2018年7月にはアニメ化もされた「はたらく細胞」。小さな細胞たちの日常を描いた作品として人気を集めています。漫画としても大ヒットを記録した「はたらく細胞」ですが、実はこの「はたらく細胞」には、スピンオフ作品があることを皆さんは知っていますか。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞」のスピンオフ作品には、「はたらかない細胞」「はたらく細菌」「はたらく細胞BLACK」の3つがあります。それぞれ、本家「はたらく細胞」では描かれないような人体の仕組みにまつわる事柄が描かれます。
今回は、「はたらく細胞」のスピンオフ作品でもある3作にスポットを当てて、作品の紹介をしていきたいと思います。
スピンオフ作品は作者が異なります
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞」の作者は、清水茜先生ですが、スピンオフ作品では、清水茜先生は監修という立場で、作者が異なります。
「はたらかない細胞」は杉本萌、「はたらく細菌」は吉田はるゆき、「はたらく細胞BLACK」は初嘉屋一生が漫画を担当しています。それぞれ漫画を描いている作者がことなるので、当然絵柄や登場するキャラクターデザインも異なります。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
そういった部分も含めて「はたらく細胞」とは違った世界観を楽しむことができます。同じ赤血球でも、細菌でも、作品によって見た目が異なるので、また違った見方ができますね。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
こじらせ赤血球の日常「はたらかない細胞」
「はたらかない細胞」は、赤血球になれるのに、赤芽球のままだらだらと過ごしている細胞たちが描かれています。赤血球はてきぱきと日々仕事をこなしているのに対して、十分に成長し、いつでも赤血球になれるのに、赤芽球にとどまっているキャラクターたち。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
様々なへ理屈や言い訳を繰り返しながら、赤血球にならない赤芽球たちと、それに振り回されるマクロファージ先生が登場します。
舞台は赤芽球が育つ赤色骨髄
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
この作品の舞台としては、赤血球になる前の赤芽球が育つ赤色骨髄です。この中では、マクロファージに育てられ、一人前の赤血球に育つのですが、あるクラスの赤芽球たちは、十分に成長下にもかかわらず、赤芽球にとどまっています。もうすでに働けるのに、働かないニートのような赤芽球たちと、すぐにでも赤血球になった働いてほしいマクロファージとの日常が描かれています。
登場キャラクターの紹介
「はたらかない細胞」に登場するはたらかない赤芽球などのキャラクターと、はたらかない理由などを紹介していきます。
登場キャラクター① 871(ヤナイくん)
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
主人公的な赤芽球、赤血球になれるのに、一向に脱核しようとしない。マクロファージに赤血球になることを進められるも、様々なへ理屈を用いて、働くことを拒みます。
代表的な言い訳としては、「脱核すると核(自分)を失うことになるからいやだ」や「働けないのではない、働かないのだ」とザ・ニートのような言い訳を連ねます。
登場キャラクター② 036(修くん)
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
メガネをかけた赤芽球。いつも本を読んでおり、人体の知識に関しての勉強を常に行っています。人体に関する知識は豊富にもかかわらず、赤血球になることを拒んでいます。
理由としては、知識が不十分のまま、赤血球になりたくないというものでした。一見まとものように見えますが、赤血球になることを避ける理由として使っています。
登場キャラクター③ 328(ミツバちゃん)
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
女の子の赤芽球で、マクロファージのファン。マクロファージをアイドルに見立てており、オタ活に励んでいます。
赤血球にならない理由としては、赤色骨髄にいるマクロファージ先生のファンだからです。マクロファージ推しとして、ずっと近くで応援するために、赤芽球にとどまっています。
マクロファージのことは「まくまく」と呼んでいます。
登場キャラクター④ 3104(西園寺くん)
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
優雅な王子様のような赤芽球。自分のことをいずれ全ての細胞の上に立つ細胞王だと思っているキャラクター。
うぬぼれが強く自信過剰で、自分のことを王様と思っているため、赤血球のように働くことを拒んでいます。
登場キャラクター⑤ 1516(彦十郎くん)
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
はたらかない赤芽球たちの中で最も年上のキャラクター。背が高いのですが、自分のことを可愛く見て欲しいという願望があり、自分のことを「15(イチゴ)ちゃん」と呼ばせています。
赤血球にならない理由としては、大人になることで可愛いキャラを続けることができないからです。
登場キャラクター⑥ マクロファージ先生
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
はたらかない赤芽球たちの担任を担当しているマクロファージ。一日も早く赤血球になってほしくて、あの手この手で説得を試みるのですが、聞く耳を持たれません。
マクロファージははたらかない細胞たちをどうするのか?
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらかない細胞」第1巻の終盤で明らかにされるのですが、実は赤芽球を育てるマクロファージは、出来の悪い赤芽球を処分することができます。
その事実を知ったマクロファージ先生は、はたらかない赤芽球たちをどうするのか、続きが気になる展開になっています。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌「はたらく細菌」
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細菌」では、体内や皮膚などに存在する細菌たちの姿を描いた作品です。細菌とはいっても、人体にとって悪い影響を及ぼすものばかりではありません。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
細菌の中には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類がおり、それぞれが勢力を拮抗させながら日々生きています。そんな細菌たちの頑張る姿を見ることができます。
善玉菌
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
人体にとっていい影響を及ぼす菌のことで、この作品では、腸に住む常在菌の「ビフィダム菌」がよく登場します。日々悪玉菌との陣取り合戦を繰り広げており、宿主の健康状態によって、形勢が変わってきます。
ビフィダム菌は食物繊維などから作られる酢酸のビームを放って、悪玉菌を弱体化させていきます。
悪玉菌
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
人体にとって悪い影響を及ぼす菌のことで、この作品では、腸に常在する「ウェルシュ菌」がよく登場します。動物性のたんぱく質を分解して、体によくない物質を作り出します。
宿主の食生活が肉中心になってくると活発に活動し、勢力を伸ばしています。
日和見菌
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
善玉菌にも悪玉菌にもどちらにも属さない常在菌を指します。常に、有利な方の味方をする菌で、善玉菌にも悪玉菌もなりえます。善玉菌、悪玉菌たちにとっては、有利な時は味方になってくれるのですが、あっさり裏切られるので、信用できない菌として見ています。
健康的な肉体の菌バランス
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
健康的な体に生息している菌の理想的なバランスがあります。それは、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%という割合です。意外にも、人体には日和見菌が最も多く生息していることもあり、陣取り合戦をしている善玉菌と悪玉菌にとってみれば、いかに日和見菌を見方につけるかということが重要になってきます。
体外からの侵入者には一致団結
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
普段は善玉菌、悪玉菌で陣取り争いをしている体内ではありますが、体外から人体を死滅させるような菌が侵入してきたときは、一致団結して菌と戦います。
体内にサルモネラ菌が侵入した時は、善玉、悪玉菌は一時停戦し、協力してサルモネラ菌と戦いました。これらの常在菌にとってみれば、勢力を拡大することよりも、体内で生存することが最優先でもあるので、普段は争っている両者ですが、こういったときには協力し合います。
大人の体はブラック企業!?「はたらく細胞BLACK」
スピンオフ3作目「はたらく細胞BLACK」は、生活習慣が乱れている大人の体内で日々働いている細胞たちを描いた作品です。
喫煙、飲酒、射精、性病、脱毛など、本家の「はたらく細胞」では、まず取り上げることができないようなアダルトな内容となっています。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
大人の体の中は、まるでブラック企業そのもので、不健康な人間の体内で起きる理不尽な出来事にもまれながら、自分の仕事を全うしていくのですが、仕事の意味すら見失いかけている細胞たちが登場します。
主な登場人物の紹介
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞BLACK」には、主な登場人物として、赤血球と白血球がいます。赤血球は、不健康な体の中で日々酸素を供給しているのですが、ノルマに追われ、細胞たちからはクレームをいわれる毎日に疲労困憊です。
時には、仕事を投げ出してしまいたくなる気持ちになってしまう赤血球。そんなことはお構いなしに、不摂生を続ける人間。それでも仕事を続けるしかないという、哀れな存在です。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
白血球は、不健康な人間の体内で発生する細菌や病原菌に対して大忙しです。時には、かなりの劣勢に立たされることがあるのですが、それでもあきらめずに仕事を全うします。
本家の「はたらく細胞」では、赤血球が女性、白血球が男性でしたが、「はたらく細胞BLACK」では、性別が逆になっています。
「はたらく細胞BLACK」の印象的なシーンを紹介
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞BLACK」で特に印象的なシーンをいくつか紹介していきます。これを見ると、日ごろの健康を気遣いたくなりますね。普段は体の中のことなんてまったく気にしませんが、この作品を読んでしまうと、体に気を遣ってしまいたくなります。
「はたらく細胞BLACK」の名シーン① とにかく酸素を運ぶしかない赤血球
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
不摂生の体内、クレームが飛び交う細胞、時には細菌にやられて溶血してしまう赤血球。主人公の赤血球はこんなブラックな労働環境に嫌気がさしていました。そんな中、人間がタバコをすったことによって、赤血球の仲間が一酸化炭素に感染、酸素を運ぶことができなくなってしまいます。
そんな中、肺炎球菌が侵入してくるという状況に陥り、主人公の赤血球はこのような過酷な労働環境に対して、「こんな仕事もうまっぴらだ!」と怒ります。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
しかし、そんな姿を見た赤血球の先輩から、赤血球は酸素を運ぶしかできないということ、その運命からは逃れられないという悲しい現実を突きつけられながらも、仕事を全し、立派な赤血球になることを告げ、死んでいきます。
「はたらく細胞BLACK」の名シーン② 全力で勃起させる赤血球
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
勃起ももちろん体内で起きる現象の1つでもありますが、本家の「はたらく細胞」では取り上げることができない内容ですよね。しかし、勃起も人間が生殖活動をするための重要な体内の反応でもあり、細胞たちは必死になっています。
特に、勃起のメカニズムとして、陰茎内の毛細血管を赤血球が必死になって押し広げていくシーンは印象的です。赤血球としては、勃起させて、射精を促すことによって、体内で育った静止たちが新たな命として生まれていく可能性があるので、全身全霊をかけて勃起させます。
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
時には、EDで勢いを失ったりしますが、バイアグラの投入によって、ピンチを乗り切ります。そして、いよいよ射精にいたり、赤血球たちは達成感と共に新たな命の誕生を期待します。
しかし、すべての射精が生殖活動に繋がるわけではありません。無為な射精に終わったと知った赤血球たちは落胆します。
どんな環境だろうと仕事をするしかない細胞たちの哀愁漂う一冊です
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞BLACK」では、不健康な人間の体内で、理不尽な目にあう細胞たちが描かれています。しかし、どんな環境であろうと、細胞たちには仕事をするしか道がありません。
ブラック企業顔負けの環境下で働き続ける細胞たちの哀愁漂う一冊となっています。これを読めば、自分の体をいたわりたくなってきます。
まとめ
出典: はたらく細胞 ©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
「はたらく細胞」のスピンオフ作品では、本家では描かれないような人体にまつわる事柄が描かれています。また、「はたらく細胞」では、基本的に体内の細胞側の視点で見ていましたが、「はたらく細菌」のような細菌側の視点もみることができます。
また、不健康なカラダにいる細胞や、はたらく気のない細胞など個性豊かなキャラクターたちが登場しますね。「はたらく細胞」を見て、作品の世界観にハマってしまった人は、ぜひスピンオフ作品も楽しんでみてください。