石田スイのデビュー作。現代の東京を舞台に、人の姿をしながら人肉を喰らうことで生きる「喰種」をテーマにした作品。コンセプトはダーク・ファンタジーとなっているが、サイエンス・ファンタジーの要素もある。またファンも多くアニメも高評価です。そこで今回はアニメで語られなかった内容やあらすじ、考察等をまとめていきます。
第7話 心覚え在りし日々 mind
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
あらすじ
オークション会場を狙った喰種掃討作戦と、同時進行していたCCGの移送車両の護衛作戦が終了した。捜査官にも喰種にも多数の死傷者が出る中、ハイセは“過去の自分”を知る喰種の少女、笛口雛実の“所有権”を申し入れる。今回の作戦で働きを認められたクインクスは、同じく功績を認められたほかの捜査官たちとともにメンバー全員の昇進が決まり、ハイセは上司の暁や、親交のある特等捜査官、有馬貴将を招いて、メンバーの昇進を祝うホームパーティを企画。だが、パーティ当日、ハイセの中にいるもうひとりの人格“カネキ ケン”を知る何者かから、“奇妙な贈り物”が届く。
フレームとは
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これまで具体的にフレームがどのような役割を果たしているのか明言はされていません。第2話におけと瓜江と柴医師の会話から察するに、赫子(赫包)の活動を抑制する壁のようなものであると考えられます。このフレームを開放するにあたっては手術が必要になることから、物理的な何かで赫包を覆っているのでしょう。このフレームはなぜ設けられているのでしょうか。有馬を超える存在を、と望むならフレームなどないほうが手っ取り早いです。それでもあえて設けたのは2種類の危険があるからだと考えます。
1つ目の危険
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
一つ目の危険要素は、「暴走」です。前話で瓜江は暴走し、一種の錯乱状態に陥ります。暴走の引き金となったのは、瓜江自身が持つ異常なまでの強さや功績への執着ですが、それ以外にも直前にフレームを引き上げたことが関連していると推測されます。前の見出しで少し触れました喰種の意思が赫包に宿っているとするならば、フレームを引き上げることで、赫包の持ち主の感情や欲望が瓜江自身を侵食したのかもしれません。
2つ目の危険
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
「人間としてのアイデンティティの喪失」。クインクスたちは有馬や暁と同じ食事を口にしていました。クインクスはフレーム以外、金木が喰種になったときと同じ手法を使っていますので、フレームを引き上げることで人間と同じ食事が摂れなくなったりと、喰種に近づくものと予測されます。
補足
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CCGはクインクスの生体が喰種に近づくことで、人間としての意識を失い、結果として組織に仇なす存在になることを危惧しているのかもしれません。しかも赫子を100%の力で使えるわけですから、喰種サイドについてしまえば強力な敵になります。人間としてのアイデンティティを守らせ、飼いならすためにフレームが設けられているのではないでしょうか。
有馬は喰種なのか?
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テレビアニメでは黒髪の姿はほとんど映し出されませんが、彼の高校時代を描いたOVA『東京喰種JACK』で元は黒(というより青)髪であることが確認できます。これまでのところ、有馬がなぜ白い髪になってしまったのか描かれてはいませんが、彼の髪もまた心情を表すものだとしたら、有馬貴将は喰種である可能性もあります。有馬は人間でありながらは喰種側の思想を持っているという意味なのかもしれません。
第7話の感想
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みんなで食事を囲む姿はとても微笑ましかったですし、有馬も意外とくだけた人物だなと感じました。また戸影教官が「六月も昔はワルだった」という趣旨のことを言っていました。おとなしい青年というイメージが強い彼は昔どんな姿だったのか、そしてそれが今後の展開に影響することがあるのでしょうか。クインクスたちもまだまだ一筋縄ではいかない様子です。
第8話 蠢くモノ TAKe
あらすじ
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[CCG]で、大量誘拐犯の喰種集団“ロゼ”の捜査が始まった。だが組織的に訓練され、痕跡をほとんど残さない彼らを追い詰める有効な手立ては見つからない。捜査が遅々として進まない中、琲世は自分宛に届いた“マスク”からヒントを得て、ある策を思いつく。
一方、先日のオークションで六月を狙ったカナエは、大きな喪失感から心を病んだ主、月山習の姿に心を痛めていた。そんなカナエに、月山の友人ホリチエが、彼を助けるための作戦を持ちかける。
月山家
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開始直後、オークション会場にいたクロックムッシュと呼ばれる男性が映し出されます。彼は、月山観母みるも、習の父親でした。ビッグマダムとは系列の違う富豪喰種で、オークションでは彼女?と張り合うほどの経済力を見せました。月山家は政財界にも影響力を持つ家柄であることが、OVA「東京喰種PINTO」で語られています。
月山家の力
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また√Aの9話では、CCGの精鋭ほぼ全てが集まっているのを見て、習が「あれほどの戦力では、月山家の力をもってしてもどうしようもない」と叫びます。逆を言えば、富豪喰種・月山家は、総力戦でなければCCGにも引けをとらないだけの金、モノ、人を持った権力者だと言えるでしょう。
月山習の病気の原因
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今回、その原因が「見境なく食を求めたこと」だと判明します。習が病気になった本当の理由、それは「食を求めたこと」ではなく、「見境なく」という部分であることが推測されます。老若男女、様々な人間はもちろん、彼は喰種も食らったのではないでしょうか。故に、共食いを繰り返していたころのカネキのように発狂していたのだと思われます。
なぜ見境なく食したのか?
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カネキがいなくなってからの2年間が描かれていないため、正確なことはわかりかねますが、カネキを失った喪失感が、彼が食に見境をなくした原因ではないかと推測されます。つまり、金木の代わりになりうる食材や美食を求めるがゆえに病に伏したのではないかと思われます。
第8話 感想
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月山家の全体像、彼らとの戦闘はもちろん、カネキを復活させようとしている喰種ちの動き、それに対する排世の反応や変化も見どころになりそうです。また、今回考察では触れませんでしたが、オープニングでやや狂気を帯びた表情を見せた旧多。彼の動きにも今後注目です。
第9話 亡霊 play
あらすじ
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ホリチエから琲世の写真を見せられた月山は、“金木研”が生きていたことを知り喜々として会いに行く。だが“カネキ”としての記憶を失った琲世には、月山のことがわからない。そんな中、[CCG]准特等捜査官キジマ式が、ロゼの一件で捕らえた月山家の使用人、ユウマの拷問映像をSNS上に流す。それは月山家はもちろん、[CCG]内部でも反発がおきるほどショッキングなものだった。月山は何とかしてユウマを救い出そうと、捜査官である琲世に協力を頼もうと考えるが……。
偽装喰種作戦の意図
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マスクのオーダーメイドができるかウタに尋ねた排世。それはクインクス班員のマスクを作成し、喰種になりすますための問いでした。喰種になりすます目的については「喰種の世界に潜り込む…」と答えます。ロゼは「痕跡をほとんど残さないため、糸を手繰るような捜査になるでしょう」と宇井特等も話しています。この偽装喰種作戦は一見ロゼ捜査の糸をつかむための策略にも思えますが、果たしてそれだけなのでしょうか。
揺れる気持ち
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
琲世は「なんで、喰種に肩入れしているんだろう…?」と自分の揺れる気持ちを感じていました。喰種との戦闘はするものの、とどめをさすことをしない琲世の姿勢は、閉じられた金木の記憶がそうさせるのではないでしょうか。この言葉の直前に「君は人間の世界にも喰種の世界にも居場所を持てるただ一つの存在なのだ」と金木は諭されています。
深層に眠る願い
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自分と(手法が異なるとはいえ)同じように、喰種と人間の世界で生きられる可能性を持つクインクスたち。琲世は意識していないのかもしれませんが、彼らに喰種のことをもっと知ってもらいたいという願望が、偽装喰種作戦の深層にはあるのかもしれません。
第9話の感想
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
今回のストーリーでは知不の喰種を駆逐することへの葛藤が、キジマの行動によって新たな局面を迎えたように感じました。そして次回予告で聞こえた「月山家駆逐計画」という不穏な単語。また琲世が叫んでいるようなシーンも見えましたので、やはり習との交流が琲世の中のカネキを呼び覚ますのでしょうか。来週はロゼ編が一気に動き出しそうな予感がいたします。
まとめ
新たにロゼ編がスタートしました。クインクス班のフレームアウトや知不の苦悩や排世の揺れる気持ちなど、終盤に掛けての伏線のように感じます。今後のクインクス班はどうなるのか?気になる所です。