女子高生が戦車に乗り、「戦車道」と呼ばれる武芸に励む大人気アニメ、ガールズ&パンツァー。このアニメには個性豊かなキャラクターとともに、校風豊かな高校が多数登場します。今回は第63回戦車道全国高校生大会に出場した高校を紹介します。
テレビシリーズで活躍する高校
県立大洗女子学園
物語の舞台となる高校で、主人公西住みほが在籍する高校です。茨城県大洗町の飛び地として登録されている学園艦に所在します。中等部と高等部があり、それぞれ9000人の生徒が在籍しています。高等部には普通科、情報科、船舶科、商業科、被服科、栄養科、工学科、水産科、農業科があり、普通科はさらに第1科から第3科に分かれます。学園艦としての規模は小さく、近年目立った実績がなかったため、文部科学省学園艦教育局より廃校の危機にあることを知らされます。会長の角谷杏は約20年ぶりに戦車道チームを復活させ、全国優勝して実績を作り廃校を阻止しようとします。他の高校と比べると目立った特色がなく、良くも悪くも普通の女子校といった感じです。戦車道では各国の戦車の混成チームです。20年ぶりに再開したため隊長の西住みほ以外は初心者で、車輌も当初は大会参加のための最低車輌の5輌しかありませんでした。それでも懸命に練習に励み第63回戦車道全国高校生大会では優勝します。
聖グロリアーナ女学院
読み方はセントグロリアーナです。イギリス風の校風を持つお嬢様学校で神奈川県横浜港を母校にしています。イギリス風なだけあって紅茶には並々ならぬこだわりを持っています。戦車道でも紅茶へのこだわりを見せています。戦車道の幹部陣やレギュラーメンバーはニックネームに紅茶の名前が与えられます。また、試合中車内でも紅茶を淹れ飲みながら試合します。戦車がどんな走りをしようとも”紅茶を一滴もこぼさない”のがレギュラーになるためのひとつの条件であるほどです。好敵手と認めた相手にはティーセットを送る習慣もあり、大洗との練習試合後に送っています。戦車道では過去に全国準優勝の経験があり、強豪校の一校でもあります。イギリスらしく、騎士道精神を好み正々堂々とした戦いをします。サンダースやプラウダのような下品な戦い方(物量で押し切ったり、自分に有利なところへ誘い込んで包囲するなど)はしないと言い切っており、プライドが高いところもあります。保有車輌はチャーチル歩兵戦車mk.Ⅶ、マチルダⅡ歩兵戦車mk.Ⅲ/Ⅳ、クルセイダー巡航戦車mk.Ⅲなどです。クロムウェル巡航戦車も保有していますが現在故障中です。硬い装甲の歩兵戦車で正面からじりじりと敵を追い詰め、足の速い巡航戦車で背後を取るといった戦術を得意とします。練習試合で大洗と対戦し勝利します。全国大会では準決勝で黒森峰女学園に敗れています。また、作中大洗と対戦した学校の中で唯一大洗に負けていない学校でもあります。
サンダース大学付属高校
長崎県佐世保港を母港としている高校です。アメリカ風の校風をしており、ほとんどの生徒がフレンドリーで明るい性格をしています。(副隊長のナオミのように寡黙でクールな生徒もいるようです。)戦車保有台数が全国一で、戦車道チームに所属する生徒の数も全国一、チームは一軍から三軍まであるなど規模が大きい学校です。戦車のみならず、C-5M輸送機、オスプレイ、ヘアサロン車にシャワー車など様々な装備品を取りそろえているリッチな学校でもあります。戦車道ではM4シャーマンを中心とした編成で、大量の火力を一点に集中して敵車輌を突破する戦術を得意とします。そのため、全国大会では車輌の投入可能数が増える後半に実力を発揮します。また、編成の中心であるM4シャーマンは故障が少なく信頼性の高い戦車で、仮に故障したとしても戦車が多いので代わりをすぐに用意できるなど、常にベストコンディションで試合に臨める強みもあります。全国大会では1回戦で大洗と対戦します。ここでも大洗の二倍の車輌数という点を生かして一気にたたみかけました。しかしながらフラッグ車を孤立させられてしまい先に撃破され敗北します。隊長のケイはフェアプレーを好み、車輌数が半分な上に、隊員が無断で盗聴をしていたにもかかわらず、自分たちに勝った大洗を好敵手と認めました。みほに「エキサイティングだった」と抱きつき「戦車道は戦争じゃない、道を踏み外したら戦車が泣く」と言いました。なにげに、みほが自分の戦車道を見つけるきっかけになった人物かもしれません。
アンツィオ高校
所在は栃木県ですが、海がないため静岡県清水港を母港にしています。創始者がイタリア人のためイタリアの雰囲気が強く、生徒も自由奔放で明るい生徒が多い学校です。後先考えずにその場のノリと勢いで学内にも、ミラノの時計塔のような建物やコロッセオなどイタリアの建造物に似たものがあります。また、食と芸術に力を入れています。学校自体が予算不足に悩まされており、学内全体が貧乏な状態です。そのため、各委員会やクラブが予算獲得のために自主的に露店を出しています。戦車道の実力は低い方です。豆戦車のCV-33が多く、8ミリ機銃は戦車に対し明らかに火力不足です。敵戦車にまともにダメージを与えられるのはM41セモヴェンテですが、これも性能が低いです。隊員達が三度のおやつを二度にして代々コツコツと貯金をしてようやく購入できた必殺秘密兵器”P40”も重戦車と言われていますが世界的に見れば中戦車に近く、どれも他校と比べ性能の低い戦車なのです。また資金が乏しいため車輌の修理、整備が追いつかずCV-35、CV-38やM13/40中戦車などが故障したままなど、困窮しています。それでも、CV-33の機動力を生かし、敵を撹乱、包囲してセモヴェンテでとどめを刺すという戦術で全国大会1回戦のマジノ女学園戦を突破して2回戦に進出するなど、隊員の練度は低くありません。2回戦の大洗戦でもデコイを使った欺瞞作戦を展開しますが、隊員の持ち前のあまり深く考えずノリでやりきる性格があだとなり作戦が失敗、車輌スペックではほぼ同等の大洗に敗北しました。ちなみに、試合後は打ち上げパーティーを開催し、自分のチームも相手チームも試合に関わったスタッフもねぎらうという伝統があります。
プラウダ高校
青森県に所在するロシアと関係が深い高校です。真面目な生徒が多く、東北弁で話すことも多いです。また、ロシア文化の影響が強く出ています。校名の「プラウダ」とは旧ソ連共産党の機関誌(現在はロシアの新聞として残っています)が由来と思われます。ロシア語で「真実・正義」を意味します。高緯度の海域を航行するので気温が低く、学園艦の甲板上にスキーのジャンプ台があるなど、冬季スポーツも盛んに行われています。戦車道も黒森峰に並ぶ強豪校として知られ、第62回全国大会では黒森峰の10連覇を阻み優勝しています。雪上での戦闘も得意として、地形や気候などを後ろ盾に自分の有利なところへ敵を誘い込み包囲する戦法を得意としています。隊長のカチューシャは物量で相手陣地を押しつぶすスチームローラー戦術を好んでいます。保有戦車も史実で「T-34ショック」という言葉を生み出したソ連の優秀な戦車T-34/76、T-34/85にKV-2、IS-2(JS-2)など高性能の戦車を数多く取りそろえています。優秀な隊員に優秀な車輌、そして隊長のカチューシャも優秀ですが、それ故に油断してしまうことがあり大洗戦ではフラッグ車の護衛も1輌のみにして孤立させてしまい結果格下の相手に敗北しています。スピンオフ作品「リボンの武者」でも自分たちの実力を過信して、フラッグ車を孤立させてしまいフラッグ車を撃破されました。そのときカチューシャの悪い癖だと指摘されています。
黒森峰女学園
熊本県に所在する、戦車道の絶対的王者の学校です。主人公西住みほが以前在籍していた高校で、姉の西住まほが在籍しています。学園艦の規模も最大級で、全長は20km以上、10万人以上が生活しています。生徒達は皆真面目で正義感、責任感が強いです。勤勉で行動派といった長所はあるものの、保守的な生徒が多く変革を好みません。また、規律立った行動ができる反面、不測の事態に陥ると混乱してしまいます。戦車道では二大流派のひとつ「西住流」の影響を強く受けています。戦術としては、重装甲大火力の戦車を前に敵を真正面から迎え撃つというまさに王者にふさわしい戦い方をします。規律立った隊列を組み、機動戦術で敵を撃破する電撃戦が得意です。反面、突発的な問題に対処する能力が弱くすぐに混乱してしまいます。全国大会の大洗戦では、大洗の奇抜な作戦の前に大混乱に陥りました。命令を忠実に実行する実力は高いですが、各個人が判断し自分たちで行動することができないのです。しかしながら、各個人の練度自体は非常に高く、さらに戦車の性能も高いものばかりです。全国大会は前人未踏の9連覇を達成しているなど、絶対的王者の座は揺るぎないものでしょう。
劇場版で活躍する高校
知波単学園
千葉港を母港としてますが、学園艦が大きく東京湾に入れないため連絡船を用いて寄港しています。千葉県習志野市に学校があり、創立当初は「千葉県立短期大学附属高校(略して千葉短高校)」でしたが、大学との関係がなくなり”知恵の波を単身でわたれるような学生になるように”との意味を込めて「知波単学園」となりました。また、「チハタン」は97式中戦車チハの愛称です。戦車道は盛んに行われていて、保有車両数も非常に多いようです。しかし、そのほとんどが97式中戦車チハ(新旧混在)ばかりで、戦車道においては明らかに性能不足です。知波単のお家芸ともいえるのが、全車輌が一斉に敵へと突撃する戦法です。以前この戦法により全国大会で勝ち進んだために以後もこれを採用しずっと続けています。隊員達も突撃が性分に合っているらしく突撃して潔く散ることを誇りとしています。これが「知波単魂」です。生徒達は、突撃好きが表すように曲がったことが嫌いで、真面目です。また、先輩や上官の命令に忠実な面もあります。新たに隊長となった西絹代も知波単伝統の突撃を好んでいますが、全国大会で惨敗したことや戦果が上がらないこと、大洗の柔軟な戦い方を体験して徐々に「今のままではいけない」と感じ始めています。改革の時が近いのかもしれません。
継続高校
石川県を拠点とする高校で、名前の由来はフィンランドとソ連の間で起きた「継続戦争」です。規模が小さく資金面でも貧しい学校ですが、戦車道は盛んに行われています。アンツィオ高校でさえ隊員全員にパンツァージャケットを用意しているのに、継続高校は制服の上にに学校指定のジャージを着るだけなど戦車道でも資金難は響いている様子です。保有車輌はフィンランド、ソ連、ドイツ、フランスの混成チームです。プラウダとは、勝ったチームが相手の車輌を1輌もらえるという「鹵獲ルール」で定期的に試合をしています。しかし継続高校保有しているKV-1についてプラウダ高校から不正があったと異議申し立てられていることがわかります。このためプラウダ高校とは仲が悪いです。しかしながら、劇中では黒森峰を練習試合で苦戦させたり、雪原など足場の悪いフィールドで真価を発揮することなどが明らかにされています。スピンオフ作品「リトルアーミーⅡ」でも大洗を破っているなど、影の強豪として存在感を発揮しています。
最終章で活躍する高校
BC自由学園
岡山県津山市のBC高校と岡山市の自由学園が双方の学園艦の老朽化を受け学園艦新造の際に統合された高校です。しかし両校の主導権争いが起きてしまい、学園艦の左舷に旧自由学園、右舷に旧BC高校という風に仲違いした学校です。今は統合から時間もたっているので気にしない生徒も増えているようですが、それでもまだいざこざはあっているようです。最終章では、中等部からのエスカレーター組と他中学からの受験組との争いという構図に設定が多少変更されています。戦車道においては、フランスの車輌を中心に保有しています。ルノーFT-17に機動力が高く装甲も厚いソミュアS35、攻撃の要となるARL44が確認されています。大学選抜のアズミの母校であり、アズミに「まとまりさえすれば強い」と評されているように、隊員の練度は高く車輌もバランスがとれているのですが、前述の通りチーム内の仲が悪いため全国大会では1回戦敗退が続いているようです。最終章でも大洗と対戦し仲違いしている様を見た大洗に勝てると言われていますが…。ちなみに、アニメより先にスピンオフ作品「リボンの武者」で登場しますが、こちらでは内輪もめの理由が前者の統合によるものとして描かれています。また、M4A2シャーマンやパンターG型、軽戦車のルノーR35など雑多な車輌を持っていることが確認されています。
その他の高校
ヴァイキング水産高校
岩手を母校にしている高校で、真面目で勤勉な校風をしています。戦車道においてもその真面目さが出ているようで、事前の計画通りに動くことを重視しまた得意としています。その分計画外の突発事態に対応するのが苦手です。保有車輌はフランス戦車やドイツ戦車などの各国混成の車輌です。全国大会ではコアラの森学園を破り2回戦に進んでいます。
コアラの森学園
鳥取港を母港としている学園で、イギリスから購入した学園艦を使っています。フレンドリーでのんびりしつつも、効率主義な校風をしています。上下関係も緩いようです。戦車道でも隊長と部下という関係よりも、全員対等という意識が強く一斉に行動することが多いです。保有車輌はイギリス、アメリカの戦車が中心ですが、名前の通りオーストラリア産の”センチネル巡航戦車”も保有しています。全国大会では1回戦でヴァイキング水産高校に敗れています。
ボンプル高校
神奈川県に医療系の高校として設立され、規模が拡大したため福井県敦賀港に母港を移した高校です。聖グロリアーナと友好的で交換留学を積極的に行っています。誠実で真面目、勤勉で成績優秀な学校で、一流大学への進学率も高いです。戦車道では7TP単砲塔型、双砲塔型など軽戦車や豆戦車を中心とした機動戦術を得意とします。全国大会では1回戦でプラウダ高校に敗れています。スピンオフ作品「リボンの武者」ではタンカスロンの強豪校として君臨し、公式戦では歯が立たないプラウダ高校に並々ならぬ対抗心を燃やしています。
マジノ女学院
山梨県に創設された学校ですが、山梨には港がないため静岡県の港を借りている学校です。マナーを非常に重んじ、礼儀正しい生徒が多く規律を重視します。しかし時間にルーズな面もあるようです。戦車道でも正々堂々と戦うことを好んでいます。保有車輌はフランスの軽戦車、中戦車、重戦車を持ちバランスがとれていますが、いささか性能不足です。またそもそも無線機を搭載していない車輌に無線機を載せているので乗員はいつも忙しくしています。戦術は重戦車を中心に据え、その周りに軽、中戦車を配置し防御陣地を形成、接近する敵を撃破するといったものです。しかし戦果が挙がらず、機動戦術への移行も試しています。全国大会では1回戦でアンツィオ高校と対戦し敗れています。また、スピンオフ作品「激闘!マジノ戦です!」では大洗と練習試合をしています。
ヨーグルト学園
群馬県の学校で千葉の木更津港借りています。名前の通りヨーグルトの生産が活発に行われており、畜産科と農業科の生徒が多いです。しかし、学園艦は小さく生徒数も少ないようです。学校の方針は「質素・倹約・勤勉・忍耐」です。戦車道でもスクラップからパーツを寄せ集めて組み立てた再生車輌が多く予算のやりくりに苦労しているようです。保有車輌はドイツの車輌が中心です。全国大会では1回戦でワッフル学園に敗れています。また、島田流とも交流があり、大学選抜戦ではそれを理由に大洗への協力を断っていました。
ワッフル学園
神戸港を母港にしている高校です。比較的勤勉で保守的な生徒が多いのが特徴です。みんな美食家で、アンツィオ高校と食を通じて交流をしています。戦車道では、軽戦車と装甲車のみしか保有していなかったため急遽各国と交渉し、なんとか105榴弾砲装備のM4中戦車を購入し戦車道大会に参加できるようになりました。しかしながら、全国大会では1回戦でヨーグルト学園を下し2回戦へ、聖グロリアーナと対戦し敗れます。
青師団高校
読み方は「あおしだんこうこう」、和歌山県の下津港を母港にしています。スペイン系の学校で、陽気で好奇心が強い生徒が多いです。予算が少ないものの、おしゃれで芸術や食にこだわる校風をしています。どことなくアンツィオ高校と似た校風をしているようです。アンツィオ高校、ワッフル学園との交流が盛んで、食のイベントを開くほどです。戦車道では軽戦車を多く保有し、機動戦術を好みます。早さを好み、作戦を次々と展開していくスピード感があります。黒森峰とは定期的に交流試合をしています。全国大会では1回戦で継続高校と対戦し敗れています。
その他連盟加入校
第63回戦車道全国高校生大会に出場したのは以上の16校ですが、日本戦車道連盟に加盟する高校は他にもあります。以上の16校に加えて4校確認されています。これらの高校が今後活躍することはあるのでしょうか。また、この20校以外にも戦車道のチームを持っている学校はあることでしょう。(スピンオフ作品では存在しています。)それらの学校はいったいどんな個性を、実力を持っているのでしょうか。それらがわかる日は来るのか楽しみです。