2021年に突如としてSNSで話題となり、一躍時のアニメーション作品となった『PUI PUI モルカー』という作品をみなさんは覚えていますか?わずか3分にも満たない短い作品であるにもかかわらず、作中でのモルカーたちの摩訶不思議な交流劇や人間に対する戒めを込めた時として深いテーマを主張する本作は、低予算の作品であることながら多くの人々の評価を集める作品となりました。今回はそんな、数多く存在する映像作品の中でどうして本作のみがここまでカルト的な人気を誇るのか?という点についてじっくりと考察をしながら紹介していきたいと思います。高予算な作品ばかりが放送され注目を集める近年の映像作品の傾向の中でも特に異色な作品であると言えますので、2021年に本作を目にする機会がなかったというファンの方でもぜひ注目してみてくださいね!
子供向けストップアニメーションとして放送
PUI PUI モルカーとは子供向けのストップモーションアニメーションとして2021年にテレビ放送された映像作品です。モルモットでありながら車(?)のモルカーたちが人間たちと関わりあいながらも、どこか人間の思い通りにはならないというのが魅力の作品です。
子供でも理解できる簡単な構成
基本的には子供向けの作品ですので、子供でも理解できるわかりやすい構成のアニメーションとなっています。老若男女全ての人々が楽しむことができる数少ない作品の一つなのです。
子供向け作品ならではのアタオカ演出も?
本作は子供向け作品ということもあり、大人では理解できないような急展開や子供向けならではのアタオカ展開もあります。「どうしてそうなるの!?」と大人ならついつい突っ込んでしまうのだけど裏では子供が爆笑、みたいな展開が多く描かれているのです。
なぜモルモットが車に?という疑問は心にしまって観よう
大人がついつい疑問に思ってしまうような設定の一つとして「そもそも、どうしてモルモットが車なんだろうか?」という疑問が湧くかと思いますが、作中では一切説明されていません。心にしまっておきましょう。
突如としてSNSで流行った
そんな、不思議なことばかりの本作『PUI PUI モルカー』ですが、本作の最も不思議なところは「突如として本作がSNSを中心に人気を集め、社会現象にまでなった」点です。ここからは、なぜ本作がここまでSNSで人気を集めたのか?という点について紹介していきたいと思います。
なぜ本作はバズったのか?
さて、本作がSNSで突如として人気を博した理由ですが、数多くの要因が絡んでいるようです。本作の登場と当時の社会情勢をもとに幅広い観点で考えてみましょう。一見単純な作品に見えますが、深掘りをしてみると多くのことに気付けますよ。
ショート動画はSNSと相性がいい!
まず第一に挙げられる点が、本作が極端に短い時間で展開される「ショートアニメーション」である点でしょう。Twitterを始めとするSNSでは長時間の動画を視聴する人は少なく、数分で起承転結が楽しめる作品が注目されやすい傾向にあります。
つい呟きたくなる内容
さらに本作が子供向け作品であったことも本作を多くの人々から注目されるような作品となった一つの要因であると考えることができます。単調な作品構成の作品でなく、子供向けのアタオカ要素があるからこそ、つい呟きたくなる作品となったのです。
YouTubeでも視聴できる!!
本作はテレビだけでなく、YouTubeでも配信されていました。そのため、朝早い時間に放送されていた本作を通常なら視聴できない層でも簡単に視聴できるようになっていたのです。おまけに、作品としても2分ちょっとで楽しめるわけですから、普段忙しいサラリーマン層でも気軽に楽しむことができたのです。
ストップモーションアニメとショート動画の相性
さて、ここからは本作において最も注目したい技法である「ストップモーションアニメーション」について紹介していきたいと思います。本作だけでなく数多くんの作品で導入されている歴史ある技法なので、ぜひ押さえておきましょう。
ストップモーションアニメーションとは
ストップモーションアニメーションとは、通常の静止画像を高速で入れ替えることで、眼の残像を利用して、あたかも動いているかのように描写をするという技術です。最も簡単にアニメを描くことができる技法ですので、みなさんの中でも家のプラモデルの写真を使ったりしてこの技法にチャレンジしてみたという方も多いのではないでしょうか?
アイデア勝負の短編アニメと相性がいい
最も簡単な技法であるとも言えるストップモーション技法ですが、ストップモーションはその簡素さゆえに、よほど工夫しないと映像に違和感がある分飽きられてしまうという弱点もあります。だからこそ、ストップモーション作品はアイデアで勝負する短編作品と相性がいいのです。
世界観の面白さも完璧!!
その点で考えてみると、本作のモルモットが車になるという斬新なアイデアと子供でもわかりやすい展開というアイデアは非常にストップモーションに向いていると言えるでしょう。まさにストップモーション界のお手本とも言えるような作品なのです。
近年の若年層の傾向を考える
ここからは、本作だけでなく本作を当時見ていた現代の若年層の傾向にも目を向けていきたいと思います。どうして、ここまで本作が人気を得たのか?当時本作を支持していた、20代前半までの若者の特徴から分析をしていきたいと思います。
動画は倍速が当たり前
まず、近年の若年層の特徴とも言えるのは「アニメやドラマは見るけど倍速で見るのが当たり前」という点です。近年ではドラマなどの他にも数多くんも魅力的な動画作品が散見されるようになり、一つの作品にかける時間が少なくなってしまいました。それゆえに、若年層では一つ一つの動画の視聴時間を縮めて回転率を上げているという傾向があるのです。
長編よりも短編
そのため、近年若年層からしてみると従来のテレビ枠の30分というのが少し長く感じてしまうようになったのです。YouTubeの動画でも一本の作品で30分を超えるものはなかなかないですよね。そのようなややせっかちな代に突如として現れた短編作品が本作なのです。
評価が可視化されている
それに、近年のドラマやアニメは簡単に視聴する前に評価を見ることができるようになりました。だからこそ、他人が評価している作品はとりあえずみてみようという傾向にあるのです。その意味ではネットでバズっていたというのも本作をみてみようと思う層がさらに増えたのです。
全てに当てはまった本作
このように本作は現代の若年層が求めるアニメへの需要に見事に応えた作品であると言えるでしょう。従来のアニメ業界とは異なり、どうしてここまで尺の短い作品がSNSを中心にヒットしたのか?現代の若年層の傾向を考えることができれば、自ずと見えてくるのです。
コロナ禍も本作を後押し
このように、コロナ禍では家にこもって動画を視聴する時間が増えたからこそ「多くの動画をより幅広くみてみたい!」という層が多くなったのです。通常のアニメファンだけでなく、なんとなく暇潰しになるものはないかなという需要があったという点も一つの理由として挙げられるでしょう。
明るい雰囲気の作品
特にコロナ禍はコロナウィルスによって多くの人々が犠牲になりました。コロナに感染していなくても、本来ならば外に出て目一杯活動したいという人々の欲求を抑え込んだ期間であると言えます。そのような社会全体にフラストレーションが溜まりやすい雰囲気が充満していた時だからこそ、本作は特に注目を浴びたのではないでしょうか?
ステイホームとアニメーション
このように、ステイホーム期間だからこそアニメーションが果たすべき役割を本作はどのアニメーションよりも、よく果たしたのではないでしょうか?人々が鬱憤としたコロナ禍で求めていたものこそが、本作『PUI PUI モルカー』だったのです。
まとめ
いかがでしたか?今回は本作『PUI PUI モルカー』の魅力について、本作が流行った時代と当時支持した層に注目しながら紹介していきました。数多くアニメーションが存在する日本のアニメ業界の中でも特に本作は視聴者層、作品内容ともに異色な作品であると言えますので、ぜひとも今回の記事を読んで興味が出たという読者の方は本作を視聴してみて下さいね!2022年にアニメ新シリーズも放送されるようですので、続編に関しても期待です!