自殺、他殺、病死に死産。様々な理由で死んだ人たちが訪れる市役所ならぬ死役所には、様々な死者が自分の死の手続きをするために訪れます。死者には一人一人に物語があり、その物語は泣けるような物語があったり、胸糞悪くなるような物語もあります。そんな様々なお客様の物語を前編・後編の二回に分けてダイジェストで紹介していきたいと思います!
目次
- お客様① 鹿野太一 死因・陰惨ないじめが原因による自殺
- お客様② 牛尾崇 死因・太一の義理の父親に報復として車にはねられ死亡
- お客様③ 上杉涼子 死因・溶接工場の社長をかばったことによる人災死
- お客様④ 小野田凛 死因・育児放棄による虐待死
- お客様⑤ 江越信行 死因・大量殺人による死刑
- お客様⑥ 塙保 死因・高所からの転落死
- お客様⑦ 襟川 心臓発作・孤独死
- お客様⑧ ミチ 家族に看取られての老衰死
- お客様⑨ 伊達夏加 デート中に交通事故で死亡
- お客様⑩ 佐尾高慈 病死
- お客様⑪ 須藤麻帆 歩きスマホによる階段からの転落死
- お客様⑫ 三樹ミチル 急性アルコール中毒死
- お客様⑬ 杉 ガンによる病死
- お客様⑭ 本堂千裕 ドラッグによる幻覚での交通事故死
- お客様⑮ 坂浦眞澄 逆恨みによる刺殺
- お客様⑯ 生野芳聡 病死
- お客様⑰ 津川勇樹 溺死
- お客様⑱ 彫刻 溺死
- お客様⑲ 山中紗世 首を切られての他殺
- お客様⑳ 花平妙子 心臓病による病死
- 【死役所】お客様のエピソード・前編 まとめ
お客様① 鹿野太一 死因・陰惨ないじめが原因による自殺
中学一年生の鹿野太一は同級生に陰惨ないじめを受けていました。虫を食べさせられたり、熱湯をかけられたり、物を捨てられたり、トイレでち○この皮をハサミで切られたりととてつもなく残酷なものでした。太一には両親の再婚によって出来た義理の父親がいましたが、自分には無関心であったことも要因となり、太一は高所から飛び降り自殺を図り死亡します。しかし、太一が死役所で出会ったのは自分をいじめていた同級生の牛尾でした。牛尾は、太一の義理の父親によって殺されていました。
お客様② 牛尾崇 死因・太一の義理の父親に報復として車にはねられ死亡
牛尾は太一に陰惨ないじめを行っていた主犯格の学生です。いじめを受けていた事実を知った太一の義理の父親が報復として車で牛尾を轢き殺します。しかし、牛尾は自分のしていたことを反省するわけでもなく、死役所で太一に当たり散らし反省するどころか天国に行けると思っていましたが、地獄行きの条件を満たしていたため地獄行きとなります。地獄行きが明言されているのは作中で牛尾一人だけ。
お客様③ 上杉涼子 死因・溶接工場の社長をかばったことによる人災死
涼子は前科者であることから就職できず、途方に暮れていたときに溶接工場の社長と出会い、彼に拾われる形で就職。その職場は決して条件の良い職場とは言えませんでしたが、涼子は社長に恩義を感じ精一杯働いていました。そんなある日、社長の頭上に鉄板が落下。涼子は社長を庇い突き飛ばし代わりに死んでしまいます。しかし、実は事故ではなくブラック企業さながらの条件で働かされていた従業員が社長を殺害するために画策していたことでした。
お客様④ 小野田凛 死因・育児放棄による虐待死
凛は純真無垢な小学生でしたが、母親には疎まれ虐待や育児放棄を受けていました。しかし、凛は母親を恨むこともありませんでした。ある日、寒空の中でベランダに締め出されてしまったことから凍死。虐待を疑っていた教師は凛を救えなかったことに涙を流すも、母親は反省の色すらありませんでした。しかし、凛の母親は隣人から虐待の証言があったことから警察により逮捕されることになります。
お客様⑤ 江越信行 死因・大量殺人による死刑
江越は非常識でかつ誰とも馴染めない極めて利己的な性格の若者です。死刑になれば何も考えずに生活の保障がされると思ったことから犯行を決意。ターゲットを未来ある子供に定め、集団登校の列に突っ込み大量の死傷者を出したことから死刑となります。死役所に来たときも江越は反省するどころか自分のやったことを武勇伝とまで思っており、死役所で働くことを拒否。冥途の道に落ちて永遠に彷徨うことになります。
お客様⑥ 塙保 死因・高所からの転落死
塙は漫画家として人生を歩むもヒット作を出せず、担当の提案で人気小説家原作の作画担当にならないかと提案されます。塙は悩んだ末に作画の依頼を受け、画力の高さと話の面白さから人気作となります。しかし、塙はある種の敗北感を感じていました。塙がある日、バイクで走っていたとき事故によって視力の殆どを失ってしまいました。漫画を書けなくなってしまった塙は思い悩むも、話を作る原作者として再スタートしようとしていました。しかし、そんな矢先リハビリ中に転落死。世間は塙を自殺だと思っていましたが、マンガの原作を担当し、作品を通じて会話していた戸川アランだけは塙が自殺ではないことを確信していました。
お客様⑦ 襟川 心臓発作・孤独死
襟川は性格に難があり、あまり他人と関わることはなかったものの社交的な妻が亡くなってからは積極的に交流を持とうとしていました。夫婦ともに「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」という言葉を意識していました。襟川は積極的に隣人と交流を持っていたため、自分の死体に蛆が湧くようなことにはならないと思っていましたが、実際は難のある性格から嫌われており、死体に蛆が湧く結果となります。
お客様⑧ ミチ 家族に看取られての老衰死
ミチは死役所職員のイシ間が死刑になる事件に関わった彼の姪っ子。ミチの両親は既に他界しており、大工をしていた石間は姪っ子のミチを家族同然に大切にしていました。しかし、ある日ミチが強姦されかけたことから、石間は実行犯の兄弟二人を惨殺。石間はミチが強姦されたことを伏せたため、死刑が確定。ミチはその後、強姦のトラウマに悩まされるも、結婚し幸せな人生を送り天寿を全うします。死役所に来たときのミチは認知症でしたが、イシ間の事は覚えていました。
お客様⑨ 伊達夏加 デート中に交通事故で死亡
夏加は片思いだった幼なじみの男の子とのデート中に車に撥ねられて死亡してしまいました。しかし、そのデートは天候が決まったから最後の思い出をと、彼女持ちの男の子に頼み込んでの最初で最後のデートでした。交通事故でぐちゃぐちゃになった姿が永遠に彼の中に記憶として残ってしまったことに嘆きます。ただ、その姿は職員のシ村にとって苦い過去を連想されるものでした。
お客様⑩ 佐尾高慈 病死
お笑い芸人『カニすべからく』として活動していたお笑い芸人の高関と佐尾はお笑い芸人の賞レースの決勝戦への出場権を獲得します。しかし、佐尾は遺伝性の病に苦しんでいました。決勝戦の日、会場入りしていた高関は佐尾が現れず連絡も取れないことに焦っていましたが、佐尾は自らの病気の事を隠していました。それでも待ち続けた高関の前に、車椅子でやせ細った佐尾が現れます。車椅子の状態で何とかできるネタを最後までやり遂げるも、敗退。高関に隠し続けていた病気のことを知られることになります。その後、佐尾は病気で亡くなるも、最後まで芸人として生きたその生き様はみなの心に残る伝説となります。
お客様⑪ 須藤麻帆 歩きスマホによる階段からの転落死
女子高生の麻帆は片時もスマホを手放せない、いつも誰かのメッセージが気になって仕方がないスマホ依存症でした。しかし、麻帆に返信をよこさなくなった友人とその友人の返信が気になり前を見ていなかった麻帆と、いつもスマホばかりを見ている麻帆を驚かせようともう一人の友人がかけた言葉がきっかけとなり階段から転落死します。SNSから解放された麻帆は死役所にて自分の死に違和感を覚えるのでした。
お客様⑫ 三樹ミチル 急性アルコール中毒死
ミチルは20歳の誕生日を祝ってサークルで飲み会が催され初めてのアルコールを体験します。しかし、そのまま急性アルコール中毒によって急死してしまいました。死役所に来てからは、自分がお酒を飲まされて死んだのだから殺人だと言い張り成仏しようとしません。手続きの期間である49日もの間に職員たちと交流し職員たちの過去を知ることになります。
お客様⑬ 杉 ガンによる病死
杉は拘置所の務める刑務官で、生前のシ村にも会っています。死刑囚にも気を使う心優しい性格で、死刑執行を待つ死刑囚の沼尻に点訳の仕事を勧めるなどの配慮を行っていました。しかし、沼尻の処刑を担当することになったことから精神的に消耗し、市村からは刑務官には向いていないと言われ、1年後に退職します。
お客様⑭ 本堂千裕 ドラッグによる幻覚での交通事故死
千裕は平凡な専業主婦でしたが、無味乾燥な日々を不満に感じており後輩に誘われたパーティーでドラッグを勧められてからは、ドラッグとセックスに嵌ってしまいます。ドラッグ依存症となった後、車内で後輩が逮捕されたというニュースを聞き、自分の子供が警察に見える幻覚を見て錯乱、そして事故を起こし死亡。子供は無事でした。
お客様⑮ 坂浦眞澄 逆恨みによる刺殺
坂浦は父親から継いだ定食屋を営んでおり、もうすぐ子供も生まれる立場の青年でした。しかし、ある日突然、家族や客の目の前で刺殺されてしまいます。刺殺した犯人はかつての従業員で、父親を殺し売上金を盗んだところを見られ、坂浦がそのことを裁判で証言したため実刑判決を受けた男。恐らくはその逆恨みが動機。しかし、三年早く刑期を終えていることから模範囚である可能性があり、坂浦を殺害した動機には疑問の余地がありました。動機の観点から父親殺しは別人の可能性があるかもしれません。
お客様⑯ 生野芳聡 病死
生野は動画サイトで生配信を行う実況者であり、ハンドルネーム『ヘプヘプ』の名前で配信を行っていた男性です。コメントの赴くままどこまでもチャリで走り続けるという企画をやったり、最初は閲覧者が少なかったものの徐々に人気を獲得していた様子。若干依存症気味なところがあり、自分が病気にかかった後も闘病生活を配信。自分の命が尽きるまで配信を続け、その様子を見た全国の人たちがお見舞いに訪れたりもしていました。しかし、最終的には本名のよしあきが定着し、彼の死後、別の生主が葬儀会場に凸するなど、現代ならではの様々な問題もあったようです。
お客様⑰ 津川勇樹 溺死
勇樹はヒーローに憧れる少年。享年7歳。特撮の仮面ヤンダーの大ファンで、ヒーロー役の演者からヒーローになるには困っている人を見過ごさないことだと言われたことで、子供ながらに人助けに奔走していました。ある日、川で孤立した子猫を助けようとして、足を滑らせてしまい溺死してしまいます。子猫は助かりました。
お客様⑱ 彫刻 溺死
還暦近いホームレスで日雇いの清掃の仕事で生活している男性。本名は明かされておらず、趣味で地蔵の彫刻を掘っていることから彫刻と呼ばれています。社会におけるホームレスの風当たりは一様にして強く、まともな就職先があるはずもなかったのです。元々は会社勤めで人事を担当し、首切り役として数多く社員のリストラを決定していましたが、自分もリストラで仕事を失い、家族も離れホームレスになっていました。首を切ってきた社員たちへの償いの気持ちもあり、地蔵の彫刻を掘り続けていましたが、台風による川の増水に流されて溺死。しかし、作り上げた地蔵は芸術として保全されることになり新たな観光名所として多くの人の目に触れることになります。
お客様⑲ 山中紗世 首を切られての他殺
美人で人当たりもよいOLの紗世は、取引先の偉い人からセクハラされるけど言い返せないし、周囲の人たちもある程度許容している現状に不満を持っていました。ただそんな紗世にも信頼できる友人がいました。あまり表情を変えるタイプではないけれど、裏表がなく誰に対してもずけずけと意見を言える誓衣という友人でした。しかし、紗世は自分に対する言動から誓衣は同性愛者なのでは?と疑いを持っていました。そして、誓衣の部屋に呼ばれた紗世は彼女に殺害されます。その動機は『骨がどのように曲がるか確かめたかったら』。同性愛者なんてとんでもない、彼女は好奇心のために友人をも殺すサイコパスだったのです。
お客様⑳ 花平妙子 心臓病による病死
妙子は専業主婦でした。息子と旦那との三人で幸せに暮らしていましたが、ある日旦那が失踪。後日、惨殺死体で発見されたことから生活が一変。旦那は不倫をしており、その不倫相手に殺害されていました。被害者であるにも関わらず、連日のようにマスコミから追及され、週刊誌に書かれ、プライベートの守られない生活を送ります。そして、その不倫相手が死役所に勤務するニシ川でした。ニシ川の死刑執行後はようやく肩の荷がおり、息子も結婚。家族に囲まれ看取られたようですが、死役所にてニシ川を見かけ動揺します。
【死役所】お客様のエピソード・前編 まとめ
死役所のエピソードをいくらか紹介しました。一人一人色んな死因があり、泣けるエピソードや気分の悪くなるようなエピソード、ヒエッとなるエピソードもあってどれもこれも印象に残るものばかりです。この他にもコミックス7巻以降のエピソードも紹介しているので、よければそちらもご覧ください。