此岸と彼岸の境界に存在する、市役所ならぬ「死役所」。自殺、他殺、病死など様々な理由で死んだ人が自分の死後の手続きをする場所です。そのエピソードにも色々あって、中には涙なしには語れないエピソードもあります。今回は中でも泣けると思うエピソードを抜粋して紹介していきたいと思います!!
目次
泣けるエピソード① 『第6条 腐ったアヒル』
漫画家の塙保は売れない漫画家で31歳。そんな塙に原作ありのマンガの作画を担当しないか?と編集から提案されます。自分の世界を描きたい塙は迷った挙句その提案を受けます。かくして人気小説家『戸川アラン』原作を担当した漫画『アヒルロード』は大ヒットし、塙も一応人気漫画家の仲間入りを果たしますが、その心境は複雑でした。漫画がヒットしたのは全て戸川アランのおかげだと思っていたからです。
腐ったアヒルその②
ある日、塙はバイクでの事故で視力をほぼ失い、二度と漫画を書けなくなってしまいます。絶望の底に落とされた塙は、リハビリを続けるも高所から身を投げて転落死してしまいます。世間ではそれが自殺だと報道されますが、実は自殺ではなく事故死。塙は漫画への情熱を捨てきれず自分で話を作ろうと考えていたのです。世間は自殺だと言いましたが、長年原作を提供していた戸川アランだけは違いました。一度も顔を合わせたことがない戸川だけは塙を理解し、自殺はしていないと確信していました。
ここが泣けるポイント!!
漫画家としての生命を絶たれるみたいな展開は別作品でいうところの『GIANTKILLLING』にもありました。世間は塙を自殺だと思っていましたが、ただひとり、出会ったこともない原作者だけは自殺ではないと信じていました。一度も出会ったことはないけど、作品の中で会話していた戸川だけは自殺でないと分かっていた。そんなところがグッとくるエピソードでした。
泣けるエピソード② 『第11条 カニの生き方』
お笑い芸人『カニすべからく』の高関と佐尾は賞レース決勝の切符を手に入れます。天真爛漫な高関はテンション爆アガリでしたが、クールでシュールな佐尾は相変わらずでした。高校時代から元々そういうキャラではありましたが、佐尾には素直に喜べない理由がありました。それは遺伝性の病でいつ死ぬか分からない身体だったからです。賞レースの当日、佐尾は会場に来ませんでした。高関が電話をかけても音沙汰がありません。あわや失格と思ったその寸前で、車椅子姿の佐尾が現れます。病に冒された佐尾が出来るネタはなく、佐尾の考えたシュールで玄人向けのネタを披露するしかなくなりますが、佐尾は最後までステージにに居続けました。
カニの生き方②
賞レースは敗退。ネタがシュール過ぎてウケなかったからですが、後日佐尾は力尽きます。高関はピン芸人として活動を続け、その初舞台で佐尾のネタを踏襲したネタを披露します。その賞レースは死ぬまでステージに居続けた芸人の伝説として、多くの人々の心に残り続けることになるのでした。
ここが泣けるポイント!!
こんなの現実にあったら泣くしかないやつですね。病気を押してM1とかに出場して、敗退するも翌日のニュースで訃報があったら色々連想しちゃって泣くしかないやつです。でも、そんな泣けるエピソードとかでいじられる本人たちは嫌がりそう。そんな想像もできてとにかく泣けます。
泣けるエピソード③ 『第21条 林晴也』
役者で時代劇をしていた祖父の影響で剣道を続けていた林少年でしたが、ある日を境に父親から避けられるようになっていました。何故父親がそんな態度をとるのか分からなかったのですが、祖父の死後に本当の父親が祖父であることを暴露されます。林少年は母親と祖父が不倫した結果できた子供だったのです。父親が変わったのは、そのことを死に際の母親に伝えられたから。その事実は林少年を大きく傷つけましたが、優しい姉の支えによって一見歪まずに育っていました。
林晴也②
中学の頃、幼馴染のまりあに執拗ないじめをしていた女子生徒に怒り殴った挙句2階から投げ落としたことから退学。その後は剣道の道に進み、まりあにプロポーズし結婚します。女の子も生まれ順風満帆だったはずですが、ある日見知らぬ男にまりあと別れてくれと切り出されます。まりあは林の出生のことを知ってからどう振る舞えばいいか分からず苦しみ、不倫していたのです。自身が不倫で生まれたことが原因で、不倫されできた娘は実の子でなかった。その事実に絶望し激高した林は不倫相手と嫁、そして娘を撲殺してしまいます。その後、逮捕起訴、死刑によって死役所の職員となるのでした。
ここが泣けるポイント!!
裏切りが原因で散々な目に遭った挙句、最初の裏切りが原因で裏切られてしまった。それで何かが壊れてしまった林はプッツンしてしまって皆殺し。ただ、林くんも幼馴染の嫁も、精神的に追い詰められての行動でした。根っからの悪人はいない、全くもって救いようのないお話なのが泣けました。林が救われる日はくるのでしょうか。
泣けるエピソード④ 『第35条 母』
不妊治療に励む荻野泉水は子供ができないことに悩んでいました。不妊治療に励むも結果が出ないまま、焦る日々を送っていました。そんな泉水はようやく妊娠し、夫と共に喜びます。しかし、常位胎盤早期剥離により倒れ病院に運ばれてしまいます。泉水は助かったものの赤ん坊は助かりませんでした。悲しみに暮れる泉水に、赤ちゃんのことを気に掛けてくれた女の子が話しかけてきます。その女の子が「おかあちゃんのところにこられてよかった」と言ってるよと声をかけるのでした。
ここが泣けるポイント!!
本作では虐待死や自殺など、愛情に恵まれない死に方をする子供がいる中でまったく逆の死に方をしてしまった胎児のお話。本当に子供が欲しくて死ぬほど悩んでいたからこそ、産んであげられなかったことが大きな傷となったことでしょう。可哀想すぎて泣けます。何かが見えてる女の子は特に気を遣ったわけでもないし、本当に何か見えていたのでしょう。
【死役所】泣けるエピソードまとめ
死役所という作品は、人の数だけ死があって、死の数だけ物語があります。中には、愛されながら死んでいった人もいれば、全く愛されず死んだ人もいます。全く別の立場で語られるエピソードが対比されることもあって、とても面白いです!泣けるのベクトルも可哀いそうで泣けるのもあれば感動して泣けるものもありました。かの名作ゲーム、ヴァルキリープロファイルみたいな面白さがあるので是非読んでみてください!おススメです!