現在、田村由美先生は月刊フラワーズで新作『ミステリと言う勿れ』を連載されています。独特の世界観と表現力、そして頭の中どうなっているのか分からないってくらい複雑で面白い凄さがある作品を生み出し続けています。そんな田村由美先生の新作、ミステリと言う勿れと他にも面白い田村由美先生の作品を紹介していきたいと思います!
目次
田村由美先生の作品① 『ミステリと言う勿れ』
休日にカレーを作るのが趣味の大学2年生、久能 整(くのう ととのう)のアパートに突然警察がやってくる。近所の公園で殺人事件があり、被害者は整の同級生の大学生。整に似た人物の目撃証言もあって、取調室にしょっぴかれてしまった整でしたが、取調室で整は事件とは関係のないおしゃべりをします。しかし、そのおしゃべりは取り調べを担当している個人にとってはびっくりするほど刺さる内容でした。整は変わった学生でしたが、頭脳明晰で観察力に優れており、よく人を見ることで婉曲的に核心を突く学生でした。
いつの間にか真相にたどり着く?
事件には関係のないおしゃべりで脱線に次ぐ脱線をしていたにも関わらず、そこから得られた情報から最終的に事件を解決し自ら冤罪を晴らした整でしたが、この男は名探偵と言える能力に加えて、事件に巻き込まれる力もありました。本人は他人と関わらない性格なのに、事件は勝手に向こうからやってくるのでした。
『ミステリと言う勿れ』の感想
少女漫画誌で少女漫画っぽくないしミステリと言うのもあれ?と言うような作品。BASARAや7SEEDSはまだ少女漫画の皮を被っていましたが、これもう少女漫画ですらなくなりました。主人公は変わり者で探偵らしいっちゃ探偵らしい天然パーマの大学生ですが、ヒロインみたいな女の子は今の所いません。最も、今後の展開でヒロイン力を発揮するかもしれませんが、今の所でてくる女の子は事件関係者や今後事件に関わって来そうな女の子ばっかりです。やりたい放題ですが、各所で話題になるのが分かるくらい面白いです!
何がミステリじゃないの?
題名にある通り、この作品はミステリとはちょっと違います。どう違うのかを説明すると、最初と最後はミステリ、でもその過程はミステリじゃないというのがしっくりくるでしょうか。主人公の久能 整が雑談しまくることによって、犯人だったり事件の核心に繋がる情報を得ていくという過程を経ます。なので、ミステリじゃないけど強いて言うなら、哲学、カウンセリング、プロファイリング、人生相談とかそんな感じだと思います。
田村由美先生の作品② 『BASARA』
20世紀末、世界は未知の災害により滅亡の危機を迎えるも人類は死に絶えてはいなかった。ただし、文明は衰退し民主制や共和政は廃止され人々は暴君の元で圧政に苦しんでいました。そんな中白虎の村に双子の兄妹のタタラと更紗が生まれ、兄のタタラは国を救う「運命の子供」と呼ばれていました。しかし、タタラは赤の王の軍勢により死亡。更紗は皆の希望となるため、タタラに成り代わり皆を導いていく。しかし、運命の子供は更紗の方だった。タタラは更紗を守るために身代わりとなったのです。そんな中、更紗は朱里という一人の青年と出会い絆を深めていきますが、その朱里こそ兄タタラを殺した赤の王だったのでした。
『BASARA』の感想
少女漫画誌で少年漫画並に壮大なストーリーを展開する少女漫画版少年漫画架空戦記。少女漫画の恋愛要素は残しつつ、圧政から人々を救う運命の子供と圧政を敷く王家を巡る物語でそのスケールは壮大です。そのうえ、倒すべき敵と恋に落ちてしまうという王道な展開もあり、旅の途中で様々なキャラクターと出会い、そのキャラクターたちも個性的なキャラクターばかり。少女漫画でありながら少年漫画みたいなことをやりつつも、少女漫画の面白さも兼ね備える。何より台詞や展開が唯一無二の面白さで、色んな要素で続きが気になる作品です。
田村由美先生の作品③ 『7SEEDS』
将来地球には巨大隕石が降り注ぎ、人類は死滅し恐竜の時代に戻るだろうという予測により、各国首脳は種の保存のため、若く健康な男女をコールドスリープさせ、災害の後に蘇生させようというプロジェクトが発足します。そのプロジェクト「7SEEDSプロジェクト」により日本では7人×5チームが作られた。そして、災害は起こり世界が崩壊したのち、それぞれのチームのメンバーが目覚め、崩壊した世界で生きていくことになります。
『7SEEDS』の感想
少女漫画誌で壮大なSF作品を展開する少女漫画版本格SFサバイバル。でも少女漫画の成分は残しつつ、本格的なSFを展開しているそのスケールはやっぱり壮大。そのスケールの大きさはやっぱりその登場人物たちとその境遇でしょう。コールドスリープから目覚めた5つのグループ、それぞれ個性的なメンバーたちが織り成すオムニバスストーリーで、過酷な環境でそれぞれの個性を持つ5つのグループがどのように行動し、どのように生きるか?そして、それぞれのグループがどう交差していくのかが滅茶苦茶面白いです。最近ではNetflixでのアニメが作られ公開されています。
田村由美先生の作品④ 『LIVEALIVE SF編』
宇宙航行が現実的になった遠い未来の世界で、輸送船コギトエルゴスムの中で1台の学習機能付きのロボットが造られます。キューブ(変更可)と名付けられたロボットは船員たちとの交流を深め、様々なことを学んでいきます。しかし、船内の人間関係は非常にギクシャクしていました。そんなとき、連絡用の通信アンテナが故障し、修理に向かったクルーが事故死。さらに何者かがコンテナに収容していた地球外生命体ベヒーモスを船内に放ち、船内はパニックに。キューブと残されたクルーは事件を追い、クルーに手をかけた意外な犯人を知ることになります。
『LIVEALIVE SF編』の感想
1995年にスクウェアから発売されたスーパーファミコン用ソフト『LIVEALIVE』のキャラクターデザイン及び短編マンガを担当していました。7人+1人の主人公がそれぞれの世界観のシナリオがあり、田村由美先生はトラウマ必至のSF編のキャラクターデザインを担当しています。ロープレ作品ですが、SF編はほぼ戦闘がないシナリオでその内容は背筋が凍るようなパニック演出がありますが、RPG史に残るほど面白いシナリオです。田村由美先生以外にも6人の漫画家がキャラデザを担当しており、全員著名な作家さんたちです。そのせいかリメイクは絶望的だとか…。
【ミステリと言う勿れ】田村由美作品まとめ
平成の時代から作品を出し続け、今なお面白い作品を生み出し続ける大御所、田村由美先生の作品はどれもこれも壮大で、頭の中がどうなっているのか知りたいくらいに緻密で知的で面白い作品ばかりです。ミステリと言う勿れはミステリではない作品ですが、すでに少女漫画でも勿れって作品です。でも、読みだしたら止まらない。田村由美先生の作品はそんなのばかりなので、おすすめです!是非読んでみてください!