大人気アニメのゴールデンカムイ 。舞台は日露戦争後の北海道。当時の日本は、これから朝鮮半島の侵略に必死になっていき、どんどん強豪国へとのし上がって行こうという時代です。第二次世界大戦の敗戦まで、日本はただひたすらに軍備拡大、領土拡大を狙っていた時期なのです。そんな時代のこのお話を、史実をもとに、登場キャラがどのように日露戦争に関わっていったかまとめて見ました。
日露戦争時の不死身の杉元
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
杉元佐一は第一師団の所属でした。そもそも師団とは、明治21年それまで各地域の鎮台と呼ばれていた部隊を改編し、師団として改めたものです。杉元の所属した第1師団は元東京鎮台であり、日清戦争、日露戦争に参戦しています。杉元が日清戦争に参加しているかは不明ですが、日露戦争において第一師団は旅順攻囲戦にも参加し、多くの同胞を失っています。杉元ももれなくこの戦闘に参加していました。おそらく、彼の友人である寅次が死んでしまったのもこの戦闘ではないかと思われます。
日露戦争後の不死身の杉元
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
戦争で活躍した杉元は、勲章ものの活躍であったでしょうが、気に食わない上官を殴ってしまい除隊しています。当時の日本では完全なる思想統制が行われていましたが、杉元はそういうことにはあまりとらわれなかったのでしょう。悠々自適ですが、責任感にかられ、惚れた女のために北海道へとやってきます。また、第一師団はというと、改編されてしまいますが、名前を変え、太平洋戦争の時代も部隊として存在しておりました。また、第一師団は二・二六事件とも深く関わっています。が、これは別の折に。
日露戦争時の第七師団
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
第七師団は元々屯田兵であったのですが、改編により第七師団と名前が変わりました。第七師団は最強の部隊と呼ばれ、戊辰、吉南、日清戦争、国内外のすべての戦いに勝利した経験しかない、大迫という男が指揮をとることになります。第七師団は、旅順攻囲戦に参画するためにロシアに派遣され、そこで杉元と共闘しています。実は、この旅順攻囲戦は、あまりに犠牲者が多く出ることが初めから予想されていました。幾度も作戦の変更を促すのですが、結局、天皇の勅命が出てしまい、生存者4割という、熾烈な争いに突入してしまったのです。この争いに勝ったことで日本の優位へと変わって行くのですが、日露戦争時の日本の勝利を聞いた人たちは、喜びはするものの周りの親族やみじかな人が亡くなっている可能性が高く、歓喜といった様相ではなかったと伝えられています。
日露戦争後の第七師団
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
本作中では、相次いだ同胞の死に、国はロシアから賠償金も取らなかったと鶴見中尉たちは国を裏切り、金塊を狙い始めます。これは、思想統制の行われた日本でかなり珍しいことなのです。しかし、本来の国を豊かにするための戦争という発想では、実は鶴見中尉の方が正しいものでもあります。では、実際の第七師団はどうだったのでしょうか。彼らは戦後も最強の師団と呼ばれ天皇から勅使も受け取っています。彼らは、日露戦争において、日本があまりに多くの犠牲を払ったために国民の感情をコントロールすることが、難しくなったため、過大に英雄としてもてはやらされました。
日露戦争に参加した北海道アイヌ
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
キロランケが工員として、第七師団に所属したように、日露戦争は、北海道アイヌが参加し、勲章を貰ったはじめての戦争でもあります。当時、アイヌは同化政策により自分たちの文化を代々受け継ぐことも禁止されて、土人と呼ばれて差別の対象にありました。北海道アイヌはこの日露戦争の参加により日本における地位の向上を願って戦争に参加したのでした。その数は、決して多くなかったものの、自民族の地位の低さに嘆いた者たちが多かったようです。
日露戦争に参加した北海道アイヌのその後
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
日露戦争の功績を評価され、勲章を手にしたアイヌもいましたが、結論を言うと彼らの地位向上にはつながりませんでした。むしろ、アイヌですら、戦争にて国のために戦えば勲章がもらえる。だからみんなも一生懸命に頑張って国のために戦おうという広告に扱われる始末となってしまいます。アイヌの差別がなくなって行くのは、第二次世界大戦後なのです。
日露戦争と登場キャラのまとめ
出典: ゴールデンカムイ ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
日露戦争は、私も学生時代に勉強しましたが、第二次世界大戦の箇所ほど多くを取り扱ってないように思います。しかし、実は日露戦争は当時、強豪国ロシアを小国日本が破ったことにより、有色者人種への差別が強い時代の不平等条約の見直し、日本の地位向上など、賠償金は得られまえんでしたが、多くの恩恵を与えてくれた戦争でした。今後、ゴールデンカムイ がどのような話の展開で、どんなキャラが登場するのか楽しみですね。もしかしたら日露戦争に関係あった人たちがまた出てくるかもしれませんね。