鴨志田一と溝口ケージによって描かれる『青春ブタ野郎シリーズ』。TVアニメ化だけでなく劇場版も公開される作品で、その物語の奥深さにはまっていく人が続出しています。今回はTVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』はもちろん、原作屈指の名シーンをランキング化して紹介していきます。ネタバレが含まれていますので、気になる方は注意してもらいながら、トップ10に選ばれた珠玉の名場面をチェックしてください。
目次
第10位:野生のバニーガール
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』のタイトルにもなっており、主人公の梓川咲太は図書館で桜島麻衣と出会いました。運命的な出会いと呼ぶに相応しいですが、相手はバニーガールの格好をしており、同時に奇妙な出会いにもなっています。他の誰もがバニーガールの格好をした桜島麻衣を見向きもしませんでしたが、梓川咲太にだけはハッキリと見えていました。その様子を確認すると、桜島麻衣は「近づかないように」とひと言だけ残して去っていきます。
後の彼女になる桜島麻衣との出会い
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
違和感しかない光景に驚いた梓川咲太でしたが、図書館を出て桜島麻衣を追いかけると、協力できるかもしれないと申し出ます。それは都市伝説として扱われている思春期症候群が絡んでおり、過去に体験している自身なら助けられるのではないかと考えたためでした。当時の梓川咲太は桜島麻衣とお近づきになるという考えよりも、思春期症候群を解決する手がかりを求めていたかもしれません。一方では思春期の盛りを迎えた男子らしい様子を見せますが、彼の思惑とは違うところで2人の距離は近づきつつあるのでした。
第9位:感情的になる梓川咲太
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
あまり物事に動じることがない梓川咲太には、感情の起伏も激しくない様子があります。至るところで棒読み発言をしていますが、彼が感情的になる様子は多々描かれており、その顕著なシーンが桜島麻衣の母親と会ったシーンでしょう。世間から存在を認知されなくなる桜島麻衣でしたが、母親ならまだ希望が残っているかもしれないと踏んで、それまで避けていた人物との再会を果たします。しかし無情な結果に終わっており、梓川咲太は「なんで自分の娘を忘れられる」と怒りを滲ませながら叫ぶのでした。
自身の境遇と重なる部分も
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太と桜島麻衣はまだ学校の先輩後輩の関係でしたが、そこまで感情的になって怒った理由がありました。それは彼の妹の梓川かえでで、彼女もまた思春期症候群を発言しており、自身の誹謗中傷に関する書き込みを見ると身体が傷つくといったもの。その瞬間を見た梓川咲太でしたが、両親や医師に説明しても「自傷行為」と片づけられてしまいます。必至の説明も甲斐なく、さらには肉親2人からも信じてもらえなかったため、自身の境遇と重なった部分が梓川咲太の怒りに繋がったのでしょう。
第8位:双葉理央が女の子になった瞬間
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
『青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない』までの双葉理央は、淡々としていてクールに振る舞う少女でした。しかし思春期症候群の当事者になると、怯える様子から恥じらう姿まで、年相応の様子を見せるようになります。また意外に雷が苦手という部分も明らかになり、何においても合理的に解釈・理解する双葉理央について、途端に魅力的に見えてくるかもしれません。
双葉理央の評価がうなぎ登りになること必至!
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
自分に自信を持てず、さらには自己嫌悪によって思春期症候群が発現してしまう双葉理央。それまでの彼女と『ロジカルウィッチ』からの双葉理央とでは、見え方が大きく変わるため、株価急上昇することは必至です。クールに振る舞う彼女もそれはそれで可愛いですが、途端に女の子らしく振る舞う姿を見ると、作中のキャラクターたちのように目を奪われるはず。そして気が付けば夢中になっていることは間違いありません。
第7位:ラプラスの小悪魔の力
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』でヒロインを務める古賀朋絵ですが、梓川咲太と偽の恋人関係を演じることになります。しかし、2人の関係が続くにつれて古賀朋絵は彼に好意を寄せていくように。まだ梓川咲太が桜島麻衣と付き合う前の話でしたが、彼はすでに心に決めている人がいて、南海やり直されたとしても結果は変わらないと、キッパリ断りを入れるのでした。
解決したかと思いきや始まったのは6/27
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
最終的に自分の気持ちを打ち明けさせ、偽の恋人関係を終わらせると、梓川咲太は待望の夏休みを迎えることができると思っていました。しかしふたを開けてみれば、古賀朋絵との一件が終わった次の日ではなく、6/27に逆戻りすることに。それは古賀朋絵と関係を結ぶ前であり、桜島麻衣から正式に付き合いの返事を貰える日でもあります。ただ単純に次の日を迎えるのではなく、ラプラスの悪魔の力によって最初からやり直す展開には意外性を感じずにはいられません。
第6位:梓川咲太の告白
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
桜島麻衣の思春期症候群がピークを迎え、ついに世界中から誰ひとりとして彼女を知るものがいなくなりました。しかしふとしたきっかけで梓川咲太は桜島麻衣のことを思い出し、一目散に校庭に出ては、学校中を取り巻く空気と戦います。その方法は桜島麻衣に告白するということで、さらに全校生徒に認知できるよう校庭の真ん中で大きな声を出して実行するのでした。
桜島麻衣も彼氏に構いたい様子
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
桜島麻衣の思春期症候群を何とかするため、思いつく限りのあらゆることを試した梓川咲太でしたが、一向に成果を上げることはできません。そんな彼に桜島麻衣は次第に惹かれており、旅先で一緒に宿泊することになったビジネスホテルでは、からかうように感謝の気持ちを伝えています。それから2人は付き合うようになりますが、彼女の気持ちはさらに増している様子で、仕事を優先しつつもデートだけでなくやきもちを焼くなど、恋する乙女の一面を見せるようになるのでした。
第5位:友情を大切にする3人
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太と双葉理央、そして国見佑真の3人は、花火大会を見る約束します。双葉理央の思春期症候群がひと段落した後の出来ごとですが、そこで3人は浴衣姿で高校生のひと夏を過ごすことに。自分の気持ちと向き合ったことで、双葉理央の表情には笑顔が見られます。そして両隣に座った男子2人の腕を抱きながら、3人の友情を大切にしていこうと固く約束するのでした。何よりその後、双葉理央は恋人でいるよりも友人である方がずっと長くいられると語っており、多くの人が印象深いと感じていたはずです。
思い切って想いを伝えた双葉理央
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
密かに国見佑真に対して恋心を抱いていた双葉理央ですが、花火大会が始まると静かに想いを伝えるのでした。しかし国見佑真には彼女がいたため、双葉理央は返事を聞くことなくそのまま花火を見続けます。ただ彼女もまた女の子であり、分かっていながらもこらえることができず、空を見上げながら大粒の涙をうかべていました。気持ちを伝えることで『ロジカルウィッチ』の物語は終わりますが、3人の友情がさらに強くなった瞬間でもあります。
第4位:偽の恋人関係の終わり
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
1学期の終わりまでという期間限定の恋人関係を結んだ梓川咲太と古賀朋絵。偽の関係とはいえ、その間は本当のカップルらしく振る舞っており、デートをはじめとした数々のイベントを消化していきます。その間に古賀朋絵は梓川咲太に好意を寄せていくこととなり、その結果として、1学期最後の日がループされてしまうのでした。しかし梓川咲太が「噓は本当にならないし、本当は噓にならない」と告げると、古賀朋絵は彼に対する気持ちを包み隠さず打ち明け、ラプラスの悪魔の一件は終息することとなります。
噓は本当にならないことを諭した梓川咲太
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太が古賀朋絵に言った「噓は本当にならないし、本当は噓にならない」という言葉は、彼女の心に深く突き刺さる者でした。偽の恋人から本物のカップルにはならない、なぜなら桜島麻衣という人がいるから。ではそれまでの日々は噓だったのかと言われれば、梓川咲太にとって楽しいと感じたことは間違いありませんでした。ひと言に集約された想いが伝わって、古賀朋絵は報われることがない気持ちを泣きながらに告白した瞬間は、とても胸が熱くなるばかりです。
第3位:梓川「かえで」との別れ
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太の妹である梓川かえでは、いじめの影響で解離性障害を患ってしまい、その結果生まれたもう一人の人格と言える存在。そのため、ところどころで「妹を演じる」といったような発言があり、不自然に感じた方も少なくないでしょう。しかし梓川かえでが「学校に行く」という目標を立て、何とか達成することに成功すると、次の日にはかえでが消滅してしまいます。
心の中にかえでは存在し続ける
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
かえでが「家から出ようとすると傷やあざができる」思春期症候群を患っているにもかかわらず、家の外に出ようとした理由は梓川咲太にありました。それまで妹に対して何もできなかった罪悪感を抱えていましたが、「かえでの夢をたくさん叶えてあげた」という事実を作ってあげるため。そうやって自分を責める必要はないこと、胸を張って生きてほしいという想いで取った行動であり、最後まで兄を想う様子が忘れられません。
第2位:夢に出てくる牧之原翔子
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太はたびたび夢を見ており、その内容は決まって数年前の記憶でした。高校生と思わしき牧之原翔子と会話をする夢で、彼にとって唯一の理解者とも言える人物との思い出でもあります。牧之原翔子は「ありがとう」「頑張ったね」「大好き」の3つが好きな言葉と語り、妹のために行動した梓川咲太を褒めました。その言葉は梓川咲太の中にずっと生きており、他にも彼女から教わったことを引用している様子も多々描かれています。
水平線までの距離を知っても変わらない梓川咲太
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
梓川咲太と牧之原翔子が初めて出会った時、彼女は水平線までの距離は計算で求められることを説明していまいた。その距離はたった約4kmで、普通であれば遠くに感じていたものが急に近くに感じてしまいます。しかし当時の梓川咲太は、彼女の言葉に感動することはおろか、何を言おうとしているのかを理解したうえで素っ気ない反応を見せます。当時から何も変わっていないことが分かりますが、しかし年上の牧之原翔子からかけられた言葉は一言一句覚えている当たり、心に響いていることが分かります。
第1位:花丸を貰って喜ぶ牧之原翔子
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
牧之原翔子は梓川咲太が生きていられる未来を作るために行動しており、犠牲がつきまとうものの、その目的が達成されます。最終的に3人とも救われますが、その中で一番頑張っていたのは牧之原翔子以外にありません。梓川咲太と桜島麻衣は、頑張った牧之原翔子に花丸を付けてあげる様子があり、同時に涙腺が崩壊してしまうはず。そして『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』の表紙にもあるように、牧之原翔子は嬉しそうな表情を浮かべていて、読み終えたころには再び涙が止まらない状態になるはずです。
救われた翔子と幸せになれた咲太と麻衣
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』のラストで桜島麻衣が死に、『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』で3人とも救われるという流れに、多くのファンが「良かった」と思ったことでしょう。梓川咲太を救いたいという想いで動く牧之原翔子、梓川咲太に生きてほしいと願う桜島麻衣、どちらも生きてほしいと願う梓川咲太それぞれの様子からは、一瞬たりとも見逃せる様子がありません。そして全てが終わったころには、牧之原翔子の優しさに温かみを感じて、生きることの尊さを実感するでしょう。
まとめ
出典: 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ©鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
『青春ブタ野郎シリーズ』の名場面を集めてみましたが、印象的なシーンはいずれも心を突き動かすものばかりで忘れられません。特にキーパーソンとなる牧之原翔子関連では、梓川咲太のように感じるものが多いのではないでしょうか?他にも名場面でピックアップできなかった部分もあるため、その他に関してはぜひアニメや原作を読んで確かめてみてください。見終えたころには、様々な感情が渦巻いて涙をながしているかもしれませんよ。