2021年7月にアニメ1部が放送された大人気アニメ「現実主義勇者の王国再建記」。2022年1月には、その続きにあたる第2部が放送されます。第1部はソーマの創るエルフリーデン王国の行く末が気になる終わり方でしたね。第2部ではさらにどんどん物語が加速し、新たなヒロインや個性的なキャラが増えることが予想されます。そこで今回は第2部で放送されるであろうストーリーの最初の部分を徹底的に解説していきます。(ネタバレ大注意です!!)
目次
第1部の終わり方
第1部の最終話にあたる13話ではアミドニア公国に勝利し、公都ヴァンを占領することに成功しました。軍事国家だったアミドニアに、ソーマは表現の自由を与え、街には出店が並び、領民は歌やコンサートをしたり、玉音放送による好きなテレビ番組を見たり、と彼らの自己表現の場を設ける政策をしました。ヴァンの領民は占領下の方が暮らしやすく、自然と笑顔を見せていたのが印象的でしたね。一難去って、といきたいところですが、今度は「人類宣言」によってグラン・ケイオス帝国から送られたジャンヌ・ユーフォリアが登場したところで第1部が終わりました。
第2部
第2部はジャンヌ率いる帝国側にアミドニア公国の生き残りユリウス・アミドニアが助けを求め、ヴァンの領土返還を求める場面から始まります。即戦争にはならず、帝国側も「人類宣言」の公約上しょうがなく助けていることもあり、国家間の交渉という形に落ち着きます。先に結果を言うと、ヴァンを返還すること、その代わりアミドニアからはエルフリーデン王国へ侵攻したことへの賠償金を支払うことが決定します。自業自得ですが、もはやユリウスと側近の兵しか残っていないアミドニア側に拒否権はありませんでした。
帝国との秘密交渉①
実質的な権力のないユリウスを退席させ、ソーマと宰相ハクヤの本当の狙いでもあった帝国側との交渉が始まります。ます第一に魔物に対する二国間での調査を定期的に共有することが締結されます。また、帝国側の研究により、知能のある魔族が魔物たちを調理した痕跡が見つかったことが明らかになります。これらを聞いたソーマの仮説として、人間から見た魔物と魔族は同族のように見えますが、その実、人が動物を獲って食べるように、魔族たちは魔物を食べて暮らすという極めて人間と同じような生態系で存在している疑惑が生まれました。
帝国との秘密交渉②
次に帝国側の議題は「人類宣言」に加盟してほしいというものでした。ソーマは明言はしませんでしたが、前々からその宣言には落とし穴があることを指摘しており、結局、帝国と王国との秘密裏な二国間同盟を結ぶことに落ち着きます。宝珠の受信機を帝国に渡し、迅速な情報共有をすること、両国に「大使館」と大使を派遣し外交を直接行えるようにすることが締結されます。現代のようなシステムをこの世界でも導入する現実主義なソーマの提案がまとまり、帝国と良好な関係を築くことができました。
ゲオルグ・カーマインという男の生き様
ヴァンを返還し、王国に戻ったソーマは地下牢で元陸軍のトップであったゲオルグ・カーマインの前にいました。アニメ1期でゲオルグは、不正貴族たちを匿い王国へ反旗を翻すフリをして、戦いに敗けることで彼ら諸共逮捕する計画を実行しました。実行犯を裁かなくては、貴族たちを裁くことはできないため、無罪にすることはできず、せめて衆目の前での処刑よりも毒酒による自殺をソーマは提案します。その体躯が倒れる音と毒酒の瓶が割れる音のみが鳴り、ゲオルグという男は死を迎えます。国のために、膿を出すためにした彼の行動は、この先の未来をソーマ・カズヤに捧げて最期まで武人たる忠誠心によるものでした。
功労賞 2人の妃①
ここまできてやっと、この度の戦争の報奨の場が設けられました。アイーシャは新たに俸給がもらえる「東風侍(こちじ)」の役職を貰い、弓で援軍をしていたアイーシャの父ボーダン・ウドガルドにも報酬を与えることになります。ボーダンはアイーシャを妃に貰ってほしいとお願いします。突然のことに戸惑うソーマでしたが、第一王妃リーシアの賛成と「ちゃんと娶ってあげなさい」というリーシアの言葉に後押しされ、正式にアイーシャが第二王妃になりました。
功労賞 2人の妃②
次にゴルドアの谷で公国軍を奇襲したジュナへの報奨に移ります。かねてからの想定通り、カルラとカストールの刑を軽くする要求をするだろうと想定していたソーマですが、三公の1人であり、ジュナの祖母にあたるエクセル・ウォルターが割って発言します。さっきのアイーシャの婚約をみて、浮かない顔をしていたジュナへ「貴方は貴方の望みを叶えてちょうだい」と優しく大事な孫娘に伝えます。
功労賞 2人の妃③
ジュナはまっすぐソーマを見て、「私も姫様やアイーシャさんと共にこれからも貴方様のおそばで歌いたく存じます」と言います。始まりは密偵としてエクセルに派遣されたジュナですが、いつの間にかソーマに対する想いは確かなものとなっていました。ソーマはジュナの歌姫としての役割や国にとっての重要性を踏まえ、後継者が出てきてその役目を終えたときに「必ずお迎えにあがります」と明言しました。ジュナは平民なので側妃として、アイーシャは第二王妃として、この度、新たに2人の妃候補が決まりました。
処罰されるものたち①
最期に残ったのは、元空軍のカストールと娘カルラの処罰についてでした。裁判ではハクヤが求刑し、エクセル・ウォルターが弁護を、ソーマは14の貴族たちに意見を求めながら、判決を下す役割を担いました。ハクヤは死罪を、エクセルは命だけは助けてもらうよう申し出ます。双方の言い分、カストールの反省を聞いたソーマは、後方の貴族たちに向かって「この反逆者を断罪することに、まさか反対のヤツはいないだろうな」と半ば恫喝をするかの如く言い放ちました。
処罰されるものたち②
普段のソーマとは正反対なやり方に驚くリーシアでしたが、反対意見は2人の貴族からのみでした。真面目そうな好青年ピルトリー・サラセンと筋骨隆々の大男オーエン・ジャバナは陛下の意見を押しつけすぎている、カストールは地位も財産も奪われているのだから十分だと理路整然と反対意見をしました。ソーマは「連れていけ」とだけ言い、兵士によって2人は大広間から連れ出されてしまいます。他の貴族たちはソーマに畏れ、歯向かわないように即刻カストールたちを死刑にするべきだと意見しました。
処罰されるものたち③
「皆の意見はわかった、斬れ。」振り下ろされる刃と血が舞い、12の首が落ちました。マキャベリの「君主論」における「上手い残虐の使い方」とは、今は味方であっても勢いがなくなれば謀反を起こすような者たちを断罪することだとソーマは解釈していました。後方にいた14の貴族たち、彼らは長年忠誠を誓うフリをして、いつでも寝首を掻いてやろうとするコウモリ野郎たちであり、堂々と反対意見をぶつけた2人の貴族を除いた残りの貴族たち、12の首が落ちたのでした。ソーマは後の禍根になる前に、腹のうちに眠る病巣を討つ判断をしたのでした。
黒猫と処遇
この時12の首を斬った部隊は諜報部隊「黒猫」といい、ソーマ直属の部隊として、諜報、密偵、暗殺など、影の組織としてこれからも活躍していきます。断罪されず、堂々と意見したピルトリーは先の帝国の大使へ、オーエンはソーマのご意見番教育係へと重要な役職に昇進しました。また、はじめからこの裁判自体、貴族たちの断罪を目的としていたため、カルラは侍従としてソーマ、リーシアに仕え、カストールはエクセルの海軍で一兵卒から働くことで落ち着きました。
再占領①
戦争終結から1か月後、ソーマが与えた自由を再度奪って統治していたユリウス新政権に民衆が反乱し、民がヴァンを占領したのでした。一度味わった自己表現のすべてを取り上げられた民の心はすでにユリウスではなく、占領されていた頃のソーマ王へと移っていたのです。そしてヴァンの国民からの要請で、ソーマはヴァンを再占領したのでした。これを聞いた帝国側の聖女マリア・ユーフォリアとジャンヌは、「人類宣言」に反していると急遽、玉音放送を繋いできました。
再占領②
以前ソーマが言った宣言の落とし穴について、玉音放送を通じてソーマはマリアたちに説明しました。武力による国境線の変更を認めないこと、国内の諸民族の自決権を認めること、この2つの文言が落とし穴と指摘した部分であり、今回のようにヴァンの国民がその自決権を行使しエルフリーデン王国に占領されたいといった時、宣言では自決権を認めるしかないのですが、国境がアミドニアからエルフリーデンに変わることは宣言では認められないという矛盾が生じてしまうのでした。つまりこの宣言は国外の国家間では問題はなく順守できますが、国内の問題になると矛盾を孕んでしまう文言だったのです。
コルベールとロロア
ここまでを説明し、ソーマは占領を帝国に認めてもらいました。また、旧アミドニアから人材登用として、1部でもチラッと登場したギャッツビー・コルベールを財務大臣とし、財務を正式に管理する人材が確保できました。そしてロロア・アミドニアが妃候補になりました。突然のことでしたが、登用の場に現れたアミドニアの妹姫は、ソーマの所に嫁ぎに来たと言い、ソーマはロロアの商人としての才、アミドニアを占領するための正当性、ロロアの血族よりも街の民の生活を守りたいという意思を評価し、正式に妃候補となったのでした。
フリードニア王国
急にロロアという人物が妃になりましたが、その愛くるしい見た目と人懐っこい関西弁、玉音放送の合間に貴族たちの商品を宣伝するCM制度を考えつくアイデア力など、すぐにソーマやリーシアたちとも仲良くなりました。このような流れで誕生した「エルフリーデン及びアミドニア連合王国」は、通称「フリードニア王国」と呼ばれるようになりました。さて、ここからは他の新たな才たちの紹介に移ります。
奴隷商 ジンジャー・カミュ
ジンジャー・カミュは祖父の職を嫌々継いで奴隷商になりました。ジンジャーは、祖父の残した奴隷たちを売るまでは仕事を続けようとして、まずは、奴隷たちに読み書き、計算といった教育をします。また気弱で優しい性格も相まって、売る相手はお金ではなく、奴隷たちを大切にしそうな人であるかを重要視しました。奴隷に付加価値をつけ、売る相手を見定める人を見抜く目をソーマは評価し、子供たちや職に困る大人たちに教育をする職業訓練施設の初代館長として登用されました。
医学者 ブラッド・ジョーカーとヒルデ・ノーグ
魔法が発達しているせいで、医学・衛生学は未発達だったこの世界において、三つ目族は微生物を目視することができました。彼らは微生物が見えてしまうため、感染症への対策が徹底しており、すでに抗生物質を開発するほどでした。その三つ目族の医者で潔癖症のガスマスク姿の女性のヒルデノーグを雇用し、街の衛生管理を任せました。もう一人、ブラッド・ジョーカーは戦場での手術、解剖で得た知識を駆使し、魔法を使用しない医者として神医と呼ばれるほど外科手術に秀でた人材で、同じく医療関係の役職に登用されました。
先代王アルベルトと王妃エリシャ
なぜソーマはすぐに王に任命されたのか、なぜゲオルグはソーマを王として認め貴族たちを道連れにする計画を実行したのか。ソーマが睨んだのはリーシアの母である王妃エリシャでした。「過去の対象に記憶を継承させること」エリシャの能力により、ソーマが国王にならなかった未来、ソーマではなく他の人材を重用した未来は必ず失敗することを告げられたアルベルトは、召還したソーマをすぐに王にし、未来で謀反を企てた貴族たちをゲオルグに処分させたのでした。そんな背景があったことを聞かされたソーマは、2人からあらためてこの国の未来を任されるのでした。
まとめ
今回は「現実主義勇者の王国再建記」の第2部について、その始まりの部分を解説してきました。ライトノベル版では3巻の途中から4巻の最後までにあたる部分ですが、ソーマのエルフリーデン王国がフリードニア王国へと成長し、新たな妃たちと才ある家臣たちが登場する国の地盤が固まっていく章だったのではないでしょうか。アニメ第2部ではもう少し先まで放送される可能性が高いため、ライトノベル版もぜひ一読しておく価値があると思います。