今回「破滅フラグ」について検証する為にはまず悪役令嬢モノの定番フォーマットを解説したいと思います。まず主人公は前世で死亡してしまいます、その後前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生。あるきっかけで前世の記憶を取り戻し破滅エンドのシナリオを回避する為に奮闘します。その主人公の前には攻略キャラやヒロインが登場し破滅へのイベントが発生していく.....これが基本のパターンとなっています。そして物語の起点になるのが「破滅フラグ」で、そのトリガーになるのが「前世の記憶」が戻る事なのです。つまり物語の展開としては「破滅フラグ」を回避する為に主人公は「前世の記憶」にあるゲームの知識を使ってバッドエンドをどう回避していくのかという事です。つまり「破滅フラグ」なくして物語は成立しないという事ですね。
そもそも悪役令嬢モノって?ちょっと振り返りましょう!
小説投稿サイト「小説家になろう」で悪役令嬢モノというジャンルが生まれ、2013年頃から商業出版がされはじめ人気のジャンルとして定着しました。その後沢山の作品が生み出される中、定番な展開にオリジナリティの内容や設定を盛り込み、その作者のだけのカラーを出している作品が多く生まれ、今でも人気のジャンルとして確立しています。
悪役令嬢モノが一気に浸透したきっかけは!
2020年春に「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」がアニメ化され人気を博したのが大きかったと思います。その後第二期が2021年7月に放送され、劇場版が2023年に公開する事が決定し注目度は一層増してます。
「悪ラス」の破滅フラグはいつ立った!
「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」の破滅フラグはいつ立ったのか、それは物語の冒頭で皇太子がアイリーンに婚約破棄を言い渡した瞬間です。作品によって色々シチュエーションはあり物語が始まった途端に破滅フラグが立つシチュエーションは他にもありますがアイリーンの場合は完全な記憶ではなく破滅イベントなどはまだ思い出していない不完全な記憶でした。その状況でアイリーンはゲームの記憶をたどりながら一つの答えにたどり着きます「……敵の敵は味方、って言うものね?」と。
「敵の敵は味方」を攻略して破滅フラグを回避?
アイリーンが記憶をたどり思い出した破滅フラグとは魔王クロードが覚醒し竜となってしまうイベントでした。乙女ゲーム「聖と魔と乙女のレガリア」では複数のルートがありますが殆どの場合クロードは覚醒し、ラスボスの竜となってしまいます。そしてどのルートでもアイリーンは覚醒のどさくさに紛れてとてつもなく雑な死に方をしてしまうのでした。そこでアイリーンが考えついたのが「敵(ヒロイン)の敵(クロード)は味方」、つまり破滅フラグのクロードと結婚する事です。クロードが唯一人間として踏みとどまる方法はヒロインからの愛、ですので自分がヒロインの代わりに愛され覚醒を阻止する事がフラグ回避の最善策と考えたのでした。
破滅フラグへのルートにあるイベントをご紹介
アイリーンの破滅フラグに向かうまでにはいくつものイベントがあり、そのイベントの結果によってルートが変化していくのですが中にはアイリーンの記憶にはないルートが発生したりしています。ここではルートの岐路となるいくつかのイベントをご紹介します。
1.破滅フラグへのスタート
「悪ラス」破滅フラグはいつ立った!にでも書きましたが、学園の冬期終了の夜会での婚約破棄が第一のイベントです。本来はゲーム中盤に起きるイベントですがアイリーンはここで初めて前世の記憶がもどりました。アイリーンはこのイベントの幕を引くのは自分でなければならない、相手にしてやったなどという優越感をひとかけらも与えないと決意し笑顔で「お慕いしておりました」と言い残し立ち去るのでした。
2.聖剣の乙女誕生のイベント
フェンリルの子供が学園の敷地内に迷い込んでしまい、親のフェンリルが助けに現れます。これはマークスの攻略イベントでヒロインのリリアが聖剣の乙女の力を発現させマークスと一緒に魔物を倒すというイベントなのですが、アイリーンの活躍によってフェンリルは助けられます。これによって破滅フラグへのルートに影響が出てしまうのでした。
3.アイリーンにそこまで嫌がらせ?
皇太子からアイリーンへ夜会への招待状が届きます、この夜会イベントはアイリーンが下町へ放り出される平民落ちイベントだったのです。しかもこの夜会はアイリーンに婚約破棄を承諾させて、商会をもらってくださいと頭を下げさせ、皇太子とヒロインの婚約をお祝いさせる為のイベントでした。アイリーンはこの逆境にどう対処するのでしょうか。
4.魔王を覚醒へのカウントダウンへ!
アイリーンが阻止しようとしている魔王覚醒イベントの鍵は従者のキースでした。腹心のキースの裏切りをクロードに見せつけクロード自身の手でキースを殺させる、そして負の感情に耐えられなくなったクロードは竜となり完全な魔物の王へと覚醒してしまいます。ただキースが行った裏切りというのもクロードの為に一度だけならと行ってしまった事なのですが、取引をした貴族に騙されて弱みを握られてしまいその後も手伝わされていたのでした。ヒロインの狙いは魔王覚醒したクロードを聖剣で消滅させるエンディング、そしてももう一つのエンディングは傷ついたクロードを言葉巧みに癒し人間に戻す、クロードはヒロインとの対立を避ける為魔物を封印し人間として生きていく.....アイリーンはヒロインの筋書きを阻止できるのでしょうか。
まとめです
「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」の破滅フラグと物語の中で起きるイベントについてご紹介してきましたが、「悪ラス」の特徴としてアイリーンのイベントの記憶が戻るタイミングが悪すぎるというのがあります。あるイベントでは起こった後に思い出し、ある時はイベント開始直前に思い出します。その為アイリーンは持ち前の行動力で頭をフル回転させながら奮闘する事になるのですが、その奮闘ぶりがこの作品の魅力の一つではないかと思います。物語冒頭の破滅フラグ発生からテンポよくストーリーが展開していきますのでアニメの放送を楽しみにお待ちください。最後までお読みくださりありがとうございました。