ミステリと言う勿れ(ミステリというなかれ)は『BASARA』や『7SEEDS』で御馴染みの田村由美先生の新作マンガです。前作は壮大なスケールの少年漫画風少女漫画だったり、壮大なスケールのSF少女漫画でしたが、今回は頭が壮大なスケールのミステリ?作品です。少女漫画成分は消え失せましたが、そもそもタイトルでミステリじゃないよと言ってるあたり、かなり奇妙な作品に仕上がっていますが、事件の始まりと終わりだけはミステリです。作品の中にはそもそも犯人がいない事件もありますが、犯人がいる事件もあるので、エピソードの簡単な紹介と犯人を紹介したいと思います!ネタバレ注意です!
事件その① 大学生殺人事件『概要』
天然パーマで爆発頭が特徴の大学生、久能 整(くのう ととのう)のアパートに警察官がやってきます。何でも近所で殺人事件があり、その被害者が整の大学の同級生である寒河健であることを聞かされます。しかも、整らしき人物を見たという目撃証言もあり、整は任意同行で取り調べを受けることに。ただ整は友達彼女いないくせにとにかく喋るやつで、その内容は事件に無関係でも対面している人物にとっては刺さるお話ばかりでした。そんな中、整の指紋と被害者の血液がべったりついた凶器が発見されます。
大学生殺人事件 犯人『藪 鑑造警部補』
犯人は整を取り調べた刑事の一人、最初から整をクロと決めてかかっていたベテランの刑事でした。動機は一昨年に寒河江が藪の妻子をひき逃げしたことの復讐。交番勤務時代に整が落とした家の鍵を交番で預かった際に鍵を複製し、整の家から犯行に使った凶器を盗んで犯行を行っていました。しかし、寒河江は態度が悪かったもののひき逃げは行っておらず、真犯人は寒河江の高校時代の先輩で寒河江の車を私物化し乗り回しており、ひき逃げはその先輩が起こしたものでした。
事件その② 変なバスジャック事件『概要』
整はある休日に、印象派展に行こうと発車寸前のバスに急いで乗り込みます。しかし、そのバスでなんとバスジャックが発生します。ただバスジャック犯の犬童オトヤは、身代金を要求するわけでもなく乗客たちに妙な質問をします。『自分の欠点』『人を殺したこと』『何故人を殺してはいけないのか』『一番嫌だと思う死に方』などの質問に答えていくのですがその質問で整は意図せずオトヤを激高させ、乗客の一人である坂本正雄に取り押さえられるも、実は坂本はグルで本名は犬童ガロ。人質たちは結局、犬童家の屋敷に招待され一夜を過ごすことになります。
奇妙なバスジャック事件 犯人『犬童ガロ、犬童ハヤ、犬童オトヤ』
実はバスジャック犯は全部で3人。バスジャックを行った犬童オトヤ、そして坂本正雄を名乗り、その後犬童ガロを名乗っていた犬童ハヤ、そして熊田翔を名乗っていた奇妙な迫力を持つ青年こそが主犯の犬童ガロでした。彼らの目的は、最近話題になっている『ターゲットを生き埋めにする猟奇殺人犯』をあぶりだすことでした。殺害された一人の犬童愛珠はガロの姉で、ハヤとオトヤの従姉妹でした。殺害状況から容疑者を絞り出し、集められたのが軟禁された乗客たちで、数々の質問は犯人を導き出すための尋問だったのです。ついでに、急いでバスに乗ってきた整は全く無関係でした。
生き埋め連続殺人 犯人『煙草森誠』
ガロたちが探し求めていた犬童愛珠殺害の犯人にして連続殺人事件の犯人。仕事が終わりバスを車庫に片付けようとした際に残っていた乗客が死んでいるのを見つけ、山中に埋めようとします。しかし、直前で被害者が蘇生し、必死で土の中に埋めます。その被害者が犬童愛珠であり、その感覚に快楽を覚えたため土の中に埋める殺人を繰り返します。彼にとっては目に見えなくなれば『なくなった』と判断するため、死体が見えなくなればすべてなかったことになり、罪の意識は全くありませんでした。
事件その③ 狩集家の遺産相続『概要』
犬童ガロのせいで行けなくなった印象派展が広島で開催されると知り、広島へと向かった整は旅先で変な女の子に絡まれます。女の子の名前は狩集 汐路(かりあつまり しおじ)。彼女は犬童ガロの紹介で整にとあるアルバイトを提案してきます。それは狩集家の莫大な遺産相続を巡るものでした。集められた4人の候補者たちは狩集家の当主の遺言に従い、遺言執行人である車坂家と真壁家が出した『それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ』という謎を解き遺産を手に入れようとします。4人の候補者は4つある蔵のカギを一つずつ受け取り、調査を開始していきます。
いわくありの遺産相続
この遺産相続はいわくありの遺産相続でした。狩集家の遺産相続はその都度に死人が出ており、汐路の父親、また他の候補者たちの親族も同時に自動車事故で死亡していました。候補者は紆余曲折の末4人で協力しその謎を解いていきますが、その過程で汐路の父親たちを含めた死者の共通点や狩集家の過去にまつわる『鬼の集』という演劇の内容から真相に近づいていきます。
狩集家の遺産相続犯人『車坂朝晴および、狩集家、真壁家、車坂家の一族』
狩集家ら3家はかつて名家の当主を殺害し、財産と妻を奪ったものたちの家系でした。しかし、乗っ取る際に子供を一人逃がしてしまったことからその子供の復讐を恐れ、乗っ取った人物に似た容姿の人物が生まれたとき機を見て殺害するという風習がありました。汐路の父親もその容姿から殺害のターゲットであり、その実行犯が車坂家の車坂朝晴でした。ただし、汐路の父親たちは一族が殺すべき逃がした子供の子孫の行方を掴んでいましたが、それを聞き出す前に殺害してしまったため、何かを聞いている可能性のある汐路たちを集めて遺産相続の謎を仕掛けたのでした。
【ミステリと言う勿れ】犯人まとめ
ミステリと言う勿れに登場する犯人をまとめてみました。ただ、最終的に犯人と言える人物が存在しなかったり、謎を解いて犯人を見つけ出すというミステリのテンプレを辿らない事件も多くあります。この作品はそんな変わったエピソードが多く、ただただ整が喋って、聞き手の中で問題が解決したというエピソードもあってとにかく読めば読むほど面白い作品だと思います。話題にもなってます。多分ドラマ化もするのではと思います。