『からくりサーカス』のヒロイン、才賀しろがねこと才賀エレオノールは美しき人形遣いのキャラクターです。当初は主人公の一人、才賀勝を守るためにやってきた広いんですが、からくりサーカス特有の複雑怪奇な運命を背負ったキャラクターでもあります。その複雑怪な運命とともに、エレオノールの魅力に迫っていきたいと思います!
目次
【からくりサーカス】才賀勝を守るためやってきた人形遣い才賀しろがね
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
才賀しろがねは何故か巨額の遺産を相続されてしまい、親族から命を狙われた『才賀勝』を守るために立ってきた銀髪で銀色の目をした人形遣いです。7年前にフランスで勝の祖父がしろがねの母親を雇うことにより助けられた恩、そして勝を助けることである目的を果たすためにしろがねは日本にやってきました。
実際はちょっと違うよ
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
からくりサーカスには複雑な設定が多く、その中には多分後付だろうなという設定も存在します。しろがねは7年前には11歳であると言いましたが、実は5年に1度しか年を取らなくなる『生命の水』を生まれたときから飲んでいるため現在の実年齢は90歳です。しろがねは恐らく知らない事ですが、乳母の娘と言う設定はとある人物がしろがねのために作り上げた設定です。
【からくりサーカス】懸糸傀儡『あるるかん』を操るしろがね(エレオノール)
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねは幼少の頃より『とある事情』があり、強力な武器である懸糸傀儡『あるるかん』を操る技術を磨いていました。そのころのしろがねは心の底から笑うことが出来ず、人間らしさに欠けていました。しかし、才賀勝や加藤鳴海との出会いによりしろがねは人間らしさに芽生え始めます。
とある事情って何?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
加藤鳴海の物語で深く語られますが、とある錬金術師が作り上げた人類の敵たる『自動人形』とその自動人形を破壊する役割を背負った戦士、人形破壊者(通称しろがね)は100年以上前より戦っていました。そして『自動人形』と『しろがね』にとってのキーアイテム、『柔らかい石』をその身体に宿しているためにいつ命を狙われてもおかしくない立場にあります。しろがねの名前の由来はそこからきています。
しろがねは何で人間らしさを失ってしまったのか?
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねは人形破壊者として力を身に付けるにあたって人間らしさを失いました。その理由は生命の水の呪縛(しろがねになった者は基本的に自動人形への復讐心に支配されますが、エレオノールは例外)ではありません。厳しい戦いに耐え抜くためや、勝を必ず守るためにあえて厳しく教育されたから…という理由も実は違います。彼女が人間性を失うように教育された理由はもっとろくでもない理由です。
【からくりサーカス】加藤鳴海との出会いで人間らしさに目覚めるしろがね
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねにとってその人生で最も大きな出会いは加藤鳴海と才賀勝の二人でした。加藤鳴海は本来二人とは何の接点もない青年でしたが、それでも命懸けで勝を助けに向かった加藤鳴海の強さとやさしさは、しろがねが人形から人間になるための大きなきっかけを与えたと言えるでしょう。しかし、その救出作戦の中で加藤鳴海は大爆発から勝をかばい片腕だけを残して行方不明になってしまいます。(しろがねや勝は死んだと思っていました)
【からくりサーカス】人間らしさを取り戻していくしろがね(エレオノール)
才賀勝、善治の養子になる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、勝は自らを誘拐し養子にして巨額の遺産を得ようとした叔父の才賀善治の養子になります。才賀善治はその誘拐事件の一件でとてつもない恐怖を味わい勝アレルギーにかかっており、できればもう関わりたくないと感じていました。そのため、遺産をどうこうする余裕はなくなっていました。
しろがね、勝と共に仲町サーカスの仲間になる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、しろがねと勝は普段の生活に戻り学校に通い始めます。勝はあの一件以来、いじめを跳ね返すほどに劇的に強くなっていました。しかし、遺産を狙う親族の刺客の残党に襲撃されてしまいます。しろがねは落ちぶれサーカス団の『仲町サーカス』の面々の助けもあり勝を救出しますが、そのことで周囲を危険に晒すことを懸念した勝はしろがねとともに仲町サーカスの一員となり、この地を離れることを決意します。
仲間たちとの出会いがしろがねを人間にしていく
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
猛獣使いのリーゼ、ナイフ使いのヴィルマ、仲町サーカスを散々バカにしてきたけど落ちぶれてレスホーム寸前の生活をしていたストローサーカスの三牛兄弟、道具方の生方法安とその孫の生方涼子らがサーカス団の一員に加わり、その出会いや勝との生活はしろがねに人間らしさを与えました。加藤鳴海との出会いをきっかけに、しろがねは人形から人間への変わっていたのです。
【からくりサーカス】エレオノールって何者?全ての始まりとともに説明!その1
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
エレオノールはそもそも何者なのか?それはからくりサーカスの始まりの物語と大きく関わっています。全ての始まりは200年以上昔にさかのぼります。その昔、中国に白銀と白金という兄弟がいました。二人は錬金術を学ぶため長い旅の錬金術の聖地プラハにたどり着きます。仲のよい兄弟でしたが、白金はプラハの女性フランシーヌに恋をし、兄の白銀に話しますが、白銀もまたフランシーヌを愛し、フランシーヌも白銀を愛していました。
白金大暴走
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
白銀は教会でフランシーヌに求婚し、フランシーヌもそれを受け入れます。しかし、そのときそばでその話を聞いていた人物がいました。その話を聞いていた白金は暴走し、フランシーヌを連れ去りどこかに消えてしまいました。この出来事が白金を狂わせ、それからからくりサーカスに繋がる全ての因縁のきっかけになります。
執念の白銀、二人を見つける
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
それから白金とフランシーヌを探した白銀はついに二人を見つけ出します。それは白銀が旅立ってから9年後の事でした。白金への憎悪は白銀を変貌させましたが、白金がフランシーヌへの求婚を聞いていたことを知った白銀は我に返りますが白金はすでに狂気に侵されていました。フランシーヌが病気にかかったことを知ったクローグ村の村人がフランシーヌを隔離し監禁していたのです。
柔らかい石を完成させる白銀
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
フランシーヌの病気を治すために白銀は万能薬となる錬金術の到達点『柔らかい石』を生み出すことに成功します。(柔らかい石、別の作品では賢者の石と呼ばれるもの)しかし、フランシーヌは9年間白金と暮らしていた負い目から焼身自殺してしまいます。
白金大大暴走
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しかし、物語はそれで終わらずフランシーヌを隔離し監禁したクローグ村の連中に復讐するため、白金はゾナハ病をばら撒く自動人形『フランシーヌ人形』と『最古の四人』を作り出し復讐を果たします。その惨劇を見た白銀は弟の不始末を付けるため、クローグ村の生き残りに柔らかい石と自らが解けた生命の水を与え、ゾナハ病から救う代わりに自動人形への憎しみを刷り込み、破壊する宿命を与えました。
【からくりサーカス】エレオノールって何者?全ての始まりとともに説明!その2
笑うことができなかったフランシーヌ人形
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
白金の作り出したフランシーヌ人形は人間に似せて作られていましたが、笑うことは出来ず人形のままでした。絶望した白金はフランシーヌ人形を捨て、残されたフランシーヌ人形は自分を笑わせる手段を見つけるため自動人形を作り出し、ゾナハ病をばら撒き続けることになります。
アンジェリーナ、柔らかい石の器となる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
一方、自動人形を破壊する宿命を与えられたクローグ村の生き残りだったルシールは自らの娘アンジェリーナに生命の水の原料である『柔らかい石』を埋め込みます(実際は違います)。柔らかい石は通常の状態では保管できず、保管するためには子供の身体に宿すしかありませんでした。『柔らかい石』を宿したアンジェリーナは自動人形から狙われる立場になりますが、その出で立ちはフランシーヌの生き写しでした。実はその3人血縁関係に合ったのです。
アンジェリーナ、異国の地で才賀正二と結婚する
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
しろがねとして強く美しく成長したアンジェリーナはしろがねのディーン・メーストルらと人形破壊者として活躍します。そんなアンジェリーナは異国の地日本で出会った、才賀勝の立場上の祖父『才賀正二』と結婚し、子供を儲けます。その子供こそが才賀しろがねでありエレオノールでした。
アンジェリーナ、死す
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
その後、アンジェリーナは自動人形の襲撃によって命を落とします。しかし『柔らかい石』はその時点でエレオノールの体内に移っており、エレオノールは自らの体内に宿る『柔らかい石』が溶解した『生命の水』を飲んでしまいます。エレオノールの飲んだ生命の水には白銀が解けていないため、自動人形を破壊する宿命を背負ってはいませんでしたが、才賀正二にはエレオノールをしろがねとして育てる以外の選択肢は残されていませんでした。
【からくりサーカス】エレオノールって何者?全ての始まりとともに説明!その3
正二とギイの計画
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
正二やギイはアンジェリーナの遺言である『エレオノールに私のような運命を背負わせないで』という遺言は実現することはありませんでした。すでにしろがねとなり身体に『柔らかい石』を宿したことが知れ渡ればエレオノールはアンジェリーナのような過酷な運命を背負ってしまう。そのため、正二とギイはエレオノールをしろがねとして育て、将来的に安全な正二の元に任務と称して派遣させることで守ろうとしました。
エレオノール、人形として育てられる
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
正二やギイにはエレオノールを人形として育てる気はもうとうありませんでした。しかし、エレオノールはある男の陰謀で人形のように育てられました。その男はディーン・メーストル、またの名を才賀貞義、才賀正二の養子となった正二の右腕でした。貞義は正二になりすましてエレオノールを人形として育てるように誘導していたのです。
恐るべき計画
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
幼少のころからしろがねとしてアンジェリーナと一緒に戦っていたディーン・メーストルはアンジェリーナを愛していた。しかし、アンジェリーナは才賀正二と結ばれてしまった。そこで、ディーンは正二の養子となり暗躍し、愛人との間の子供である才賀勝の脳に自分のデータをダウンロードして成り代わる計画を立てていました。それはアンジェリーナの生き写しであるエレオノールに執着したからでした。
エレオノールが人形として育てられた理由
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
エレオノールは勝と出会うことで人形ではなくなると刷り込まれており、事実勝と出会ってから人間らしさを獲得しました。そうなればエレオノールは勝を愛し、その勝に成り代わることでエレオノールを手に入れる。これが、ディーン・メーストル=才賀貞義の計画でした。しかし、その計画は正二の活躍で阻止され、エレオノールが愛したのは勝ではなく加藤鳴海でした。
全ての黒幕
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
そして、その恐るべき計画を立てた人物才賀貞義は、アンジェリーナに恋をしたディーン・メーストルであり、その正体は『生命の水』によって記憶の転送を行った全ての元凶『白金』でした。白金はフランシーヌを奪いはしたが、心の底からは愛されずアンジェリーナは正二にとられてしまった。そして今度は失敗せずに心の底からエレオノールに愛されるために暗躍を続けていたのです。
【からくりサーカス】人間になったエレオノールと人間をやめた加藤鳴海
出典: からくりサーカス ©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
エレオノールは加藤鳴海との出会いをきっかけに、才賀勝たちとの生活を経て人間になっていきましたが、それと同時に進行していた加藤鳴海の物語『からくり編』で加藤鳴海は人間を辞めていきました。この対比されて描かれる構図が面白く、再開した二人の立場も人間を辞めた鳴海を人間になったエレオノールが人間に戻す物語です。エレオノールの一番の魅力を上げるとすれば、この構図が一番の魅力だと思います。
エレオノール魅力まとめ
からくりサーカスは非常に複雑で一度アニメや原作を見ただけでは全容が理解しきれないかもしれませんが、何度も何度も見直す度に『からくりサーカス』は名作だと感じることでしょう。複雑な設定をかみ砕いていくうちにどんどん面白くなっていく作品で、そのヒロインの魅力も感じられると思います!!