何でも願いをひとつ叶える代わりに、魔法少女の責任を課せられた、まどかマギカのキャラクターたち。彼女たちは確かにひとつ、キュウべぇの力により、自身の力ではどうにもならない願いを叶えましたが、果たしてそれは本当の意味で叶えられたのでしょうか…?真意を確かめるべく、まどかマギカのキャラクターたちが叶えた願いと、魔法少女となり失ったものを考察いたします。
生きたいという願いを叶え寿命を失うマミ
事故にあい、家族とともに死にかけたところ、キュウべぇから取引を持ちかけられたマミ。生きるため、迷わず魔法少女となることを決めます。しかし、ほむらの力により何度も時間を巻き戻されるシーンをマミに着目して観てみると、徐々に寿命が縮まっていることがわかります。はじめは「ワルプルギスの夜」まで生きていたにも関わらず、最後のループではソウルジェムにまだ濁りのない状態で、魔女に殺されているのです。どんなに生きたいと願っても、死の運命からは逃れられなかったのでした。
父親を助け、家族を失った杏子
自由気ままに生きる杏子は、父親の願いのために魔法少女の契約を交わしていました。しかし、その願いが魔法で叶えられたことを知るや否や、父親は杏子を悪い魔女扱いし、家族はバラバラに……。家族を失い自暴自棄になった杏子は、誰よりも他人を思いやっていた少女から、自己中心的に物を盗んでは食いつなぐ、不良へと変わってしまうのです。
恭介を救い、恭介の気持ちを失ったさやか
恭介を絶望から救うため、決して治らないと言われていた彼の腕を完治させることで、魔法少女となったさやか。さやかは彼に対して恋心を抱いており、いつしか結ばれることを夢見ていました。しかし、魔法少女になることは、すなわち自身の肉体を失うことと知り、体を失った自分に愛される資格はないと恭介を諦めます。そして、恭介は友人の仁美と恋仲に……。恭介を想うあまり、さやかはソウルジェムを黒く染めていくのでした。
まどかを救いたいと願い、まどかを失ったほむら
まどかを助けるための力が欲しいと願い、失敗をするたびに魔法を使ってまどかと出会う前まで、時間を遡っていたほむら。はじめはただ、まどかを助けたいという一心で、強くなっていったほむらでしたが、ループを繰り返してほむらが変わるたびに、まどかとの関係性も変わっていきます。はじめの頃よりもまどかと、距離を感じてしまうことに、ほむらは苛立ちを感じるのでした。そして、ようやくまどかがループをする前のほむらを思い出したときにはもう、本当の別れが目前に迫っていたのです。
自分の存在価値を望み、自分自身を失うまどか
自分自身の存在価値に疑問を抱いていたまどかは、魔法少女となり戦うことこそが、自分の生きる道なのではないかと考えていたものの、マミの死をもって、魔法少女の残酷な運命を知ります。マミがいなくなってからは、頑なにキュウべぇからの勧誘を断り続けるまどか。しかし、本当の意味で自分にしかできないことがあると気がついたまどかは、死後、人々を襲う魔女にならないよう、魔法少女全員の救済を願います。魔法少女を救済することで、まどかは世界に存在することができなくなってしまうのです。
まとめ
希望と絶望は背中合わせであり、ただひとつ願いを叶えたからといって、全てがうまくいくわけではないということを、まどかマギカは教えてくれました。とはいえ、まどかのように自分自身にしかできないことがあったときに、果たして、どれだけの人が勇気を持って決断できるのでしょうか。テレビ版、劇場版と続き、まだ物語の続きがあることをにおわせている、まどかマギカですが、今後どのような展開を繰り広げるのか、楽しみです。