今や老若男女を問わず大人気作品となっている鬼滅の刃。ハードでシビアな作風と無常で慈悲のない人間ドラマと間に挟まれるコミカルなシーンが特徴の本作品ですが、産みの親である作者については知らない方も多いと思います。本記事では鬼滅の刃の作者、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)先生について紹介していきたいと思います。
「鬼滅の刃の産みの親、吾峠呼世晴先生」
「プロフィール」
吾峠先生は福岡県出身の漫画家で、顔や性別などは公開されていません。難解な漢字とペンネームから男性が想起されると思いますが女性だと噂されています。二足歩行のワニにメガネを掛けた絵が吾峠先生の自画像になります。ファンからは「ワニ先生」と呼ばれています。好きな漫画作品は「ジョジョの奇妙な冒険」から「クレヨンしんちゃん」まで何でも好きだそうで、特に銀魂が大好きで、ジャンプに漫画を持ち込む切っ掛けとなったそうです。
「漫画家デビューまで」
初めて漫画を描いたのは高校3年生の頃でしたが全く描く事が出来ず、読み切り漫画を書くまでにひたすら描き続けていたそうです。
2013年に初めての読み切り作品として「過狩り狩り」を制作し、少年ジャンプに投稿しました。
「鬼滅の刃の原案!?過狩り狩りとは!」
過狩り狩りは明治〜大正の日本を舞台としていて鬼と鬼狩りの戦いを描いていて、鬼滅の刃の原点とも言える作品です。片腕盲目のナガレというキャラクターが主人公です。鬼滅の刃の主人公の炭治郎と比較すると口数が少なく緘黙です。どちらかと言えば水柱の冨岡義勇を彷彿とさせます。また、刀に刻まれた悪鬼滅殺や最終選別などの設定の他、珠代や愈史郎がほぼそのままの容姿で過狩り狩りに登場していたりと鬼滅の刃に引き継がれている設定が多数あります。
「過狩り狩りのあらすじ①」
とある町で異国から流れ着いた吸血鬼による連続殺人事件が起こっていました。本来の鬼である時川は自身の縄張りを荒らす犯人を捜す目的で同じく鬼である珠世に協力の要請を行いに行きました。珠世に付き従う青年の愈史郎は時川に敵意を剝き出しにし、時川も同様に敵意を向けていましたが珠世がその場を収めて犯人探しに向かいます。
「過狩り狩りのあらすじ②」
場面は変わって夜の川沿い、西洋風の衣装を着た吸血鬼が人間を襲っている所に時川・珠世が現れて交戦します。二対一の状況を物ともせずに戦いは吸血鬼に傾いていきますが、そこに近付く人物がいました。時川と珠世はその場から撤退し、吸血鬼は近付いて来る人物と相対する事になります。その人物は隻腕と顔面の傷が特徴の人間で刀を構えていました。意気揚々と襲い掛かる吸血鬼でしたがあっという間に両腕を斬り落とされ、逃げる事も出来ずに頸を斬られて消滅しました。
「鬼滅の刃に至るまでの苦悩」
吾峠先生は『過狩り狩り』を制作後、多数の作品を世に出しますがハードでシリアスな作風が少年ジャンプに合わず、どれも連載には至りませんでした。吾峠先生は2015年中に連載を取れなければ漫画を辞める覚悟で制作を行いましたが、連載会議では不採用になってしまい、後が無い状況に追い込まれてしまいました。
「鬼滅の刃の前身、鬼殺の流」
当時の担当編集者に原点回帰を提案されて、過狩り狩りの大正時代や鬼、刀などの設定を持ち出して新たな作品を制作しました。それが『鬼殺の流』になります。本作品は1話〜3話まで執筆されており、かなり鬼滅の刃に近付いてきました。鬼を滅する鬼殺隊、日輪刀、隊士に付き従う鴉、隊士を育てる育手の存在、最終選別や選別の舞台の藤襲山などなど、引き継がれている設定が多い他、主人公のナガレを育てた伴田左近次、沼の鬼と人物も引き継がれています。
「鬼殺の流から鬼滅の刃へ」
鬼殺の流の主人公の緘黙さと世界観のシビアさから連載で進めるのが難しく落選してしまいます。次の連載会議が迫り後が無い中で大幅な修正に舵を切りました。それは主人公を変える事でした。鬼殺の流の脇役に「炭売りをしていた少年が鬼にされた妹を人間に戻す為に鬼殺隊に入る」という設定のキャラクターが原案としてありました。そのキャラを主人公として進める方向に進みました。そう、皆さんご存じの「竈門炭治郎」の誕生です。
「鬼滅の刃」
主人公が流から変更された為にタイトルが変更されて「鬼滅の刃」になりました。鬼滅の刃は見事に連載会議を通過して2016年から少年ジャンプにて連載されました。連載はそれからも続き、2019年のアニメ化を起点に社会現象を巻き起こして一躍日本を代表する作品へ昇華しました。鬼滅の刃誕生の秘話には吾峠先生の沢山の苦悩と努力で構成された『過狩り狩り』『鬼殺の流』の二つの作品が深く関わっていました。
「総括」
吾峠呼世晴先生と鬼滅の刃の制作秘話は如何でしたでしょうか。「鬼殺の流」は公式ファンブックの鬼殺隊見聞録に収録されています。「過狩り狩り」やその他の読み切り作品は「吾峠呼世晴短編集」に収録されています。鬼滅の刃の基盤ともいえる作品達は全国の書店などで取り扱われているのでもしご興味がある方は手に取って一読ください。