HUNTER×HUNTERに登場する設定の中でも群を抜いてややこしいものといえば間違いなく「念能力」ですよね。ドラゴンボールの「気」やNARUTOの「チャクラ」の様に数ページでわかりやすく説明できる代物ではないので、原作漫画でも設定が小出しに出てくる事も多く、かなり理解しにくくなっています。今回はそんなHUNTER×HUNTERの「念能力」について「作中の設定」「元ネタ」「オーラの系統について」「念能力がもっとわかりやすくなる作品紹介」の4つの観点から徹底解剖していきたいと思います。
作中に登場する念能力の設定
まずは「念能力」について作中で語られている設定を見ていきましょう。
オーラ
HUNTER×HUNTERの世界では、ありとあらゆる生物全てが生命エネルギーをまとっていると説明されています。この生命エネルギーは作中では「オーラ」と呼ばれ、全身に満ちたオーラを利用することで念能力として使うことができます。
簡単に言えば超能力
設定がごちゃごちゃしていてわかりにくいですが、簡単に言ってしまえば超能力です。自身に元々備わっているエネルギーを変換し攻撃をしたり、物質を作り出して戦闘する能力です。
四大行
オーラを利用するといっても、オーラの利用方法には多くの種類があり、この中でも最も基本的な4つの活用方法を「四大行」といいます。あくまでも四大行は基本的な活用方法に過ぎないので四大行以外にもオーラには多くの活用方法があります。四大行にはそれぞれ、身体から発生するオーラを自らの周辺に留めておく「纒(テン)」や身体から発生するオーラを止める「絶(ゼツ)」、オーラを練り上げることでさらに多くのオーラを生み出す「錬(レン)」、オーラを使って敵に技を繰り出す「発(ハツ)」の4つがあります。
死後に念を込める事も可能
念はドラゴンボールの気やNARUTOのチャクラと異なり、使い手の死後に効力を発揮することも可能です。死後に念を込めるにはかなり強い念能力でなくてはならないようで、非常に強い思い込みが必要です。そのため、実際に死後に念を込めることに成功しているキャラクターは作中でもかなりの強者に限られています。
6つの系統
念能力といっても誰もが同じ様な能力を使えるという事ではありません。念能力には6つの系統があり、誰もがこの6つの系統のどれかに属しています。
水見式
自らが6つの系統の内どれに属するのかを調べるのには「水見式」を行う必要があります。水見式では水の上に葉を浮かべたコップの外側に手を添え「練」を行う事で起こる変化から自らの念能力の系統を割り出すことができます。
6つの系統について更に細かく説明!!
それでは、6つの系統とは具体的にどの様な物なのでしょうか?系統ごとに解説していきたいとおもいます。
強化系
念能力によって自身の身体や物質の性質を強化する事ができる念能力系統です。主人公のゴンやネテロがこの能力を有しています。
操作系
相手自身や物質を操る事ができる能力系統です。イルミやプフがこの能力を有しています。
変化系
自身や物質の性質を変化させる事ができる念能力です。ヒソカやキルアがこの能力を有しています。
放出系
オーラをビームの様に放出できる能力系統です。レオリオやナックルがこの能力を有しています。
特質系
特質系はかなり異質な系統で、特質系と言えばこの能力!!と決まっているわけではありません。逆に言ってしまえば、特質系以外の能力に当てはまらない能力は全て特質系になります。クロロやクラピカがこの能力を有しています。
具現化系
オーラを使い道具や生物を発生させる能力です。カイトやクラピカがこの能力を有しています。
念能力の元ネタとは?
数多くあるバトル漫画の設定の中でも、とりわけ難解な「念能力」ですが、果たしてその元ネタは何なのでしょうか?この章では「HUNTER×HUNTER」の「念能力」の元ネタについて、ちょっとコアに解説していきたいと思います。
そもそも「念」とは?
「念」という言葉は、我々も日常生活でよく耳にする事が多いのではないでしょうか?「念願の〇〇」や「念力」「念仏」など多くの日常会話の中で使われています。これらの言葉を見ればわかるように念という言葉には「心に思いを強く留める」という意味があります。
東洋の思想
「念」という言葉が我々の日常会話に深く浸透していることからわかる通り、「念能力」の設定には深く東洋思想が反映されています。
念能力と修験道
数多くある東洋思想の中でも、「念能力」の元ネタとして我々が最もわかりやすい例が「修験道」でしょう。修験道とは、中国から渡ってきた仏教の一種が、日本の山岳信仰と結びついたことによって生まれた日本独自の信仰のことです。
念能力の元ネタは「天狗」にあり
修験道というとなんだかよくわからないと思いますが、漫画やアニメでお馴染みの「天狗」は修験道で修行していた人物たちのことであると考えられています。仏教の修行を行うことによって神秘的な能力を手に入れた修行者が「天狗」であり、彼ら修験道者は聖域である山地での修行を介して、常人では考えられない能力を有していると考えられていました。
生命エネルギーと山岳信仰
修験道は山岳信仰ですので、自然に漂う神聖なエネルギーを修行によって感じ取るといった意味合いも込められていました。このような修験道の考え方は結果的に「HUNTER×HUNTER」の生命エネルギーの設定としていきる事となります。
さらに奥深い「念」の世界
さらに修験道にも元ネタ(?)といえるものが存在しています。修験道とはそもそも中国で生まれた仏教の一種である密教が日本に渡来したことで、日本の山岳信仰と融合して生まれたものなのです。この修験道の元ネタとなった密教というのは、仏による真実の教えを口にすることで呪術的な力を得ることができるという信仰のことです。
密教の「呪術」と「念能力」
HUNTER×HUNTERの「念能力」は「密教」の呪術要素と「修験道」の山岳信仰がうまくいかされており、非常によく練られている設定である事がわかります。
念と日本
密教の伝来は日本に大きな影響を与えており、何らかの術を口にすることで力を発揮するという考え方は修験道だけでなく、陰陽師や忍者の元ともなっています。密教は、札をかざしながら術を唱え悪霊を退治する陰陽師や、印を結び術を使う忍者にもつながっているのです。
「念能力」と「チャクラ」と「密教」
HUNTER×HUNTERの「念能力」とNARUTOの「チャクラ」は元ネタを遡ってみると、それぞれ密教にたどり着くこととなります。密教が日本に渡来したことで我々に与えた影響は、仏教思想の変化だけではなく、数多くの漫画作品の設定の元ネタにもなるなど、非常に大きなものである事がわかります。
他の漫画作品に登場する能力と異なる工夫
「念能力」には、これまでのバトル漫画に登場する能力とは異なる工夫点がいくつか見られます。この章では作者の冨樫義博先生の「念能力」に込めた工夫について分析していきたいと思います。
リアリティー重視
まず第1に挙げられる工夫点は「リアリティーを重視した点」でしょう。上記した様に「念能力」には細かい設定の裏付けがあり、非常に説得力のある設定となっています。
難解な設定故の欠点
ただ一方で、リアリティーを重視し過ぎたが故の欠点として、設定が複雑になりすぎて一遍に説明することができず、読者からしてみればわかりにくい設定となってしまいました。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は「HUNTER×HUNTER」に登場する「念能力」について詳しく紹介しました。「念能力」はかなり複雑な設定ですので、原作ではどうしても拾い切れない「元ネタ」や「作者独自の工夫」について紹介させていただきました。この他にも「HUNTER×HUNTER」について詳しく解説する記事を、アニメミルでは扱っておりますので、そちらのほうも見ていただけたら幸いです。