TVドラマシリーズで有名となった「池袋ウエストゲートパーク」ですが、原作は石田衣良さん著の短編小説で、第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞しています。小説、TVドラマ、コミック、舞台と多方面で展開されている本作品は、様々な社会問題を取り上げており、実際に起きた事件を参考にしたストーリーが多いのも特徴です。2020年7月にはアニメ化も決定しており、再び、IWGPが注目を集めることになるでしょう。今回はTVドラマ最終回の『士の回』についてご紹介していきたいと思います。TVドラマ版の脚本は宮藤官九郎さん、チーフ演出は堤幸彦さんが担当しています。ネタバレを含む内容となっている為、これから見ようと思っている方は注意してくださいね。
リカ、シュンを殺した犯人とは?GボーイズVSブラックエンジェルスの抗争の結末は?ヒカルはどうなってしまうのか?遂に全てが明らかとなる。それでは行ってみましょう!
目次
6月23日金曜日 友引
最終回である第十一話『士の回』~ブクロの一番長い一日 The Longest Day In Ikebukuro 6・23は、一日の出来事が詰め込まれたエピソードとなっています。
この一日で今までの事件の真相が明らかになり、Gボーイズとブラックエンジェルスの抗争も終止符を打ち、池袋に関わる人にとって忘れられない一日となったでしょう
もうひとりのヒカル
マコトが家に籠っているシーンから始まります。ビデオの中のヒカルは「リカを殺したの。ヒカルが一番悲しむことをするの・・・。」と初っ端から爆弾発言!
そらトイレにも籠りたくなります。『十手の回』(第十話)で、マコトの家で待っていたヒカルに連れられたマコトは、ヒカルから全ての真相を聞き、それをビデオに収めていました。
もう一人のヒカルは自らを「ホワイト」と名乗ります。彼女はヒカルと違い、冷静で冷酷な人格。ヒカルに嫌なことがあると自分が全部引き受けているというのです。ヒカルに真実を見せる為、マコトにビデオを録らせ、ホワイトは真実を語っていきます。ホワイトの目的はリカを困らせること。嫌なことを全部自分に押し付けて、広い部屋で悠々自適に過ごしているヒカルが許せなかった。自分にはヒカルを困らせる権利があると主張します。
リカ殺しの真相
マコトとリカが二人で抜け出した日にヒカルは山井と出会っています。山井はヒカルの為なら何でもするというので、これを利用しヒカルを困らせようとホワイトは企みます。
リカのことを前から良く思ってなかったホワイトは、「リカを死ぬほどビビらせて」と山井に頼みます。山井はストラングラーに見せかけてリカを殺し、その後しばらく池袋から姿を消しました。
山井がヒカルに「しばらく池袋を出る」と言っていたのにはこんな理由があったんですね。
カナを刺すようシュンに命令したのも・・・
マサが女子高生たちにカツアゲされた際、真実にいち早く気付いたヒカルはシュンと二人で女子高生たちを問い詰めました。この時、ヒカルは豹変し女子高生たちをボコボコにしているところをシュンに見られています。
自分の存在をバラされると思ったホワイトは、山井と二人でシュンを脅しカナを刺すように命じます。彼女のカオルを盾に取られたシュンはやむを得ずカナを刺すことに。刺すときに「ごめんなさい」と言っていて、傷口も浅く殺意がなかったの頷けます。
そして最後はシュンまでも・・・
カナを刺した後のシュンはマコトたちとつるむことも少なくなり、彼女とも連絡を取らず家に引きこもっていて明らかに様子がおかしくなります。
ホワイトはシュンが自分と山井のことを警察に言うのでは?と考え、今度は山井を使ってシュンを殺すよう頼みます。京極会の蓮沼の後ろ盾もあり、横山も手が出せないと思っている山井は人を殺すことにも躊躇しなくなっています。
ブラックエンジェルスの仕業に見せかけシュンを殺害し、Gボーイズが手を出す口実を作り出すのです。
一番ヒカルが困ること
ビデオの最後には「これからヒカルが一番悲しむことをするわ」と言い、アイスピックでマコトに襲い掛かります。
自分が大好きなマコトを殺したとなってはヒカルも立ち直れないでしょう。しかし、マコトは持っていたビデオでホワイトを殴り、そこでビデオは終わりました。
現実逃避するマコト
真実を知ったマコトは家のトイレからずっと出れないでいました。トイレの前には、母、マサ、サル、カズノリ、千秋など今までマコトに助けられた仲間たちが励ましに来ています。
マサ、サル以外激励の言葉が独特すぎますね(笑)どんだけ仲間が励ましても、出てこないマコトだったが、そこに吉岡が来て一言!
「マコト!渋沢光子が逮捕された!」
これを聞いたマコトはトイレから出て池袋西警察署に走り出す。
真実を知り、言葉を失うヒカル
山井に呼び出され、どうすれば良いのかと尋ねられるヒカル。何も知らないヒカルは困惑し泣き出すが、マコトが入ってきた途端豹変し、山井を用無しと切り捨て意識を失います。
その姿を見た横山に全てを説明する為、マコト、ヒカル、横山は別室に行き、ビデオを見ることに。自分が多重人格者であること、リカ、シュン殺しの主犯であったことを知ったヒカルはあまりのショックに言葉を失います。
マコトの「手錠を外してやってくれ」という切実な願いに応え手錠を外す横山。横山もあまりに悲惨な結末に掛けてやる言葉もないといったところでしょうか。
「ヒカル、くたくたで当たり前のことしか言えねぇけどさ、お前頑張れよ!」という言葉はヒカルへの想いが伝わるストレートなマコトらしいセリフですね。
腹が減っては戦は出来ない!
ヒカルの一件が終わり、家に帰ったマコトは焼きそばを食べていました。「呑気に焼きそば食ってる場合じゃない!」とさっさと喧嘩に行けと促す母に「腹が減ったら戦は出来ないんだよ!」と言い返すマコト。
「ババアの焼きそば食うのもこれが最後かもしれねぇんだから、ゆっくり食わせろよ!」と続けて言います。マコトの母への想いと、ケジメを付けに行くマコトの決意表明のようなセリフですね。
目玉焼き三個のパワー焼きそばを作った律子はマコトの膝の上で眠りにつきます。普段なら「何してんだ!ババア!」と怒鳴るところですが、黙っているマコト・・・。
態度には出さないが母想いのマコトならではの親孝行なのかもしれません。
最終決戦!G-ボーイズVSブラックエンジェルス
マコトの到着に痺れを切らした両者は、すでに殴り合いを始めていました。やっと到着したマコトは詫びを入れ、ここからは自分が仕切るように言うが、タカシからはお払い箱のようにあしらわれてしまう。
殴り合いを止めるわけではない、話を聞いてくれと叫ぶマコトに「首を突っ込むな!」と横山が割って入る。「さっさと再会しろ」とタカシと京一を促す横山に「少しだけ時間をくれ」と頼むマコト。
しかし、「こんな奴らに時間など必要ない!」と断固として譲らない横山に対して、マコトは京極会と横山が繋がっていたこと、ブラックエンジェルスのバックには京極会が付いていること、Gボーイズを潰そうとしていたことを暴露する。
ヤクザや警察に利用されていた青年たち
山井は京極会の手下で、山井や横山に利用されていたと知る京一。Gボーイズのバックにも羽沢組が付いているという声に「うちは関係ねぇぞ!」と言いながら羽沢組若頭の氷高が現れます。
そんなデマを流したのは京極会だと蓮沼本人に確認を取る氷高。銃を持っているブラックエンジェルスの一人をサルが抑え、羽沢組のおかげでヤクザたちは解散します。
事件の真相が遂に明るみに
仕掛けられた喧嘩だったことが判明したが、タカシは喧嘩を再開しようとします。シュンやミツルが殺され今更話し合いなどで収まるわけがない。みんな殺気立ち、もう止めることは出来ないといった状態です。
マコトはシュンやミツル、リカが死んだのも全部自分の問題だと言い、犯人は全部山井とヒカルだと告白します。
まさかの真実に一同は凍り付き、言葉を失います。
タカシの信念
争う理由がないと言うマコトに対し、元々理由なんてない、殴りたいから殴るというシンプルな理由で喧嘩を再開しようとするタカシ。京一も賛同し、臨戦態勢に入る。
機動隊が止めに入ろうとするが、横山がそれを阻止し「まだ10分経ってませんから」と辞表を吉岡に渡す。この時の横山さんカッコイイですね。
マコトは「めんどくせぇ!」と言い、敵味方関係なく殴りかかり、理由がないなら俺のことも殴れと暴れだします。「自分の両手が地面に付いたら始めて良いがそれまで黙って見てろ!」と言うと、タカシがマコトに殴りかかります。
どんだけ殴っても倒れないマコト。見るに堪えなくなり、周りは引いていきます。見るに見兼ねた京一は「やめろ」と言いますが、タカシは「そんな簡単にやめんだったら、鼻から突っかかってきてんじゃねぇよ!」と泣きながら殴り続けます。仲間を想い、信念を持ってGボーイズを束ねていたタカシは、ギリギリまで抗争を避けていました。しかし、シュンが殺されたことで始まったこの抗争のケジメをリーダーとして付けなければならなかったのでしょう。
生半可な気持ちでキングと名乗っているわけではないのがよくわかる泣けてくるシーンです。
戦いの結末、タカシの最後
マコトの両手を地面につけたタカシは戦意を完全に失っていました。マコトとタカシの壮絶なやり取りを見て、周りは誰も動くことが出来ず、喧嘩する気もなくなっていました。
最後のキング命令でGボーイズを解散したタカシは仲間に武器を捨てさせます。それを見た京一も武器を捨て、ブラックエンジェルスも武器を捨てます。
最後はタカシがマコトの上にまたがりキスをして「何だかんだ言って一番面倒くせぇのマコちゃんじゃん!」と言いこの戦いは幕を閉じようとしましたが、そこに一人の少女が現れました。
兄をGボーイズにやられた少女がナイフを持って走ってきます。タカシはその少女をナイフごと受け入れ、自分が死んだらマコトに池袋は任せると言い残し目を閉じます。
タカシ抱くマコトに横山がメモを渡します「ヒカルが飛び降りた」・・・。マコトはボロボロの体でヒカルの元へ走り、戦いは終止符を打つことになります。
あれから1年・・・
池袋西口公園にはタカシの像が建てられ、Gボーイズは会社として機能していました。メンバーは作業着やスーツなど立派な大人の恰好をしており、全身黄色ではなくなっていました。
カナは保育士をしており、マコトは相変わらず掛けボウリングをして小遣い稼ぎをしています。ボウリング場にいた横山は刑事を警察を辞め、探偵事務所をしていました。勝手にマコトの名刺を作っているあたり、やはりマコトのことが気に入っているのでしょう。ボウリングが上手くなっているのも後日談っぽくてなんか良いですね。ヒカルは一命を取り止め、療養所でカウンセリングを受けており、マコトとの思い出のコケシを持っていました。横には果物が大量に入ったダンボールが置いてあり、マコトが送っているのがわかります。早く元気になってマコトと幸せになってほしいと切実に思いますね。
一人で池袋西口公園にいるマコトにギャル二人がナンパに来ますが、お金を持ってないマコト。第一話イチゴの回の最初のシーンを連想させるカットは最終回なんだなぁと切なくなる演出でもあります。
ラストは川崎麻世にサインを貰い「IWGPサイコー!!」で締めくくられました
遂に事件の真相が明らかに?!TVドラマ最終回解説(ネタバレ含む)まとめ
いかがだったでしょうか?
最終回はたった1日の出来事ですが、内容が濃すぎますね。
序盤はギャグ、コメディ要素も多かったですが、中盤から終盤にかけてはシリアスなシーンが多くなりました。
しかし、最後はやっぱり明るく終わるIWGPサイコー!ですね。是非、原作、アニメもチェックしてみてください!