石田スイのデビュー作。現代の東京を舞台に、人の姿をしながら人肉を喰らうことで生きる「喰種」をテーマにした作品。コンセプトはダーク・ファンタジーとなっているが、サイエンス・ファンタジーの要素もある。またファンも多くアニメも高評価です。そこで今回はアニメで語られなかった内容やあらすじ、考察等をまとめていきます。
第10話 ゆれる think
あらすじ
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
いまだ全容がつかめないロゼの捜査に、クインクスの特性を生かした琲世考案の“マスク作戦”が導入された。だが捜査を進める中で琲世は、喰種にすら畏れられる“眼帯の喰種”の存在を知り、“彼”の調査を始める。そして[CCG]の資料室で、殉職した捜査官、亜門鋼太朗が遺したレポートを見つけ……!? そんな中、キジマが仕掛けた新たな策から、ロゼの捜査が大きく進展する。
不知の葛藤
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
不知は妹の治療費を稼ぐためにクインクスになったという経緯を持っています。また、治療を続けさせるためにも多額のお金を必要としており、それ故にお金に執着している様子でした。そんな不知がナッツクラッカーに対して思い悩むきっかけになったのは、彼女が放った「きれいになりたい」という言葉。それは、病気が進行したのちに妹がこぼしたものと同じだったのです。不知の妹は現在意識がない状態のようですので、同じ言葉を言って永眠についたナッツクラッカーの姿が妹と被って見えたのでしょう。
喝を入れてもらう
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
一緒にナッツクラッカーを討伐した林村捜査官の下を訪れ、喝をいれてもらうことで、不知の葛藤もようやく前進したようでした。不知の動きから察するに、彼はナッツクラッカーを仕留めた罪悪感を抱えるとともに、そういう自分を許せなかったことが精神的に追い詰められていた一因ではないかと推測されます。
不知の妹の病気
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
アニメでは明かされていない不知の妹の病気について、原作マンガでは「Rc細胞過剰分泌症」であることが明かされています。喰種に特殊能力を与えるRc細胞が、人間の体内で異常に生成されてしまうことで発症する病気です。妹の右目から出ている謎の突起は、医療器具ではなく、Rc細胞が異常生成された結果できた、赫子のようなもののようです。
Rc細胞異常分泌症
Rc細胞異常分泌症について、Rc細胞の異常増殖→身体の一部から赫子状の細胞が突起するという順で発症し、かつ細胞の増殖から身体に異常が発生するまで時間がかかるものと推測されます。Rc細胞値が1000を超えたものについては、拘束される決まりのようですので、捕えられた後に、人道的な方法で喰種かどうか判定する方法があるのか気になります。
月山家が喰種だとバレた理由
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
前回ロゼと月山家の関係がCCGにばれるきっかけとして結果、情報源になってしまったのはアリザでした。ただ、「彼を失いたくありません」と涙を流すほど強い思いを持っていましたから、彼女の行動もうなずけるところがあるのではないでしょうか。おそらく、キジマに口を割ってしまったのも、「情報を提供すればユウマの命を助けてやる」と甘い言葉をかけられたのだと思います。
月山家の権力が使われなかった理由
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
政財界にも影響力を持つ月山家。人間に害をなす喰種であったとはいえ、CCGも公的機関ですから、政治的圧力をかければ捜査が中止になる可能性もありました。それが行われなかったのは、情報入手から作戦決行までが非常にスピーディーだったからのようです。
あんていくと月山家の類似点
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
20区の喰種の拠点だったあんていく。「助け合い」をモットーとするあんていくでは、弱い喰種に対して食事の提供をしたり、CCGに目をつけられた喰種をかくまったりしていました。またヒナミの父や母は強い赫子かぐねを持ちながらも、人として静かに暮らしてきました。そういった願いを叶えるための手伝いもあんていくはしてきました。観母は人の中で静かに暮らしたいという喰種たちの願いを叶えてきたのだと推測できます。
第10話の感想
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
ロゼ編・CCGにとってのラスボスと思われた観母がまさかあっさり捕縛されてしまう展開に驚きを隠せませんでした。ただ、その裏には息子として、月山の血を引くものとしての習を守りたいという強い願いがあったところにこっそり涙してしまいました。習のために犠牲が出ることが目に見えていますので、今後、当主・月山習がどのような成長を遂げるのか、見ていきたいところであります。
第11話 欠落者 writE
あらすじ
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
[CCG]に屋敷に踏み込まれ、父・観母や使用人たちが投降する中、側近の松前とともに逃げのびた月山は、彼を生かすために命を賭した者たちのことを想い、“当主”となる責任を噛み締める。その月山の前に喰種捜査官として立ちふさがる琲世。一方、“月山家駆逐作戦”で伊東倉元率いる伊東班と合流したクインクスは、“ノロ”と呼ばれる喰種と遭遇。脅威の再生力を持つノロを相手に迷いを断ち切った不知が、ナッツクラッカーの赫子から作り出したクインケで応戦するが……!?
月山習と松前の関係
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
手の甲へのキスは目上の人に対する尊敬の念を表します。目上の人が差し出した手をとり、相手よりも腰と頭を低くするのがマナーのようですが、このころは習の身長もだいぶ小さかったですので、立ったままではそれはむずかしいようですね。通常は男性から女性に贈られるものではありますが、単に目上の人に対するあいさつである場合が多いようです。
月山習の騎士
また、中性ヨーロッパの騎士道精神の名残でもありますので、松前が「私はあなたの騎士です」と意思表示をしているものなのでしょう。その他、2人にとっては指切りのような約束の意味もこめられていました。
金木との決別
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
「僕は…楽しかったのだ」と思ったときは、彼自身まだ月山家駆逐計画のことは知りませんでした。それでも楽しかっ「た」と過去形で語ったのは、琲世との会話により、かつての日々を取り戻せないことを悟ったからだと思われます。
当主との覚悟
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
「もはやこの身は僕一人だけのものではない」というセリフ。今CCGと戦っている者たちの命をすべて背負った当主になるだと主張しているのだと思われます。そして、月山家を慕い、尽くしてくれた者たちの存在を背負い続けた父・観母。前回、父の偉大さを知った習はこれから自分に集う者たちの命さえも背負っているのだと自覚したのかもしれません。
カナエに与えられたリンゴ
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
11話ラストにて、回想やエトとカナエの会話から、カナエは女性であることが示されました。このことで、カナエに与えられたリンゴとは何かという点、エトの目的について考察します。
リンゴの意味
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
リンゴは『創世記』において、善悪の知恵の実です。アダムとイブは知恵の実を食べることで、自分たちが裸であること、そしてそれが恥ずかしいことだと気づいて自分の身体を隠します。つまり、リンゴの実を食べるという行為でアダムとイブは性自認に関する意識が芽生えたのかもしれません。エトがカナエに与えたリンゴ、それは男性として生きてきたカナエが「女性」である性自認を強めるための知恵だったのだのではないでしょうか。
第11話の感想
いよいよ来週夜明け(最終回)を迎える「東京喰種:re」。バトル、バトルということは、好きだったキャラクターが次々いなくなってしまうということで、とても悲しかったです。とくに松前は、習さまに対する愛情の深さが魅力的で、とても好きなキャラクターでしたので、戦闘シーンでさえ涙なしにはみられませんでした。
第12話 夜明け Beautiful Dream
あらすじ
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
ノロを相手に次々と仲間が倒されてゆく中、踏みとどまって戦う不知。その姿を目にし、必死で立ち上がる瓜江。ふたりの渾身の攻撃がノロを捉える。一方、月山の窮地に駆けつけ、怒涛の攻撃を仕掛けるカナエだったが、“カネキ”の記憶を取り戻し始めた琲世の反撃に瀕死の重傷を負う。そこに“隻眼の梟(せきがんのフクロウ)”と呼ばれる半喰種、エトが現れ悪意を振りまく。最後の力を振り絞るカナエだが……。そして、琲世がついに、“カネキ”として完全に覚醒し――。
排世は戻ってくるのか?
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
愛を獲得したのちに、「かっこよく死にたい」と言っているところです。カネキが死ぬ=肉体的な死を望んでいる可能性ももちろんありますが、「冷酷なカネキが眠り、琲世(あるいは金木)が戻ってくる」とも解釈できます。だから、2人の会話の最後は「さよなら」(永遠の別れ)ではなく、「おやすみ、琲世」(一時の眠り)だったのではないでしょうか。
地下の花畑
出典: 東京喰種 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re製作委員会
「白い花が咲いていること」そして「有馬貴将が登場していること」の2点があげられます。有馬と幼い入が親し気にしている様子から察するに、有馬が頻繁に現れる場所なのでしょう。もしかしたら、CCGとは関係なく、プライベートで訪れているのかもしれません。そして今回の心のカネキの回想で「地下」にあるということが判明しました。
キーワードは24区
まだまだ可能性の低い話ではあるのですが、東京、地下というキーワードから「24区である」という説が頭に浮かびました。24区というのは、東京の地下に広がる喰種たちが作り上げた地域で、凶暴な喰種も多く潜んでいるとされています。もし、本当に「地下の花畑」が24区にあるのだとしたら、有馬と24区には関係があるということになります。
第12話の感想
石田スイ先生の緻密なストーリー、スタッフの皆様の高い技術とたゆまぬ努力によって作られた素晴らしい作品を拝見できまして、毎週興奮の連続でした。秋からの東京喰種:re第2期もとても楽しみにしています。「:re」第1期で残された謎はいろいろとありますが、個人的には「才子を助けたフードの男は誰なのか(亜門なのか)」、「古間さん、入見さんはどこに行ったのか」という2点がとても気になります。
まとめ
ストーリーを通してクインクス班の成長を感じました。クインクス班のキーワードはやはり「過去」だと思います。過去に囚われている排世と瓜江や過去から成長したよねばやs