東京喰種:reで全編において暗躍していた旧多二福も、ここにきてその目的が見えてきました。「無印」からの彼の行動をさかのぼり、彼の正体と目的をまとめています。旧多は自らの目的のために本性を隠して多くの組織に名を連ねていましたが、その目的は何だったのでしょうか?彼が世界を蹂躙するために用意したという「ラスボス」の正体とは何なのでしょうか?そして、最終決戦の時が刻々と近づく東京喰種:re、旧多はどのような結末を迎えるのでしょうか?
旧多二福の人物像
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
東京re:にて、喰種対策局の一等捜査官であり、キジマ班に属するキジマ式の部下兼補佐であることが判明した。目の下にほくろがある中性的な男性。 作者の石田スイのtumberにて、2016年の旧多二福の生誕記念の際、"6歳になりました"との記載があったことから、実年齢は24歳だと思われる。
キジマとの関係性
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残虐性がみられるキジマとは違い、一見穏やかな人物。 囮作戦では囮役が上手いと評価され、本人は「全然嬉しくないです~」と小声で否定している。キジマに対しては「クソじょうしぃ」と囮作戦時に酔っぱらった(ふりの)時に発言していたが(後に否定している)、巻末のおまけ漫画では熟睡しているキジマに布団を掛けたり、キジマの冗談で談笑している事から、関係は良好だと思われる。
そもそも旧多とは?
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
東京喰種:re172話で「僕ねえ、意外と強いんですよ」とカネキに告げている旧多二福ですが、まさに千の顔を持つ男といえます。彼の登場シーンを時系列順に追ってみることにしましょう。
ピエロの一員「宗太」として
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「無印」でカネキが月山習と対峙した喰種レストランが初登場シーンでした。仲介役として亜美という女性をレストランの解体ショーに提供するという役回りで登場しました。正体不明ながらマトモではない雰囲気を感じ取ることができますがこの頃は旧多がここまで重要人物だと看破した方はほとんどいないと思います。
上井大学でトーカに声を掛ける
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トーカがカネキと間違えて旧多に声をかけてしまったというシーンがありました。髪は少し短めですが、顔はそのままですし、右目下のほくろも一致しています。この頃は「このヒト誰?」というのが正直なところだったと思います。今にして思えば、カネキを探るために潜入していたのかもしれません。
CCG捜査官として登場
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本格的に旧多二福として素顔で登場したのはCCG捜査官として登場した「東京喰種:re」からとなります。最初はキジマ式の部下として頼りなげな姿を見せていた旧多でしたが、月山家殲滅戦でついにその本性を表します。味方を盾にして冷酷に敵を処理し、目撃した捜査官さえも口封じに抹殺していました。
エトとの邂逅
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その後は記憶を失ったカネキ=ハイセとともに、アオギリの樹の幹部エトの捜査に参加しています。エトは彼の正体を見抜いており、アオギリの樹で嘉納教授に協力していたことも和修家の一員だったことも暴露されてしまいました。その時には我を失うほどに逆上しており、ただならぬコンプレックスを見せています。その後、リゼベースの半喰種となったことが発覚し、その能力でエトを一瞬にして倒してしまいます。
CCG新局長に就任
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
コクリア防衛戦の後、脱獄したピエロのボス・ドナートたちとともに和修一族を襲撃します。そして、自らはCCG新局長におさまり、新部隊オッガイを使って喰種壊滅作戦を推し進めました。しかし、それはすべてカネキを竜化させるための手段にすぎませんでした。オッガイたちとともに旧多もカネキに捕食され、笑いながら最期を迎えたと思われました。
カネキとの再会
しかし、旧多は死んでいませんでした。カネキが竜から解放された後、その抜け殻からリゼと思われる人物を回収していました。人間を喰種化させる原因を解明しようとするCCGをVとピエロを使って襲撃し、第169話にて旧多はカネキと再び対峙しています。
能ある鷹は爪を隠す
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
最初はその素性も本性も戦闘能力さえも見せず、小物感漂うその行動に、これほどまでの重要人物と思った方は少なかったでしょう。しかし、残虐な本性とエトさえも瞬殺する高い戦闘能力を発揮し、第173話では有馬貴将でさえ一目置くほどの剣術の素質を持っていたことが描かれています。そして、これらの能力はまさに今、カネキに対してふるわれているのです。
旧多の正体と目的とは?
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
旧多が潜入し名を連ねていた組織を振り返ってみることにしましょう。
ピエロ
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「宗太」という名で暗躍していました。CCG捜査官として素顔を表してからは、ピエロとしての描写は目立たなくなったように見えます。しかし、コクリアからドナートが脱獄してからは、和修一族の襲撃、CCG局長就任時のデモンストレーション、瓜江たちによるクーデター時などピエロのメンバーとともに登場する頻度も多くなっています。むしろ、旧多の指示によって、ピエロが動いているという印象さえ受けます。
アオギリの樹
アオギリの樹に直接名を連ねていたわけではありませんが、ここでも旧多は暗躍しています。特にアオギリの樹で半喰種化手術を続けていた嘉納教授とは密接なつながりがあり、嘉納に半喰種化手術の素体を提供していましたね。
半喰種化手術
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
また、月山家殲滅戦で死亡したクインクスの不知吟士の死体護送車をアオギリの樹が襲撃した時は、旧多が一役買っていました。アオギリの樹壊滅後も嘉納に協力し、リゼベース半喰種の量産型であるオッガイの作成に協力、旧多自身も嘉納によってリゼベース半喰種化手術を施されています。
V
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
和修一族が世界の秩序を構築するために創設した組織Vにも旧多は所属していました。ハイセとともにエトの捜査に加わったのも表向きはVの指令によるものでした。現在、旧多はVとピエロを使ってCCGを襲撃しています。和修一族をほぼ皆殺しにして家を乗っ取った今、Vは彼の手中にあるのかもしれませんね。
旧多二福の正体
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
本名は「和修旧多宗太」。CCG総議長の和修常吉の息子であり、CCG前局長和修吉時の弟です。和修一族の中では常吉の実子でありながら「宗家」と呼ばれる本流ではなく、「分家」として位置づけられています。
分家出身
エトと面会した時に「父を父と呼べない気分はどうだ」と言われ、逆上していますね。常吉が本妻ではない別の女性との間に作った子供であり、それゆえに表舞台に立つことを禁じられていたという事情があったのかもしれません。第173話の回想では常吉自身は旧多を気に入っており、その高い素質も見抜いていたといいます。その一方で「分家」である以上、行く先もたかが知れているという発言もしていました。
目的は「超平和」!?
そんな環境に旧多自身は多大なコンプレックスを感じていたことがうかがえます。エトに和修一族であることを指摘され、我を失うほどに逆上していたのはその証拠といえるでしょう。和修一族の「本家」を根絶やしにし、自分がトップに立つ、旧多がピエロやVを使って和修一族を襲撃した頃はそんな思惑があったのかと思っていました。
従来の枠組みの破壊
しかし、どうやらそうではないようです。エトを倒した旧多は、自身の目指すものを「超平和」という一言で表現しました。喰種が迫害されるという従来の枠組みを和修一族を殺害することで破壊しました。そして、人間と喰種の共存を目指すカネキもおそらく旧多は障害として認識していると思われます。
超平和は何を指すのかは不明のまま・・・
では、喰種だけの世界を作り上げるというのが目的なのでしょうか。もしそうであれば、すでに東京は人間たちが次々と喰種化しており、旧多の目的は達成されたも同然です。しかし、旧多はいまだに目的不明の行動を続けており、それだけではないことがうかがえます。旧多の目指す「超平和」とは、いったい何なのでしょうか?
まとめ
本性を表すより以前から旧多は自らの目的のため暗躍していました。その背景にあったのは和修一族として生まれながら「分家」として扱われてきたというコンプレックスにありそうです。しかし、旧多の取った行動は和修一族の頂点に立つというものではなく、社会の枠組みそのものを破壊し、「超平和」を実現させるべく新たな世界を構築するというものでした。刻々と近づく最終決戦、「ラスボス」になるのはリゼでしょうか、それとも旧多でしょうか?