アニメオタクにとって最も思入れの深いロボットアニメーションであり、且つ複雑な歴史を有するガンダムシリーズですが、本シリーズの広大な物語の舞台となる「宇宙世紀」について、その歴史を正確に理解しているファンの方は少ないのではないでしょうか?ガンダムサーガと呼ばれるほどの複雑な歴史を軸に毎年新しい作品が公開されるガンダムシリーズでは、初見のアニメファンに「みてみたいけど、歴史がわからないから楽しくなさそう」と思われてしまうのが、ガンダム作品における共通の悩みですよね。友達にガンダム作品を進めたのだけれど「ちょっと難しそうだな」と言われて断られてしまったというファンの方も多いはずです。そこで今回は機動戦士ガンダムシリーズにおける最大の舞台、宇宙世紀の歴史について紹介していきたいと思います。今年放送される『機動戦士ガンダム 水星の魔女』もより楽しむためにもガンダムシリーズの歴史を振り返っておきましょう!
目次
宇宙世紀の始まり UC0~
ガンダム世界の舞台である宇宙世紀は、西暦の末期に人類の人口増加によってこれまで様々な国家に分かれていた国家が環境問題という共通の敵に立ち向かうため、一つの地球連邦政府として宇宙移民を行うようになったことで始まりました。
宇宙移民開始、宇宙世紀へ
地球連邦政府という一つの巨大な組織が地球を支配したことにより、地球内での紛争は一気に鎮まり、人類が宇宙にある人口の植民地であるスペースコロニーへ移住したことで、地球の環境問題も同時に解決したのです。
ラプラス事件
このように、環境問題や戦争問題、飢餓問題は基本的に地球という星に人類が多く住みすぎていたせいで発生していたものがほとんどでしたので、宇宙移民によって人類を悩ませていた問題は解決したかのように思われました。しかし、宇宙世紀の改元セレモニーにて初代地球連邦首相リカルド・マーセナスが突如暗殺されるなど、宇宙世紀の始まりは決して希望的なものだけではなかったと言えるでしょう。
ジオン・ダイクンとニュータイプ思想 UC0050~
宇宙移民が当たり前になり半世紀が過ぎたあたりで、歴史は大きく動き出しました。スペースコロニー内で活動をしていた思想家のジオン・ダイクンによって「宇宙に移民した人類(スペースノイド)は地球にいる人類(アースノイド)よりも優れた種として進化していくだろう」というジオニズム思想を提示したのです。
ジオン共和国建国
この、ジオニズム思想は地球から遠くかけ離れた宇宙に住む人々に多く受け入れられました。結果として、「スペースノイドのスペースノイドによる、スペースノイドのための国家」としてジオン共和国が建国されることとなったのです。
ジオン・ダイクン死亡、ジオン公国へ
ジオンの思想によって、宇宙移民者によって初の独立国家である国家が建国されたのですが、突如としてジオン・ダイクンが死亡し、政局は一気に不安定化することとなります。ジオンの死には数多くの説があり、その後政権を握りジオン共和国をジオン公国として自らの独裁体制に導いたザビ一族の仕業であるとみる説もありますが、真相は闇の中です。
一年戦争 UC0079~UC0080
ザビ一族によってジオン公国として生まれ変わったジオンは、地球連邦政府との戦争の準備に取り掛かりました。人類歴史史上初めての宇宙空間を舞台にした「一年戦争」と呼ばれる戦争の始まりです。
ルウム戦役でジオン圧勝
地球連邦政府とは圧倒的に国力の異なるジオンですが、ジオンは徹底した宇宙空間での戦闘に特化した兵器を開発しました。それが人型の巨大兵器、モビルスーツと呼ばれるものです。重心移動の原理を使って、宇宙空間での柔軟な移動を可能にしたモビルスーツは瞬く間に連邦政府の宇宙戦艦に甚大な被害を与えていきました。
オデッサの戦い
このように、初めは優位に立っていたジオンですが、戦争中期になると、連邦もガンダムをはじめとしとモビルスーツを開発し、ジオンの戦略的優位性は失われていきました。さらに地球でのオデッサの戦いに敗れ、資源の調達をできなくなってしまうなど、ジオンは次第に勢いを失っていったのです。
ア・バオア・クー陥落(一年戦争終結)
連邦の激しい反撃によって、宇宙の片隅に追い込まれたジオン公国は最後の要塞であるア・バオア・クーの陥落によって降伏しました。その後もジオン共和国として存続をすることにはなりましたが、スペースノイドによるアースノイドへの反抗は惜しくも失敗に終わったのです。
紛争と内部分裂 UC0083~UC0087
UC(宇宙世紀)0080年代は一年戦争の戦後処理の時代でした。ジオン残党は主にアクシズと呼ばれる小惑星基地に身を顰めたものと、地球圏にとどまりテロ活動を継続するデラーズ・フリートと呼ばれるテロ組織の二つに分かれたのです。
デラーズ紛争
アクシズに身を潜めるジオン残党とは対照的に地球圏に残ったデラーズ・フリートは地球連邦の最新式のガンダムを強奪するなど、積極的に連邦軍へと対抗していきました。しかし、早すぎる彼らの行動は同時に自分達の組織の首を絞めることとなり、連邦軍に駆逐されることとなります。
グリプス戦役
一方アクシズ側は狡猾でした。デラーズ紛争の後に敵がいなくなったことで内部抗争状態(グリプス戦役)に陥っていた連邦の隙をつき、連邦同士の仲違いを激化させ、自身の国力を着実に増強することに成功したのです。
ネオジオンの台頭 UC0088~0093
グリプス戦役で連邦軍が内側から衰退していくのをみたアクシズ勢力は、ザビ家の血をひくミネバ・ザビを新たなジオンの君主として祭り上げ、ネオジオンとして連邦に宣戦を布告しました。
第一次ネオジオン抗争
ネオジオンと連邦の抗争は連邦に深刻な被害をもたらしました。最後の最後でネオジオン内での勢力抗争が勃発し、ネオジオンが内側から崩れることで勝利した連邦政府ですが、すでに連邦政府にかつての国力はなく、軍も疲弊する結果となってしまいました。
第二次ネオジオン抗争
内側から崩れたネオジオンですが、疲弊した連邦政府が止めを刺すこともできず、ジオン・ダイクンの正真正銘の息子であるキャスバル・ダイクン(シャア・アズナブル)がネオジオンを束ねたことで、連邦側は再度牙を向けられてしまいます。ネオジオンによるアクシズを地球に落下させるという突拍子もない作戦に、連邦は事実上の敗北を喫します、しかし、一年戦争の英雄アムロ・レイが地球降下中のアクシズを、サイコフレームと呼ばれる人の意志を機械に反映させる素材を採用したガンダムを用いて阻止したことによって、辛くも勝利を収めました。
紛争の終焉 UC0096~UC105
ネオジオンの2回にも及ぶ敗戦によって、敵をほぼ全て駆逐した地球連邦軍は、連邦による支配体制の強化に乗り出しました。UC0090年代後半は連邦による支配の再度強化が行われた時期となります。
ラプラス紛争
ネオジオン軍の残党である「袖付き」と連邦に対して強い権限を有していた「ビスト財団」が暗躍した「ラプラス紛争」では、袖付きのリーダーであるフル・フロンタルを殺害することに成功したのと同時に、連邦にとって目の上のタコであった「ビスト財団」の力を削ぐことにも成功します。
マフティー動乱
地球圏でのテロ組織であった「マフティー・ナビーユ・エリン」も地球連邦によって壊滅され、マフティーのリーダであった、マフティー・ナビーユ・エリンことハサウェイ・ノアも処刑されることとなります。
地球連邦の失墜 UC120~
このようにUC0090年代後半に盤石な支配体制を敷いた地球連邦政府の支配はしばらく安定することとなります。しかし、UC120年代になると、その支配体制に揺らぎが起こるようになります。
コスモ・バビロニア建国戦争
コスモ貴族主義と呼ばれるスペースノイドの選民思想を掲げた「コスモ・バビロニア」の建国戦争です。この戦争は辛くも地球連邦政府が国力の差によって勝利しますが、連邦軍の時代遅れさや組織としての腐敗が露見した戦争となりました。この戦争を境に各コロニーが自治権を獲得し、事実上独立していくこととなります。
ザンスカール戦争(宇宙戦国時代)
コスモ・バビロニア建国戦争によって完全に力を失った地球連邦の支配は事実上終わりを迎えることとなります。UC150年代は宇宙戦国時代と呼ばれる時代で、それぞれのコロニーが自治をする状態となっており、一部の力を持ったコロニーが帝国を名乗って、その他のコロニーを制圧する時代となりました。代表的なのが「ザンスカール帝国」によるザンスカール戦争などの戦争です。
まとめ
いかがでしたか?今回は広大なガンダムサーガの流れを簡単に紹介していきました。当然、ガンダム作品の中には宇宙世紀が舞台になっていない作品もあり、今年放送の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』もそのジャンルになるかもしれません。しかし、ガンダム世界の特徴や流れを理解することはこれからの作品を理解する上でも必要不可欠のものとなっていますので、必ずおさえておくようにしましょう!