毎回膨大な量のアニメーションが公開される日本のアニメ業界ですが、近年日本アニメーション業界である変化が起こりつつあることに皆さんはお気づきでしょうか?長い間日本のポップカルチャーを支え続けていたアニメーション業界も常に変化し続けてきたのですが、近年のアニメ業界の変化はこれまでもアニメ業界の変化とは異なり、より現代社会の風土を反映して個性的なものへと変化しているのです。 そんな現代社会の風土を最も反映している特徴的なアニメーションといえば本作『ポプテピピック』でしょう。 アニメ化当初こそ多くの怖さの声があった本作ですが次第に好意的な声も増え現在では2010〜2020年代を代表する人気を誇るアニメーションと変貌しました。そこで今回は、なぜここまで奇抜な本作が多くのアニメファンに受け入れられたのかいう謎を深掘りするとともに、近年のアニメーションの傾向等について詳しく紹介していきたいと思います。
アニメ史最大のあたおか作品
「本作の特徴といえば何?」と聞かれた場合に本作を視聴したことのある皆様なら、必ず「視聴したときに困惑してしまうほどの物語の展開だ」と答えるのではないでしょうか?実際、本作の物語転換はしっかりと内容を追っていても全く理解がつかないものとなっており、このような意味が全くわからないほどの爽快な物語展開こそが本作の最大の力魅力であるといえるでしょう。
元々は四コマ漫画
元々は4コマ漫画であるということもあり、非常にテンポの良い作品の展開となっています。そのため一回の放送が30分のテレビアニメーションとは思えないほど作品としての物語展開が素早く、常に飽きることないためテンポの良い笑いが提供されるのを本作のファンは楽しむことができるのです。
前半と後半が全く同じ
そのかわり本作の前半と後半は全く同じ内容となっており、何も知らないで視聴していると同じ内容がCMの後流れてくることに驚いてしまう視聴者の方も多かったようです。前半と後半が全く同じ内容であるという作品は他のアニメ作品を見てみても本作の他には存在せず、この大胆な構成に初めて視聴したとき驚いたというファンの方も多いのではないでしょうか?
コンプラガン無視の怒涛の展開!
せめているのは物語展開だけではありません。本作に登場する2人の主人公ポップ子とピピ美の性格も非常に尖ったものとなっており、2人の掛け合いの中にはコンプラの規制にかかってしまいそうな過激なものや、突然繰り返される一方的な暴力など、見ている側がハラハラするような展開を描かれています。この辺の思い切りの良さはさすがですよね、、
アニメというより声優図鑑
また前半と後半が全く同じ内容ではありますが、担当される声優さんが異なっているという工夫点があり全く同じ内容だからこそ、声優さん同士の演技の違いや声質の特徴などに注目をして楽しむことができます。そのため本作はアニメーションというよりも声優さんの個性などを楽しむことができる、いわば声優図鑑のような役割もあるのです。
アニメの魅力が広がったが故に生まれた作品
それではなぜ本作のような、かなり特殊な作品がヒットしたのでしょうか?通常であれば一部の声優ファンや新しいもの好きのアニメファンにのみ受け入れられるような作品なのですが、本作がここまで多くのアニメファンに受け入れられたことには、近年のアニメ業界の1つの傾向が隠れているといえるのではないでしょうか?
アニメのマルチ展開がキーワード
1つのキーワードとなっているのは近年のアニメのマルチ展開です。アニメ業界では、アニメーション単体で収益を上げるのではなく様々なイベントとコラボしたりグッズ展開に力を入れたりすることで、多種多様な利益を回収するシステムを作り上げてきました。
「声優」という新たなトレンド
そのような中で、グッズやイベントなどと同じように注目されるようになったのがアニメのキャラクターの声を演じられる声優さんです。近年ではただキャラクターの声を担当するだけでなく、自身で歌手として活躍をされたり、俳優として活躍される声優さんが増えてきました。そのためアニメキャラクターだけでなく声優さんにも注目をして応援しようというファンが増えたのです。
推しという概念
特に近年では誰か応援しているアイドルや俳優などがいることが恥ずかしくないという風潮になっています。そのため声優さんなどにも自らの推しとして応援するファンがつきやすくなり、声優さん個人に対しても注目が集まりやすくなったのです。
パロディでアニメオタクを吸収!
声優さんを常に入れ替えることによって声優ファンを取り込むことができた本作ですが、さらに数多くの人気アニメのパロディーを持ち込むことによってアニメ作品が好きなアニメオタクを吸収することにも成功したのです。この声優ファンとアニメオタクという2つの層に広く支持されたことこそが、本作のヒットの最大の要因だといえるのではないでしょうか?
短い尺の方がいい?
さらに本作が注目されている理由にはもう一つの要素があるのだと思います。それが本作の物語としての尺の短さです。もちろん本作はTVアニメーションですので、一話でCMなどを入れて30分ほどなのですが、前編と後編で同じため内容としては15分ほどで完結するものとなっており、非常に尺の短い作品となっているのです。
SNSの影響か
なぜ尺が短くなっているのかという点ですが、近年ではSNSが発展しておりアニメ作品もSNSで拡散されやすいかどうかという点が重要になっています。そのような傾向の中で、尺を短くすることによってよりSNSなどのショート動画で拡散しやすいものとなっており、本作の人気に火がつくのにSNSがひと役買う要因ともなったのです。
『PUI PUI モルカー』など同じく短い尺のアニメが人気
本作の他にも『PUI PUI モルカー』など同じく尺の短いアニメがSNSでは拡散されやすい傾向にあります。この辺の傾向に沿って本作の内容自体も非常にシンプルでわかりやすい15分ほども尺となったのでしょう。
VODの発達で倍速視聴が流行っている
SNSだけでなく近年はVODを使ってアニメ作品をスマートフォンで楽しむファンが増えました。スマートフォンで視聴する際は電車の中や何かの合間に視聴することが多く、視聴時間を短縮するため倍速にするのが当たり前となっています。そのため尺自体も短いものが好まれる傾向にあるのです。
現代の若者には30分尺は長い?
このようにSNSやVODの発達によって現代の若者には30分の昔のアニメはやや長く感じるようです。そのようなこともあり、近年ヒットするアニメ作品には内容が少ない代わりに、何か別の工夫が施されていてその工夫を楽しむことができるような作品が増えているのです。
流し見に最適な作品
特にスマートフォンでアニメを視聴する際には、何かをやりながらその合間に視聴するという目的があることが多く、常に画面を見ていないと中身が追えないアニメよりも、本作のように音を聞いて楽しみながら、たまに画を見て楽しむといった内容の方が人気を集めやすい傾向にあるのではないでしょうか?
耳だけでも楽しめる
そのため本作は徹底的に耳だけでも楽しめるように作られているのです。アニメ作品において最も重要ともいえる画の動きよりも、耳で楽しめる要素に特化して作られた作品であるといえるでしょう。
同じ内容で何度でも
耳だけで楽しむ作品となると、声優が入れ替わるシステムは非常に合理的ですよね。ずっと同じ画を流されていてもたまにしか見ないわけですから、あまり気になりませんし、そういった意味で本作は決して適当な作品ではなく非常に計算され尽くした作品であるといえるのです。
実は近年のアニメ志向を研究した上で作られている?
このように本作は実は近年のアニメファンの志向を研究した上で作られている作品なのです。一見適当に見えるけれど、実はその裏で現代にあったアニメの形はどのようなものなのか深く考えられていることがわかりますね。
おふざけアニメは深く計算しないと作れない
よくコメディアンは頭が良くないとできないという話を聞きますがまさにおふざけアニメもまた深く計算されていないと描くことができないのでしょう。
アニメ2期でどのような進化を魅せるのか注目!
このように非常に手の込んだ考察をした上で作られている本作ですから、きっとアニメ2期ではさらに我々をびっくりさせてくれるような進化を魅せてくれるのではないでしょうか?アニメ1期からどのような進化を遂げるのか今から楽しみですね!
まとめ
いかがでしたか?今回は本作『ポプテピピック』の魅力と、なぜ本作がここまで支持されているのか?という点について紹介していきました。もちろん本作の魅力はここで語った内容以外にも数多くあります、ぜひとも皆さんなりに本作の面白さを見つけてみてくださいね!