劇場版「鬼滅の刃無限列車編」の記録的なヒットを受けて、アニメ鬼滅の刃にハマったという方も多いでしょう。もしかしたら、鬼滅の刃の映画がきっかけとなってアニメそのものに興味を持った人も多いかもしれません。今回は、鬼滅の刃を観て他のアニメにも興味を持ったけど、これまであまりアニメを観てこなかったから、どのアニメを観ればいいのかわからないという方に向けて、鬼滅の刃と似たような内容でありながらも少し深みのある内容に特化した作品「怪物事変」について紹介していきたいと思います。
鬼滅の刃と怪物事変ってなにが違うの?
まず初めに、そもそも鬼滅の刃と怪物事変はどのような点が異なっているのか?ということについて解説していこうと思います。似たような作品とはいえ、当然ですが作品ごとに細かいテーマや工夫は異なっていますので、違う点を一つずつ理解して行くところから始めていきましょう。
客層の違い
まず、鬼滅の刃と怪物事変の違いとして一番に挙げられるのは客層の違いです。鬼滅の刃は子供から大人まで楽しめる幅広い客層をターゲットにしている作品ですが、怪物事変は作品のテーマが複雑でグロテスクな表現も多々でてくるため鬼滅に比べて、少し年齢層の高い客層をターゲットにしています。
怪物事変の方が深みはある
年齢層が高いということもあり、怪物事変では鬼滅の刃のような単純な物語進行でなく、様々な登場人物の心情が複雑に絡み合う物語進行となっています。ですので怪物事変は鬼滅の刃だけでは物足りないという方にお勧めできる作品なんです。
分かりやすい鬼滅と面白い怪物事変
怪物事変の方が物語に深みがあるから優れている!というわけではありません。鬼滅の刃のすごいところは単純に物語の深みを追求するのではなく、いかに読者に心に残る構成にするのかということにコミットしている点です。
鬼滅と怪物事変の上手い住み分け
このように、物語に深みを持たせることに特化した怪物事変とわかりやすさにこだわった鬼滅の刃という具合でうまく住み分けができているのです。
鬼滅の鬼と怪物事変の鬼は違う
どちらの作品にも、鬼滅なら「鬼」、怪物事変では「屍鬼」といった具合に鬼が登場するわけですが、この二つの作品の中に登場する鬼は明確に異なっています。鬼滅の刃に登場する鬼は無惨から始まったホラー映画に出てくるゾンビのような存在なのに対して、怪物事変に登場する屍鬼を含む怪物は日本のアニミズム信仰に基づいた人間の生活と密着している神々に近い存在なのです。
基礎設定が複雑なのはどっち!?
分かりやすさにコミットした鬼滅の刃と複雑な設定にコミットした怪物事変ですが、この二つの作品間の関係は基本設定でも言えます。鬼滅の刃は鬼を無惨から生まれた存在として説明することで把握しないといけない基本設定を簡略化したのに対して、怪物事変では過去に起きた出来事をあえて伏せて物語を進めることによって、次から次へと謎が解けていくという形をとり複雑な設定を少しずつ小出しにしていくという物語進行にしています。
絶対に怪物事変の方が面白い!!
映画が大ヒットし、まさに面白さが折り紙付きである鬼滅の刃ですが、私はアニメミルを見ている「コア」なアニメファンの皆さんには「怪物事変」をお勧めしたいと思います。
鬼滅はコアなファンには物足りない?
というのも、鬼滅の刃では多くの読者に受け入れられるように、様々な設定や物語進行をわかりやすく簡略化している節があります。このような工夫は多くの層に受け入れられやすいものの、歯応えのある作品を求めているコアなファンにとっては退屈であることが多いのです。
コアなファンには怪物事変がお勧め!
その一方で怪物事変では鬼滅と異なり設定や心理描写が複雑に描かれており、鬼滅の刃が退屈に思えてしまうコアなアニメファンにとっては持っていこいの作品となっているのです。
深い設定と作者の知識
怪物事変は万人受けを狙っていない作品だからこそ、入念に張り巡らされた深い設定と、その設定を作る為の作者の深い研究と知識が込められている作品なんですね。
怪物事変のテーマの深さ
ここでは、上記で説明していた怪物事変の作品としてのテーマの深さについて簡単に説明していきたいと思います。まだまだ物語が進行している途中ですので、どこまでが計算内なのかわからないところもあるわけですが、怪物事変では描かれているシーンを細かく見ていくたびに新しい発見があるほどの深い作り込みがされています。
怪物事変に登場する怪物の正体
鬼滅の刃に登場する鬼と異なり、怪物事変に登場する怪物達は古来から我々の生活の中に溶け込んで生活をしている存在です。我々がよく参拝する日本の神々に近い存在であると言えるでしょう。実際、作中に登場した妖狐も五穀豊穣の神「お稲荷さん」として現在も信仰されていますよね。
そこから導き出す怪物事変の意味
怪物事変に登場する怪物が日本の八百万の神々と同じようなものであるということがわかってくると、おのずと怪物事変のタイトルになっている「怪物事変」という事件についてもわかってくると思います。
「怪物事変」はかつての日本でも起きたことだった!
もののけ姫でも描かれていますが、日本ではかつて森や湖などの自然物に神のような存在が宿っていると考えていました。しかし、時代が進むにつれてこのような信仰は廃れていくこととなります。このような人間の信仰心の弱まりというのが、人間と神々の対立という形で描写されているのではないでしょうか?つまり「怪物事変」というのは、かつて日本で起きた文化の変遷を神話ベースに落とし込んだ設定なのです。
日本のアニミズム信仰に注目した見事な設定!
このように怪物事変に登場する設定は、細かく調べていくと「日本の民族信仰」たどりつくことがわかります。通常の読者ではとてもたどり着くことができないような深い設定を設けているからこそ、 様々なキャラクターの能力やストーリー進行に奥行きが生まれているのです。
他の作品にも繋げやすい!!
上記で解説したように、怪物事変で登場する数多くの設定は実際に日本で起こっていた文化の変遷や、日本人の信仰形態を元にしています。だからこそ怪物事変を通して知ったことは、 他の同じような日本文化の変遷や信仰形態を題材にしているアニメーションでもいきる知識となるのです。ここでは、怪物事変を楽しんだ後どのような作品を見るべきなのかという事についても詳しく解説していきたいと思います。
もののけ姫
宮崎駿監督作品です。 もののけ姫は上記で解説した過去に起きた人間と怪物の戦争「怪物事変」の元ネタである日本人の信仰形態の変遷と、そのことによるアニミズム信仰の衰退をさらに詳しく描いている作品です。
怪物事変を見ることでさらにわかりやすく!
怪物事変を通して「かつて日本にこのような出来事があったんだな」と学んでから 観ることで、この物語がどのようなテーマを持っているのか、さらにわかりやすくなると思います。
平成狸合戦ぽんぽこ
もののけ姫と同じくジブリ作品の平成狸合戦ぽんぽこからも怪物事変と同じ日本人の文化形態の変遷という設定を垣間見ることができます。 このようにジブリ作品では、「かつて日本の文化はこうであった」を我々に教える作品が多く、怪物事変とのテーマの一致性が多い作品が多々あります。
他の作品と合わせて観ることでさらに面白く!
このように一つの作品だけを楽しむのではなく、 鬼滅の刃を観たら怪物事変、怪物事変を観たらジブリ作品といった具合に、似たようなテーマや設定を有している作品へテンポよく進んでいくことで、次の作品をさらに深く楽しむことができるんです。
売れるということの難しさ
今回の記事では鬼滅の刃と怪物事変について、この二つを比べながら解説していきました。このような過程を追っていく中で、怪物事変が越えるべき壁である鬼滅の刃のすごさについても改めて見えてきましたね。
鬼滅はやっぱりすごかった、、
鬼滅の刃では鬼と人間の戦いという一見いくらでも設定が追加できるテーマであえて複雑な設定を詰め込まないという割り切りの良さと、多くの人に受け入れられやすいストーリ展開という数多くの工夫がされています。まさに少年漫画としての完成形とも言えるでしょう。
怪物事変は鬼滅の夢を見るか?
このような工夫を凝らして大ヒットした鬼滅の刃に対して、怪物事変はどのような工夫を用いてくるのでしょうか?まだまだ、始まったばかりの作品ですので、今から作者の手腕に期待ですね。
まとめ
いかがでしたか?今回は大人気作品である鬼滅の刃と怪物事変について比べながら紹介していきました。 やはり、さすがというか鬼滅の刃にはヒットするなりの工夫がなされていましたよね。 怪物事変も鬼滅の刃に劣らないほど良いところがたくさんある作品ですので、 ぜひ多くの人にみてもらいたいですね!アニメにも注目したいところです!