破天荒な展開と、ブラックユーモア満載で人気を博したアニメ「人造昆虫カブトボーグV×V(ビクトリーバイビクトリー)。その作品の背景には、現代社会の闇を感じる部分も……。子ども向けのアニメにしては、考えさせられることの多いこのアニメについて、考察してみました!
カブトボーグでクーデター!?
カブトボーグが大好きな王様のいる国、アマラ王国に召喚される主人公、リュウセイとその友人の勝治とケン。特に勝治のファンであるという王様は、贅沢の限りを尽くして彼をもてなします。しかし、そんな自由人の王様を疎ましく思う市民たちが、なんとクーデターを起こします!本格的な戦争にも関わらず、カブトボーグで応戦しようとするリュウセイ、亡くなってしまうケン、神様となる勝治…。子どもが相手であれ構わずに、いつの時代でも戦争は残酷なものなのだということを、明らかにする一話でした。
カブトボーグの衰退!
自身の頭をカブトムシやクワガタムシのようにカットし、頭をぶつけ合って戦うカブトバトルのブームが到来した第42話。それまでカブトボーグを楽しんでいた子どもたちは皆、カブトボーグを忘れて、カブトバトルに夢中になります。子どもたちの熱しやすく冷めやすい性質を利用し、新たなブームを作って儲けようとする、大人たちの汚さを感じるストーリーでした。最終的には、リュウセイがカブトボーグの面白さを周りに思い出させて、再ブームを到来させます。本当に良いものは、こうして永遠に愛されていくものなのかもしれません。
老舗のカブトボーグVS安い量産型のカブトボーグ
ハードキャッシュ社の働きによりワンコイン(100円)でカブトボーグが手に入るようになり、老舗のカブトボーグ店が廃れていく43話目。リュウセイは老舗のカブトボーグ店を救うため、ハードキャッシュ社に乗り込みます。しかしリュウセイは会社を訪れたことで、スタッフたちの企業努力を知るのです。安くても質の良いものを、より多くの人に商品を手に取ってもらえるようにと、昨今の企業では努力を惜しみません。一方で、古くからある企業には妬まれ、潰しにかかられることも……。43話でも最後には、ハードキャッシュ社が老舗のカブトボーグ店に乗っ取られるという、なんとも後味の悪いオチが待っていました。
現代の父と息子
カブトボーグを使って人類を支配しようとするリュウセイの宿敵、ビックバン総帥は、なんとリュウセイの実の父親。リュウセイは最終話で、自らも将来そんな父親のように、悪の道へ走ってしまうのではないかと悩みます。しかし、ビックバン総帥は根っからの悪ではなく、悪を演じていたのだということが最後にわかります。自ら進んで反面教師となることにより、リュウセイを正していたのです。しつけであれ、激しい叱咤や、ましてや暴力は批難される現代社会。巨人の星の星一徹のような父親は、児童相談所に通報されかねません。強引な方法ではありますが、現代社会においては、ビックバン総帥のような工夫した教育方法が必要なのかもしれません。
まとめ
子ども向けのアニメにも関わらず、あまりスカッとするストーリー展開がなく、闇を抱えたアニメ「人造昆虫カブトボーグV×V」。しかしこのアニメは、あえて闇を見せて視聴者に疑問を持たせる事で、ビックバン総帥のような反面教師的役割を果たしているのかもしれません。