此岸と彼岸の境界に存在する、市役所ならぬ「死役所」。ここには、自殺、他殺、病死、事故死、寿命、死産までありとあらゆる人が訪れ、死後に自分の死の手続きをする場所であり、様々なお客様が訪れます。死んだ人たちがそれぞれのエピソードを展開する死役所は各所で話題となり、実写ドラマ化も果たしました。そんな死役所の主人公で、未だ謎の多い男、シ村について紹介したいと思います。
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お客様は仏さま、死役所職員のシ村はだいたいこんなやつ
死役所に勤務する職員であり、常に『く』の字を横に倒したような笑みを崩さず、冷静かつ慇懃無礼に職務をこなす男で、本作の主人公。本作最大の伏線といえる謎に大きく関わっている人物です。モットーは『お客様仏様です』で、誰に対しても丁寧な対応をとるも、慇懃無礼で若干皮肉交じりに話します。名札にはシ村と書かれていますが、本名は市村正道。死役所の職員にはもれなく全員、シの文字がついています。
職員全員ヤバい人!?シ村を含めた職員全員死刑囚なんです!
死役所の職員はなんと全員が死刑囚。死刑によって死んだ人物は強制的に死役所の採用試験を受けることになり、採用試験を辞退した場合には『冥途の道』に送られてしまい、真っ暗闇の中を永遠にさまよい続けることになります。採用試験は基本的に受ければ受かるような試験らしいですが、仮に落ちた場合どうなるのかは不明。つまり、シ村もまた生前に死刑判決を受けて処刑された人物です。
死役所職員のシ村、どんなお仕事をしているの?
死役所には様々な役職があります。自殺課や他殺課などの課に分かれており、シ村は主に死んだお客様がどの課に行けばいいのかなどの案内を行うほか、新人研修や何でも屋的なこともやる総合案内の役職に就いています。そのため、お客様と接する機会も多く、物語の聞き手や未練を残して死んでいったお客様に対するアドバイスのようなことも行っています。普段から作ったような笑顔を崩さないのですが、稀にその態度が変わることも。
死役所の職員になってしまったシ村、あんた一体何をやったんだ……
死刑が執行されて死役所行きになった人たちはもれなく死役所職員の採用試験を受けます。つまり、シ村も何かしらの罪を犯して死刑になったということです。そんなシ村が生前何をしでかしてしまったかというと、実は何もやっていません。シ村は冤罪で警察に捕まり、起訴されて死刑判決を受け、そのまま処刑されてしまったのです。冤罪で処刑されたので本来シ村は職員にはならず成仏の手続きを取ることが出来ますが、あえてそれを拒みとある目的のために死役所に残っています。
死刑囚・市村正道の悲惨な過去!一体シ村に何があったのか?
シ村こと市村正道は生前も市役所に務める公務員でした。市村は役所にやってきた老婆をひょんなことから家に送り届けることになり、そこで後に妻となる女性、幸子と出会うことになります。幸子はとてもマイペースな人で、常日頃から絵を描くことに熱中し周りが見えなくなってしまうことがあったり、他人に合わせることが苦手だけど本人は特にそれを気にすることもない、そんな女性でした。彼女は祖母と二人暮らしでしたが、実の家族からはすでに見捨てられており、一見親切に見えた祖母も彼女のことを出来損ないの恥さらしだと思っていました。
結婚する二人
ちょっと変わっているけど、そんなところに惹かれた市村は、幸子の祖母が逝去した後に結婚し夫婦となります。結婚した二人は美幸という娘を授かることになるのですが、その娘である美幸は部分的に優れた能力を持つものの、普通の食事を食べずに絵の具や土を口にするような子供、現在でいうところの発達障害やサヴァン症候群と呼ばれるような症状でした。現在であれば、そのような診断がなされる可能性が高かったのですが、市村が存命していた時代はそのような言葉や症状が広く認知されていませんでした。
追い詰められる幸子
そもそものことを言えば、幸子にも発達障害の症状はみられていました。しかし、発達障害という言葉が日本で認知されたのはごく最近のお話で、当時の美幸を診断した医師は、愛情が足りない、このままだと死んでしまうという診断しかできず、幸子は娘の死に恐怖し追い詰められることになります。そんなとき、幸子の耳に入ってきたのが『加護の会』の話でした。幸子は我が子を救うために、現在でも残るカルト宗教団体『加護の会』に相談するのですが、それが市村にとっての地獄の始まりでした。
市村正道と宗教法人『加護の会』の因縁の幕開け
幸子が『加護の会』に足を運んだまま帰らなくなったことで、市村は加護の会に乗り込みますが、煙に巻かれ追い返されてしまいます。強引に幸子を取り返そうとするも、誤魔化されその場は一旦引き下がるのですが、家に帰ったとき、娘の美幸が血を流して倒れていました。市村が不在にときに何者かに殺害されてしまったのですが、警察が容疑者として挙げたのは市村でした。
追い詰められる市村
警察は市村を美幸を殺害した容疑で逮捕し、今の時代では紛れもなくコンプラNGの拷問じみた取り調べを受けます。人質司法制度による長期間の拘束は市村の精神をどんどん消耗していき、ついには犯行を自白してしまいます。結局、市村は冤罪により死刑に処され、美幸を殺した犯人、妻の幸子の行方やおそらくは両者について何らかの関係がある『加護の会』についても全ては謎のまま、死役所行きとなってしまいました。その真実を探るために、市村はあえて死役所の職員となり、その動向を探っています。
シ村と加護の会におけるエピソードの進捗状況は?
死役所には、美幸に関する情報がアーカイブされており、それを閲覧できるシ村は美幸を殺害した犯人を既に知っていることになります。また、登場人物や時代背景から察するに、市村が処刑されたのはおそらく50年くらい前の出来事で、幸子が死役所に現れていないことから、幸子はまだ存命で加護の会と関わっているようです。また、死役所職員で元加護の会会員の松シゲとも何かしらの因縁があるようです。
【死役所】主人公シ村まとめ
死役所の主人公、シ村についてまとめてみました。冤罪で処刑されてしまった悲劇の主人公ですが、未だ彼のエピソードについては謎が多いです。これからの動向が非常に気になります。また、テレ東のドラマで実写化されていたので、そちらも見てみてはいかがでしょうか?