約束のネバーランドで描かれる世界には、ある約束によって鬼と人間の世界が二つに別れています。物語の始まりは、鬼の世界で食用児として育てられていることを知らない主人公たちが、その真実を知ることから始まります。自分たちは、鬼の高級な餌であったことを知った主人公のエマ達は、食用児を救うべく、農園を脱走し、世界をも救おうと考えるのでした。では、ここで描かれている鬼ってどんな存在なのでしょう。考察も含めて紹介させていただきます。
約束によって分けられた人間と鬼
出典: 約束のネバーランド ©白井カイウ/出水ぽすか/集英社/CloverWorks
昔、鬼は人間を食らうために狩っていた時代がありました。そんな鬼を人間達は脅威と感じ、平伏すものもいれば、武器をもち彼らを殺してしまう人間も出てきました。そんな人間達は協力し、鬼を殺し始め、鬼もいつしか人間を憎むべき存在と捉えるようになったのです。しかし、人間も鬼もそんな殺したり食べられたりの争いが続く中で、この世界に嫌気がさしてきたころ、人間側がある協定を結びにやってきます。それが、人間は鬼を狩らない。鬼も人間も狩らない。という約束でした。この約束により、人間と鬼の世界は二つに分けられることとなったのです。
鬼のボス?△(鬼の言語で解読不能)とは?約束との関係は?
出典: 約束のネバーランド ©白井カイウ/出水ぽすか/集英社/CloverWorks
事あるごとに名前の出てくる△(鬼の言語で解読不能)。一体どんな存在なのでしょうか。彼は、人間と約束を締結した鬼で、鬼の長寿を考えると、代替わりしたとかそのようなものではなく、本人だと思われます。扱いをみるに、特上の人肉を捧げるべき存在であり、7つの壁を超えたところに存在していることはわかっています。ただ、この鬼が人間を食するかどうかは描写がなくわかっていません。人間を食べる描写が無い、ということ自体がこの鬼がもしかしたら人間を食べない存在である可能性がありますね。この物語では、死んでない描写は、おいおい生きているという可能性を示していることが多分に見受けられますので。7つの壁を超え、彼と再び新たな約束を締結することが可能とも記されています。恐らくは鬼△を探すことが、ひいては7つの壁にたどり着くことが物語の終着点となるのではないでしょうか。
人間を食さない鬼
ソンジュと行動を共にしていたムジカも人間を食する必要のない鬼とされています。元々は人間に情けがありませんでしたが、エマ達とであってから情が映ったような行動をしています。そんな彼女が初めて7つの壁について教えてくれたこと。ペンダントが竜の目で役に立ったこと。そして世界の約束は一つでない事を教えてくれるのです。約束を交わした鬼△(鬼の言語で解読不能)と、かなり近い存在の可能性があります。
約束は鬼では壊すことができない
出典: 約束のネバーランド ©白井カイウ/出水ぽすか/集英社/CloverWorks
これは原初信仰のソンジュという鬼が言っていた言葉。この原初信仰とは、狩猟として神が作り上げたものをいただくのなら神への反逆には当たらない。狩以外では、人間を食べては教義に反するという教えになっています。つまり、約束を結んだ鬼△(鬼の言語で解読不能)と、彼に協力し、農園を作り上げた、資本家、貴族達とは敵対する信仰を持っていることになります。原初信仰の信念は、おそらく約束以前の世界をとり戻すこと。そのために、エマ達にこの鬼△との約束を壊してもらうことを期待しているようです。約束は鬼では壊すことができない。今だに謎が多い文面ですね。
約束が鬼では壊せない理由を推測
ここからは、執筆者の完全なる推測になるのですが、約束を鬼が壊せない理由としては鬼△と他の鬼たちの関係性にあるのではないでしょうか。鬼は専念前から存在しており、かなりの長寿です。しかし、雄、雌の概念はなさそうで、どのように数が増えていくかも全くわかっていません。もし、鬼が全てこの鬼△から出生している。もしくは彼のクローンだとしたら。他の全ての鬼は彼に逆らうことができない。そんな可能性もあるのではないでしょうか。おいおい出てくるもう一つの約束というもが、人間しかその約束を壊せない理由に繋がってくる可能性もありますが。
鬼は約束の後に姿を変えていった
この1000年のうちに我々はだいぶ無秩序な姿になってしまった。信仰を歪め、姿さえも歪めてしまった。つまりこの約束の地の鬼の世界でも多少なりとも悪影響が出ているようです。しかし、ソンジュ、ムジカ、レウウィス対抗、バイヨン卿など知的な鬼もたくさん存在しています。ムジカ達のいっている無秩序な存在とは森で生息しているような野良の鬼達のことをいっているのでしょうか。逆にいうと、約束以前の世界では、鬼達には秩序があったことになります。まだまだ過去の世界の回想はあまり出てきていませんが、どこかできっとあるはずです。
鬼達ともう一つの約束を考察
出典: 約束のネバーランド ©白井カイウ/出水ぽすか/集英社/CloverWorks
考察と言いつつも、推測のいきを出ないのですが、約束締結以前は皆、鬼△を崇拝していた、簡単にいうと戦時中の日本の天皇万歳に近い教義の元生きていたのではないか。そして人間との争いの中で、鬼△は人間に対して憎しみではなく、彼らの持つ愛や仲間意識を羨ましく思い、鬼が彼から生まれてくるのだと仮定すると、彼らに人間のような感情を持たせてみたく思っているのではないか。そしてこれが、もう一つの約束ではないでしょうか。鬼を人間らしく育むための人間の養殖。もっというと、農園では愛という言葉が非常に使用されていたのに対し、鬼は未だに愛という感情を言葉で表現しておりません。そのことから、鬼に愛を教えるというのがもう一つの約束なのではないでしょうか。事実、ノウスとノウマには、二人の間に何か変な感情が生まれており、あれを一種の愛と捉えるのならば、その過程を示しているのではとも考えられます。
この世界の鬼 まとめ
出典: 約束のネバーランド ©白井カイウ/出水ぽすか/集英社/CloverWorks
今だにわかっていないことが多すぎるので、あらゆることが推測でしかありませんが、ノーマンのいる新しい世界も恐らくはもう一つの約束に繋がってくることでしょう。彼らは、このもう一つの約束を果たすために、研究されているのではないでしょうか。とにかく今後が楽しみすぎる作品。目が話せませんね。