からくりサーカスに登場する奇病、ゾナハ病は物語の根幹に関わる重要な病気です。登場から物語が進む中でゾナハ病に関する様々な事実が明かされていきます。物語の最初から最後まで重要な意味合いを持つ奇病『ゾナハ病』を考察し、徹底解明していきたいと思います!
目次
【からくりサーカス】誰かを笑わせなければ死ぬほど苦しむゾナハ病
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
主人公の一人、加藤鳴海はこのゾナハ病にかかっていました。その病気の症状は『誰かを笑わせなければ死ぬほど苦しむ病気』でした。そのため、加藤鳴海は何とかして誰かを笑わせる仕事に就かねばならず、着ぐるみをきて風船を配っていました。これがきっかけで才賀勝と加藤鳴海は出会うことになり、加藤鳴海がゾナハ病にかかったことが物語のはじまりと言えるでしょう。
ギャグ要素満載のゾナハ病
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当初、『ゾナハ病は誰かを笑わせなければ死ぬほど苦しむ』というギャグ要素満点の症状であり、加藤鳴海はスベリ芸人がスベリまくって笑いすら取れていないという状況に追い込まれるコミカルで滑稽な症状として描かれていました。
【からくりサーカス】ゾナハ病の治療方法は?しろがねになった加藤鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
この奇病、ゾナハ病の治療方法は確立されておらず、現存する唯一の治療方法は万能の霊薬『生命の水』を飲むことです。『生命の水』は『柔らかい石』(他の作品では賢者の石とか呼ばれています)の水溶液であり、生命の水を飲むことでゾナハ病に対する耐性を得ることになります。しかし、一定以上の『生命の水』を飲むと髪と目が白銀に染まった超人『しろがね』となってしまいます。加藤鳴海も生命の水でゾナハ病を克服しました。
ゾナハ病を殲滅するもの、しろがね
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
『しろがね』となった人間は5年に一度しか年を取らず、常人以上に再生能力と不死性を手に入れることができます。一度に大量に血液を失ったり、一度に体の大半を損傷するなどしなければ死亡しません。しかし、生命の水には記憶を継承する特性があり、錬金術師『白銀』の意識が溶けた生命の水を飲んだ大半のしろがねは、自動人形に対する復讐心に支配されてしまいます。
【からくりサーカス】ゾナハ病をばら撒くもの『自動人形』
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ゾナハ病は人類の敵『自動人形(オートマータ)』の疑似血液が病原体となっており、自動人形たちは世界中にゾナハ病の病原菌をまき散らしています。全世界に存在するしろがねたちはこの自動人形を殲滅する宿命を抱えていると言えます。
何でそんな酷いことするんだ!
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自動人形たちの原型となるフランシーヌ人形と最古の四人は錬金術師の白金により作られました。白金は愛した人物を失った悲しみから、フランシーヌ人形を作り上げましたがフランシーヌ人形は笑うという機能だけが存在しなかったため、造物主の白金に捨てられてしまいます。そのため、自分を笑わせる方法を探すために世界中にゾナハ病をばら撒いています。
【からくりサーカス】ここは地獄、ゾナハ病の真実
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
物語が進むにつれ、加藤鳴海はゾナハ病の研究施設に立ち寄ることになり、そこに収容されたゾナハ病患者と研究員たちを見た加藤鳴海は、いかにゾナハ病が最悪の病気であるかを知ることになります。
ゾナハ病第一段階
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ゾナハ病には3段階の症状があります。第一段階は加藤鳴海のように『誰かを笑わせなければ死ぬほど苦しむ』という症状。逆に言えばこの時点では誰かを笑わせることが出来れば生活することが出来ます。
ゾナハ病第二段階
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免疫力が低下し様々な合併症を引き起こします。この時点で死亡する例が大多数であるものの、この時点で死ぬことが出来るのはある意味幸運とも言えます。
ゾナハ病第三段階
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新陳代謝が停止し、一定の体温になり身体が硬直し老化することもなく半永久的に苦しみ続ける。食料を摂取せずとも生き続け、外的要因以外では死ぬことが出来なくなります。ゾナハ病が最悪と言われる所以がこの第三段階の死ぬことができなくなる症状です。
ここは地獄なのさ
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ゾナハ病に感染した患者らはいつ死ぬのか、あるいは死なずに第三段階を迎えるかという希望のない生活を送っており、その患者たちを見守るスタッフたちはゾナハ病の症状を少しでも和らげるため麻薬に近い薬物を自ら投与し、無理矢理にでも笑っていました。この地獄を見た加藤鳴海は自動人形を殲滅しゾナハ病をこの世から消し去ることを心に誓うことになります。
他の作品に影響を与えるゾナハ病
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かの人気漫画『ハンター×ハンター』にはゾバエ病という病気が登場しています。その病気は死ぬことができなくなる病気であり、おそらくこれが元ネタだと考えられます。かの作者もゾナハ病かもしれません。
【からくりサーカス】ゾナハ病が生まれたきっかけって?
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ゾナハ病は錬金術師の白金が、愛した人物を間接的に殺したクローグ村の子孫たちに復讐するためにばら撒いたのが始まりです。その後クローグ村の子孫たちは、白金の兄である白銀の生命の水によって助けられますが、その生命の水の中には白銀の復讐心が溶けていたため、数百年に渡る自動人形との戦いの宿命を背負うことになります。
増える自動人形
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白金がフランシーヌ人形を捨て去ったあとは、残されたフランシーヌ人形が残された研究施設を使って疑似体液を開発します。その疑似体液にもゾナハ病の病原体が使われており、世界中にゾナハ病をばら撒くことになります。
【からくりサーカス】ゾナハ病の病原体は超微細な自動人形『アポリオン』
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ゾナハ病の病原体はウイルスの類ではなく、超微細な自動人形『アポリオン』です。所謂ナノマシンであり、自動人形の疑似体液や銀の煙の正体もこのナノマシンです。ナノマシンが身体の中に入り込み、神経を操作することで症状を起こしています。
アポリオンは機械系統を狂わせるナノマシン
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アポリオンは生物の体内に入り込み異変を起こすだけではなく、ナノマシンらしくミサイルなどの機械類は微細な繋ぎ目から侵入し、内部から破壊してしまいます。そのため精密機械はナノマシンにより破壊されてしまうことにより、遠距離のミサイルなどの攻撃手段は自動人形に対して有効ではありません。
アポリオンを使った攻撃手段を持つ自動人形も存在
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
最古の四人の一人である『コロンビーヌ』はこのアポリオンを操って攻撃や防御を行うことが出来る能力を持っており、ゾナハ病を発症させるだけでなく、様々な応用が効くナノマシンと言えるでしょう。
元のアイデアは?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ゾナハ病の正体は微細なナノマシンでしたが、そのアイデアの元ネタとなった可能性のある作品があります。それはサンデーでからくりサーカスと同時期に連載されていた『ARMS』です。ARMSもナノマシンが物語の根幹に絡んでおり、ゾナハ病の正体がナノマシンというのは作者の藤田和日郎先生が影響されたのかもしれません。
【からくりサーカス】最悪のゾナハ病アポリオン発狂モード
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
物語の最終版、フェイスレスはこのゾナハ病の病原体であるアポリオンを全世界にばら撒き、全人類を抹殺する計画を実行に移します。このときのゾナハ病は第三段階の死ぬことなく苦しめるという機能が無くなっており、ゾナハ病によって生物を殺すことが出来る機能を持っています。
やろうと思えばいつでも人類抹殺が可能だった
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ナノマシンを全世界にばら撒き、かつアポリオンのモードを変更してさらに死亡までのタイムリミットを縮めることも出来たため、フェイスレスは全人類の命を握っていたということになり、アポリオンが如何にとんでもない性能をしているかがわかります。
【からくりサーカス】ゾナハ病の治し方、モードチェンジアポリオン
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ゾナハ病を治す方法は『エレオノールが子守歌を歌う事』音声のパスワードのようなものが設定されており、これによってモードが治すモードに変更されます。全世界にエレオノールの子守歌が発信されたことにより、ゾナハ病は世界から消えました。
一番恐ろしいのはフェイスレスの悪意だった?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
最悪の奇病として恐れられていたゾナハ病ですが、モードが切り替わったことで身体を治すモードに変わりました。これは応用次第で医療に転用できる可能性が示唆されており、決して人間に害を及ぼすだけの技術ではないと考えられます。一番恐ろしかったのはアポリオンを細菌兵器のように扱ったフェイスレスの悪意だったのかもしれません。
からくりサーカスゾナハ病考察まとめ
物語の最初から登場し、最後まで物語のキーワードであり続けたゾナハ病。多くの読者にトラウマを植え付けまくったゾナハ病がまさか最後にこうなるとはと思うと、非常に壮大でよくまとめた設定だと思いました!