2021年に漫画大賞受賞、2023年秋にアニメ化と勢いが止まらない『葬送のフリーレン』!長命の主人公が様々な出会いや別れを経て歴史を紡いでいく大河ドラマみたいなファンタジーなのですが、この作品に触れてみて、ある一つの名作を連想しました。フリーレン独特の出会いや別れのエモーショナルな切なさやそもそもの設定など、葬送のフリーレンが面白い!と思った人に絶対オススメしたい一つの名作ゲームを紹介したいと思います!
目次
ナムコが作り出した隠れた名作『ヴィーナス&ブレイブス』
紹介したい作品は2003年にナムコから発売されたPS2用ソフトの『ヴィーナス&ブレイブス 〜魔女と女神と滅びの予言〜』 という作品です。2011年にはPSPの移植が発売されており、世間一般では隠れた名作として認知されています。そんな『ヴィーナス&ブレイブス』は葬送のフリーレンとよく似た雰囲気や面白さを持っていると個人的に思っている作品で、フリーレンが面白いと感じた読者であれば必ず琴線に触れる作品だと思っています!
『ヴィーナス&ブレイブス』のあらすじ紹介!
アクラル世紀999年。この年に災厄が訪れると予言されていましたが、人々はそんなことをすっかり忘れて暮れの忙しさに奔走していました。しかし、突如として魔物たちが街を襲い、人々は大混乱に陥ってしまいます。そんな窮地を救ったのが、普段から昼行燈だと馬鹿にされていたゴーレム山賊団の団員たちでした。そんな山賊団を率いる不老不死の男、ブラッド・ボアルのもとに謎の女性が現れ、災厄はまだ終わっていないと告げられます。その女性の正体は女神アリア。女神アリアの持つ予言の書に従い、ブラッドたちは100年という長い長い戦いに身を投じていくことになります。
主人公が不老不死の男、フリーレンもほぼ不老
ヴィーナス&ブレイブスの主人公、ブラッド・ボアルは作中開始時点で345歳で、不老不死の人間です。葬送のフリーレンの主人公は不老不死ではありませんが、1000年以上の時を生きたほぼ不老の存在です。年をとることのない主人公と普通に老いてそして死んでいく仲間たちとの出会いと別れが一つの大きな要素となっているのは、これ以上ないほどの共通点です。不老の主人公による出会いと別れの大河ドラマであり、そういう共通のジャンルとも言えるのですが、良作ともそのテーマを上手く描いています!
登場人物はみんな死ぬ!だけど意思は受け継がれる
ヴィーナス&ブレイブスでは固有キャラ、モブ団員を含めて全員死ぬ運命にあります。それは全員に等しく訪れる、寿命という死です。主人公のブラッドは仲間たちと出会い、そして死別しますが、その意思を受け継いだ新しい世代と共に戦っていきます。それはフリーレンにも同じような事が言えて、過去にともに戦ったヒンメルやハイターとの死別の後、その意思や技を継いだフェルンやシュタルクとともに冒険を続けるという展開があります。そして、フリーレンが長寿のエルフである以上、フェルンやシュタルクとも必ず別れが訪れるわけです。別れは切ないけど、新たな世代とともに前に進んでいくというのはしんみりするけどアツい展開です。
世代交代して騎士団を強くする!歴史の重みで戦うRPG!
ヴィーナス&ブレイブスでは前述のように、老いて衰えていくというシステムがあります。そのため、常に新しい血を入れ替えていく必要があります。そこで重要となるのが結婚システムで、上手く男女のペアをくっ付けると団員同士で結婚イベントが起こります。結婚すると二人は子供を産み、その子供はやがて騎士団へと入団します。この子供が激烈に強く、この子供がさらに子供を産んで世代を重ねるとさらに劇的に強くなっていきます。こうして、歴史を重ねて騎士団を強くしていくというゲームなのです。
フリーレンでも感じられる歴史の重み
対してフリーレンではこうした意思を受け継いだものたちが強くなっていく、という要素は若干薄いです。フェルンとシュタルクが恋人同士になって、その子供たちがフリーレンを助けていく……という展開になるのかはまだまだ未定です。しかし、フリーレンの世界でも歴史の重みというのはあって、過去に戦って放置するしかなかった敵も、歴史を重ねて技術が進歩したことで倒せるようになったり、歴史の重みを感じさせるものがあります。ヴィーナス&ブレイブスでも勝てない敵は放置して、勝てるようになるまで待つというプレイングが存在しますね。
戦闘システムはちょっと独特!戦略をたてて完封せよ!
ヴィーナス&ブレイブスの戦闘システムはちょっと独特で、騎士団の中から7人を選出し4×3のフィールドに前列(攻撃)・中列(支援)・後列(回復)に味方を配置し、1ターンごとに陣形をローテーションすることで戦闘を行っていきます。敵の行動パターンもほぼ決まっているため、戦闘前からしっかり戦略をたておけば味方の強さも関係しますが完封することが可能です。戦いは準備の段階で全てが決まります。大事なのは間合い、そして引かぬ心と電卓だ。
人の心がわからない合理主義なヒロイン、女神アリア
ヴィーナス&ブレイブスにはヒロインとなるキャラクターが存在し、そのキャラクターが女神アリアというキャラクターです。ヴィーナス&ブレイブスでは予言の書に記された魔物を倒すために騎士団を強くしていきます。ゲーム的に言えば『〇年後にボス戦があるから準備しろ』という感じです。そして、そんな予言を教えてくれるのがヒロインの女神アリアです。ただ、この女神アリアは不老不死の女神であるがゆえに人の心が分からない超合理主義のヒロインなのです。
無慈悲だけど正しい?
この女神アリアは合理的で事務的、一切感情を表に出さず淡々と話をするようなキャラで、『弱すぎて素質もなく使い物にならない団員をクビにしろ』とか『老いて使い物にならなくなった団員をさっさと退団させろ』とか超合理的で人の心がない判断をブラッドに迫ります。非情な判断ですが、その判断はストーリー的にもゲーム的にも正解なのです。女神は世界を救うことだけを考えていて、そのためには個人の人生を考慮に入れるべきではないと考えているのです。対するブラッドはとてもお人好しで人間くさく泥臭く諦めも悪いキャラクターで、女神の意見に反発し団員を死なせてしまったり要らぬ苦労を背負いこむキャラクターです。
10年の間で変わったフリーレン
ですが、女神アリアはブラッドたちに影響されて、少しずつ人間の気持ちを理解し行動に移していきます。それは後々に大きな意味を持つのですが、フリーレンの方に目を向けてみると、フリーレンにも似たような性格をしています。おそらく勇者ヒンメルとの冒険が始める前までは女神アリアのような性格だったのだと思います。でも、フリーレンもヒンメルたちに影響されて、彼の葬儀のときには何故自分はもっとヒンメルのことを知ろうとしなかったのかを後悔するなど、短い時間の中で影響されて変わっていく。そんな考え方の移り変わりは両作品で共通しており、作品の見どころの一つと言っていいでしょう。
全体的に暗い『ヴィーナス&ブレイブス』、明るい『葬送のフリーレン』
似ている雰囲気のある良作ですが、明確に違うところもあって、ヴィーナス&ブレイブスはラスボスを倒す前の平和じゃない世界での物語で、フリーレンはラスボス討伐後の物語です。よって前者が全体的に暗く絶望的な状況から脱却するために時間をかけて足掻いていくというのに対し、後者は魔王を討伐し比較的平和になった世界を巡るお話です。ヴィーナス&ブレイブスでは仲間の死別や絶望から過激な行動を起こす民衆たちなど、鬱屈としつつも印象に残るエピソードが多い中、フリーレンは平和になった後で気ままに世界を旅して勇者たちの歴史を回想したりとのノスタルジックで癒される明るい印象の作品です。
【葬送のフリーレン】フリーレン好きの人にオススメの名作まとめ
今回は葬送のフリーレンが好きな人に絶対おすすめのゲーム『ヴィーナス&ブレイブス』を紹介してみました!類似点もたくさんあるゲームですが、何というか作中の雰囲気や得られる感動、そういったものが似ていて、フリーレンが好きな人なら絶対に楽しめる作品だと思います!機種が古いので、ハードを揃えるのは簡単じゃないかもしれませんが、滅茶苦茶面白くて感動できる作品なので、PVだけでも見てください!あとバンナムさんは続編かリメイク出してください。