「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」よりも先にアニメ化され好評を博し映画公開も決まっている「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」ですが、どちらも王道の「悪役令嬢モノ」作品です。主人公の魅力は作品の魅力に直結します、どちらも魅力的な主人公ですので様々な視点からお互いの魅力の違いを比較し分析してみたいと思います。
目次
「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」を少しおさらい!
「小説家になろう」生まれの作品で2014年から連載が開始され、2017年にコミカライズも始まり現在も連載中です。2020年にアニメ第一期が放送され、翌年2021年に第二期が放送されました。2023年には「劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」が公開予定となっています。
「はめふら」は悪役令嬢モノの起爆剤!
「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」の原作者は山口悟先生、女性のライトノベルズ作家さんです。悪役令嬢モノは人気ジャンルとして定着してはいましたが「はめふら」のアニメ化の成功により認知度が上がり、注目度も上がりました。
主人公二人の前世の記憶が蘇るタイミングって?
「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」通称「悪ラス」の主人公アイリーン、「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」通称「はめふら」の主人公カタリナ、まずこの二人の前世の記憶が蘇るタイミングから比べてみましょう。
全く違うシチュエーションでの蘇り
2人が転生した先は前世で遊んでいた乙女ゲームの世界です、アイリーンは「聖と魔と乙女のレガリア」でカタリナは「FORTUNE LOVER」というゲームでした。そして前世の記憶が蘇るタイミングですが、アイリーンはゲーム中盤にさしかかるところのイベント「皇太子からの婚約破棄」で前世の記憶が蘇ってきます、しかも全てではなく肝心なところが抜けた状態でです。カタリナの方ですが8歳の時第三王子のジオルドと庭園を散歩中に転んで頭を打ち気絶してしまいます。そして目が覚めた時には頭を打った衝撃で記憶が戻っていたのでした。
蘇るタイミングの差で物語の展開に違いが.....
アイリーンは既にゲームが始まって中盤にさしかかろうかというタイミング、しかも記憶が戻った時にはバッドエンドまで残り3ヶ月しかないという最悪の状況でした。一方カタリナの方ですが記憶が戻ったのは8歳の時、ゲームが始まるのは15歳になって魔法学園に入学してからですので7年も余裕がありました。この差は大きく、アイリーンは直にバッドエンドを回避する為動き出さなければいけませんが、カタリナは入学するまでに7年ありましたので対策をたてる余裕があったのでした。
そもそも2人は悪役令嬢なんでしょうか?
2人はゲーム内でヒロインを虐める悪役令嬢に転生してしまうのですが記憶が戻ってからも悪役令嬢だったのでしょうか。2人の育った環境も含めて比較してみたいと思います。
努力の人アイリーン
強烈な父親からの教育を受けて育ったアイリーンは頭脳明晰で鋼のメンタルを持っており、公爵家の事業運営も関わっていたため自分で事業を立ち上げるほどの実力と行動力がありました。そして、もともと素直で優しい心の持ち主なので接する事により本来の彼女の姿がわかった人達からは慕われるのでした。では前世の記憶が蘇った後はどうなったのでしょうか、結果としては全く変わりませんでした。幼い頃から変な夢、前世の記憶が断片的にあった事から考えてみると前世での性格も受け継いでいたのかもしれません。皇太子の婚約者という事で妬みやっかみもあり、ヒロインに厳しく接した結果悪役令嬢のレッテルが貼られてしまいましたがアイリーンは悪役令嬢と思われているだけの主人公です。
天然の人カタリナ
公爵家の令嬢として生まれたカタリナはわがまま放題に育っていました、気に入らなければ癇癪をおこし自分の好き放題やりたい放題のお嬢様でした。8歳の時転んで頭を打った時に前世の記憶と共に人格までも一緒に戻ってしまいました。もともと普通の明るいオタクの女子高生だったのですから貴族の常識や作法など無頓着です、今まで傲慢で我儘し放題だったのが人が変わったような彼女に家族や公爵家の使用人たちは不思議に思いながらも受け入れていくのでした。その後も突拍子もなく理解しがたい行動をとるカタリナ、しかし素直で明るく人間味溢れる彼女と接するうちに何らかの心の傷を持った人達は皆癒され心惹かれていくのでした。つまりカタリナは記憶が戻った時点で悪役令嬢ではなくなっていたのです。
バッドエンドは嫌!2人のとった行動は!
「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」ではどのルートを通ったとしても最後ラスボスの魔王が覚醒し主人公アイリーンはそのイベントのどさくさに紛れてとてつもなく雑な死に方をしてしまいます。一方「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」の方はゲームのヒロインと攻略対象がハッピーエンドの場合はカタリナは国外追放、バッドエンドの場合は攻略対象に殺されてしまいます。結局カタリナにとってはハッピーエンドは存在しないのでした。
バッドエンド回避へアイリーンとった行動は!
アイリーンのバッドエンド回避の唯一の方法はクロードがヒロインの愛によって人として踏みとどまる事です。しかし現段階ではそのイベントが解放されてない為ヒロインでは無理、つまりヒロインの代わりにアイリーンがクロードに愛される事によって覚醒を阻止するしかないのです。その為にアイリーンがとった行動が「クロードへの求婚」でした。
カタリナ思いついた対処方は!
「FORTUNE LOVER」の物語が始まるまでまだ時間があると考えたカタリナがとった行動は剣の修行と農業でした。剣の修行は殺されそうになった時少しでも対抗できるように、そしてジオルドの弱点が蛇だと知ったカタリナは蛇のおもちゃを作る事にいそしむのでした。次にカタリナが考えた事は国外追放になった時の事でした、「魔法が使えれば職に困らない」しかしカタリナは弱い土魔法しか使えない、ではどうしたら魔力を磨けるか、魔力の本には「己の魔力の源と対話する事が重要」と書いてある.....土と対話......土を耕し畑を作る事だ!という事でカタリナは農業に目覚めたのでした。
さあ!バッドエンド回避へ!
アイリーンとカタリナ、バッドエンド回避に向けて実際どうなっていくのでしょうか。全く違う主人公と作品の特徴を比較してみます。
破滅イベント回避へ奮闘するアイリーン!
魔王クロードに求婚したアイリーン、当然追い返されてしまいます。しかしバッドエンドを回避する為には止まってはいられません。魔王クロードへの求婚、破滅イベントの回避、新事業の立ち上げ、頭脳と行動力で突き進みます。その前にはヒロインと皇太子達の嫌がらせや妨害工作もありますが、アイリーンは彼女を慕う仲間達と共に回避していくのでした。そのうち魔物達もアイリーンに心を開く様になり、それを見ていたクロードもアイリーンを好ましく思うようになり2人の距離は縮まっていくのでした.....行動力のあるヒロインがテンポ良くストーリーを展開していき、ツンデレの魔王とのラブコメあり、ヒロインとのハラハラする駆け引きありと目が離せません。
無自覚最強!カタリナの超絶スキル!
カタリナはバッドエンド回避の為に剣の修行や農業を頑張っていますが彼女の本来の力は全く別のものでした。彼女の最大の武器は「天性の人たらし」なのです、物語が始まる魔法学園入学前に第三王子ジオルド、第四王子アラン、弟キース、宰相の息子ニコル、攻略対象の4人全て攻略してしまいます。カタリナは無自覚で彼らの心の傷を、明るく真っすぐに向き合う事で癒していき心を掴んでしまうのでした。無自覚カタリナは破滅フラグを回避する事しか頭にはなく攻略対象4人の好意には全く気付かず振り回すのでした。他にもアランの婚約者メアリ、ニコルの妹ソフィア、そして学園に入学してからはヒロインのマリアまで「たらし」てしまうのでした.....まっすぐな思いやりと型破りな行動、そして人間味溢れるカタリナに振り回される登場人物たち。カタリナを奪い合ったり、カタリナのために一致団結して協力する様子は思わずニヤニヤとしてしまいます。破滅フラグはどこへやら、愛されキャラのカタリナに「たらされて」しまいます。
まとめです
頭脳明晰で芯が強く行動力抜群、しかし素直で心優しいアイリーン、「天性のたらし」を無自覚で発動し周りの人達を虜にする人間味溢れるカタリナ。両作品の主人公を比べてみましたがどちらも個性豊かで魅力的なキャラクターでした。同じ悪役令嬢モノですが主人公が全然違うタイプの様に作品もまた違う魅力をもったものになっています。「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」を見て楽しめた方は是非「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」も見て頂きたいです、カタリナとは違う魅力を持ったアイリーンの活躍を楽しんで下さい。最後まで読んで頂いてありがとうございました。