2021年にSNSを中心に大ヒットを記録した本作『PUI PUI モルカー』ですが、本作が「ストップモーション」という技法を使っているということはご存知でしょうか？ストップモーションアニメーションは数々の魅力的な作品を世に送り出してきた表現技法なのですが、普段の生活では中々知ることのできないですよね。そこで今回は本作『PUI PUI モルカー』で使われた技法として再度注目を集めているストップモーションアニメーションの魅力と歴史について紹介していきたいと思います。数多くの技法の中でも特にアマチュアが再現しやすい表現技法となっていますので、ぜひプライベートでも本作の技法でアニメ制作にトライしてみてくださいね！
ストップモーションってどんな技法？
さて、まずはストップモーションアニメーションがどのような技法であるのかという点について紹介していきたいと思います。ストップモーションアニメーションとは静止した画像を何度も重ねて動かすことで目の錯覚を利用し、動いているかのように描くことができるという技法です。アニメ制作では古来からある技法であり、最も基本的な技法であるということができるでしょう。
アニメーションの基礎！
ストップモーションアニメーションの原理はまさにアニメーション制作の礎となっている技法なのです。そのため、数多くあるアニメーション作品の中でも特にシンプルでわかりやすい作品が多く描かれている表現技法であり、それゆえに工夫次第で面白い作品が作りやすい技法であると言えるでしょう。
本作以外の数多くの作品で見られる
ストップモーションアニメーションは本作以外でも多くの作品で見ることができます。教育系の作品が多いため、皆さんも幼少期に見たことがあるのではないでしょうか？とにかく、我々アニメ世代から見ても特に思い入れ深い作品が多く描かれた表現技法であることは間違い無いですね。
トライしてみて！
このように本作はアニメーション制作の上で最も基礎的な表現であり、誰もが簡単に使用することのできる表現となっています。スマホのカメラが一つあれば誰でも簡単にアニメーションを制作することができますので、是非ともご自身でも試してみてくださいね。
表現技術の進化を考える
さて、ここからはストップモーションアニメーションの表現技法の進化の変遷を紹介していきたいと思います。映像表現技法の進化とアニメーション進化の歴史はまさしくストップモーションアニメーションの進化の歴史であると言えますので、ぜひチェックしてみましょう！
ストップモーションの勃興
元々は実写映画しか存在しなかった映像表現ですが、実写映画の中で描かれるトリックアートの一種としてストップモーションアニメーションが登場しました。初めは実写映画に深みをもたらすための一表現に過ぎなかったのですが、やがてこのストップモーションアニメーションを基軸にしたアニメーションが制作されていくようになるのです。
ストップモーションの弱点
このように一表現技法から新たなジャンルとして様々な作品が描かれるようになったストップモーションアニメーションですが、大きな弱点がありました。それが、一つ一つの静止画を重ねて描いているため、どうしても動きがカクカクしてしまい違和感があるという点です。
よりリアルな映像を！！
そのためストップモーションアニメーションのリアルな映像を描けないという弱点を克服すべく映像界の模索が始まったのです。
ゴーモーション技術の登場
そのような状況の中で誕生した表現技法がストップモーションアニメーションの進化系であるゴーモーションアニメーションと呼ばれる物です。この技術もストップモーションアニメーションと同じように、実写映画内での補助的な表現技法として登場しました。
よりリアルな表現が可能に
ゴーモーションアニメーションは静止画を利用するストップモーションアニメーションとは対照的にやや残像のある画を使用することによってさらに滑らかな動きを可能にした表現技法なのです。スターウォーズなどで活用され、これまでのストップモーションアニメーションとは異なり、さらにリアルな表現をすることが可能になったのです。
CG（コンピューターグラフィックス）の登場
ストップモーションアニメーションからゴーモーションアニメーションへと進化を遂げた映像技法界に難敵が現れます。コンピューターを活用した映像技術CG（コンピューターグラフィックス）と呼ばれる技法です。CGは完全に０から好きなものを描くことができるという荒技ができる表現ととなっており、これまでの映像表現では描くことのできなかった複雑な表現が可能となりました。
生き残ったのはストップモーション
結果としてストップモーションアニメーションからさらに複雑に進化したゴーモーションアニメーションはCGに押され姿を消してしまったのです。しかし、その一方で古からの技法であり、映像にも味が出るストップモーションアニメーションは逆に評価され、生き残ることとなったのです。
それぞれの表現の作品をみてみよう
いかがでしたか？ストップモーションアニメーション、ゴーモーションアニメーション、CGと３つの表現技法の歴史とその特徴について紹介していきました。ここからはそれぞれの作品の特徴と面白さをより理解するために是非とも目を通しておきたい作品について紹介していきたいと思います。
ストップモーション:『PUI PUI モルカー』
ストップモーションアニメーションの代表作はなんと言っても今回の紹介の主な軸となっている『PUI PUI モルカー』ですよね！長編アニメ黎明期の現代日本においてわずか3分という短編アニメーションで勝負を仕掛け見事に国民的な人気を獲得した作品であり、本作はストップモーションアニメーションの良いところを最も如実に描いた作品であると言えるでしょう。
ゴーモーション: 『スターウォーズep4~6』
ゴーモーションアニメーションを楽しむことができる作品として挙げられるのは『スターウォーズ』のエピソード4~6です。注意点なのですがエピソード1~3は後になって制作されたシリーズですので、CGが使われており、ゴーモーションアニメーションは一切使われていません。寿命の短かったゴーモーションアニメーションを楽しむことができる数少ない作品となっていますので、是非ともチェックしてみてくださいね。
CG（コンピューターグラフィックス）:『ジュラシックパーク』
CGを楽しむことができる作品は数多くあるのですが、それらの作品の中でも特に注目してほしいのが『ジュラシックパーク』です。本作は元々ゴーモーションアニメーションとしての制作が検討されていたのですが、CGの映像表現のリアルさに驚いた監督が突如CG作品へと切り替えた作品となっていますので、ちょうどCGアニメーションが注目されることとなるきっかけになったとも言える作品となっていますので、是非とのチェックしてみてくださいね！
ストップモーションとCG
このように、CGアニメーションの台頭でマイナー技術に追いやられることとなったストップモーションアニメーションですが、近年ストップモーションアニメーションが注目されるようになってきたということは、皆さんご存知でしょうか？ここからはそんなCGとストップモーションアニメーションの共存について紹介していきたいと思います。
一時期はCGばかりだった
CGアニメーションが登場した当時はその余の衝撃に一時期CGばかりが多用されていました。手書きが基本であったアニメ業界であってもCG作品が目立つようになるなど、ほとんどの作品がCGになるのでは？という勢いだったのですが、次第にCGばかりの映像に視聴者が飽きるようになってきたのです。
ストップモーションの味
そこで注目されるようになったのが、昔からあるストップモーションアニメーションなのです。違和感があると言われていたカクカクとした動きもCGの動きに慣れた視聴者からしてみれば逆に味わい深いものとなっており、気軽に楽しむことができるストップモーションアニメーションの味わい深さに注目がある待ったのです。
より表現は多様に
ストップモーションアニメーションは単調な作品になり易いために、映像表現としてより面白くするための工夫が特に重要になっていきました。普通の表現技法よりも＋αが重要になってくる技法なのです。
ショートアニメとしてのストップモーション
近年では特にショート動画として描かれることが多く、短い尺の動画を好む若年層に多く受け入れられています。長い年月を経てショート動画としてのストップモーションアニメーションの優位性が広く認められるようになったのです。
まとめ
いかがでしたか？今回はストップモーションアニメーションの歴史とその特徴について紹介していきました。本作の他にも数多くの魅力的なストップモーションアニメーションがありますので、是非それらの作品に関してもチェックしてみてくださいね！
