からくりサーカスでは二人の主人公、加藤鳴海と才賀勝の視点で進んでいくからくり編とサーカス編に分かれています。からくり編では人類の敵たる『自動人形』と加藤鳴海らしろがねの死闘が描かれ、サーカス編では才賀勝がしろがね(エレオノール)と共に、サーカスを通して出会いと成長をしていく作品です。その裏で暗躍し、からくりサーカスの全ての因縁の元凶と言える人物が『フェイスレス=白金』です。その暗躍っぷりを紹介し考察していきたいと思います。
目次
- 本作のラスボスにして全ての黒幕
- 【からくりサーカス】考察!何故白金は狂気に堕ちたのか?
- 【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その①村人に復讐
- 【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その②ディーン・メーストル
- 【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その③暗殺計画発動
- 【からくりサーカス】考察!超奥手なディーン・メーストル!?
- 【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その④才賀貞義として暗躍!
- 【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その⑤フェイスレスとしての暗躍!
- 【からくりサーカス】考察!フェイスレス司令は最初からラスボスの予定だったのか?
- 【からくりサーカス】白金、空前絶後の最終計画
- 【からくりサーカス】考察!勝とのゲームの約束守る気あったの?
- 【からくりサーカス】白金、空前絶後の最終計画
- からくりサーカス白金考察まとめ
本作のラスボスにして全ての黒幕
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
題名のからくりサーカスの通り、からくりサーカスで起こる殆どの出来事がからくりのように誰かに操られ、サーカスのように演じさせられています。その黒幕こそがフェイスレスでありディーン・メーストルであり才賀貞義であり白金です。才賀勝が巨額の遺産を受け継いで命を狙われたのも、加藤鳴海がゾナハ病にかかりしろがねとして戦うことになったのも、エレオノールが人間ではなく人形として育てられたのもぜーんぶこいつのせい。
事の始まり
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
全ての発端は錬金術師の兄弟であった白銀と白金が同じ女性に恋をしたことが全ての始まりです。女性の名前はフランシーヌ、からくりサーカスのヒロイン『才賀エレオノール』によく似た女性でした。白金は白銀にフランシーヌへ恋をしたことを告げますが、白銀は弟の気持ちを知りながら、フランシーヌに思いを告げフランシーヌが好きになったのも白銀でした。
当時は疫病に対する知識がなく、万能薬が必要でした
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その白銀の告白を間近で聞いてしまった白金はフランシーヌを強奪し失踪してしまいます。しかし、フランシーヌは強奪されてから笑う事はありませんでした。やがて流れ着いたクローグ村でフランシーヌは病にかかり村人たちに隔離されてしまいます。9年後、執念で白金とフランシーヌを見つけ出した白銀は白金がフランシーヌを奪った理由を知り、フランシーヌを救うために万能薬たる『柔らかい石』を作ろうとします。
さよならフランシーヌ
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
『柔らかい石』は完成したものの、フランシーヌは白銀への負い目から焼身自殺をしてしまいます。同時期に白金も『柔らかい石』を完成されていましたが、フランシーヌの形見の遺髪を残してすべては灰になってしまいました。これが全ての始まりであり、白金が更なる狂気に堕ちていくきっかけとなります。
【からくりサーカス】考察!何故白金は狂気に堕ちたのか?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
からくりサーカスのラスボスであり、悪役たる悪役として暗躍し続ける白金も最初はまともでした。まともだったからこそ白金はフランシーヌを奪っても幸せになれなかったのだと思います。心のどこかで罪悪感を感じていたからこそ、後にその罪悪感を塗りつぶすほどのどす黒い狂気に目覚めてしまったのではないかと思います。
【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その①村人に復讐
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
白金はフランシーヌの遺髪を埋め込んで作ったフランシーヌ人形と最悪の奇病『ゾナハ病』をまき散らす自動人形『最古の4人』を作り、フランシーヌを閉じ込めたクローグ村の子孫たちに復讐を果たします。この村を兄である白銀が『柔らかい石』を水に溶かした『生命の水』で救ったことから、しろがねと自動人形との長い長い戦いが始まることになります。
しろがねと自動人形の因縁の始まり
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
身勝手な復讐を果たした白金ですが、傍らにいたフランシーヌ人形は笑う事が出来なかったことから白金はフランシーヌ人形を捨て失踪します。残されたフランシーヌ人形は自分を笑わせることが出来る誰かを見つけるため、自動人形を増やし誰かを笑わせなければ死ぬほど苦しむ『ゾナハ病』を世界にまき散らすようになります。
【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その②ディーン・メーストル
白金、自殺を思いとどまる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フランシーヌ人形は笑うことがない出来損ないの人形だった。そのため白金は絶望し死に場所を求め故郷の中国にて自らの命を絶とうとしますが、そこで『生命の水』を使ってフランシーヌを復活させることを思いつきます。『生命の水』には自分の記憶を溶かすことが出来、『生命の水』にフランシーヌの遺髪を溶かすことで、フランシーヌの記憶を
受け継いだ人物を作ることができると考えます。
見た目は子供、頭脳は大人
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
まず『生命の水』に自分の記憶を溶かし、誘拐してきた子供に飲ませることで白金は若返ることに成功します。『生命の水』を飲んだことでしろがねの形質を獲得した白金は、自らの名をディーン・メーストルと改め、しろがねとして生きていくことにします。そこで、ディーンはフランシーヌと生き写しの女性(実は血のつながりがある)アンジェリーナと出会い、その執着はアンジェリーナに移っていきます。
【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その③暗殺計画発動
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ディーン・メーストルの肉体年齢はアンジェリーナとほど同じであったため、しろがねとしてアンジェリーナともに戦っていれば特に何かをせずともアンジェリーナを手に入れることが出来ると考えていましたが、アンジェリーナは異国の地で才賀正二と結婚し、子供まで設けてしまいました。
襲撃
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
白金は自動人形の造物主であり、その気になれば自動人形を操ることが出来るため、アンジェリーナと才賀正二の暗殺を企て、アンジェリーナに破壊されるためにやってきたフランシーヌ人形の回収を企てます。結果としてアンジェリーナは死亡しますが、遺髪を使ったフランシーヌ人形はエレオノールに受け継がれていた『柔らかい石』の一部が水に溶け、 『生命の水』からエレオノールを庇い水に溶けてしまいます。
エレオノールしろがねになる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フランシーヌ人形が必死にかばったおかげでエレオノールは生命の水に溶けることはありませんでしたが、溶けた生命の水を飲んだエレオノールはフランシーヌの記憶を受け継ぐしろがねとなってしまいます。
【からくりサーカス】考察!超奥手なディーン・メーストル!?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
アンジェリーナと才賀正二が結ばれてしまったことからさらにこじらせてしまったディーンですが、アンジェリーナは不死に近いしろがねであることを理由にあらゆる男性から捨てられた過去があります。アンジェリーナに恋人がいても平静でいられたのかも疑問ですが、先んじいれば普通にアンジェリーナと結ばれててもおかしくないような気がします。
実は超奥手なのかもしれません。
【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その④才賀貞義として暗躍!
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ディーン・メーストルは暗殺計画を企てる以前より、才賀正二の養子『才賀貞義』として才賀グループの社長に就任。巨万の富を築き上げます。暗殺計画の後、その執着はフランシーヌの記憶を受け継いだエレオノールに向くことになり、過去の失敗を糧にとある計画を進めます。
シュタゲのタイムリープを別人にして上書きみたいな
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
愛人との子(血縁関係はなし)の才賀勝に自らの記憶をダウンロードさせ、成り代わる事を計画します。同時に才賀正二になりすまし、幼いエレオノールを人形として育て才賀勝を守れば人間になれると刷り込ませます。才賀勝に巨額の遺産を相続させたのも、親族の人間の骨肉の争いに巻き込み、危機的状況に追い込み、エレオノールに勝を守らせるためでした。
計画通り
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
エレオノールはしろがねの危険な任務から離れさせたいと才賀正二の親心から、才賀正二の目論見通り日本に派遣されることになります。しかし、肝心の才賀勝への記憶のダウンロードは才賀正二の活躍で不完全に終わり、才賀貞義の身体も殆どが半壊してしまいます。
【からくりサーカス】『フェイスレス=白金』の暗躍その⑤フェイスレスとしての暗躍!
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、身体が半壊するも何とか生き延びていた才賀貞義はしろがね-Oの司令官『フェイスレス』として暗躍します。しろがねの中枢に入り込んでいたフェイスレスは自動人形との最終決戦に参加します。その過程でフェイスレスは自分の身を犠牲にして加藤鳴海を助けます。
狂気の男
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
当然、全ての黒幕であるフェイスレスにはしろがねと自動人形の最終決戦に参加する理由も加藤鳴海を助ける理由も存在しませんがそれでも加藤鳴海を助けた理由は、兄である白銀の記憶を継承し、復讐心に支配されていないにも関わらず兄と似た雰囲気を持つ加藤鳴海を兄に見立て、目の前でエレオノールを奪うためというとってもイカれた理由でした。
ゲームの提案
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
黒幕として登場したフェイスレスは才賀勝に完全なダウンロード処置を施しに登場します。しかし、勝に予想外の抵抗にあったことから勝にとあるゲームを提案します。それは差し向ける刺客から2年間エレオノールを守り切れれば、それ以上エレオノールに手出しはしないというゲームでした。
【からくりサーカス】考察!フェイスレス司令は最初からラスボスの予定だったのか?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フェイスレスは別名三解のフェイスレスと呼ばれています。からくり編ではそのうちの二つ、分解と溶解は登場しましたが、最後の一つは登場せず、最後の方で3つ目が明かされたことからフェイスレスは最初からラスボスの予定で登場したと考えられるかもしれませんが、加藤鳴海を助けた理由があまりにもいかれてるので個人的にはラスボスという設定は後付なのではと思います。
【からくりサーカス】白金、空前絶後の最終計画
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フェイスレスは世界中に従来のゾナハ病よりも数段凶悪な新型ゾナハ病の病原菌となるナノマシン『アポリオン』をばら撒き、文明を滅ぼす計画を実行します。世界中でゾナハ病にかかっていないのは僅かの人間だけとなり、長期間エレオノールの傍にいたおかげで難を逃れた仲町サーカスの面々を半ば人質に取る形でまんまとエレオノールの身柄を確保します。
宇宙へ
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フェイスレスの最後の計画は、乗り込んできた勝にダウンロード処置を施し、フェイスレスの身体を勝に破壊させることで、完全に勝に成り代わりエレオノールを手に入れることでした。そしてそのままロケットで宇宙を去る計画を立てていました。
またまたまた失敗しちゃった
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
居城モン・サン・ミッシェルも乗り込んできた勝を捕らえダウンロード処置を施すことはできたものの、勝は高濃度の生命の水(しろがねの血液)を飲んでいたことからしろがねに近い再生能力を手に入れておりダウンロードは無効化され、それを見越してわざとダウンロード処置を受けた勝に隙を突かれ、寸前でエレオノールを取り返されてしまいます。
【からくりサーカス】考察!勝とのゲームの約束守る気あったの?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ない(確信)才賀勝との間に交わした『差し向ける刺客から2年間エレオノールを守り切れれば、それ以上エレオノールに手出しはしない』というゲームの約束を守る気はあったのか?絶対なかったと思います。これは勝を成長させてエレオノールを守る立場に変わってから成り代わるという計画の一環だったのだと思います。
【からくりサーカス】白金、空前絶後の最終計画
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フランシーヌもアンジェリーナもエレオノールも、結局は白金のものにならなかった。なので全人類を滅ぼすことにしました。ゾナハ病の病原蟲に進行を早めるように指令を出します。これにより残された人類のタイムリミットは約2週間あまりとなりました。
因縁の対決
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
残された人類は必死の抵抗を見せ、結果として才賀勝が白金のいる宇宙ステーションまでたどり着きます。白金は勝がエレオノールを好きになっていることを知っていました。しかし、白金は何故自分がそうしたようにエレオノールを奪わなかったのかを問います。
幸せになれたかい?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
勝は確かにエレオノールの事が好きでしたが、エレオノールが最初に好きになったのは鳴海の方だったと言います。それを横から奪ってもきっと自分は幸せにはなれないだろう。それは、まさしく白金の過去そのものでした。白金はフランシーヌを奪っても幸せにはなれなれませんでした。
兄の気持ち
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
自分と同じだったからこそ、その言葉は白金の心を動かします。戦闘の余波で宇宙ステーションは硬度を維持できなくなり、黒賀村に墜落するとアナウンスされます。白金と勝はその宇宙ステーションの進路を変えるために共同で傀儡を動かし、進路を変えることに成功します。白金はもし弟がいればこんな気分になるのかと思いながら、勝にゾナハ病の治療法を伝え宇宙ステーションから脱出させます。
僕が間違っていたよ
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
そして、白金でありディーン・メーストルであり才賀貞義でありフェイスレスだった男は宇宙ステーションに残ります。狂気に侵され、今まで一度も自分の行動を顧みることをしなかった男は、その散り際にはじめて自分の罪を悔やみながら散っていきました。
からくりサーカス白金考察まとめ
からくりサーカスの全ての因縁の元凶にして、悪役たる悪役だった白金のインパクトは作品全体を通してみたとき、非常に重要なポジションに位置していると思います。これほど振り切れたラスボスというのも珍しく、こいつがいたから作品が成り立ったといってもいいかもしれません。それほど強烈なラスボスだったと思います。