1970年代から漫画家として活躍をされ、現在も現役の漫画家として活躍をされている高橋留美子先生をみなさんはご存知でしょうか?女性の漫画家としては随一の知名度を誇る漫画家ということもあり、一度は聞いたことがあるという読者の方も多いかもしれません。高橋留美子先生の作品の特徴はなんといっても数々の魅力的な女性キャラクターが登場するという点で、高橋先生の名前を知らなくても、高橋作品のヒロインであるラムちゃんなどは知っているという方も多いのではないでしょうか?ラムちゃんは今から約40年前に連載された『うる星やつら』のヒロインですので、初登場から月日が経っているのですが、今でも人気が衰えていませんよね。ラムちゃんを筆頭として、高橋作品に登場するヒロインたちは誰もが知名度が高く、現在でも根強い人気を有しています。今回はそんな日本屈指の名ヒロインであるラムちゃんを筆頭とする高橋作品のヒロインたちの魅力について、漫画作品におけるヒロインの歴史を紐解きながら解説をしていきたいと思います!
現代もなお深く愛されているヒロインたち
高橋作品で生み出されたヒロインたちは現在でも根強い支持を得ていますね。キャラクターとしての認知度で言えば、ドラえもんやポケットモンスターに匹敵するほど海外でも注目をされているのです。
『うる星やつら』のラム、『犬夜叉』の日暮かごめ、『らんま1/2』の天道あかねなど
具体的には『うる星やつら』のラムや『犬夜叉』の日暮かごめ、『らんま1/2』の天道あかねなどの名ヒロインが挙げられますね。さらには作中に登場するサブキャラクターやモブキャラであっても、高橋先生のコミカルな性格とスタイリッシュな見た目を合わせ持っており幅広い人気を有しているのです。
『うる星やつら』が2022年に再アニメ化
このように継続的な人気を獲得し続けた結果、高橋先生の代表作とも言える本作『うる星やつら』が再度アニメ化されたことで、近年さらに高橋ワールドのキャラクターたちが注目を集めるようになったのです。
若者世代にも愛されるヒロインたち
このように高橋作品に登場するキャラクターは老若男女を問わず愛されているのです。SNSが主流になった現代でも、SNSアカウントのプロフィール写真を高橋作品のヒロインにしている10代を多く見かけますし、現代の若者にも、一ファッションとして受け入れられているキャラクターたちとなっています。
ラムはなぜ元祖萌えキャラと言われているのか?
ここからはそんな高橋作品に登場するヒロインたちについて、その登場の歴史を振り返りながら解説をしていきたいと思います。特に『うる星やつら』のラムは「元祖萌えキャラ」と言われるほど現在の作品に多大な影響を与えたキャラクターですので、是非ともラムの功績を振り返ってみてくださいね、
1960年代から始まる劇画の時代
高橋先生が漫画家として活動を始める以前のアニメ・漫画界は「劇画」の時代でした。『巨人の星』や『ゴルゴ13』など、男らしく渋いキャラクターが受ける時代で、高度経済成長から男が「24時間働いて日本を発展させていく」という意識が強くなり、そういった男らしさが求められる時代へとなっていたのです。
手塚治虫へのアンチテーゼ
劇画の時代は漫画の始祖である手塚治虫作品へのアンチテーゼでもありました。かつて漫画文化の基礎を作った手塚治虫はその圧倒的なドラマ性と平和主義的な作品で大いに子供たちの心を掴みました。手塚先生自身が戦争を経験したこともあり、過激な描写ではなく子供にもわかりやすく親しみやすいマイルドなストーリーと柔らかみのある曲線を用いた作風で活躍をしていたのです。
「男」らしい「男」と「女」らしい「女」
そのような状況の中で、戦後生まれが活躍を始める時勢に入り、より過激で男性ウケのいい作風が注目を集めるようになりました。この「劇画」と言われる作風の流行は10年以上続き、漫画作品を通して男は男らしく、女性はより女性らしく描かれるようになりました。劇画作品では女性が主体となる作品は少なく、あくまで活躍し続ける男性のための弱い存在というニュアンスが強かったのです。
1970年代前半に劇画時代が終了
そんな劇画時代も1970年代前半の好景気の終わりとともに終了を迎えます。オイルショックから始まった日本の不景気はこれまで通りエネルギッシュな劇画作品から大衆を遠ざけてしまったのです。
方言、セクシー、嫉妬深い、宇宙人などなど設定てんこ盛りのヒロインとして登場
1970年代は従来の高度経済成長が終わり、日本が従来のような「汗臭い努力」を求めなくなっていった時代でもありました。このような時代の流れの中でついに1978年に高橋先生の大ヒット作『うる星やつら』が連載を開始します。『うる星やつら』ではヒロインのラムがセクシーだけど、方言で話すし嫉妬深いという設定てんこ盛りなキャラクターとして描かれ、他の作品のヒロインにはない魅力を有していました。
女性漫画家ならではの切り口
これまでも女性向けの作品として女性をメインで描くということはありましたが、高橋先生のように男性でも読めるラブコメでありながら女性キャラクターにも個性を持たせ、なんだか目を離せないような魅力的なキャラクターとして描いた作品はほとんどありませんでした。このような個性的な女性キャラクターの活躍というのはまさに高橋先生の女性ならではの切り口であったと言えるでしょう。
女性キャラクター黄金期が始まる
高橋留美子作品をきっかけとしてアニメの女性キャラクターはさらなる多様性を獲得していきました。やがて 男性キャラクターよりも魅力的で可愛らしい女性キャラクターが多く登場し、萌えアニメの全盛期になるのです。
戦う女性キャラクター
高橋留美子作品に登場する女性キャラクターは 男性キャラクターのように活躍する幅が広く、 男性 キャラクターとともに戦う パートナーとしての女性キャラクターが描かれています。一昔前の劇画作品ではありえなかった「戦う女性」が高橋留美子作品で誕生したのです。
女性ならではの葛藤
特に女性キャラクター ならではの悩みや心の葛藤は非常にリアルに描かれています。やはり、高橋先生自身が女性ということもあり、等身大の女性を書くという点に関しては他の作品よりも優れていると言えます。
男性ファンの心も鷲掴み
このようなリアルな女性の内面描写と、現実世界では出会うことができないほど設定マシマシで魅力的な女性キャラクターとしての描写があったことにより、高橋作品は女性のみならず、男性ファンの心も鷲掴みすることに成功したのです。
どこか頼りない男キャラクター
女性キャラクターのみならず男性キャラクターはどんなにかっこいいキャラクターであってもダメなところがあったりします。これも劇画時代の完璧な男性像ではありえない描かれ方ですよね。女性からすると何から何まで完璧な男性よりも、基本は完璧なんだけど、ちょっとしたダメなところがある男性の方が魅力的に映るということもあるようですので、そのような女性ならではの男性の理想像をうまく反映したキャラクターとなっているのです。
引き継がれる「強い女性」
このようにして高橋作品で生み出された魅力的かつ強い女性キャラクターたちは後世の作品にも受け継がれることとなります。ここからはそんな高橋作品が後世に与えた影響について紹介していきたいと思います。
男性向け作品との融合
高橋作品の特徴といえば、女性ファンと男性ファンの両方から支持を集めているという点でしたが、高橋作品の特徴は後の男性向け作品とも融合していきます。
多様なキャラクター性が深いドラマを生み出す
これまで 劇画作品などを代表として 女性キャラクターのテンプレが進んでいった男性向け作品において、より多様な女性キャラクターを登場させるというのは、登場人物の心理描写が複雑になることで深いドラマ性の創出につながっていたのです。
1980年代以降の「リアルロボットアニメーション」へと引き継がれる
特に1980年代以降のリアルロボットアニメーションでは、数々の魅力的な女性キャラクターが描かれその作品の顔として扱われるようになりました。男性キャラクターも強い男性ではなくて、どこか弱いところがあったりするような女性受けも意識したキャラクターへと変貌しており、高橋留美子作品のキャラクターたちの影響を感じ取ることができます。
まとめ
いかがでしたか?今回は『うる星やつら』などを世に送り出した高橋留美子先生の功績について簡単にまとめていきました。高橋作品に登場するキャラクターたちは現在もなお幅広い世代から支持を集めているキャラクターたちですので是非とも注目をしてみてくださいね。