「全員片思い」がキャッチフレーズのハチミツとクローバー。近くにいる彼、彼女とどうして結ばれないのか、そして、なぜ諦められないのか…。切ないハチクロのキャラクターたちの片思いを考察してみました。
出会った瞬間に失恋 真山巧
教師であり友人でもある、花本修二より紹介されたバイト先の建設事務所で、恋に落ちてしまう真山巧。しかしその相手である理花は、愛する夫を事故で亡くしており、その傷は癒えていませんでした。理花に近づこうとすればするほど、距離を取られる真山は、まさにストーカーのようでした。とはいえ、理花も全く真山を気に留めていないわけではなく、しかし、夫のことを忘れられるはずもなく…と、苦悩します。出会ったときから、超えられない人のいる相手に恋をする真山は、悲しいほど一生懸命でした。
超えられない友人の壁 山田あゆみ
友人同士でありながら、いつのまにか真山に恋をしていたのは、山田あゆみです。しかし真山の心は既に、理花に囚われた後でした。何度も何度も、真山を想い、声を上げて涙する彼女の姿はとても印象的です。真山がバイトをする建設事務所の関係で、知り合う野宮匠は、特に泥沼状態のあゆみを救おうと奮闘します。あゆみと匠の恋模様の結末は、描かれておりませんが、すれ違いながらも徐々に心を通わせていった彼女たちは、おそらくハッピーエンドを迎えたのではないでしょうか。
遠い存在に恋する 竹本祐太
花本はぐみと出会った瞬間に、周りが気づいてしまうほど、どっぷり恋に落ちてしまった竹本祐太。小柄でおどおどしており、つい世話を焼きたくなるはぐみですが、その姿からは想像できないほどダイナミックな才能の持ち主でした。どんどんその才能を開花させ、様々な賞をとり、学校からも期待を受けるはぐみを見るたび、竹本の焦燥は募ります。恋する相手と自分との間に、越えられない隔たりを感じる竹本ですが、その恋が成就しないとわかっていても、男らしく告白をする竹本は、とてもかっこよかったです。
恋よりも大切なものがある 花本はぐみと森田忍
メインキャラクターたちの中で唯一、両思いだった花本はぐみと森田忍。ふざけあうふたりのコンビネーションはばっちりで、切ない恋のストーリーとはかけ離れた、ギャグシーンも多々ありました。しかし恋人同士になるかと思われたふたりでしたが、作品のテーマどおりのまさかの片思いで、話は終結します。溢れすぎる才能ゆえに、それぞれの道が確立されており、ふたりで歩むことのできる道を模索することができなかったのです。「ずっと見てるね」というはぐみの言葉には、永遠の別れが込められているようにも感じました。
切なすぎる片思い まとめ
柔らかなタッチで、序盤は多く笑いも盛り込まれていた作品でしたが、キャラクターたちに共感すればするほど切なく、考えさせられます。叶わなかった恋に意味があるのか? が、大きなテーマとなっており、そして最後は涙なしでは見られない、壮大な片思いのラブストーリーでした。