ついにアニメ化が決定した人気バスケ漫画「あひるの空」。放送まで待ちきれませんね。今回は、アニメ化にあたって、この「あひるの空」という作品の魅力を紹介していきたいと思います。
目次
1.挫折と成長を描いたストーリー
「あひるの空」の最大の特徴と言えば、高校のバスケットボール部を舞台に主人公たちの挫折と成長を描いたストーリーが挙げられます。よくあるスポーツ漫画であれば、主人公を中心にチームが勝ち続けていくストーリーが考えられますが、「あひるの空」の中心となる九頭竜高校男子バスケ部はとにかく負けます。漫画でいうと10巻まで勝つことはありません。とにかく負け続けます。しかし、そんな敗戦を繰り返す中で、キャラクター達が人間的に成長していったり、過去の挫折を乗り越えていく様は、他の漫画では中々描かれていない「あひるの空」特有の面白さといえるでしょう。とにかくキャラクター達は、時間がたつにつれて、弱かった部分を克服したり、チームとの絆を深めたり、自立心を持っていたりなど成長を遂げていきます。
2.主人公がコンプレックスを抱えている
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」の主人公・車谷空はバスケットボールプレイヤーでありながら身長が150㎝ほどしかありません。身長が有利に働くバスケットボールにおいて、ここまで小柄な選手はまれであり、空自身も体が小さいことに対するコンプレックスを持っていました。しかし、チームメイトと共に戦っていく中で、そのようなコンプレックスなど感じさせないほどの強さを身に着けていき、自分よりも大きな体の選手たちと戦っていきます。このコンプレックスを抱えながらも、それに負けずに前を向いている空の姿勢に心打たれますね。「あひるの空」には様々なキャラクターが登場しますが、誰もが何かしらの問題を抱えています。そういった問題に立ち向かっていき、乗り越えていくという成長を遂げるというのが、この作品の根幹でもあり、車谷空はそれを象徴しているキャラクターともいえますね。
3.一芸に秀でたキャラクターたち
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
空たちが属する九頭竜高校バスケットボール部の選手たちは、弱点はあるものの1つの能力に関してはずば抜けたものを持っており、それがキャラクターの魅力になっています。例えば、車谷空は小柄ながら精度の高い3ポイントシュートを得意としています。シュートが苦手な花園百春は、驚異的なジャンプ力でゴール下では無類の強さを発揮しています。花園千秋はスピードや俊敏性に欠けるものの、抜群のバスセンスとゲームメイク能力を持っており、司令塔として活躍。夏目健二は協調性に欠ける一面がありましたが、バスケセンスはずば抜けており、1on1では無類の強さを持っています。茂吉要はスタミナが極端にないものの、198㎝という長身を生かしたフックシュートを得意としています。このように九頭竜高校バスケ部の選手たちは、何か一つ自分の武器を持っており、それらを合わせることによって強いチームになることを目指しています。
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
4.「敗者」を丁寧に描いている
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
スポーツを舞台にした作品では、主に勝者にスポットライトが当たることが多いですよね。しかし、「あひるの空」では、勝負に敗れた敗者の存在をとにかく丁寧に描いています。序盤で、試合に負け続ける九頭竜高校バスケ部ももちろんですが、インターハイ県予選で横浜大栄高校に敗れた、北住吉高校や新丸子高校の姿も印象的でした。試合に敗れた後、各々の中心選手たちは悔しさのあまり涙を流してしまうのですが、それに至るまでに描かれたストーリーによって、彼らのインターハイにかける思いが伝わってくるので、非常に心打たれます。勝者がいれば、敗者がいることは当然ではありますが、この敗者の存在を明確に描いているのが、この作品の面白いところだと思います。
5.高校生らしい日常風景
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」では、高校のバスケットボール部を中心に、リアルな高校生の姿を描いたところに面白さがあります。スポーツ漫画では、特に部活が中心に描かれ、すべての選手が一生懸命練習している姿が見られますが、「あひるの空」では、何気ない日常的なシーンも各所に織り交ぜながら、高校生たちのリアルな姿を描いています。やはり普通の高校生であれば、部活がめんどくさいと感じることもあれば、テストで苦しむこともあります。何気ない下校や、教室でしゃべっている姿などから、作品の世界観が思う存分味わうことができますね。
6.胸を打つ名言が度々出てくる
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」を読んでいると、胸を打つ名言の数々が登場します。それは、キャラクター達のリアルな心情を読者に伝えるという作者の日向武さんの意図するところなのかもしれません。読む人によってはポエムっぽくて苦手と感じてしまう人もいるかもしれませんが、作中に登場する言葉の数々に胸打たれる人も多いです。
7.ドロップアウトを経験したクズ高のメンバーたち
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
九頭竜高校男子バスケットボール部のメンバーは、それぞれ過去にドロップアウトをした経験があります。例えば、花園千秋の場合、中学校のバスケ部で強豪と対戦した時に、ぼろ負けの状況に耐えかねて試合の途中から逃げ出し、そのままバスケットから離れています。花園百春の場合は、中学時代に出場した試合でシュートが全く入らず途中で交代させられたことをきっかけにバスケを辞めています。茂吉要は、中学時代、長身で期待されていながらも、思うように期待にこたえられず、プレッシャーに耐えかねてバスケット辞めてしまいます。夏目健二の協調性がなく、度々チームメイトとトラブルを起こしていたため、一人でバスケをやっていました。このように九頭竜高校バスケ部には、バスケを一度ドロップアウトした選手たちが集まって、再び上がっていこうというストーリーでもあります。続けていたものを辞めるということや、やめたからこそ理解できることなど、そういった要素がキャラクターに深みを与えています。
8.初心者が成長していくドラマ
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
九頭竜高校バスケ部には、安原・鍋島・茶木という高校からバスケを始めた3人の初心者が登場します。この3人がそれぞれに成長していくというストーリーもこの作品の魅力でもあります。安原は、3人の中では一番やる気があり、上達も早く、持ち前の運動神経を武器に経験者とも普通に渡り合えるレベルにまで成長します。鍋島も周りの成長に焦りを感じてから、3ポイントシュートを身に着けようと努力し、その甲斐あって今では九頭竜高校の貴重なアウトサイドプレイヤーとなっています。茶木はディフェンスに定評があったのですが、他の2人が成長していくことへの焦りや、チーム内での役割が見いだせなかったことがきっかけで、バスケ部を辞めてしまいます。この初心者の3人は三者三葉の展開を見せていくという所もこの作品の注目ポイントといえるでしょう。
9.色とりどりの恋愛模様
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」は、バスケットがメインで描かれている漫画で、恋愛要素は少ないのですが、その中でも色とりどり恋愛模様が現れています。例えば、車谷空は薮内円に憧れていますが、その円は百春に好意を寄せています。ストーリーが進んでいくにつれて、円と百春はいい感じの関係になっていきます。一方でバスケ部のマネージャーを務める七尾奈緒は空に好意を寄せているような素振りを見せています。これらの恋愛模様が今後どのように発展していくのか見ものですね。
10.高校生たちを取り巻く大人たちが魅力的
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」では、登場する高校生だけではなく、それらに関わる大人たちも魅力的です。バスケ部顧問の五月先生や、監督の坂田さん、空の父親の智久、その他の学校の先生など、部員たちを囲む大人たちがどのように変化していくのかという点も見どころです。
まとめ
出典: あひるの空 ©日向武史・講談社/「あひるの空」製作委員会
「あひるの空」は王道のバスケ漫画の線を言っているように見せて、実は、「あひるの空」ならではの要素が多分に含まれています。高校生のリアルな心情や、それを表す言葉の数々など、色々な魅力が詰まっている漫画なので、ぜひ一度読んでみてください。