『BURN THE WITCH』は人気漫画『BLEACH』の作者でお馴染み、久保帯人さんの新作として有名です。2018年には読み切り版が公開され、2020年には短期連載として連載されていました。そして2023年の年末から、読み切り版のアニメがテレビ及び動画サイトで放送、配信されることになりました。連載当初から話題になっていた作品だけに、今から注目が集まっています。作者の久保帯人さんは、BLEACH連載時から有名なジャンプ漫画家として知られていますが、どのような人物が詳しく知っている人は、意外と少ないかも知れません。今回はそんな久保さんについて、様々な視点から紹介したいと思います!
物語のあらすじ
物語の舞台はロンドン。ロンドンにおける死因の72%は、ドラゴンと呼ばれる存在が関係していました。そんなドラゴンを見ることが出来るのは、ロンドンの中でも裏側の「リバース・ロンドン」に住む住人の中だけです。その中でも限られた人物しか、ドラゴンに直接接触することが出来ません。それ以外の人たちは、ドラゴンの存在を認識する事すら出来ないのです。主人公のニニー・スパンコールと新橋のえるは、選ばれた人物である「魔女」として、ドラゴンの保護や管理を担当することになったのでした。
久保帯人さんのプロフィール
久保帯人さんは1977年生まれで、広島県出身です。漫画家を目指すキッカケになった作品は『ゲゲゲの鬼太郎』で、当作品のキャラクターを描くなど、昔から絵を描くのが好きでした。高校3年生の時は、夏休み前の進路希望調査で「漫画家」と書き、この頃から漫画家になる決意が固まっていました。初めて漫画を掲載したのが1996年の時で、連載漫画家としてデビューしたのは1999年の時でした。2001年には『BLEACH』の連載が始まり、2000年代のジャンプの看板作品となる程の人気を博しました。久保さんにとっても代表作となり、当作品はアニメ化やゲーム化もされるなど、様々なメディアミックスが行われました。
デビュー前~新人時代
デビュー前の高校3年生の夏休みに、読切の漫画を描きました。週刊少年ジャンプに投稿したところ、編集部の人たちの目に留まり、最終選考に残るまでになりました。ジャンプのメインテーマでもある「友情・勝利・努力」を表現する作品が多い中で、久保さんの作品は「情感」を感じること、そして印象的なセリフが高く評価されました。編集部からはもう一本描かないかとオファーを受け、高校卒業後に提出した作品が「週刊少年ジャンプ Summer Special」に掲載されて、漫画家デビューを果たしました。その後は2本の読切を掲載し、一時期は執筆から離れたこともありましたが、編集部の後押しもあり『ZOMBIE POWDER』の連載をスタートさせました。当作品は久保さんにとって、初めての連載となりました。連載スタートを機に、ペンネームを「久保帯人」とし、以後は同名を使っていくことになります。
BLEACHの連載スタート
赤マルジャンプでBLEACHと同名の読切が掲載され、その後週刊少年ジャンプで連載されました。2001年から2016年まで、15年に渡って連載される大ヒット作となりました。2週連続で表紙&巻頭カラーを飾ったり、巻頭をオールカラーで19ページ担当するなど、ジャンプの看板作品として知られるようになりました。最終回が近づいてきた辺りから、残りの話数を示唆する煽り文を掲載する演出がされるようになりました。ファンたちは寂しさを感じつつも、どのような最終回を迎えるのかワクワクしながら読んでいたのではないかと思います。人気は日本国内にとどまらず、海外からの評価も非常に高いです。久保さん自身がイベントでアメリカやドイツに渡り、サンディエゴやライプツィヒでファンと交流することもありました。BLEACHの連載終了後は、SNSで感謝の気持ちを込めた漫画を投稿したり、ゲームのキャラクターデザインを担当するなどの活動を行いました。長期連載による疲れもあり、海外のイベントの参加を取りやめることもありました。2017年には、出身地の広島県で中学生を対象にした講演会を行い、講演会が行われた府中町からPR大使を委託されました。
作風について
久保さんが漫画を描く時のこだわりとして「多様性とバランス」を挙げています。BLEACHの世界観は和風のイメージがありますが、久保さんによると、和風の中に洋風の要素が混じっていることがポイントだそうです。また、キャラクターをイメージする時には音楽から影響を受けることが多く、キャラクターごとに久保さんの中で「テーマソング」が設定されています。更に、BLEACHという作品そのものにロックの要素があると考えています。久保さんの作品の単行本の巻頭には、表紙キャラクターの心情をイメージした詩が掲載されており、呪術廻戦の作者でお馴染みの芥見下々さんは「巻頭歌」と表現しました。この呼び名は後に採用され、使用されるようになります。
「何を描かないか」というスタイル
BLEACHの主人公である黒崎一護は黒がイメージカラーだったので、作中で一護を目立たせる工夫として、白色の使い方を重視するようになります。白を効果的に使うことで、黒が引き立つようになるのです。久保さんは連載を続ける中で、何を描くかよりも、何を描かないかを考えるようになりました。例えばキャラクターの後ろ側には、そこにある建物であったり、海や空といった背景を描いたりするのが普通です。しかしあえて何も描かずに、白く見せることで生まれる物があると久保さんは考えました。キャラクターの表情や言動は勿論重要ですが、何も描かれていない余白の部分に、物語の魅力を引き出したり盛り上げたりする要素があると考えたのです。本来、どこにいるかという情報を知るために背景は必要なのですが、この背景が無いことによる「溜め」を作ることで、次のコマやシーンの良さを引き出すという工夫がされています。
セリフに対する考え方
セリフに関しても背景と同じ考え方で表現されており、可能な限り削ることを重要視しています。セリフで詳しい説明をすることは避け、最低限に留めています。セリフ以外の部分を想像で楽しんでもらう、というスタイルで読者を魅了しています。セリフを作る時のポイントとして、声に出した時の響きが綺麗かどうかを大切にしています。ただの言葉ではなく、音になるように意識しており、響きが綺麗であれば、歌詞に近い物になると考えています。歌詞と同じような物だと感じることが出来れば、印象に残りやすくなるのです。キャラクターのイメージする際に音楽を参考にしたり、巻頭詩を掲載するなど、久保さんの執筆活動には音楽が欠かせない存在となっていると言えるでしょう。
久保さんの趣味
音楽やゲームが趣味であることで有名です。音楽はSNSで自身の好きな音楽について度々コメントしています。北欧メタルやボン・ジョヴィなどを好み、最終的にパンクに移行しました。BLEACHの作中のセリフに関しては、バッド・レリジョンというアメリカのロックバンドの歌詞から影響を受けていることを語っています。また、イギリスの映像作家であるクリス・カニンガムが手がけたミュージックビデオにも大きな影響を受けたそうです。ゲーム好きでも有名で、連載で忙しい時期でも、早く仕事を終わらせてゲームをする時間を作っていました。好きなゲームに「どうぶつの森」を挙げています。過激な表現があるゲームに関しては、描くのは好きな一方で見るのはあまり得意ではないと語っています。
久保帯人さんについての紹介まとめ
ジャンプの看板作品を生み出した漫画家である久保帯人さんは、読者を楽しませるために表現方法に様々な工夫を凝らしています。BLEACHを読み返してみたくなった、という人もいるのではないでしょうか。『BURN THE WITCH』も久保さんの創意工夫が詰まった作品となっていますので、アニメ版の放送前に原作をチェックしてみてはいかがでしょうか。それでは今回はここまでです。読んで頂きありがとうございました。