今年2022年にアニメ化され、瞬く間に SNSでの拡散やアニメファンたちの口コミにより絶大な支持を獲得した本作『SPY×FAMILY』ですが、皆さんはアニメ第1期を視聴しましたか?アーニャを始めとする数々の魅力的なキャラクターが登場するだけでなく、東西冷戦期と呼ばれる現代の若者からすると、少しなじみの薄い時代が舞台になっているということもあり見ていて新鮮な背景や描写が多い作品であるともいえます。今回は、そんな本作の1つの魅力であるといえる、本作における舞台について歴史が苦手な読者の方でもわかりやすいように解説していきたいと思います。本作の舞台となっている時代が、一体どのような時代なのか理解することによって、キャラクターのセリフや行動がどういった原理で動いているのか理解することができると思います。本作をさらに詳しく理解するためにも、ぜひチェックしてみてくださいね!
スパイが活躍した時代ってどんな時代?
まずは本作の舞台の時代について紹介していきたいと思います。現代からはかなり古めかしく感じる世界観となっており、なんとなく昔の話だろうなと思っている読者の方も多いとは思いますが、具体的にはどのあたりの時代を指しているのか?作中に出ている情報をもとに推察をして紹介していきたいと思います。
東西冷戦期
本作の舞台となっている時代は第二次世界大戦の終了後アメリカとソ連が対立を深めていた東西冷戦期と呼ばれる時代であると考えられます。 東西冷戦期は1940年代後半から1990年代まで続いたアメリカを筆頭とする資本主義陣営と、ソビエトを筆頭とする社会主義陣営の対立構造の上で社会が成り立っていた時代です。
核の抑止力と諜報活動
東西冷戦期では第二次世界大戦中に開発された核兵器をアメリカ陣営とソビエト陣営の双方が所持しており、この2つの国家が戦争を始めると核戦争が始まり、社会に甚大な被害をもたらす可能性がありました。そのためアメリカとソビエトは直接衝突する事はなく諜報活動や代理戦争などを通して互いに牽制をしあっていたのです。
元ネタは東西ドイツか?
そんな緊張の真っ只中の時代を描いた本作ですが、その中でも舞台となっているのは第二次世界大戦により東西に分けられ、もともと同じ国家でありながらも西側が資本主義陣営、東側が社会主義陣営として分断させられた地域で冷戦の象徴であるとも呼ばれている東西ドイツであると考えることができます。
歴史を知るともっとおもしろい!スパイファミリーのシーンから歴史を楽しむ!
このように『SPY×FAMILY』の舞台となっている冷戦期は現代とは社会構造が大きく異なり、通常のアニメファンであれば本作の舞台設定の裏にある深い意図まで読み取る事は難しい作品となっています。
本作をさらに深く知ろう!
一度歴史を詳しく調べてみると本作で描かれている設定のひとつひとつに納得がいき、さらに本作を深く知ることができますので、 ぜひとも本作をさらに深く知りたいというファンの方は本作の舞台となっている冷戦期についても深く調べてみてくださいね!
実質的な一党独裁国家
特に本作の舞台となっているのは東西ドイツの中でも東ドイツであると考えられます。作中でも東西に対立している国家の東側が舞台であると説明されていますし、東ドイツは社会主義国家であると同時に実施的な一党独裁体制の国家であったという点からも本作の舞台と大きく一致しています。
国家保安局による治安維持
そんな本作の舞台の元ネタとなっている東ドイツでは、すぐ隣に資本主義国家の西ドイツが存在するということもあり、資本主義陣営からのスパイや資本主義に触発された人民による反乱などを押さえ込む必要がありました。そのため国家保安局によって人々の行動は徹底的に監視され、疑わしい人間は即座に取り調べを受けることとなっていたのです。
社会主義国家と暗殺
まさに西ドイツと東ドイツは一触即発の状態でしたので、時の政権を転覆させようと暗殺が行われたりするというのは割とありふれた政治的情景だったのです。現代では殺し屋というと少しファンタジーのイメージがありますが、冷戦期には極めて一般的な方法であり、直接的に軍事衝突を起こすよりもより被害を少なく抑えることができるというメリットもあったのです。
資本主義VS社会主義
このように東西冷戦期というのは人類が初めて核の抑止力によって大規模な軍事衝突を回避することができた時代である一方、核を持たない国家同士の戦争による代理戦争を行ったり、スパイや殺し屋を駆使して敵国家の中枢を攻撃する方法がとられたりした時代なのです。その辺の歴史知識を持っておくと、本作をさらに楽しめると思います!
これからの展開は歴史が教えてくれる!?
このように本作はコメディー漫画でありながら、極めて忠実に過去の歴史に沿って設定をひいていることが理解できますね。そのため今後の展開も歴史を振り返っていけば、ある程度予測できるのではないかとも考えられます。そこで、ここからは東西冷戦のその後の歴史を振り返っていきながら、本作の今後の展開についても考えてみたいと思います。
長い期間東西の対立は続いた
まず東西冷戦というと基本的に第二次世界大戦後すぐに終わってしまったようなイメージをもたれる方も多いと思いますが、実際は半世紀にわたって続きました。 そのため「本作の主人公であるロイドが若いうちに、このまますぐに東西冷戦が終わってしまうのか?」というと少し微妙な感じもしますね。
資本主義陣営の勝利
ただ基本的には、本作の悪役的ポジションである人物が東側の国家を牛耳っている政党の権力者である以上、ロイドと彼の間で何らかの決着がつくものであるとは考えられます。
史実は資本主義陣営の勝利で終わる
事実として東西冷戦も社会主義国家の崩壊によって資本主義国家が勝利し、幕を閉じていますから作品としても資本主義国家の勝利というところまで描かれる可能性は充分あると思います。
アーニャと黒い軍事研究の歴史
そんな数々の注目点がある本作の舞台東西冷戦期ですが、この冷戦期という時代を語るにあたって、双方の国家で行われた軍事研究の歴史を無視することはできません。軍事研究の歴史が本作の主要キャラクターであるアーニャともつながっているので、ぜひとも調べていきましょう。
最も軍事研究が盛んだった冷戦期
東西冷戦期は世界史の中で最も軍事研究が盛んだった時代であるといえるでしょう。先程から紹介しているように、核兵器の存在によって直接的に戦争することができなくなった両者は、互いにさらなる新兵器を開発することによって少しでもリードしようと考えたのです。
今では信じられない実験も!?
極秘裏に行われた実験の中には、現在では到底人権上行われる事が許されないような実験も数多くあったのです。その辺の戦争と軍事研究の歴史を振り返ってみると本作の中のキャラクターであるアーニャの壮絶な過去をさらに深く理解することができるのではないでしょうか?
核兵器は超能力者に勝る
一時期は様々な分野で熾烈な軍事開発競争が行われていましたが、次第に実験内容は特殊な兵器ではなく、核兵器そのものをさらに小型にする研究や核兵器をさらに遠くに正確に飛ばす研究へとシフトしていきました、魔法のような戦闘力を持つ兵士や、兵器を開発するよりも核兵器を使うことその方が圧倒的に効率的に成果を上げることができるということに気づいたからです。
研究のヒートアップは双方の財政を圧迫した
また双方に軍事費にかけるお金を増加させる事に歯止めが効かなくなってしまった結果、それぞれの国家の財政を大きく圧迫する原因ともなってしまったのです。そのため、核兵器のみならず様々な研究が中止され、どのような実験が行われたのかというデータや、その証拠は次第に失われていったのです。
アーニャが一般市民に紛れていたのは時期的に違和感ない
作中に登場するアーニャもそのような失われてしまった実験結果の一つであると考えられます。作中でも、東西陣営の国家同士が互いに軍拡に疲れ融和する描写が描かれているので、ちょうど軍事研究に対する予算が縮小され始めた時期であると考えることができ時期的にも違和感はないですね。
軍事開発競争の終焉と研究のその後
このように、ある程度東西陣営の融和が図られていることからも、本作の舞台は東西冷戦期の末期であると考えることができます。この軍事開発競争の終焉によってアメリカを中心とする資本主義社会は経済が活発化し、財政を立て直すのですが、社会主義国家は膨大な公共事業を失ったことにより、次第に勢いを失っていくこととなるのです。
窮鼠猫を噛む?
そのため本作でも東側陣営が追い詰められていくと思うのですが、基本的に独裁者というのは多い込められた時にこそ、とんでもない計画を立案するものですので、後半のほうに入っていくと不利な現状を打開しようとして、東側陣営の方から何かとんでもない計画が実行されそうになるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?今回は本作の舞台の元ネタについて少しマニアックに紹介していきました。東西冷戦期というと第二次大戦や第一次大戦と比べて、戦闘描写が少ない分、小説やアニメ・漫画としては描かれにくい傾向にあります。しかし、その裏では本作『SPY×FAMILY』で語られているように、歴史として残っていない数多くの英雄たちの活躍があった事は間違いないはずです。 東西冷戦期の歴史について詳しく調べ、過去にどのような歴史ドラマがあったのかを想像しながら楽しんでみるのも本作の1つの楽しみ方かもしれませんね。