数々の魅力的なキャラクターが登場することで人気を博している本作『シャドーハウス』ですが、個性豊かな見た目をしている生き人形とは対照的に彼らの主人であるシャドーたちは顔がわからないということもあり、比較的人気が低い傾向があります。しかし、本作の特徴である歪な作風は、顔をはじめとして体の全ての部位が黒色に包まれているシャドーたちの存在があるからこそ演出されるものなのではないでしょうか？考えてみれば、本作のように表情を一切見る事ができないキャラクターというのは非常に珍しいですよね。それ故にこのシャドーたちの存在が本作の一つのアイデンティティになっているといえるのではないでしょうか？そこで今回は本作に登場するシャドーたちについて詳しく掘り下げていきたいと思います。作者の工夫が多く施されているキャラクターたちですので、ぜひ注目してみて下さいね。
シャドー一族とは？
そもそもシャドー一族とはどのような人物たちなのでしょうか？ここからは本作で語られているシャドー一族の設定について簡単にまとめて紹介していきたいと思います。作中を通して特に複雑な設定が背景にあるキャラクターたちというのは間違いありませんので、基礎設定も見落とす事なく復習していきましょう。
高貴な身分
シャドー一族は通常の人間とは異なり、広大な屋敷の中で閉鎖的な暮らしをおこなっています。労働を行うこともなく自室でひっそりと暮らす様は中世の貴族階級の暮らしを思い起こさせます。事実、彼らシャドー一族は由緒正しき貴族階級であると自称しており、通常の人々とはかけ離れた生活を送っていることは間違いないようです。
おじいさま
そんな異質な存在であるシャドー一族を束ねるのが、シャドー一族の長で「おじいさま」と呼ばれている人物です。作中ではおじいさまが登場するごとにシャドー一族とその生き人形が歓喜する姿が描かれており、シャドー一族のおじいさまに対する尊崇の念が異常なほどに高い事がわかります。
生き人形
そんな、シャドーたちと切っても切り離すことのできない存在なのが生き人形たちです。生き人形たちはシャドー1人につき1体配置されているシャドーのお世話係の役割を担っている人形たちのことです。この生き人形たちに関しては物語が進むについれて徐々に驚愕の事実が明らかになっていきますので、詳しくはアニメミルでの生き人形たちについて紹介している記事をご覧ください。
すす
シャドーたちには「すす能力」という特殊な能力が存在します。この能力がシャドーによって特性が異なり、中には一生覚醒することのないシャドーもいるという、かなり運要素の濃いものとなっております。作中ではこのすす能力の元となっているすすと、そのすすを使ったすす能力がかなり重要な役割を担っていますので、ぜひこの能力についても注目してみて下さいね。
徐々に明らかになるシャドー一族の正体
さて、ここからは物語を通してさらに明らかになったシャドーたちの正体や設定について紹介していきたいと思います。ここからの内容はかなり多くのネタバレを含みますので、もしネタバレが嫌だという読者の方がいましたら、ここでブラウザバックすることを推奨します。
モーフ
まず、シャドーの正体ですが元々シャドーはケイトなどのような人間の姿だったわけではなく、モーフという寄生型の妖精が本来のシャドーの姿のようです。このモーフは対象の生物と同じような姿に変身し、やがて乗り移るという性質を持っており、シャドーたちは最終的にはエミリコをはじめとした生き人形たちに寄生（合体）することとなります。
生き人形との関係
このように、本来生き人形とシャドーは主従関係を目的とした関係ではなく、やがてシャドーの肉体となる体を育てるというのが生き人形たちがシャドーと共に暮らす理由となっているのです。
一対一で生活する理由
シャドーたちは近くにある生物から影響を受けて自我や身体特徴を形成するので、あそこまで極端に閉鎖的な部屋で生き人形たちと一対一の生活をしていたのですね。
生き人形の洗脳はすす能力か？
しかし、そう考えるとなぜ生き人形たちが主人であるシャドーたちに抵抗しないのかが気になりますね。実は生き人形たちは定期的におじいさまからの労働に対する賄いとしてコーヒーを振る舞われており、そのコーヒーに洗脳作用があるようなのです。このコーヒーは、同じくシャドーに「生き人形の感情に影響を与える能力」を有する人物がいることから、おじいさまかその近くにいる人物のすす能力が混ざっているのではないかと考えられます。
生物の進化とシャドー
さて、ここからは本作に登場するシャドーたちが一体何を表しているのかという点について紹介して行こうと思います。当然ですが、ありとあらゆるキャラクターたちには読者にメッセージを伝えるためのメタファを含んでいます。ここからはそんな本作に登場する謎多きキャラクターであるシャドー一族が何のメタファであるのか考えて行こうと思います。
シャドーの進化は生物の進化過程と酷似している
まず注目して欲しいのはシャドーの進化の過程です、シャドーたちは他の漫画に登場するクリーチャーと異なり、かなり歪な進化の過程を経ています。元々は意識がないような小さな生物がやがて人間のような複雑な生物のように成長していくという進化の過程が描かれています。この特徴進化は原始生物から今日までの生物の進化の過程と酷似しているともいえます。
生物の進化とは
というのも、我々生物も本来はモーフのような自我を持たない極めて単調な構造の微生物であったと考えられているからです。そんな単調な微生物が少しずつ小さな変化を繰り返すことで複雑な生物へと進化したのが我々生物の起源なのです。
共生と生物の進化
さらに注目して欲しいのは生物の共生進化という進化の過程です。 共生進化というのは本来別々の生物であった生物同士が、何らかのきっかけで細胞レベルで合体してしまい、新たな生物として進化するという進化のことです。
意外と身近な進化方法
あまり聞くことのない進化ですが我々人類が空気中から酸素を取り出しエネルギーを作ることができるようになったのは、古代に酸素からエネルギーを取り出すことができていた生物と合体することができたからです。
モーフの進化とその秘密
そのような共生進化の過程を考えてみると、モーフのような単調な生物がいち早く成長するためには、人類のような光の生物と合体してしまうのが早いと言う理屈も生物学的に理解できてしまうのではないでしょうか？
シャドーは原生生物なのか？
これらの生物の進化の歴史を鑑みてみると、極めてモーフの進化の方法と酷似していることがわかりますよね。このことからも、もしかしたらモーフの正体は太古から生き続けている原生生物たちの生き残りの一種であるとも考えられるのではないでしょうか？この辺のモーフの進化の秘密についてはストーリーで後々詳しく語られると思うので、ぜひ注目していきたいですよね。
シャドー一族の謎
上記で解説してきたように、シャドー一族の謎については数多くの視点から推測することができます。しかしどれだけ推測しても、全く理解することのできない謎も多く隠されているのです。ここからはそんな謎多きシャドー一族たちについて、彼らの謎をさらに深掘りしていきたいと思います。
おじいさまの正体
まず何よりも気になるのがおじいさまの正体ですよね。すべてのシャドーたちの長であるおじい様は一体何者なのか？そして彼がどのような能力を持っているのか？など彼に対してはあまりにも多くの謎が隠されています。
どこから来たのか？
さらにおじいさまを始めとしたシャドーたちがどこから来たのかという点も謎に包まれています。作中ではシャドー一族が突如として登場するシーンも描かれていますが、まだまだ彼らがどこから生まれたのか詳しく描かれてはいません。この辺りの謎も詳しく描いてほしいですよね。
何を目指しているのか？
シャドー一族たちに関しては、発生した理由や長のおじいさまの正体だけではなく、そもそも彼らが何を目指しているのかという点も明らかになっていません。すす能力を使って近隣の住民たちを洗脳し、自らの生き人形たちとして利用するその先にはどのような企みが潜んでいるのか？これからに注目ですよね。
まとめ
いかがでしたか？今回は本作に登場する謎大きいキャラクター達、シャドー一族について紹介していきました。他の漫画作品では見ることのできない全身真っ黒なキャラクター達、その見た目が故に彼らの感情を理解する事は少し難しいですが、彼らにもしっかりと喜怒哀楽があるようです。そのため会話や行動から彼らの心情について推測していく必要があるのですね。ぜひこの記事をきっかけにシャドーの立場に立ち、これまでよりも注目していただけるようになっていただければ幸いです。
