の試合では、1回1万円で勝負。賭けたことがない芽亜里にとっては衝撃。100円とかじゃないの!てかお金賭けるの!? ところがこの学園では1万円なんて、お金のうちに入らない。借金は膨れ上がって20万、30万。一般的には成人でもこの額をギャンブルで溶かすとなると痛い。高校生の芽亜里にとっては返済不可能な金額。周囲の子たちは超絶お金持ち。20万円なんてはした金です。百万円の札束をポンと出せる子たちの中で、弱者にならず生き抜かねばいけない。『キン肉マン』の超人の中に混じった(元)人間ジェロニモのような、圧倒的不利。まさに、大富豪の「大貧民」状態。周囲の嘲笑を耐えるところからのスタートです。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
女が選んだのは、徹底的に戦って、何が何でも勝者になるというものでした。幼い頃から彼女のことを慕っており、今は学園でギャンブルに負けて虐げられている花手毬つづらに言います。「私達は上に立つ。二度とコケにされないために。それがギャンブルで決まるというなら、ギャンブルで勝つ! 学園の金持ち共を全員見返してやる。私達は勝者になるの!」最初は弱者だった。でももう弱者なんて言わせない。彼女は以降、徹底して「勝者」の語にこだわります。搾取される弱者な現状からの、下克上です。
「賭ケグルイ双」の魅力
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
『賭ケグルイ』本編は、蛇喰夢子というミュータントが、絶対負けない超人的能力と、結果はどうでもいいという理解しづらい価値観で、学園を引っかき回すのが面白い作品。一方『賭ケグルイ双』は、早乙女芽亜里が泥をすすってでも勝とうと努力する、根性の成り上がり物語。対になっています。ポイントになっているのが、芽亜里の性格。極度の負けず嫌いで、勝つためだったら汚い手も辞さない。これ、ギャンブラーがイカサマをしてでも勝つためには必須な部分。勝負中は負けがこんでいても動揺した顔を見せません。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
また、ギャンブル以外の部分で頭がいい。勝負どころと引き際を冷静に考えることに長けている。なんせお金がない芽亜里。しゃにむに試合で勝つよりも、長期的に賭場を経営して少しずつ稼いでいくようにする、利益計算がちゃんとできている。この学園、金銭感覚がマヒしている子ばかりなので、これはとても貴重。それでいて、煽り力が異常に高い。本人、正義の味方として戦っているわけじゃない。特に『双』では幼さが目立ちます。単に勝って「バーカバーカ」となることも多い。結構ずうずうしくて大胆な素の部分が、相手におじけづかないというプラスに作用しています。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
試合に挑む時の経験値は圧倒的に足りない。つづらたち仲間の力を徹底的に頼って、脳をフル回転させる。おごらず、勝つためになんでもするというのは、努力家の証。こうしてみると、芽亜里は少年マンガの主人公が持つ必須要素、ほぼ全部持っています。這い上がり仲間との友情はあるし、積み重ねていく努力もしている。蔑まれてもめげない根性も持っているし、自分らしく戦う矜持(きょうじ)もある。最後の最後には勝利するという熱いストーリー展開です。
賭ケグイル妄
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
本作は、学生のひとりで生徒会美化委員長・生志摩妄(いきしまみだり)に焦点をあてて、彼女の狂った性格やギャンブルのさまを描いたもの。タイトルにもあるように、「狂う」ことこそギャンブルの神髄で、真のギャンブラーほど狂っているのかもしれません。そして、狂っているほど輝きを放つのです。本作『賭ケグルイ妄』は同作者・河本ほむらの作品『賭ケグルイ』のスピンオフとなっています。舞台や設定は同じで、主人公とその目的が変わってきます。
主人公 生志摩妄
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
奇人変人の巣窟である百花王学園内でも群を抜いて狂った人物。彼女を言葉で表すならば、「変態」という二文字がぴったりでしょう。頭の回転が速く、洞察力も優れているというギャンブラーとして高いレベルを持ち合わせているのですが、彼女自身はギャンブルによってお金を手にすることに執着していません。ギャンブルをする時に生じる「興奮」に魅了されており、「死」のリスクが高いギャンブルほど心を昂らせるのです。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
彼女が提案するギャンブルは、自身の身体が痛めつけられるものや、はては自身が死に至る可能性があるものまで実行するところから、彼女の癖の異常性がうかがえます。トレードマークである眼帯も、ギャンブルで左目を失ったために着けていて、このことからも彼女がどれだけ狂った人物であるかが想像できるでしょう。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
そんな彼女の異常性がわかるエピソードとして、「ハンド・ナイフ・トリック」というゲームでギャンブルをするシーンがあります。このゲーム中、妄は幾度となくコンパスで指を刺されるのですが、常人なら耐えられない痛みも、彼女にしてみれば「快感」。それゆえグサグサという音とともに、恍惚の表情を浮かべているのです。狂ったキャラクターばかりが登場する「賭ケグルイ」シリーズでも、彼女の奇行はまったく理解されておらず、あらゆる人物から気味悪がられたり邪険に扱われたりしています。しかしそれすらも、彼女にとっては快感なのかもしれません。
賭ケグイル妄の魅力
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
また本作で描かれるギャンブルは、残虐なものだけでなく単純な仕掛けのものもおこなわれます。たとえば「カード当て」というゲームは、その名のとおり伏せられた3枚のカードから当たりの1枚を見つけるというもの。3分の1の運任せのはずなのですが、実はそれほど簡単に勝てるものではありません。カードを伏せるテクニックや細かな動きにプレイヤーは翻弄されるのです。百花王学園ではすべてがギャンブルになり得ます。ひとつのゲーム、ひとつのギャンブルに高度な駆け引きが詰まっているのが魅力だといえるでしょう。
賭ケグイル(仮)
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
賭ケグルイ(仮)は、「賭ケグルイ」や「賭ケグルイ双」とは雰囲気が一変。4コマ漫画チックにかなりゆるーく仕上がっています。蛇喰夢子や早乙女芽亜里の掛け合いはもちろん、普段の学校生活をほのぼのと描いているあたり、かなりゆるい。しかしながら、当然「賭ケグルイ(双)」でも当然ギャンブルシーンが用意されているんです。
出典: 賭ケグルイ ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
その名も「お寿司ロシアンルーレット」。バラエティ番組なんかでよくやっているワサビたっぷりのアレです。まさかギャンブルまでもゆるくなってところどころでクスリと笑いを誘われます。この賭ケグルイと賭ケグルイ(仮)のギャップが心地よいと感じる作品となっています。
まとめ
2019年の冬に放映される「賭ケグイルxx」を見る前に早乙女芽亜里を主人公とするスピンオフ漫画『賭ケグルイ双』と生志摩妄が主人公の『賭ケグルイ妄』と公式コメディ4コマの『賭ケグルイ(仮)』が連載中ですのでぜひチェックしてみて下さい。