2018年秋から放送が開始された『からくりサーカス』は登場するキャラクターがからくりのように数奇な運命に操られ織りなすストーリーです。今回はからくりサーカスに登場する主人公の一人、加藤鳴海の魅力を語っていきたいと思います。
目次
- 【からくりサーカス】加藤鳴海の魅力を語っていくにあたって
- 【からくりサーカス】初登場時の加藤鳴海はどんなキャラ?
- 【からくりサーカス】加藤鳴海の勝編(序章)での活躍
- 【からくりサーカス】ここが魅力!強く優しい兄貴分
- 【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編での活躍
- 【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編(中盤)での活躍
- 【からくりサーカス】ここが魅力!さらに強く優しくなった加藤鳴海
- 【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編(後半)での活躍
- 【からくりサーカス】加藤鳴海のからくりサーカス本編での活躍
- 【からくりサーカス】ここが魅力!人間性を獲得したエレオノールと人間をやめた加藤鳴海
- 【からくりサーカス】ここが魅力!復讐鬼と化した鳴海
- 【からくりサーカス】加藤鳴海の機械仕掛の神編での活躍
- 加藤鳴海魅力まとめ
【からくりサーカス】加藤鳴海の魅力を語っていくにあたって
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
まず、この『からくりサーカス』という作品に対して個人的な印象を述べるのであるとすれば、『設定を追加して追加して追加しまくったことで生まれた名作』と言えると思います。
作者の藤田和日郎先生が最初から最後まで決めて作ったとは思えないくらい設定は激烈に複雑です。なのでその複雑さを考慮して加藤鳴海の人生を辿りながら魅力を紹介していきたいと思います。
【からくりサーカス】初登場時の加藤鳴海はどんなキャラ?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
加藤鳴海は幼少時から親の都合で渡った中国で拳法を習い初登場時から高い戦闘能力を持った17歳の青年です。そうは見えないけど。性格は不器用ながらも、誰かが危機的状況に立たされれば身体が勝手に動いてしまう熱血漢です。非常に暖かな人間味に溢れた強く優しいキャラクターです。
ギャグみたいな病気、ゾナハ病にかかってしまう。
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
そんな彼はクマの着ぐるみを着てアルバイトをしていました。何故、そんなアルバイトをしていたのかと言うとそれには深い訳がありました。加藤鳴海は謎の奇病『ゾナハ病』にかかっていました。そのゾナハ病の発作を止めるためにこんなアルバイトをする羽目になったのです。
ゾナハ病とは?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
発作が起こると呼吸困難になり、とんでもない苦しみを味わう病気です。その発作を止める方法はただ一つ。(この時点では)それは誰かを笑わせること。ゾナハ病の患者は他人が楽しく笑っていることを敏感に感じ取れるらしく、始めから笑っている人に近づいてもダメで、自分で誰かを笑わせないと最悪死に至ると言われています。でも、本当に最悪の場合死に至りません(意味深)
【からくりサーカス】加藤鳴海の勝編(序章)での活躍
そんな彼がどうした?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
加藤鳴海は偶然、才賀グループの社長『才賀貞義』の息子『才賀勝』が命を狙われている場面に遭遇し、つい勝を助けてしまいます。そして、才賀勝は愛人の子でありながらその遺産の全てを相続してしまったため、親戚から命を狙われていたことを知ります。勝を守るために現れた美しき人形使い『才賀しろがね』と共に勝を守る戦いに身を投じていきます。
勝編のラストで
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その不器用ながらも強く優しい加藤鳴海の姿は小さくて弱虫の才賀勝に勇気と笑いを与え、才賀勝や才賀しろがねの後の人生において大きな影響を与えた人物だと言えるでしょう。しかし、勝編のラストで勝をかばい大爆発に巻き込まれてしまいます。そして、片腕を残して行方不明になったことも後の才賀勝と才賀しろがねの人生に大きな影響を与えました。
【からくりサーカス】ここが魅力!強く優しい兄貴分
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ここで描かれた加藤鳴海は強くて優しい兄貴分のキャラクターです。その強さとやさしさこそが加藤鳴海の魅力の一番大きい部分とも言えるでしょう。しかし、物語を経ることでその強さとやさしさは変わっていきます。その変遷こそが一番の魅力だと思います。
【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編での活躍
からくり編始動
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
『からくりサーカス』という作品は加藤鳴海の視点で話が進むからくり編と才賀勝の視点で話が進むサーカス編で構成され、その後物語が交錯するからくりサーカス編を経て最終章へと繋がっていきます。からくり編では加藤鳴海が自動人形との間に繰り広げられる壮絶な闘争が描かれます。
目が覚めるとそこはフランスだった
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
加藤鳴海はいつの間にかフランスにいて、何故か失ったはずの腕がありましたが自分の記憶を失っておりとりあえずサーカス芸の練習をしていました。しかし車に追突されかけたショックから記憶を取り戻し、鳴海に義手の移植を施したギイ・クリストフ・レッシュを問い詰めます。
しろがねとして自動人形との闘争に巻き込まれる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ギイに伝えられたことは死にかけていた鳴海が万能の霊薬『生命の水』によって復活し、人類の敵たる『自動人形』を倒す人形破壊者(しろがね)となったことでした。当初は嫌がっていた鳴海でしたが、自動人形がゾナハ病をばら撒き自動人形から皆を守るために、しろがねとして自動人形の組織『真夜中のサーカス』と戦う決意をします。
自動人形って?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
からくり編における敵であり、高い戦闘能力とゾナハ病をばら撒く存在で人間の血を定期的にとる必要があります。とある男がフランシーヌ人形という最初の自動人形に生命の水を与え、人間に近い人形を作り上げましたが、フランシーヌ人形は笑うことが出来ませんでした。とある男の理想となるため、いつか自分を笑われることが出来るものが現れることを期待し、自動人形を作り世界にゾナハ病をばら撒きました。
【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編(中盤)での活躍
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
人形破壊者(しろがね)になれば、髪と目の色が変わり復讐者として自分の感情と意識の方向性を殆ど書き換えられてしまいますが、鳴海にはそれがなく人間らしさを失いませんでした。そんな鳴海はアメリカのイリノイ州にあるゾナハ病の患者が収容されている施設に行くのですが、そこで鳴海は地獄を見ます。
加藤鳴海の見た地獄
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
そこでは次々と収容されてくるゾナハ病患者の症状を緩和させるため、そのスタッフたちは麻薬に近い薬を自分に投与して無理矢理笑っていました。しかし、ゾナハ病の研究は進まずただ患者たちが死んだりするのを見ているしかないスタッフたちは皆一様に限界でした。
ゾナハ病第三段階
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
次々といなくなる患者たちにここは地獄であることをすぐに理解した鳴海はゾナハ病におけるさらなる地獄を伝えられます。ゾナハ病には3段階まであり、1段階目は誰かを笑わせないと死ぬほど苦しみ、2段階目で様々な合併症を引き起こします。そして運悪く生き延びてしまい3段階目になるとどうやっても死ぬことが出来ず、ただ苦しみながら生き続けるしかなくなってしまいます。
地獄を見た鳴海は?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
収容施設で地獄を見た鳴海は、ゾナハ病で苦しむ患者をこれ以上増やさないため、そしていつかゾナハ病で苦しむ患者をこれ以上増やさないために、自動人形を破壊し続け真夜中のサーカスを壊滅させることを収容所のスタッフらと約束し、自動人形にとっての悪魔になることを誓います。
【からくりサーカス】ここが魅力!さらに強く優しくなった加藤鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねになってもその復讐心にとらわれず人間らしさを失わなかった加藤鳴海は、ゾナハ病患者の収容施設で地獄を見たことで自動人形と闘い続ける決意をします。それは彼の強さとやさしさがそうさせたと言えるのでしょうが、その強さとやさしさは徐々に彼の人間性を奪っていくことになります。
【からくりサーカス】加藤鳴海のからくり編(後半)での活躍
真夜中のサーカスとの決戦
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
出会いと別れと闘争の日々は加藤鳴海を強くしました。それはしろがねとして人間離れした強さでしたが、それでも加藤鳴海はまだ人間らしさを失わずそれは決戦の戦力として集められたしろがねの面々を驚かせました。そして加藤鳴海は集まったしろがねの戦力と共に真夜中のサーカスとの決戦に臨みます。
人間をやめていく鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねと自動人形との決戦は苛烈を極めました。しろがねたちは数多くの自動人形を葬りましたが、しろがねたちもまた傷つき一人また一人と脱落していきました。その戦いの中で鳴海も生きているのが不思議なくらいボロボロになります。
託される鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
戦いに傷つき意識を失う鳴海を生き残ったしろがねたちは何かに突き動かされるように守ります。最後の最後までしろがねではなく人間として戦っていた鳴海に全てを託して、しろがねたちはその命を散らせ、鳴海も戦いの中で両手両足を失い散っていったしろがねたちのマリオネットの腕を移植し、フランシーヌ人形を破壊するべく目覚めます。その髪の色はかつての黒の髪の毛ではなく銀色に変わっていました。
フランシーヌ人形は?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
鳴海に全ての思いを託して散っていったしろがねやゾナハ病に苦しむ子供たちの思いを背負って、鳴海は全ての元凶たるフランシーヌ人形を追いつめますが…本物のフランシーヌ人形は90年前に自ら破壊されるために旅立ったというのです。戦いの終わりを信じて戦ってきたしろがねと鳴海は「じゃあ、俺たちは何のために戦ったんだよ…」と吐露し偽物のフランシーヌ人形を破壊します。
戦いの中で人間をやめる鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねと自動人形を巡る戦いで殆どの同胞は死にました。その戦いの最中鳴海は両手両足を失い、マリオネットの足を移植しながらも皆の思いを背負って戦い、その呪いのような責任は鳴海の髪の色をしろがねの証たる銀色に変えました。誰よりも強くて優しかったが故に人間性を失っていく…それはさながらサーカス編に登場する人物が人間らしさに触れていく物語とは対象的に描かれ、それこそが加藤鳴海ないしは『からくりサーカス』の魅力でしょう。
【からくりサーカス】加藤鳴海のからくりサーカス本編での活躍
加藤鳴海、エレオノールと再開を果たす
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
壮絶な戦いを終えて日本に降り立った加藤鳴海は本物のフランシーヌ人形がエレオノールであると聞かされ、エレオノールからゾナハ病の治療方法を聞き出し破壊しようとしていました。そんな中鳴海はエレオノールと再開しますが、それはかつての加藤鳴海ではありませんでした。
【からくりサーカス】ここが魅力!人間性を獲得したエレオノールと人間をやめた加藤鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
再会した鳴海は、かつての強く優しい鳴海とは違いました。ゾナハ病にかかった子供たちや散っていったしろがねたちに思いを託された鳴海はただエレオノールからゾナハ病の治療法を聞き出し破壊すること以外の全てを捨て去り、さながらかつてのエレオノールのような人形のようでした。エレオノールはそんな鳴海を見て、かつて自分が救われたように鳴海を救いたいと思うようになります。
加藤鳴海はやっぱり加藤鳴海だった
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
加藤鳴海は人間性を捨ててはいましたが、その強さとやさしさの本質は変わっていませんでした。そして鳴海はこの8か月で経験したことと、エレオノールが本物のフランシーヌ人形たる根拠を話し、その凄絶な経験は加藤鳴海が人間性を失うのも納得する内容でした。
その後、サハラ砂漠を抜けた鳴海とミンシアはフランシーヌ人形と黒幕について異端のしろがね『フウ・クロード・ボワロー』に聞かされます。
仲町サーカスの一員になる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、鳴海はエレオノールの手引きで仲町サーカスの一員となり、エレオノールからゾナハ病の治療法を聞き出し殺害する機会を窺います。しかし、その最中からくりサーカスで起こった殆どの事件の黒幕『フェイスレス』が恐るべき計画を発動させます。
【からくりサーカス】ここが魅力!復讐鬼と化した鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
四肢を失い機械の身体になりながらも、散っていったしろがねたちやゾナハ病のために全てを捧げた鳴海は復讐のみを目的として動く人形みたいになりました。それは、勝や鳴海との出会い、サーカス団での生活で人間になったエレオノールとは立場が全く逆になっています。強さとやさしさ故に人間を辞めた所は加藤鳴海の人生そのもので大きな魅力だと思います。
【からくりサーカス】加藤鳴海の機械仕掛の神編での活躍
ハリーを求めて
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フェイスレスが人類抹殺計画を発動させ、それに対して鳴海達はゾナハ病の原因足りえるナノマシンを撃退できる機械が開発されたと知り、かつて訪れたゾナハ病の研究施設に急ぎます。研究施設は自動人形に襲撃されており、数多くの犠牲を出しながらゾナハ病を退けるための機器『ハリー』を確保しますが、フェイスレスはナノマシンに病気の進行を早める命令を出してしまいます。
残された手段
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
残された面々に残された手段はナノマシンの命令を変更するコマンドをフェイスレスから聞き出す他無くなりました。そして『ハリー』をスペースシャトルに乗せ、電子機器を狂わせるナノマシンを妨害しながら宇宙にまでフェイスレスを追いかける作戦を立てます。そして、ナノマシンの妨害を避けるため蒸気機関車でシャトルに向かう一行は搭乗員の尽力もあり何とかシャトルまでたどり着きますが、そこに大量の自動人形が押し寄せてきます。
共闘
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
鳴海は大量の自動人形を一人で倒そうとします。しかし多勢に無勢の状況では流石の鳴海もしのぎ切れない。そんなとき何故か後ろからの攻撃が止みます。それは成長した勝でしたが、鳴海はそれを知ることはありませんでした。勝は自分の正体を明かさぬまま、シャトルに乗り込みフェイスレスとの決戦に臨みました。
鳴海人間になる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
勝を見送った鳴海は、ハーレクインに追われるエレオノールを追いかけハーレクインからエレオノールを助け、記憶と人間性を取り戻し最終決戦に臨むえんとうそうじ(勝)を見送りました。
最終決戦後
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、地球上からゾナハ病が消えた後に鳴海はエレオノールと結ばれ、旅芸人をしながら世界各地を旅していました。そこにはかつて勝をかばったときに失った状態で保存されていた片腕とエレオノールがありました。
加藤鳴海魅力まとめ
加藤鳴海は誰よりも強く優しく人間らしい男でした。そしてゾナハ病の施設で地獄を見てしろがねたちに思いを託された鳴海は誰よりも強く優しかったが故に人間をやめ、そして最後に人間に戻るという数奇な運命を辿ったキャラクターです。ことからくりサーカスという作品では加藤鳴海が辿った人生こそが一番の魅力になったと思います。